世界のニソテソドーとポケモソが「これからは『寝』だよ」と気づいたことにより、「ポケモソスリープ」という、睡眠によりポケモソを育てたり捕まえたりするゲームがリリースされた。

冷静に考えれば「空前の呼吸ブームが来る」と同レベルのことを言っているのだが、呼吸が自動なのに対し、睡眠は任意かつ、しなくてもすぐには死なないせいで、呼吸よりないがしろにされがちなところがあった。

しかし最近になって、やはり睡眠不足は死に直結する、少なくとも200年以内に9割以上が死ぬと判明したせいか、改めて「寝」の重要性が注目されるようになった気がする。

ポケモンスリープにもガチ勢がいるとかいないとか

私も今までポケモソというゲーム自体にはノータッチであったが、睡眠には興味があったのでポケスリはサービス開始時からプレイしている

ゲーム性自体はほとんどなく、普通のゲームであれば虚無ゲーとしてすぐにサ終してもおかしくないが、ポケモソGOを「歩かない」という理由で初日セルフサ終した私でも、さすがに睡眠を三日坊主したという経験はなく、むしろ40年間ほぼ無休で続けているスリーピングホリック状態である。

睡眠自体が続いているのでポケスリも意外なほど続けているのだが、自動的に睡眠を計測してくれるわけではなく、寝る前に「今からクソして寝る」というボタンをタップしなければいけないため「それすら面倒くさい」となったら投げ出すと思う。

  • 朝型と夜型、見直される「睡眠」の常識とポケスリの話

    ハート様的にポケモンスリープすら面倒くさいという人生なら、それはそれで

だが、ゲーム性がそんなにないということは「頑張りにより差がつきづらい」ということでもある。

寝れば寝るほど有利なのかというと、最長8時間半までしかポイントがつかないし、課金要素もあるにはあるが、それでレアポケモンが出るという仕組みでもない。

課金やプレイ時間が物を言うソシャゲより平等なゲームのように感じるが、早くからポケスリの「不平等性」に気づき、異議を唱えていた者もいる。

何故ならポケモンは十分な睡眠だけでなく、「規則正しい生活」を推奨しているからである。

よって「ねむりの約束」という寝る時間を設定させ、その時間の90分前から30分後までに就寝できた日が週に3回あればアイテムを貰えるなどの仕様になっている。

また、ミッドスリープタイムと言って、就寝と起床の中央時刻が揃っているほど評価が高くなる。

だから頑張って規則正しい生活を送ればよいではないか、と思うかもしれないが、勤務時間が不規則で毎日決まった時間に寝るのが不可能な人もいるし、生まれつき睡眠に問題があり、寝ようと思っても寝れない人もいる。

つまり決まった時間に就寝できる生活と体を持った睡眠強者が優遇されるゲームであり、そうでない人間向けに作られていないということだ。

【令和最新情報】睡眠の傾向は人それぞれ

確かに右利きの人間が、道具などが右利き向けに作られていて左利きの人間が不便をしている、ということに気づかないように、生まれつき寝に不自由をしたことがない人間は、そうでない人間の苦労に気づかないし、その悩みに対し「生活を見直せばいいのでは」など、あたかも本人の不摂生のせいであるかのように言ってしまうことがある。

実際私のように、ただの不摂生とノージョブという立場を利用して頻繁に昼夜を術式反転してしまっている者もいるので、余計そう思われてしまうのだろう。

そもそも社会自体が「朝方優遇社会」であり、物心ついた時から夜型特性の人間は朝起きれないという特性から「だらしない子」という烙印を押され、多くの会社が朝始業というシステムを採用していることから、会社員という道を断念せざるを得ない場合すらある。

そして「夜型だから朝起きれない」というのも、怠け者の言い訳として捉えられてきた。

しかしポケスリ側が睡眠格差について気づいていないというわけではなく、むしろ「睡眠の特性は生まれつきのものであり変えられない」という論を推している側である。

ポケスリの公式ページには、睡眠学の権威である柳沢正史先生の睡眠コラムが掲載されており、そこで「夜型の人間が努力で朝方に変えるのは難しい」と明言されている。

確かに、ポケスリも朝方優遇というわけではなく、規則正しく朝寝て夜起きていれば朝方も夜型も評価に差はないシステムだ、

ねむりの約束に関しても最初は「設定時間の前後30分以内」というタイトさだったが、それも後に緩和されているので、これからさらに就寝時間がハチャトゥリアンな人間向けにアップデートがされていくかもしれない。

しかし、ポケスリ側も「努力で睡眠を規則的にできる人はこれを機に生活を改善してほしい」という意図で規則正しい睡眠を評価するシステムにしているはずだ。

そこを撤廃してしまうと、今度は生活改善効果が失われてしまう、という問題があり、万人に向けて作るということの難しさを物語っている。

日本社会に必要なのは朝方人間と夜型人間の和解だ

ちなみに、ポケスリゲーム内ではロード中などに「睡眠豆知識」が表示されるのだが、その中に「ショートスリーパー」に関する言及もある。

ショートスリーパーとは「寝が少なくても健康でいられる人」であり、逆に寝が長くないとやっていられない人はロングスリーパーという。

つまりショートスリーパーは少ない眠りで長時間動けるため得、といえるが、これも訓練でどうにかなるわけではなく、生まれながらの体質だという。

この「生まれながらの特異体質」というのが特定の層にティンと来てしまったのか、「俺ってショートスリーパーだから」を自称する人間も現れているようだが、多くの人間がただの寝不足であり、アルコール耐性がない人間が酒豪を気取るのと同じレベルで危険なのでやめた方がいい。

どちらにしても体質を変えることは難しく、体質により朝起きられない人間を毎朝超絶ドラムソロで起こしても意味がないし効率が悪いので、朝起きれなくても生きていける道を模索した方が早いし、社会もそういう道を増やした方が社会参加できる頭数が増えて良いと思う。

ちなみに私はこれでも朝方であり、朝起きられなくて苦労したということはあまりないのだが、逆にそのせいで自分も周囲も社会不適合に気づかず、「朝起きれる以外何もできない会社員」として10年近く周囲に迷惑をかけることとなった。

夜型の人はこの朝方社会に適合できず幼少から苦労をしていると思うが、朝方なせいで大人になってから不適合に悩むケースもあるので、朝方にさえ生まれていればという話でもない。