◆TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.30.33(グラフ14~15)

TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.30.33
ペガシス
http://tmpgenc.pegasys-inc.com/ja/product/tvmw7.html

  • グラフ14

  • グラフ15

先にProcyonのところでMedia Encoderの話に触れたので、こちらでその検証を。グラフ14はx265、つまりPegasys製のSoftware Encoderを使った場合で、これはもうCPU性能がそのまんまという感じだ。TMPGEncの場合、メモリ性能があまり大きくは影響しないようで、Ryzen 7 5700GとRyzen 5 8600Gがほぼ同じスコアになっているが、逆に言えば6coreのRyzen 5 8600Gで8コアのRyzen 7 5700Gに十分伍する性能が出せているという意味でもある。Ryzen 7 8700GとRyzen 7 7700Xの間にはちょっと大きな性能ギャップがあるし、Core i7-13700KFは更に性能差が大きいが、これは動作周波数や消費電力、Core i7-13700KFではコア数も効いてくるから妥当な性能差と言える。

面白いのはAMD Media Encoder、つまりAMD Media SDK経由でGPU側のEncoderを使った場合だ。1streamだとEncoderが遊び気味になり、むしろCPU性能の方が効いてくるためかRyzen 7 7700XやCore i7-13700KFの方が高速だが、2/4streamだとRyzen 5 8600G/Ryzen 7 8700Gの方がエンコード速度が高速になっているのは、Ryzen 5 8600G/Ryzen 7 8700Gに搭載されているEncoderはRDNA 3ベースで、RDNA 2ベースのRadeon RX 6600のEncoderよりも高性能になっているという訳だ。ついでに言えば消費電力も低く、実に効率的である。先程も書いたがProfessional向けには色々難点があるだろうが、Consumer向けの動画のエンコードには、Ryzen 5 8600G/Ryzen 7 8700Gは最適なソリューションと言えるかもしれない。

◆3DMark v2.28.8217(グラフ16~18)

3DMark v2.28.8217
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ16

  • グラフ17

  • グラフ18

今回からSolar Bayもテスト項目に入れている。なお、SolarBay/PortRoyalはRay Tracingを利用している関係でRyzen 7 5700Gでは実行できないのでNo Scoreであるが、SpeedWayは筆者のミスでデータをRyzen 7 5700Gだけ取り損なっている事をお詫びしておく。

ということで結果であるが、Overall(グラフ16)を見るとRyzen 5 8600G/Ryzen 7 8700GのスコアはRadeon RX 6600比で、良くて半分。悪いと3分の1程度のスコアに留まっている(TimeSpy Extremeなど4分の1程度だ)。ここからCPU/Physics Testの結果などを抜いたGraphics Testの結果がグラフ17で、グラフ16では2.5倍程度だったNightRaidの差が3倍まで広がっている。こちらでは平均3倍ほどのフレームレートの差が出ている訳だ。

まぁ当たり前といえば当たり前で、Radeon RX 6600はRDNA 2ベースの28CU。Ryzen 7 8700GはRDNA 3ベースながら8CUで、RDNA 2換算も16CU相当。Graphics Frequencyは2.9GHzと発表されているが、実際どこまで動作周波数が上がっているか不明だし、なにしろ65W枠だからそう長時間の維持は出来ない。Radeon RX 6600はGame Clockこそ2044MHzだが、何しろTBPが132WとRyzen 7 8700Gの倍の許容量がある。Memory BandwidthもRadeon RX 6600は14Gbps/128bitで224GB/sec。DDR5-5200×2で83.2GB/secどまりのRyzen 7 8700Gとは比較にならない。まぁこのくらいの性能差で済んでよかったというべきか。それでもRyzen 7 5700G比では1.5倍位のフレームレートにはなっているし、性能は兎も角DXRTにも対応しているから、SolarBay/PortRoyalなどもちゃんと動く事は評価してよいかと思う。

グラフ18はPhysics/CPU Testの結果で、まぁこんなもんだろうというのはともかくとして、なんでFireStrikeではRyzen 5 8600G/Ryzen 7 8700GよりRyzen 7 5700Gの方がスコアが上なのだろう? これだけが不思議ではあるのだが、あとは概ね納得できる数字であり、Ryzen 5 8600G/Ryzen 7 8700Gの3D性能はそれなりに向上してはいるものの、過大な期待はしてはいけない事が良く判る結果となった。