大ヒットドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』のスピンオフ作品で、俳優の勝村政信が主演を務める『ドクターY~外科医・加地秀樹~』。第6弾となる2時間スペシャルがあす7日(20:00~)にテレビ朝日系列で放送される。最新作では、群れを好み、金を愛し、腹腔鏡のスキルと要領の良さだけを武器に突き進む外科医・加地に、“老いのビッグウェーブ”が容赦なく到来。帝都医科大学付属横浜分院で働く加地は、得意の腹腔鏡オペでもミスを連発し、離島にある分院の病院長ポスト打診という事実上の戦力外通告を突きつけられる……となかなかシビアなストーリー。

しかし現在58歳の勝村は、“老い”という避けては通れないテーマについて「やりがいを感じる」という。作品への愛情や今作のメインゲストである満島真之介との交流、自身の年の重ね方について話を聞いた。

  • 俳優の勝村政信 撮影:宮田浩史

    俳優の勝村政信 撮影:宮田浩史

――冒頭では加地先生が「ああいうのを老害って言うんですかね」と陰口を叩かれるシーンもあり、厳しい現実を見せつけられる展開です。勝村さんが脚本を読んだ感想を教えてください。

「老い」をテーマにしてくださるというのは、勇気の湧くこと。蓋をするわけにも、逃げるわけにもいかないですから。作品の中で堂々と戦わせてくれることにやりがいを感じます。

――「老い」を隠したくなるといったネガティブな感情はないのでしょうか。

僕はまるでないです。むしろ、年を取ったことによる体の変化を積極的に若い人たちに伝えていきたいと思っています。僕は食が細くなってきて、毎回お弁当を助監督の子に半分以上食べてもらっているのですが、今朝もお弁当に唐揚げが2つ入っていて「朝から揚げ物は厳しいです......」と、皆に「老い」のリアルが伝わるようアピールしていました(笑)。

――日頃から積極的に見せているからこそ、ドラマのテーマになったのは喜ばしいことなんですね。『ドクターX』シリーズは10年目を迎えます。勝村さんから見て、加地先生が変化した部分はありますか。

(大門)未知子(米倉涼子)さん以外は皆基本的にポンコツですが、キャラクターの芯をしっかり持ちながらそれぞれが成⻑してきました。加地先生も、成⻑しているけどキャラクターとしては変わらない。ただ、加地先生にしても海老名先生(遠藤憲一)にしても、なぜかどんどん貧乏になっているのは変わったところでしょうか(笑)。

  • 今作には内田有紀演じる城之内博美、遠藤憲一演じる海老名敬も出演(テレビ朝日提供)

――今作では、加地先生の患者として物語をかき回す六車航平役の満島真之介さんがメインゲストとして登場します。満島さんとはどのような関係ですか。

8年ほど前に共演した舞台が、密に関係性を作って取り組むようなカンパニーだったんです。満島くんとも仲良くなって、うちに来てご飯を食べたり、整骨院を紹介したり。顔の系統も含めて他人とは思えない親子のような関係です。

――気心知れた満島さんとの撮影はいかがでしたか。

すごくやりやすかったです。現場では僕はおばあちゃんで彼はおばちゃん。細かいことに目が届き、円滑に進むように気になることがあれば口に出します。撮影現場で何かあれば、僕たちはスタッフのように動きます。

  • 満島真之介は患者の六車航平役、武田玲奈は加地から六車へ乗り換える病院長秘書・江頭早苗役で出演(テレビ朝日提供)

――スタッフさんにとっては協力的で助かるのではないでしょうか。お2人は昔からそういったスタンスなのですか。

僕も満島くんも蜷川幸雄さんの影響が大きいと思います。蜷川さんは、スタッフさんが小道具を移動させると、「使うのはお前だろ。自分で移動させろ!」と役者に怒っていました。小道具は、演じる役者が普段から使っているように馴染んでいなければならない。だからスタッフ任せにはしないんです。蜷川さんの教えを受けた僕たちはおばちゃん化しています(笑)。