京都府の北寄り・中丹地域に位置する綾部市。丹波山地に近いこのエリアは、ゆったりとした田園風景が広がりまるで昔話の世界のよう。

京都府観光連盟による「もうひとつの京都」を紹介するプレスツアーより、京都市内から少し足を伸ばした「綾部」の楽しみ方をご紹介します。

綾部へのアクセスは?

京都府北西部に位置する綾部市へは、京都駅から綾部駅までJR山陰本線で約1時間10分。また京都駅や大阪駅から高速バスで約2時間~2時間20分程度でアクセスできます。

自動車で向かう場合は、京都市から京都縦貫自動車道で約50分。綾部安国寺インターチェンジ、もしくは綾部ジャンクションから舞鶴若狭自動車道に入り、綾部インターチェンジで下車します。

電車でもドライブでも、京都市内の喧騒から離れた小旅行が楽しめるエリアです。

「あやべグンゼスクエア」で”蚕都”綾部の歴史を知ろう

「蚕都(さんと)」と呼ばれた綾部市は、蚕糸業など繊維工業を中心に栄えた街。なかでもインナーやレッグウェアを中心に手掛ける大手メーカー・グンゼは、1896年(明治29年)に設立された、綾部に拠点を構える企業です。

綾部市の中心街に位置する「あやべグンゼスクエア」は、綾部の歴史に深く関わる「グンゼ」の取り組みを紹介する「グンゼ博物苑」、綾部市の特産品が揃う「あやべ特産館」、そして「綾部バラ園」の3施設が集うエリア。

グンゼ博物苑

  • 「創業蔵」「現代蔵」「未来蔵」からなるグンゼ博物苑

「グンゼ博物苑」は、グンゼの歴史や最新技術を「創業蔵」「現代蔵」「未来蔵」3つの展示蔵で紹介している施設。この重厚な蔵は、蚕の繭を収める繭蔵として大正時代に使われた蔵を改造したものだそう。

  • 繭から生糸つくる機械などがずらり。グンゼの歴史がわかる「創業蔵」

最初に入る「創業蔵」では、1896年(明治29年)の創業からの歩みや、絹織物の原料である生糸を作る蚕糸業で使用していた機械が展示されています。

  • オンオフ問わず身近にあるグンゼ製品が並ぶ「現代蔵」

「現代蔵」では、インナーやストッキングなど馴染み深いグンゼ製品の展示も。綾部で生まれたグンゼの製品やサービスは、わたしたちの生活に深く関わっていることがわかります。またガラリと雰囲気が変わる「未来蔵」では、医療機器などグンゼの最先端技術も紹介されています。

あやべ特産館

あやべグンゼスクエアに入ってすぐの場所に位置する「あやべ特産館」は、綾部市の特産品を扱うショップ。綾部産のスイーツや野菜・お米や地酒、伝統の「黒谷和紙」を使った小物など、幅広いアイテムが揃います。

綾部のお土産に迷ったときは、ここに来ればきっと気になる商品が見つかるかもしれません。

綾部バラ園

円形の庭が印象的な「綾部バラ園」は、150種類1,200本のバラが植栽されたエリア。季節によって様々なバラが咲いています。

バラ園のシンボルは、バラ園の中央に植えられた「アンネのバラ」。『アンネの日記』作者アンネ・フランクの父・オットー氏が日本へ送ったバラの苗木を綾部市在住の方が根付かせ、株を増やしたというエピソードがあるそう。

他にもバラのトンネルや、様々な方の記念に植えられたバラなど、様々な種類のバラをのんびりと見比べるのも楽しいエリアです。

あやべグンゼスクエア
住所:綾部市青野町亀無1-2
営業時間:グンゼ博物苑10:00~16:00、あやべ特産館9:00〜17:00
アクセス:JR山陰本線・舞鶴線「綾部駅」北口から徒歩約10分または南口からあやバス「あやべグンゼスクエア前」下車すぐ、舞鶴若狭自動車道「綾部IC」から約5分ほか
公式サイト:あやべグンゼスクエア

お餅をついたり農家に泊まったり田舎暮らし体験も

里山風景が続く綾部では、農家に宿泊する「農泊」や田舎暮らしの体験ができるアクティビティも楽しめます。

今回は、「すまいる工房」で「楮(こうぞ)もちつくり」を体験しました。クワ科の「楮」は和紙の原料となる植物です。800年続く綾部の名産品「黒谷和紙(くろたにわし)」もまた、この楮からつくられていますが、この体験では楮の葉をお餅としておいしくいただきます。

蒸した餅米と楮の葉を、杵と臼でついていきます。地元の女性グループが先生となって教えてくれますが、餅つきをする機会はなかなかないので難しい……!

