「拙い文章」は、ビジネスシーンでよく使う表現ですが、意味や使い方をよく理解できていないという方も少なくないでしょう。

そこで本記事では「拙い文章」の意味や正しい使い方・例文、注意点を紹介します。また、類語・言い換え表現や英語表現もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「拙い文章」の意味とは?

  • 「拙い文章」の意味とは?

まず、「拙い」という言葉を辞書で引くと、以下のように説明されています。

つたな・い 【拙い】
①巧みでない。
②能力・品格が劣っている。つまらない。
③運が悪い。薄命である。
『広辞苑 第七版』

上記の通り、「拙い」は大きく分けて3つの意味を持ちますが、「拙い文章」の場合は①の「巧みでない」、つまり「出来の悪い・下手な文章」という意味合いです。

手紙・メールやメッセージを送るとき、上手く文章に出来ていなかったり、話をきれいにまとめられていないと感じたりする場合に使います。

「拙い文章」の使い方と例文

  • 「拙い文章」の使い方と例文

ここからは、「拙い文章」の正しい使い方を例文とともに紹介していきます。

謙遜する際に使う場合

「拙い文章」は、自分が書いた手紙・メールやメッセージを「自分の書いた文章は下手ですが」とへりくだせて表現することで相手を立てる謙遜の言葉です。ビジネスシーンでは以下のような使い方ができます。

【例文】
・拙い文章で恐縮ですが、ご確認いただければ幸いです。
・拙い文章で申し訳ございませんが、ご一読ください。
・拙い文章で恐れ入りますが、ご参考になれば幸いです。
・拙い文章ですみません。何か不明点があればご連絡ください。

人を評価する際に使う場合

「拙い文章」は謙遜するときだけでなく、他の人の文章を評価する際にも使用できます。ただし、誰に対しても使えるわけではありません。そもそも「拙い」は「出来の悪い・下手」を意味する言葉のため、使う相手や使い方によっては失礼にあたる場合があります。

基本的には相手よりも自分が上の立場のときだけ使える表現です。また、単に貶すためだけの意図で使うことは少なく、「だが」「が」などの逆説の接続詞を伴って褒めるという使い方が多いので、そのことを念頭に置いて使いましょう。

【例文】
・拙い文章でしたが、あなたの優しさがよく伝わりました。
・拙い文章だが、彼女の素晴らしい人柄がよくわかる内容だった。
・拙い文章だったが、息子からの手紙は一生の宝物だ。

ビジネスで「拙い文章」を使うときの注意点

  • ビジネスで「拙い文章」を使うときの注意点

「拙い文章」はビジネスシーンにおいて、主に目上の人や取引先にメール・メッセージを送る際に使いますが、頻繁に使うのは避けた方がいいでしょう。例えば毎回メールを送るたびに添えてしまうと、「とりあえず言っておけばいいと思っていそう」などと思われる可能性もあります。また、短い文章に対してつけることもふさわしくありません。

基本的には、複雑な内容を説明している場合や情報量が多くて上手くまとめられていない場合のみ使うように心がけましょう。

「拙い文章」の類語・言い換え表現

  • 「拙い文章」の類語・言い換え表現

ここからは、「拙い文章」と似たような意味や使い方をする類語や言い換え表現を紹介します。

乱筆乱文

「乱筆乱文(らんぴつらんぶん)」とは、「乱筆」と「乱文」の2つを組み合わせた言葉です。それぞれ、以下の意味を持ちます。

らん‐ぴつ【乱筆】
乱雑に書くこと。書体の乱れていること。みだれがき。
『広辞苑 第七版』

らん‐ぶん【乱文】
乱れて、ととのわない文章。
『広辞苑 第七版』

つまり、「乱筆乱文」は「文字も文章も整ってない」という意味になります。「拙い文章」と同じように、自身の書いた文に対して「文字も文章も整っておらずすみません」と謙遜する意味合いで使う言葉です。

本来、「乱筆」は手書きの文字を指すため、デジタルツールでやり取りする際には使用できませんが、「乱筆乱文」を1つのフレーズと捉えそのまま使用しているケースも少なくありません。

【例文】
・乱筆乱文失礼いたしました。
・乱筆乱文お許しください。

拙文

「拙文(せつぶん)」は、「拙い文章」の言い換え表現で、同じく「出来の悪い・下手な文章」という意味合いになります。ただし、「拙い文章」と比べて使用される機会は少ないです。

拙筆

「拙筆(せっぴつ)」は、「下手な文字・文章」を意味する言葉です。自身の書いた字や文章が下手であると謙遜する意味合いで使います。

【例文】
・拙筆ながら、心を込めて書かせていただきました。
・拙筆でお恥ずかしいですが、ご覧くださいませ

稚拙な文章

「稚拙(ちせつ)」は、「子どもっぽい・未熟・下手」を意味し、「拙い文章」と同じように「稚拙な文章」という言い回しで自身の字や文章をへりくだる表現として使います。また、他人の文章を批評する際にも使う表現です。

【例文】
・稚拙な文章ですが、今回の内容を私なりにまとめてみました。
・稚拙な文章という印象です。取引先に失礼なので書き直しましょう。

関連記事: 「稚拙」ってどういう意味? ビジネスシーンでの使い方や類語表現も紹介

下手な文章

拙いという言葉を使わず、そのまま「下手な文章」と表現することもできます。ただし、くだけた印象を与える表現のため、ビジネスシーンでの使用は控えた方がよいでしょう。

「拙い文章」の英語表現

  • 「拙い文章」の英語表現

「拙い文章」を英語で表現したい場合は、「poor writing」というフレーズが使えるでしょう。「poor」と聞くと「貧しい」という意味のイメージが強いですが、「下手」という意味合いも持ちます。

【例文】
I'm sorry for my poor writing. (拙い文章ですみません)

そのほか、「bad writing」などを使ってもいいでしょう。相手やシチュエーションに応じて、上手く使い分けてみてください。

「拙い文章」を正しく活用しよう

  • 「拙い文章」を正しく活用しよう

「拙い文章」の意味や使い方・例文、類語などを紹介してきました。

「拙い文章」は「出来の悪い・下手な文章」を指し、自分の書いた文章に対して謙遜する意味で使う言葉です。ビジネスシーンで、主に目上の人や取引先などにメールやメッセージを送る際に使います。

便利な言葉ですが、過度な使用は不快に思われる可能性もあるため注意してください。適切に活用してビジネスに役立てましょう。