4月の新生活スタートから1カ月が経ち、少し疲れてきた人もいるだろう。そんなときは仕事のことを一旦忘れて、北海道などへ旅行するのも良い。北海道旅行で札幌に向かう際は、JR北海道の「エアポート」が便利。今回は「エアポート」の種別や所要時間などについて紹介する。

  • 区間快速「エアポート」が快走(筆者撮影)

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「エアポート」は6両編成、指定席「uシート」も連結

「エアポート」は北海道の玄関口である新千歳空港駅を発着し、札幌駅まで直通するほか、人気観光地を擁する小樽駅まで運転される列車も設定されている。6両編成の車両(733系・721系)を使用し、4号車は指定席「uシート」、それ以外の車両は自由席である。

「uシート」を利用する場合、乗車券の他に座席指定を受ける必要がある。指定券は「みどりの窓口」だけでなく、JR東日本が運営するきっぷ予約サイト「えきねっと」でも予約可能。「えきねっと」ではチケットレスで座席指定を受けられるため、空港で手荷物を受け取ったらすぐに指定席を予約できて便利だ。自由席を含め、車内で無料Wi-Fiサービスを利用できるのもうれしい。

  • 「エアポート」は新千歳空港駅発着で札幌・小樽方面へ運転される(筆者撮影)

  • 「エアポート」の4号車は指定席「uシート」(提供 : 写真AC)

新千歳空港駅を発車した「エアポート」は、北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールド HOKKAIDO」の最寄り駅である北広島駅などを経由し、札幌駅へ向かう。現在、新千歳空港駅から札幌駅までの運賃は大人1,150円。「Suica」「PASMO」等の交通系ICカードで乗車できるが、JR北海道の自動改札機はオートチャージに対応していないため、乗車前に残額を確認しておきたい。

ダイヤ改正で日中時間帯の「エアポート」は3種別に

今年3月に行われたダイヤ改正で、「エアポート」は3種別になった。日中時間帯、特別快速・快速・区間快速の3種別が1時間あたり合計6本運転される。種別ごとに停車駅や所要時間が異なるため、どの列車に乗れば良いか迷ったときは参考にしてほしい。

1. 速達性重視の特別快速「エアポート」

「エアポート」の中で最も所要時間が短い速達タイプの種別は特別快速である。新幹線に例えるなら「のぞみ」や「はやぶさ」のような列車で、新千歳空港駅を発車した特別快速「エアポート」は、途中の南千歳駅と新札幌駅のみ停車し、札幌駅へ向かう。小樽行は札幌駅を発車した後、桑園駅、琴似駅、手稲駅、小樽築港駅、南小樽駅、小樽駅の順に停車する。

新千歳空港駅と札幌駅を最速33分で結んでおり、車体前面・側面の種別・行先表示が赤くなっているのが特徴。速達タイプであるため、一刻も早く札幌駅や小樽駅へ向かいたい人、途中下車の用事がない人におすすめしたい。

2. 観光地にも立ち寄る快速「エアポート」

快速「エアポート」はダイヤ改正前に最も多く運転されていた種別。空港利用客はもちろん、道内の通勤客などにも多く利用される。新千歳空港駅を出ると南千歳駅、千歳駅、恵庭駅、北広島駅、新札幌駅に停車。朝や夜に白石駅停車の列車も設定されている。ダイヤ改正前の小樽行は、札幌駅を出ると琴似駅、手稲駅、小樽築港駅、南小樽駅、小樽駅に停車していたが、現在は桑園駅にも停車するほか、手稲駅から小樽駅まで各駅に停車する列車もある。

新幹線に例えるなら「ひかり」や「やまびこ」のようなタイプであり、新千歳空港駅から札幌駅までの所要時間は最速37分。新たに札幌近郊で通勤・通学する人や、「エスコンフィールド HOKKAIDO」など途中駅の観光地に立ち寄りたい人に便利な列車と言えるだろう。

  • 「エアポート」の使用車両(733系・721系)は6両編成で片側3扉(筆者撮影)

  • 種別ごとにカラーリングが異なる。特別快速は赤色、快速はオレンジ色、区間快速は緑色がベースに(筆者撮影)

3. のんびり移動、区間快速「エアポート」

最後に紹介する区間快速「エアポート」は、今年3月のダイヤ改正で新設された種別。新千歳空港駅から北広島駅までの各駅に停車し、北広島駅から先は新札幌駅のみ停車して札幌駅へ向かう。停車駅が多いため、所要時間は43~44分と、3種別の中で最も長い。区間快速「エアポート」はすべての列車が札幌駅止まりとなっている。

新千歳空港駅から北広島駅までの各駅に向かう人はもちろん、同区間の駅から札幌駅または新千歳空港駅に向かいたい人にとっては便利な列車である。停車駅が多い分、やや空いている傾向があるため、急がず座って札幌駅へ向かいたい人にも区間快速をおすすめしたい。

実際に「エアポート」に乗車、各種別の乗車状況は

ダイヤ改正後、4月の平日を活用して「エアポート」に乗り、実際の利用状況を確かめてみた。まずは朝の札幌駅から、特別快速「エアポート」に乗車してみる。札幌駅の「エアポート」停車ホームは5・6番線。新千歳空港に向かう乗客などでつねに混雑している。

札幌駅が始発の特別快速「エアポート」は、発車10分前に入線した。発車時刻まで余裕があるためか、車内は空席が目立っていたが、「えきねっと」アプリで「uシート」の空席を確認すると、予約できるのは5席だけだった。札幌駅を発車すると、すぐに90km/hほどまで加速。新札幌駅に到着すると、「この電車の次の停車駅は南千歳です。北広島、恵庭、千歳には止まりません」と案内放送が流れた。

  • 速達タイプの特別快速「エアポート」(筆者撮影)

ここからが、特別快速の本領を発揮する区間である。途中の駅を次々と通過し、最高110km/hまで加速。新千歳空港駅までの所要時間は35分ほどだった。

帰りは区間快速「エアポート」に乗車する。新千歳空港駅を発車するまでの間、自由席の車内は途中の各駅や札幌駅に向かう乗客で次第に埋まっていく。「uシート」の空席状況を確認すると、こちらはまだ余裕があった。

新千歳空港駅を出発すると、北広島駅まで各駅に停車する。途中駅では札幌市内へ向かう乗客が乗り込み、車内は少しずつ混雑し始めた。

途中、島松駅で筆者を含む4名が下車。その後、再び区間快速を待っていると、ホームでは10名以上の乗客が列車を待っていた。日中時間帯の北広島~千歳間で普通列車がなくなったこともあり、沿線の人々にとって区間快速「エアポート」が普通列車に代わる存在として定着していることがうかがえる。北海道らしい車窓風景を楽しむなら、区間快速は魅力的かもしれないと感じた。

新しい生活に疲れたら、自然豊かで広大な北海道を旅して、心と体を癒してほしい。