つきあがったお餅をちぎってまるめ、楮もちが完成。楮の葉で淡い緑色に色づいた楮もちは、よもぎ餅のようにほんのりと草の香りがします。つきたての柔らかなお餅は、その場で振る舞ってもらえるので、餅つきの感想を話しながらおやつとして楽しめます。

「楮もちつくり」は「綾部市宿泊・観光予約サイト」から予約が可能です。他にも「黒谷和紙 紙すき体験」や「こんにゃく作り体験」など自分の手を動かしてものづくりができる体験が用意されています。

また体験だけでなく、綾部市では農家に泊まる「農家民泊」もさかんなエリア。古民家をリノベーションした宿など特色ある農家に泊まり、散策や川遊び、畑仕事などを体験できます。海外からの観光客も多く、長期間滞在してのんびりと綾部を満喫する方もいるそう。農家民泊についても「綾部市宿泊・観光予約サイト」で紹介されているので、気になった方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

すまいる工房 楮もちつくり体験
※予約制
料金:3,850円(一人当たり)2~3時間、支払方法は現金のみ
最少催行人数:2名
住所:京都府綾部市八津合町城下
アクセス:JR綾部駅下車、あやバス上林線 寺町下車(33分)、徒歩3分
予約:綾部市宿泊・観光予約サイト「すまいる工房 楮もちつくり体験」
関連サイト:綾部市宿泊・観光予約サイト

室町時代にタイムトリップ!?「御味噌庵 織りや」

丹波の山々と田園風景が広がる綾部市は、どこか昔話のような雰囲気も。まるで室町時代に来たかのようなロケーションで、こだわりの食事ができるお店が「御味噌庵 織りや」です。

「御味噌庵 織りや」の女将は京都西陣織の織りやに生まれ、手織(てばた)の音を聞きながら育った方だそう。まるで時代劇のセットのような古民家のお店は、室町時代がコンセプトとのこと。

「朴葉味噌膳」(3300円)は、朴葉味噌と野菜や肉、綾部産コシヒカリなどが楽しめるお膳。「朴葉味噌」とは味噌にねぎや生姜などを混ぜ、朴の葉に乗せて温めながら食べる料理で、そのままご飯にのせたり野菜やお肉にのせて楽しみます。雰囲気たっぷりなお部屋で味わう素朴で滋味深い味わい御膳は、きっと綾部の旅の思い出になりそうです。

他にも京都の方言で"食間の軽い食べ物"を意味する「むしやしない」の名前を冠したおにぎりや和牛味噌丼、「和のアフタヌーンティーセット」「和のクリームティーセット」といったメニューも揃います。

そしてお腹いっぱいになった後は、縁側の外にあるお庭を散策してみても。室町時代の「市」を再現したお店には、着物や扇子、日用品などが並んでいます。何屋さんだろう? 室町時代はこんな雰囲気だったのかな? と、想像が膨らませるのも楽しそう。

御味噌庵 織りや
※完全予約制
住所:京都府綾部市豊里町三宅107
営業時間:11:00~17:00(L.O.15:30)、水曜定休
アクセス:舞鶴若狭自動車道綾部ICより4.7km(約7分)、JR綾部駅より5.3km(車で約10分)、JR高津駅より2.8km(車で約4分)
公式サイト:御味噌庵 織りや

「綾部むすび」に舌鼓

綾部でグルメを楽しむなら「綾部むすび」もチェックしたい一品。その名前の通り、豊かな自然に恵まれた綾部でとれるおいしいお米でつくった「おむすび」で、綾部産米のごはんに、料理人の「こだわり」と「愛情」を込めて握った料理です。具材や形は決まりがないので、お店ごと、季節ごとに様々なバリエーションがあることも特徴。綾部市内の飲食店で提供されているほか、自分でおむすびづくりが体験できる宿も多数あります。

綾部市内の「料亭 ゆう月」では、懐石料理として「おむすびかいせき」(4100円)を提供。季節の食材をつかった懐石料理コースの最後には、綾部産のお米でつくった「綾部むすび」を堪能できます。シンプルな塩むすびは、綾部の食材で作った具との相性も抜群。炊き立てのあつあつおにぎりを頬張ると、旅の疲れもじんわり癒される気分に。

綾部のお米のおいしさを余すと来なく楽しめる「綾部むすび」、お米のおいしさの秘密はどこにあるのでしょうか? 実は綾部は、日本の稲作発祥の地とも言われており、日本有数の隠れた米どころ。豊かな水と澄んだ空気と肥沃な土壌、そして朝夕の寒暖差がおいしいお米を育みます。また個性的な農家も多く、丹精込めて育てられているそう。

綾部のおいしいお米と料理人の愛情がぎゅっと込められた「綾部むすび」は、綾部を訪れたらぜひ食べてみたい一品。提供する飲食店や体験できる場所は、「綾部むすび」公式サイトでチェックできます。

料亭 ゆう月
※電話もしくはオンラインで完全予約制
住所:京都府綾部市七百石町由里16-1
電話:0773-44-0818
営業時間:11:30~15:00/18:00~22:00
公式サイト:綾部の料亭 ゆう月


古き良き日本の風景が広がる綾部に来たら、慌ただしい毎日から離れてのんびり楽しみたいもの。観光やグルメはもちろんのこと、農家民泊や体験アクティビティなど綾部ならではの体験は、深く思い出に残る旅になりそうです。