来年デビュー20周年を迎えるお笑いコンビ・銀シャリ。例年行っている単独ライブツアー、今年はコンビ初となる1万人動員を目指す大規模なツアー「シャリとキリギンス」を全国11都市で開催する。「あまり会場の大きさや動員数というものは意識していない」と語っていた鰻和弘と橋本直だが、“漫才”に対しては並々ならぬ思いがあるという――。

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    銀シャリの鰻和弘(左)と橋本直

2016年の『M-1グランプリ』優勝後、漫才だけではなく、さまざまなバラエティ番組で活躍中の銀シャリ。それでも現在、47都道府県を巡るライブだけではなく、オール新ネタで臨む年に1回の単独ライブを行うなど、徹底的な現場派でもある。

5月4日にスタートする全国ツアー「シャリとキリギンス」は、東京・大阪では2会場で行い、全国11都市13公演開催する。橋本は「ネタについては常に考えている感じで、単独ライブを行うから……と構えてネタを作っているわけではないんです」と語り、「ツアー中もちょくちょく変わる可能性があります。特に今回は東京と大阪が6月、11月と時間が空くので、ネタを変えてみたいと思っているんです」と“生もの感”を強調する。

今回は“1万人動員予定”という数字がついているツアー。鰻は「今までも大きなホールでやったことはあったのですが、今回の11都市はほぼすごく大きい会場なので、頑張りたいですね」と笑うが、「前回のツアーのとき、1400人ぐらいの会場でやったことがありましたが、正直何も変わらないなと思ったので、数字はあまり意識していません」と述べ、橋本も「我々はコントをやるわけではないので、ただしゃべっているだけなので、ステージが大きいから、なにか特別なことをやれるわけではないので……」と全く気負いはないと語る。

会場の大きさや観客の数よりも、ステージに上がった瞬間のお客さんの空気感によってアンテナの方向が変わるそうで、橋本は「舞台に立ってアイドリングがちょっといつもより必要かな……とか、オープニングVTRを見ている雰囲気でも感じることはあります」と、ここでも“生もの感”がコンビの売りであることを述べると、そんな現場で感じることは、橋本も鰻も話し合わなくても共有できるという。

鰻は「本当に感覚がビタって合う感じ。都道府県ツアーもやっていますし、踏んでいる場数が違いますからね」と、まさに“阿吽の呼吸”でステージは構成されていく。橋本も「最初から合うなという感覚はありましたが、キャリアを積んでさらにそのツーカー感は増していますね。老夫婦じゃないけれど」と笑う。

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解散は思い浮かばない「ネタができなくなるのはつらい」

いまや劇場だけではなく映像メディアでも引っ張りだこの銀シャリだが、“2人だけ”の単独ライブは「絶対必要」だと強調する。

鰻は「漫才があるから、他のことをやらせてもらえるんですよ」とつぶやき、「テレビで僕がセスナの免許とか取りにいったりしていますが、それも漫才で評価されるから番組に呼んでもらえていると思うんです」とあくまでコンビの骨格となるのは漫才だという。

橋本も「漫才以外の仕事は、やっぱり仕事をしているという感じなのですが、漫才はただ楽しんでいるみたいな。誰からも邪魔されない、自分と鰻だけの空間をお客さんに見てもらうというのは、すごく贅沢な時間ですよね」と語りと、鰻も「例えば今回1万人動員という話になっていますが、それって僕ら2人だけを見に来ていただいているわけで。それってめちゃくちゃうれしいですよね」と笑う。

だからこそ、単独ライブには基本的にゲストを招かない。橋本は「確か10周年のときにゲストに来ていただいたと思うのですが、それ以外は基本的に僕らだけ。ちょっと尖っているのかもしれませんが、そこにはこだわっています」と語る。

“漫才”で繋がるコンビの絆。近年、人気コンビの解散が相次ぐが、結成19年となる銀シャリは解散を考えたことはあったのだろうか――。

橋本は「思い浮かびませんね」と言い、「漫才ができなくなるのは面倒くさいじゃないですか。また新たに1から誰かとやる……というのは考えられないですかね。ネタができなくなるのはかなりつらいし」と本音を明かすと、鰻も「やっぱり楽しいですからね」と橋本に同意する。