米AMDは21日(現地時間)、組み込み向けプロセッサ「R」シリーズの新モデル(開発コード名:Merlin Falcon)を発表した。医療機器やアミューズメントマシンといった高い性能が求められる組み込み機器用の製品で、APUを3モデル、GPUを統合しないCPUも2モデルラインナップする。

Merlin Falconの概要

コンシューマ向けAPUの"Carrizo"と同様に、CPUにExcavatorコア、GPUに第3世代GCNベースのRadeon GPU Coreに加えて、新たにサウスブリッジ機能を統合した。1チップのSoCとすることで前世代の"Bald Eagle"と比べて、システムにおける実装面積を30%削減できるという。

前世代製品"Bald Eagle"からの強化点

サウスブリッジも統合したSoCでシステムの実装面積を削減できるという

メモリはDDR4とDDR3をサポート。ECCメモリにも対応する。HSA(Heterogeneous Systems Architecture) 1.0に準拠し、CPUとGPUを共通のメモリ空間で扱う「hUMA」などの機能を備える。また、DirectX 12や4Kに対応したHEVC / H.265のデコード、マルチディスプレイにも対応する。

ターゲットとなる領域におけるアドバンテージ。ゲームなどのアミューズメントマシンでは4Kの画面出力やH.265でのデコード、マルチスクリーンなど、インフラ機器ではx86向けのControl Planeや電力当たりのパフォーマンス、医療機器ではFPGAとDSPで行っていた画像処理を1チップで置き換えられる点やHSAによる並列処理、ディスクリートGPUなしでのマルチディスプレイ対応などをアピールする

AMDが公開したベンチマークテストの結果によると、グラフィックス性能は、Bald Eagle世代のRX-427BB比で最大22%、Broadwell世代のIntel Core i7-5650U比で最大58%上回り、CPU性能はRX-427BB比で最大25%優れるとしている。

3Dmark 11によるベンチマークテスト。Bald Eagle比で22%、Broadwell(TDP15W)比で58%ほどパフォーマンスが上回るという

CoreMarkによるCPU性能の比較。Bald Eagle比で25%のパフォーマンス向上が得られるという。Broadwellとでは、TDPが35Wの場合で性能が上回るが、同じ15WではCore i7-5650UやCore i5-5350Uを下回る

各モデルの仕様は以下の通り。configured TDPに対応し、12W~35Wまで1Wずつ調整することができる。

製品ラインナップと仕様