東映Vシネクスト『暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー』が、現在全国劇場で期間限定上映中である。

人間とキカイノイドが手を取り合い、ファミリーのようなチームワークで巨大な悪と戦った『機界戦隊ゼンカイジャー』と、外見も性格もバラバラな者同士が過酷な戦いを経てお互いを少しずつ理解しあい、奇妙な友情で結ばれていく『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』。従来の「スーパー戦隊」のフォーマットから大幅にはみ出しながらも、これもまた立派な「スーパー戦隊」だと思わせる異色かつ直球の2作品が大胆にコラボして、自由奔放、前代未聞の特撮アクション映画を作り上げた。

  • 左からツーカイザー/ゾックス・ゴールドツイカー役の増子敦貴、ゼンカイザー/五色田介人役の駒木根葵汰

    左から増子敦貴、駒木根葵汰 撮影:大塚素久(SYASYA)

Vシネクスト公開記念インタビューの今回は、ゼンカイザー/五色田介人役の駒木根葵汰、そしてツーカイザー/ゾックス・ゴールドツイカー役の増子敦貴のスペシャル対談をお届けする。

『ドンブラザーズ』でも喫茶「どんぶら」の謎めいたマスター・五色田介人としてレギュラー出演していた駒木根は、本作で久々に「全力全開」の明るく元気な介人を演じている。一方、今や介人にとってかけがえのない仲間であるゾックスは、どういうわけか「柏餅王」の座に君臨し、山ほどの柏餅を食べ続けていた。

いかにも『ゼンカイジャー』らしい異常事態の中、介人やジュラン、ガオーン、マジーヌ、ブルーンたちは世界の危機を救うことができるのか。劇中の介人とゾックス同様、固い友情で結ばれた2人に映画の見どころや『ゼンカイジャー』パートの見どころ、そしてゼンカイジャーとドンブラザーズが「共演」したときの印象について話してもらった。

――昨年のVシネクスト『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』以来、久々にゼンカイジャーとゴールドツイカー一家(ゾックス、フリント、カッタナー、リッキー)が結集しました。

増子:「ファイナルライブツアー」が終わって、半年くらいしか過ぎていないのに、すごく久しぶりにみんなに会った感じがしました。それほど『ゼンカイジャー』として一緒に過ごしていた日々の密度が濃かったんだなあと実感しました。キャスト、スタッフのみなさんとのアットホームな雰囲気が懐かしくて、撮影が終わりに近づくにつれてすごく寂しくなりました。

駒木根:僕も久しぶりに「全力全開の介人」を演じることができて楽しかったし、幸せでした。感動したのは、駄菓子カフェ「カラフル」のセットがもう一度復活したこと。あの空間に僕やキカイノイドたちが入ったら、もう『ゼンカイジャー』なんだなって思えるくらい、心地よい場所でした。『ドンブラザーズ』でも喫茶「どんぶら」マスターの介人を演じていましたが、そのときもスタッフさんたちから「もう少しで『ゼンカイジャー』が撮れるね!」と声をかけてもらうこともあり、そんなふうに楽しみにしていただいたこともうれしかった。1年ぶりに帰ってきましたけれど、相変わらずなことばかりやってます(笑)。でも、その変わらないところ、ゼンカイジャーらしさがとてもうれしかったです。

――『ドンブラザーズ』を観ていると、駄菓子カフェ「カラフル」のセットがそのまま喫茶「どんぶら」になったことがうかがえますが、あそこからふたたび「カラフル」に看板や内装を戻したということですよね。

駒木根:そうです。スタッフさんの努力によって、ほぼ完璧に以前の「カラフル」に戻っていました。同じセットなんですけど、「カラフル」に行くとあそこでメチャメチャやっていいんだなって思えるんです。「カラフル」だと何をしてもOKという感じになりますね(笑)。

――ゾックスは今回、妹フリント(演:森日菜美)や介人の父・ハカイザー/五色田功(演:川岡大次郎)と共にカシワモチワルドの手中に落ち、なんと「柏餅王」として奇抜なコスチュームを身に着けました。これについての増子さんの思いが聞きたいです。

増子:最初のころ、今回ゾックスはどんな立ち位置になるんですか?ってスタッフさんに尋ねたんです。そうしたら「柏餅王になってるよ」って言われて、思わず「……え?」って聞き返してしまいました。

駒木根:そりゃあ、聞き返すよね(笑)。

増子:柏餅王という発想がまず驚きですよね。そもそも、ゾックスが本格的に活躍をはじめるのがカシワモチワルドの回(第9カイ! 世界海賊、愉快ツーカイ!)ですから、柏餅には僕自身強い思い入れがあります。気分はそれほどよくないけれど、懐かしい(笑)。ですから今回の柏餅王は、100点満点な役どころでしたね。

駒木根:わはははは! 柏餅王は俺以外にはできないぞ!っていう自信を感じるね(笑)。

――Vシネクストでは、介人の頼もしい味方となったステイシー(演:世古口凌)も活躍します。最終決戦ではドンブラザーズと一緒に、ゼンカイジャーの5人、ゾックス、ステイシー、功が並んで変身するシーンが壮観でした。

駒木根:『ゼンカイジャー』のキャラクターはみんな個性的で、テレビシリーズのときはもうみんなあちこちバラバラの方を向いていながら、最終的な着地点が一緒という、そんなところが不思議でよかったと思っていました。今回久々に『ゼンカイジャー』のキャストが集まり、スタッフさんも含めて同窓会みたいな空気がずっと漂っていました。父ちゃん(功)の川岡大次郎さんが「初めてみんなと一緒に変身できてうれしい!」って、すごく喜んでいたのが印象に残っています。

――今回、久々に(ゼンカイザーの)介人とゾックスを演じてみて、改めてお互いの「凄い」と思ったことを教えてください。

駒木根:ファイナルライブツアーで全国を回って、素の部分のあっちゃん(増子)を頻繁に見るようになって思ったのは「けっこう天然で、ポンコツなんだなあ」ってこと(笑)。でも、ゾックスの役に入るとすごくカッコいいというか、ポンコツ感が一切なくなるんです。隠せるんなら隠しなよって、ときどき思います。役を演じていればカッコいいのに。

増子:逆かもしれないよ。いつもポンコツを演じているとか(笑)。

駒木根:裏表のある人みたい、嫌だ~(笑)。

増子:まあ、それはないよね(笑)。Vシネクストでは「マスターの介人」が普段の介人と同じ場所に出てくるんですけど、まったく別人にしか見えない。テレビ最終回の「神」介人もそうだったけど、きいちゃん(駒木根)の演技力が凄いなと思います。笑顔の作り方ひとつにしてもぜんぜん違う。どんな雰囲気でも作り出してしまう、カメレオン俳優だな~って。

駒木根:そんなに褒めてもらえると、なんか照れますね。ごめんねポンコツって言って(笑)。僕はあっちゃんの「仕事になるとスイッチが入って別人になる」ところ、尊敬してます!