• 『おいハンサム!!2』に出演する木南晴夏=4月27日放送の第4話より (C)東海テレビ/日本映画放送

『セクシー田中さん』の騒動でクローズアップされた問題点には、SNSでの批判や誹謗中傷というのもあった。その攻撃の矛先は、脚本家だけでなく、出演者に向かうことも。

『おいハンサム!!』にも出演し、『セクシー田中さん』と撮影時期が重なっていた木南について、山口氏はX(Twitter)で「誰よりも役に真剣に向き合い、誰よりも的確で期待や想像を超えた演技をする、かけがえのない女優であることだけは言っておく」とポストしたが、そこには、「とても心を痛め、喪失感がある中で、出役の人は何かあるとネット記事で写真が使われてしまったりする。それはおかしいしフェアではない。だから、『おいハンサム!!』を見てもらえば分かるけれど、木南晴夏さんはこの騒動とは関係のない一人の女優なのだ。ただ、与えられた役に他の追随を許さないやり方で息を吹き込む貴重な役者なのだ、ととにかく伝えたかった」という思いがあった。

一方で、このツールにはプラスの側面もあると捉えている。

「『おいハンサム!!』でMEGUMIさんが演じる千鶴という役について、SNSで“諸行無常の母”と書かれているのを見て、なるほどなと思って参考にしたりしています。視聴者の方が的を射ることが多いですから、僕はSNSで意見や感想を読んだり、批判されたりするのが好きです。フジテレビにいた頃は山田良明さん(『北の国から』などのプロデューサー)が上司で、いろいろ意見してくれたのですが、やっぱりとにかく誰かに何かを言われて立ち止まって考えることはすごく大事だと思う。それが今は視聴者からダイレクトに来るようになったということですね」

原作者が感じた作品の広がり「本当に漫画ってすごい」

4月に行われた『おいハンサム!!2』のプレミア試写会で、最初にドラマ化のオファーを受けた際の心境を回想した原作の伊藤氏は、山口氏から直接電話を受け、「“漫画を混ぜてドラマにしたい”って言うから、絶対新手の詐欺が来たと思ってました(笑)」と打ち明けた。

そこから実際にドラマ化され、続編が放送され、さらには映画化までされることに、「地味に一人で描いていた漫画が、面白い監督(山口氏)に見つかって、ハンサムな吉田鋼太郎さんに演じてもらって、その作品を面白がってくれる方がいっぱいいて、本当に漫画ってすごいなと思っています」と、作品が広がっていくことの喜びを語っている。

しかし、『セクシー田中さん』の騒動を受け、各局では今までのように漫画原作をドラマ化しにくい空気感が生まれている。それでも山口氏は「これからも面白いもの、そして自分にしかできないものがあれば、原作ものにも挑み続けていきたいですね」と意欲を示した。

  • 映画『おいハンサム!!』6月21日(金)全国ロードショー (C)2024映画「おいハンサム!!」製作委員会

●山口雅俊
兵庫県神戸市出身。フジテレビで『ナニワ金融道』シリーズ、『きらきらひかる』シリーズ、『ギフト』、『タブロイド』、『アフリカの夜』、『危険な関係』、『太陽は沈まない』、『カバチタレ!』、『ロング・ラブレター~漂流教室~』、『ランチの女王』、『ビギナー』、『不機嫌なジーン』などをプロデュース。独立して、株式会社ヒントを設立。『カイジ』の映像化の企画を持ち込んで1作目をプロデュース、シリーズを立ち上げるなどした後、企画・プロデュース・脚本・監督をすべて担当した作品として、ドラマ・映画『闇金ウシジマくん』シリーズ、ドラマ『やれたかも委員会』、ドラマ『新しい王様』シリーズ、ドラマ『闇金サイハラさん』、ドラマ・映画『おいハンサム!!』などがある。