2020年のNVIDIA Ampereシリーズ発表から約2年近く経った今年、ついに投入された最上位GPU「NVIDIA GeForce RTX 3090 Ti」。日本国内では約35万円からという超ド級プライスで発売され、他のなにも追いすがることのできない圧倒的な性能で注目を集めました。

今回、ASUSの高耐久ブランド「TUF Gaming」シリーズから投入されたNVIDIA GeForce RTX 3090 Ti搭載カード「TUF Gaming GeForce RTX 3090 Ti OC Edition 24GB」(型番:TUF-RTX3090TI-O24G-GAMING)をしばらく借用できたので、外観を中心にお伝えします。なんと、下位モデルとは全く違う空冷機構が採用されていました。

  • 憧れの「TUF Gaming GeForce RTX 3090 Ti OC Edition 24GB」を眺めてみた

ASUS TUF Gamingシリーズのグラフィックスカードは、すでに「GeForce RTX 3070 Ti」搭載モデルと「GeForce RTX 3080 Ti」搭載モデルを試用済み。これらを通して同シリーズのグラフィックスカードには同じ空冷機構が搭載されていることがわかっていましたが、さすがにGeForce RTX 3090 Ti搭載モデルは異なりました。最大450Wにもなる莫大な消費電力に対処するため、全く別の巨大な空冷クーラーを採用しています。

  • まずはパッケージから。かなり横に長い印象です

  • 内箱が少し特殊な仕様になっていました。角が削ぎ落とされたデザインです(両サイドは高密度スポンジの緩衝材)

  • 上向きにスッと開くのかと思いきや、奥側に持ち上げて開封

  • 右端に付属品として8pin×3の変換ケーブルを収納

  • ASUS特有の謎カード。星3の自己評価は割と謙虚な気もします

  • 袋から取り出して単体で眺めた様子

  • ファンにはAxial-techファンを3つ搭載し、中央だけ逆回転して気流を整えます

  • ファンカバーは金属製。分厚くなったのか、金属の素材感がかなり強まっている印象でした

  • VRAMにもヒートパイプ付きのヒートシンクが備わり、電源回路にもヒートシンクが接触します

  • 補助電源として12+4pin×1を要求します

  • PCケースに組み込むと眺めることになるバックプレート。大きくロゴがあしらわれています

  • バックプレート後端は少しだけスルーホールを備えます

  • P MODEとQ MODEを備えるDual BIOS仕様です。スイッチの左にはNVIDIA SLI用の金属接点も備えます

  • 映像出力端子部。DisplayPort 1.4a×3に加え、HDMI 2.1×2を搭載

  • HDMI端子は2階建てになっています

  • スロットからの張り出しはかなり大きめ。自重を支えるため、バックプレートと組み合わさった補強が施されています

3.2スロットを専有する巨大な冷却機構の威容は圧巻。基板の歪みを防ぐためにバックプレートとクーラーの間に補強用の支柱が張り巡らされており、ただごとではない様子です。映像入力端子にHDMI 2.1を2つ備え、HDMIにこだわりたいユーザーでも安心。ただ、同時の映像出力はDisplayPortを含めて最大4画面までとなっています。

なお、ハイエンドモデルとしてNVLINK SLIにも対応していますが、x16スロットの間は4スロット必要です。今回使用したASRock X570 Taichiでは、本製品のSLIは無理でした。

  • 分厚すぎて下のx16スロットは使用不可。SLIする場合はマザーボードのスロット仕様にまで気を配りましょう

ファンはとても静か。莫大な排熱に耐える

すでに本格的な性能は詳細なレビュー記事『「GeForce RTX 3090 Ti」を試す - 史上最強のTi、突き抜けた実性能を見た』で紹介しているので、ここでは負荷試験を兼ねて3DMarkを一通りテストしてみました。かんたんにGeForce RTX 3090 Tiの仕様についておさらいしておくと、10,752個のCUDAコアにGDDR6X 24GBのVRAMを組み合わせ、第2世代RTコアを84個、第3世代Tensorコアを336個搭載しています。

  • 「GPU-Z」の画面

  • 3DMark「Port Royal」

  • 3DMark「Time Spy Extreme」

  • 3DMark「Fire Strike Extreme」

  • 3DMark「Wild Life」

いずれも“Extreme”を冠する重量級テストですが、NVIDIA RTX 3090 Tiの圧倒的性能によってなんのことはなく余裕の描画でクリア。NVIDIA DLSS feature testもDLSSなしで60fpsを超えるとんでもないスコアを叩き出し、DLSSの有効化で約2倍にパフォーマンスが向上しました。

高負荷なテスト中でもファンは静音そのもの。さすがに「フオオオ」という風切り音は聞こえますが、常識的な範疇に収まっていると思います。ただ、基板からコイル鳴きのようなものが聞こえる点は少し気になりました。特に軽量なテストで画面が超高フレームレートになると顕著で、低負荷なゲームを極限まで高いフレームレートでプレイするとうるさく感じる場合もありそうです。

実用にはぜひ支柱を用意したいところ

GeForce RTX 3090 Tiの強烈な性能を引き出すため、莫大な消費電力に対処するための巨大なクーラーを組み合わせる本製品。重量はかなり強烈で、負荷分散のためにはぜひサポートステイ等を用いたいところ。付属品としては同梱されていなかったので、実際にケースの中に収めるにあたっては別途用意したほうがいいと感じました。

ファンカバーは質実剛健なスタイルで、電飾も先端のワンポイントのみ。超ハイエンドモデルはほしいけど、光りまくるのはちょっとなあ……という硬派なゲーマーに、きっとぴったりだと思います。

  • 光るのは側面のエンブレム部だけです