やや旧聞になるが、3月29日にNVIDIAはGeForce RTX 3090 Tiの発売をアナウンスした。CESでの発表時点では1月末の出荷予定だったから、2カ月ほど遅れたことになる。構成はGeForce RTX 3090と同じGA102コアながら、有効SM数の増加(82→84)、動作周波数の向上(1395/1695MHz→1560/1860MHz)、メモリ速度の向上(19Gbps→21Gbps)など、「現時点でやれることは全部やりました」という感の強い、Ampere世代では間違いなくトップの性能である。NVIDIAによればGeForce RTX 3090比で9%の性能向上としているが、その分TGP(Total Graphics Power)も350W→450Wになっている、色々な意味で化け物である。既に秋葉原では発売が開始されており、まぁ30万円オーバーなのは昨今の状況を考えればまだ安い(?)のかもしれない。そんなGeForce RTX 3090 Tiであるが、やっと評価機をお借りできたので性能を簡単にお届けしたい。

評価機材

今回はZOTACから、GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holoを借用した(Photo01~12)。GPU-Zでの結果はこんな感じ(Photo13)。OC ModelということでGPU Clockが1560/1860MHz→1560/1890MHzになっている。なおFirmwareによれば、Power Limitは-78%~+10%(Photo14)ということで、最大ではGPU単体で495Wもの消費電力を想定する必要があるようだ。一方の温度リミットは90℃が上限となっている(Photo15)。

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    Photo01: パッケージはGeForce RTX 3090ベースのZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity OCと見分けがつきにくい(右下のロゴでそれと判る)が、重さが違う。

  • Photo02: トリプルファン構成。寸法は360mm×135mm×65mm、重量はなんと2078.5g(どちらも実測値)。堂々の2Kg超え。

  • Photo03: 裏面のカバーのデザインがちょっと独特。GPU真下が見える格好になっているのも違う。

  • Photo04: このアングルでも洒落にならない厚みが良く判るかと思う。

  • Photo05: 逆から見るとこんな感じ。電源コネクタが12VHPWR構成なのが判る。

  • Photo06: このアングルにすると、如何に巨大というか、厚みと高さがとんでもないか良く判る。これを装着できるケースはかなり限られそう。というか、もうブラケットが2Slot厚では全然間に合ってない。

  • Photo07: 逆方向から。ギリギリまでヒートシンクが迫っているのが判る。ところで造形は吸気口っぽいが、このアングルからも判るように実際にはここからの吸気は考えられていないようだ。

  • Photo08: 底面から。いかにヒートシンクが巨大で分厚いかが見て取れる。

  • Photo09: 上面から。12VHPWRコネクタが装着されているのが判る。ちゃんとSense Pinも用意されている。

  • Photo10: Photo03を180°回転してみた。右上のNVLinkコネクタが判る。それは良いのだが、このクラスのカードを複数枚、NVLink経由で接続できるようなマザーボードとケースはものすごく限られる気がする。

