JR東海は20日、特急「しなの」で使用する383系の取替えを見据え、新型特急車両「385系」量産先行車の新製を決定したと発表した。385系の量産先行車は8両編成。中央本線を走行する315系と車体長・ドア位置を統一することも明らかにしている。

  • 中央本線で活躍する8両編成の315系。新製される385系(量産先行車)も8両編成で、車体長・ドア位置も315系と統一するという

385系の量産先行車(1編成)は2026年度に完成予定。その後、約1年間にわたる走行試験を実施し、新たに開発・導入する次世代振子制御技術などの確認を行う。量産車は2029年度頃を目標に投入する方向で検討を進めるとしている。

この新型特急車両について、中央本線の315系と車体幅・ドア位置を統一することで、開口幅の狭いホーム可動柵を採用できるようにし、低コストでホーム上の安全性を向上させるという。315系は在来線通勤型電車として2022年3月にデビュー。1両あたりの車体長は20,100mm(約20m)とされ、中央本線の315系は8両編成で運転されている。

385系の量産先行車も、中央本線の315系と同じ8両編成で新製する予定。車体長も315系と同じ20m程度になると見込まれる。一方、特急「しなの」で活躍する383系の寸法は、先頭車の最大長21,450~22,215mm、中間車の最大長21,300mmとのこと。1両あたり約21.3~22.2mの383系に対し、385系の車体長は1m以上縮小されることになる。

なお、中央本線の中津川~名古屋間は2022年3月のダイヤ改正で快速・普通列車を全列車8両編成に統一しており、今年度中にすべて315系8両編成の運転とする予定。2025年の使用開始をめざし、中央本線の列車が発着する名古屋7・8番線ホームに可動柵を設置することも発表されている。開口幅の狭い可動柵(開口幅2,300mm)とし、定位置停止装置を導入するほか、開閉システムにQRコード方式を採用。車掌による可動柵を閉じる作業をなくし、ホーム監視業務に注力できるようにするなど、安全性の向上を図るという。