現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか、28日は20:10~)で、吉高由里子演じる主人公・まひろの友人・さわ役を務めている野村麻純。2011年にデビューしてから着実に経験を重ね、本作で大河ドラマ初出演を果たした。野村にインタビューし、芸能界に入ったきっかけや、どん底の時期もあったというこれまでの道のり、そして、憧れの存在だという叔父で俳優の沢村一樹について話を聞いた。

  • 野村麻純

    野村麻純 撮影:加藤千雅

短大在学中に、所属事務所フラームのオーディションを受けて合格し、2011年にTBS系ドラマ『華和家の四姉妹』でデビューした野村。

「昔からテレビっ子で、お芝居や表現するということをすごく身近に感じていて、就職活動でも広告代理店を受けたり、何かしら表現したいと思っていました。内定もいただいたのですが、人生一度きりだから自分自身で表現したいと思い、今の事務所のオーディションを受けました」

内定を辞退してオーディションに挑戦し、半年くらいかかって合格をつかんだという。

「当時20歳で、芸能界に入るには年齢が高いので、事務所も慎重だったのだと思います。受からなかったら仕事はなかったわけですし、あの時の決意はすごかったなといまだに思います」

オーディションはフラームに絞って受けていたそうで、「戸田恵梨香さんなどテレビで見ていて好きな女優さんがいて、調べたら人数も少なくて、人数が少ない事務所のほうがコミュニケーションが取れるのかなという考えでした」と理由を明かした。

デビュー後、2012年にテレビ朝日系ドラマ『11人もいる!』でソアラ役を演じて注目を集め、それ以降、ドラマを中心に数々の作品に出演。そして、『光る君へ』で大河ドラマ初出演を果たした。

「大河ドラマは憧れ、夢という感じでしたが、自分が出られるとは思ってなかったので、オーディションに受かったと聞いた時は『え!?』ってびっくりしました」と大河ドラマへの思いを述べ、「熱量がすごいなと思いました。皆さん細かいところまで見て、登場人物一人ひとりしっかり味わってくださっていて、それが大河ドラマのすごさだなと感じました。こんなに『さわ』『さわ』と言ってもらえるとは思わなかったです」と反響を喜んでいる。

  • 『光る君へ』場面写真 (C)NHK

■役者を辞めようと思ったことも「向いてないなと」

2011年のデビューから約13年。これまでの道のりの中で、役者の仕事を辞めようと思ったこともあるという。

「向いてないなと何回も思い、20代半ばも20代後半も、辞めようかなと思ったことはありましたが、このお仕事で頑張りたいという最初の気持ちを思い出して踏みとどまりました。就職活動して内定もいただいた中で、やっぱり違うと思って事務所のオーディションを受けて今ここにいるので、当時の自分を裏切れないという気持ちで。人生一度きりですし、うじうじせず、自分にできることをちゃんと見極めてやっていこうと思い、辞めずに続けています」

向いてないと感じた理由を尋ねると、「20代前半の頃は、現場でお芝居について怒られた時に『お前の代わりはいくらでもいるんだ』と言われたこともあり、そういうのが積もりに積もって、私の代わりなんてたくさんいるんだと考えてしまって。演じていても楽しくないし、次につながっているのかもわからなくて、向いてないんだなとネガティブな思いしか出てこなくなり、どん底でした」と、もがいていた苦しい時期について明かした。

だが、芸能界に飛び込む決意をした過去の自分を裏切れないという気持ちで、前を向いて一つ一つの作品と向き合ってきた野村。20代後半には積極的に演技のワークショップにも参加し、そこで精神的に鍛えられたという。

「役の幅を広げたくて、いろんなお芝居のワークショップに行き、その時もすごく怒られるんです。お金を払って、毎回怒られて泣いて、なんでこんなつらい思いをしないといけないんだと思いましたが、20代後半は自分の底上げ期だと思い、嫌な思いをいっぱいしようと吹っ切れて。あの時、嫌な思いをたくさんしたおかげで、今は強くなったなと思います」