  • Photo11: 当然ながらマザーボードリテンションも付属する。

  • Photo12: 付属の電源ケーブル。ATX12Vの2×4pinコネクタ×3を12VHPWRに変換できる...のだが。

  • Photo13: Memory Clockはほぼ定格(1313MHz×16=21008MHz)。

  • Photo14: 500Wと考えると、2×4pin(150W)×3と、PCIeコネクタからの供給(75W)でぎりぎり何とか、という感じ。

  • Photo15: というか、何もしてない状態でGPU-Zを掛けていて既に83℃というのは結構ヤバい。なるほど巨大なヒートシンクとファンが必要な訳だ。

ところでこのZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holoに搭載されている12VHPWコネクタだが、これ厳密に言えば「なんちゃって」である。というのは、Photo15のコネクタは、実は16pinではなく12pinのコネクタだからだ。12VHPWコネクタは、電源供給用の2×6pinに加え、制御信号用の4pinコネクタが下に付属する(Photo16)。実はこの4pinコネクタが無くても使えるは使えるのだが、ATX 3.0 Revision 2.0の仕様によれば、4pinコネクタが無い場合には12VHPWRコネクタ経由で供給できる電力は最大150Wに制限されることになっている。にも拘わらず、実際にはおそらく450Wをこの12VHPWRコネクタ経由で供給されている筈で、そのあたりが「なんちゃって」という訳だ。もっともこれはZOTACの問題ではなく、少なからぬメーカーのGeForce RTX 3090 Ti搭載カードがそうなっている現状では、恐らくはNVIDIAのReferenceの作り方が間違っているのではないかと思う。現在は問題無いが、今後ATX 3.0 Revision 2.0仕様の電源が出て来た時に、色々と互換性問題が出てきそうなところがちょっと頭が痛い感じだ。

ちなみに比較対象用には、同じくZOTACからGAMING GeForce RTX 3090 Trinity OCをお借りした(Photo17~23)。

  • Photo17:先にPhoto01のキャプションでも書いたが、外箱パッケージは同じ。なのだけど、持った時の重みが結構違った。

  • Photo18: 写真で見るとそれほど大きさに差が感じられないが、実際には一回り小さい。寸法は325×125×58mm、重量は1756.2g(どちらも実測値)。厚みに関しては、バックプレートを除くと53mmでしかない。

  • Photo19: バックプレートは全面を覆うスタイル。GPUの真裏にもメタルカバーが掛けられている。

  • Photo20: 出力は同じくDisplayPort×3+HDMI×1。

  • Photo21: こちら側が吸気口風の造形なのは同じく。補助電源は素直に2×4コネクタが3つ並ぶ。

  • Photo22: わずかに隙間が空いていてヒートシンクがチラ見えするのがデザイン上のポイントだろうか?

  • Photo23: こうしてみると何とか3スロットで収まる感じ。ただ、だからといって2枚並べて装着しようとするとバックプレートが邪魔になる。

テスト環境は表1に示す通りだ。ドライバは、3月29日の発売開始に合わせて、GeForce RTX 3090 Tiにも対応したGeForce Driver 512.16 DCH WHQLがリリースされているので、これを利用している。

■表1
CPU Core i9-12900K
Motherboard ASUS Prime Z690-A
BIOS BIOS 0703
Memory Micron CMK32GX5M2A-4800C40×2
DDR5-4800 CL40
Video ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity OC
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holo
Driver GeForce Driver 512.16 DCH WHQL
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 11 Pro 日本語版 21H2 Build 22000.556

グラフ中の表記は

3090 :ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity OC
3090Ti:ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holo

となっている。また本文中の解像度表記は、いつものように

2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel

とさせていただいた。

◆3DMark v2.22.7336(グラフ1~3)

3DMark v2.22.7336
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ1

  • グラフ2

  • グラフ3

まずは判りやすいところで3DMarkのOverall(グラフ1)を見てみたい。NVIDIAの説明ではGeForce RTX 3090比で9%程度の向上という事だが、NightRaidでは2%弱、一方WildLife Extremeでは13.5%と結構シナリオ別のバラつきが大きい。ただ相加平均を取ると9.7%といったところで概ねNVIDIAの説明に嘘は無いと判る。

Graphics Testの結果(グラフ2)だと、全体的にもう少し差が大きくなる。一番差が少ないNightRaidで4%ほどになる(WildLifeはそもそもPhysics/CPU Testが無いので差は同じ13.5%)。平均では10.7%ほど向上する格好で、悪くない数字だ。

Physics/CPU Testに関しては、そもそもCPUは同じままで実際結果にも差が無いので割愛して、Combined Testの結果がグラフ3。解像度が2KどまりのFireStrikeでは相対的にCPUがオーバーヘッドになるのか、殆ど向上している感じが無いが、2.5KのFireStrike Extremeで11.8%、4KのFireStrike Ultraでは14.5%と解像度が上がるほど性能向上率が大きくなる辺りは、描画性能の地力が上がっている事を物語っていると思う。