伊藤沙莉主演の連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の第19回で、岩田剛典(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS)演じる明律大学の学生・花岡悟が初めて心の内を吐露するという胸熱のシーンが描かれた。さらに伊藤演じる主人公・猪爪寅子との間で恋が芽吹き、今後の発展にも期待がかかる。岩田を直撃し、一連のシーンの舞台裏について話を聞いた。

  • 『虎に翼』大庭梅子役の平岩紙(左)と花岡悟役の岩田剛典

花岡役が全部集約されていると捉えた重要な懺悔シーン

本作は、日本初の女性弁護士で、後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルとする主人公・猪爪寅子とその仲間たちが、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子供や追いつめられた女性たちを救っていく物語。

岩田演じる花岡はとても社交的で女子学生たちにモテモテの人気者だが、みんなでピクニックに出かけた際に寅子と言い争いになり、崖から転落して病院送りに。ようやく病院を退院することになった花岡は、親友の轟太一(戸塚純貴)から愛ある説教をくらって自分自身を顧み、寅子と腹を割って話をしたことで寅子との距離が急接近する。

轟は、最初は分かりやすく男尊女卑的な行動を取っていたが、寅子たちと接していく中で互いの良さを認め合うように。そんな轟は、花岡にとって唯一、自分の本音を明かせる盟友であり、花岡が彼の前でいくら虚勢を張っても、弱い自分を見透かされてしまう。

岩田は、轟と花岡の関係性について「ある意味、花岡にとっての轟は同志というか、同級生の中でもより近い存在です」と捉えている。

「2人の思想は基本的には一緒だと思います。序盤では男尊女卑から入りましたが、最終的には変わります。もちろん表情や声色など、表現の仕方は違えど、女性が夢を追う姿に対しては、2人とも肯定的だったのではないかと」

また、轟役の戸塚純貴について「ご飯にはまだ行けてないのですが、彼は最近ゴルフを始めたらしくて。僕も毎年、“ゴルフやるやる詐欺”をしている感じなので、ゴルフができるようになったら一緒に回りたいね、と話しています」と笑顔で語る。

轟とのシーンのあと、大庭梅子(平岩紙)の前で自身の生い立ちや、心に抱えてきた劣等感や葛藤を打ち明けるシーンは、花岡にとってのハイライトとなった。

岩田自身も「花岡役は、ここに全部集約されているのではないかというくらい、キャラクターを作る上で重要なシーンだと捉えました。すべてがこのシーンの前振りに思えるほど、懺悔をしながら本音を吐露するシーンだったので、花岡にとっても自分自身にとっても、丁寧に向き合って演じようと思いました。花岡のバックグラウンドとして、家庭の事情などが初めて台詞として出てきたので、そこを自分の中で膨らませながら感情を入れていきました」と並々ならぬ思いで挑んだと言う。

花岡にとって寅子は「なりたい理想像を体現している」存在

この花岡と梅子とのやりとりをうっかり聞いてしまった寅子。その後、教室で花岡と2人きりになった寅子は、花岡に謝罪するも、逆に花岡の口からも反省の弁が出ることに。

「花岡と寅子が横並びに座ってやりとりをするシーンは、冒頭でずっと沈黙するというのが面白かったです。あれは脚本には書いてなかったのですが、そういう演出をつけてくださったことで、きっと何かが伝わるシーンになったのではないかと。撮影は淡々と進み、30分くらいで撮り終えました」

寅子役の伊藤については「本当に立派な座長さんでパワフルな女優さんで、今回伊藤さんと共演できてすごくうれしかったです。仕事ぶりの魅力だけじゃなくて、彼女自身のフランクな性格が良くて、それが作品の血として通っている部分が大きいかなと思います。彼女がこの作品を作ってくれているし、“側”も含めて包み込んでくれているような感じで、僕自身も『虎の翼』がすごく好きな作品になりました」と絶賛する。

花岡と寅子が本音を語り合えたことで、2人のベクトルは、ほのかな恋へとシフトしていく。花岡が「崖から落ちた日から、誰といても何をしていても、猪爪くんのことが頭に浮かぶ。これじゃあまた、君のことばかりを考えてしまうだろ」と、誰もが愛の告白と受け取れるような発言をしたことで、色恋に無縁だった寅子も「はて?」と首をひねりつつも、その後はわかりやすく浮かれていた。

「花岡はだんだん寅子に本音を話せるようになっていきますが、寅子への思いが恋心なのか、それとも単に彼女を応援したいという思いなのか? 僕は両方あるとも思いました」と言う岩田。

花岡が思う寅子の魅力については「寅子が物怖じせず、何事もしっかりと自分の意見を面と向かって言うところですね。それはたぶん、花岡が憧れる大きな要素だったかなと思います。彼女に対しては、恋心もそうですが、ある種、自分のなりたい理想像を体現しているのが、沙莉ちゃんの演じる寅子だったのではないかとも感じました」と捉えた。

「男性社会のヒエラルキーにおいて、花岡は上の方にいる生徒ですが、その一方で、自分の立ち振る舞いに対しては自己満足しているような小心者でもあると思っていました。寅子のことを異質な存在として捉えていましたが、女性陣に感化され、物事の考え方も柔らかくなっていき、女性目線の気持ちもわかっていきます。やがて花岡は、女性が夢を追うという志に対しても寄り添えるような考え方になっていくんです」

寅子と花岡の恋がスタートしたかと思ったら、いきなり猪爪家では大事件が勃発。一体、何が起こったのか? 今後の恋の行方も含め、今後の展開から目が離せない。

■岩田剛典
1989年3月6日生まれ、愛知県出身。三代目 J SOUL BROTHERSのパフォーマーとして2010年にデビューし、2014年にEXILEに加入。2021年にソロデビューも果たした。俳優としては映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(16)で映画初主演、『去年の冬、きみと別れ』(18)で初の映画単独主演。近年の主な出演作は、映画『ウェディング・ハイ』(22)、『死刑にいたる病』(22)、『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(22)、ドラマ『あなたがしてくれなくても』(23)、『アンチヒーロー』(24)、Netflix『金魚妻』(22)など。

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