18日、ドラマ『大奥』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~)がスタートする。昨年1月期と10月期にも『大奥』(NHK総合)が放送されたが、こちらは漫画家・よしながふみ原作の“男女逆転”版。

ドラマの『大奥』と言えば、1968~69年と83~84年(関西テレビ制作)、03年・04年・05年の連ドラ、さらに06年・16年・19年にスペシャルドラマが放送された「フジテレビ版が本家」と言っていいだろう。

そのフジテレビ版『大奥』の連ドラが20年ぶりに復活し、主演を務めるのが小芝風花。昨年は春の『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)で主演、夏の『転職の魔王様』(カンテレ・フジ系)でヒロイン、秋の『フェルマーの料理』(TBS系)でヒロイン、12月から今年2月にかけて放送中の時代劇『あきない世傳 金と銀』(NHK BS)で主演を務めるなど、「今最もドラマの制作現場で求められている女優」と言っていいだろう。

なぜ現在、小芝風花はそれほど連ドラの主演やヒロインとして求められているのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 小芝風花 撮影:島本絵梨佳

    小芝風花 撮影:島本絵梨佳

主演女優にした10年の道のり

まず、小芝の現状を掘り下げる上で触れておかなければいけないのは、その経歴。女優デビューわずか2年の2014年に『魔女の宅急便』で映画初出演初主演を飾って注目を集めたものの、その後は必ずしも順風満帆とは言えなかった。

事実、2016年に朝ドラ『あさが来た』(NHK総合)に主人公の娘役で出演したものの、ブレイクしたのは、彼女の友人役を演じた吉岡里帆。同世代か年下の女優が次々に頭角を現す中、小芝は“かわいらしい小柄なお嬢さん”というイメージの役柄が続き、脚光を浴びる機会は少なかった。

さらに、所属事務所・オスカープロモーションでひと世代上の武井咲や剛力彩芽が早々に主演女優として活躍していただけに、業界内で「小芝は彼女たちに続けなかった」という厳しい見方があったのも事実だ。

小芝がようやくきっかけをつかんだのが、2019年の『トクサツガガガ』(NHK総合)。同作で連ドラ初主演を飾ると、民放でも深夜帯の『妖怪シェアハウス』(テレ朝系)と『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(テレ朝系)で主演を務めた。さらに、2021年の『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジ系)で民放ゴールデン・プライム帯の連ドラ初主演を務めたが、それからわずか1年半で昨年の大躍進につながったのだから、「急激に売れた」と感じるかもしれない。