◆消費電力(グラフ54~59)

最後に消費電力を。3DMark FireStrike Demo(グラフ54)、Borderlands 3 2K(グラフ55)、F1 2021 2K(グラフ56)、及び暁月のフィナーレ 2K(グラフ57)の4つについて、一連のベンチマーク完了までの消費電力変動を示した。それぞれのベンチマーク中の平均消費電力をまとめたのがグラフ58、そこから無負荷時との差を算出したのがグラフ59となる。

  • グラフ54

  • グラフ55

  • グラフ56

  • グラフ57

  • グラフ58

  • グラフ59

まず消費電力変動を見て判るのが、Radeon RX 6600 XTが明らかに高く、平均300W前後に達しており、一方その他の3つは概ね250W付近を推移している。Radeon RX 6500 XTは、GeForce GTX 1650 Superと大体同程度(多少上下はある)という感じ。この辺はグラフ58からも顕著である。消費電力差(グラフ59)を見ると、Radeon RX 6500 XTは一番低い、とは言いにくいものの、概して低めであり、GeForce GTX 1650 Superとほぼ同程度と見なして良いかと思う。

考察

駆け足で評価をお届けさせていただいた。で、筆者の結論であるが「微妙」である。いや、確かにNavi 2で、しかもTSMC N6を使った初のGPUである。価格も、これまでのRadeon RX 6000シリーズよりは段違いに安い。のだが、今回の結果で言えばGeForce GTX 1650 Superとほぼ同程度である。AMDの説明であった、「GeForce GTX 1650より高速」は確かに実現できているかもしれないが、Superと同程度というのは、なかなか食指が湧きにくい。これがもう少し性能が上がって、GeForce GTX 1660と同じ程度にすべてのベンチマークの性能が上がっていればまた話は変わるのだろうが。

1月17日付のAmazonにおけるGeForce GTX 1650 Superの最安値はASUSのTUF-GTX1650S-O4G-GAMINGでほぼ5万円。Superが付かないGeForce GTX 1650が3万円台後半からといったところ。なので、もしRadeon RX 6500 XTが4万円程度で入手できるなら、悪くない選択肢だと思う(まだ国内小売価格を筆者は知らされていない)。国内では1月21日から発売開始だそうなので、恐らくこの原稿が公開された翌日あたりに価格も明らかになるだろう。

個人的に惜しいと思う点はメモリの少なさとメモリ帯域、それと画面出力が2つなところだろうか。もしメモリバスを96bitにして、6GB Memoryにすれば確実にGeForce GTX 1660に並んだと思うし、それが5万円を切る価格で売り出されれば非常にお買い得感が高かったように思う。

もう一つ言えば、Navi 2ベースということでRA(Ray Accelerator:NVIDIAで言うところのRTcore)を搭載しては居るのだが、Radeon RX 6500 XTのDXRTの性能はオマケというか、本格的に使えるレベルのものではない。AMD的にはこれをGeForce GTXシリーズとの差別化要因の一つにしたいのだろうが、正直この程度の性能では使いどころはかなり限られるだろう。

そんなわけで後は価格次第という事になる。とはいえ、依然としてビデオカードの弾数は乏しい昨今だけに、これが大量に出てくるようであれば、悪い話ではない。GeForce GTX 1650はともかく1650 Superと比較すると性能的にはトントンといったところ。性能/消費電力比も大体同じであり、2Kをメインに使うべきという話も同じである。ただこれまではこの価格帯に「値段は安くても消費電力が多い」Radeon RX 500シリーズしかラインナップされていなかったのが、新たな選択肢が生まれたという意味では評価すべきだと思う。