同棲中の家に「彼ママが泊まりにきた理由」
「彼ママ」……それは幸せな結婚をつかむために、必ず攻略しなければいけない壁。いわばラスボス。知られざる彼ママの生態や攻略法を知って、彼とのゴールインを目指そう! 彼氏大好き乙女・ぴぴ子(27歳)が、毎回ひとりゲストを招き、彼ママとの間に起きた珍事件を教えてもらいます。
登場人物
ぴぴ子(27歳):付き合って3カ月目の彼氏が盲目的に好き。いつか結婚できると信じてプロポーズを待ち続けている。素直で愛嬌があるが、たまに失言をしてしまう一面も。
今回のゲスト・すなお(26歳):ぴぴ子の大学時代の後輩。謙虚すぎる性格がたまにキズ。「彼ママ事件簿」第5話で、彼ママとの波乱万丈な年末年始エピソードを披露。
ぴぴ子:マイナビウーマン読者のみなさま、こんにちは、ぴぴ子です……。見ての通り今日のぴぴ子は落ち込んでおります。というのも、「平成駆け込み婚」にも「新元号婚」にも乗れなかったからです。令和の間には彼にプロポーズされたいなぁ。さて、今回はどんな彼ママが登場するのでしょうか。
すなお:ぴぴ子さん、元気出してください。ゲホゲホ、ゴホッ。
ぴぴ子:すなおちゃん!? ぴぴ子以上にだいぶ弱ってるけど大丈夫?
すなお:かろうじて生きてます……。
ぴぴ子:いったい誰がこんな目に……はっ、まさか彼ママ!? すなおちゃんの彼ママといえば、連休中をねらってすなおちゃんと彼の同棲中の家に泊まりにくるモンスター(※第5話参照)だよね? まさか、ゴールデンウィーク中に奇襲を受けたの?
すなお:そのまさかです(泣)。
ぴぴ子:いやあああああ! 悪夢再び。
すなお:しかも今回は、前回を超える9泊10日の宿泊でした。
ぴぴ子:相変わらず長すぎる! 彼はなんて?
すなお:「タダでおいしいごはんが食べられるから別にいいじゃん」って。
ぴぴ子:ズコーッ! またそれかよ。
すなお:でも、彼ママの料理って本当においしいんですよね。だから花嫁修業するいいチャンスだと思って、彼ママの滞在中に料理を習おうとしたんですけど……。
ぴぴ子:おお! 「おふくろの味」をマスターして彼ママを攻略する作戦ね。
すなお:そのはずだったんですが、私ほんとに料理が苦手で。お米を洗剤で洗ったり、“隠し包丁”の意味がわからなくて本当に包丁を隠したりして、彼ママにたくさんダメ出しされちゃったんです。
ぴぴ子:すなおちゃん……それはあんたが悪い。
すなお:えっ⁉
ぴぴ子:それで、彼ママによる花嫁修業はどうなったの?
すなお:ゴールデンウィーク最終日は「卒業試験」で、課題料理のボルシチを作ることになりました。
ぴぴ子:そんな最終日切なすぎる! って、なんでロシアの家庭料理なの?
すなお:あれ、言ってませんでしたっけ? 彼ママは日本語がとても上手なロシア人なんですよ。普段は彼パパと2人でモスクワに暮らしています。
ぴぴ子:ロシア人だったの!? 戦闘力が未知数……。
すなお:ほんと、彼ママに怯えて過ごした10日間でしたよ。寝る前に「おやすみなさい」って自室に戻ったら、彼ママがドアの向こうから聞こえるように「Спокойной ночиも言えないなんて、失礼な子!」って言われるし。
ぴぴ子:Сп……え?
すなお:ロシア語で「おやすみなさい」らしいです。
ぴぴ子:言えないに決まってるわ!!
すなお:ほかにも、ドアの向こうで彼に私の愚痴を言っているのが聞こえたんですけど、ロシア語だったので意味はわかりませんでした。
ぴぴ子:でも“悪口”ってことだけはわかるから、女って不思議☆ そういえば、最終課題のボルシチはうまく作れたの?
すなお:それが、最終試験前夜、急に彼ママと彼が大声でケンカをはじめたんです。しかもまたヘビメタを大音量にかけながら。コンポのリモコンをめぐってケンカになったらしく、さすがに私もストレスがピークに達して38度の熱が出ちゃって。
ぴぴ子:すなおちゃん、かわいそう……。発熱したら試験どころじゃないよね。
すなお:そうですね。残念ながら最終課題は次回に持ち越しに……。
ぴぴ子:次回って、また来るつもりなの!? 彼ママおそるべし。
すなお:私たちの家に9泊10日したのも、試験最終日前夜に彼とケンカをはじめたのも、すべて私を陥れるための罠だったのかもしれません。
ぴぴ子:散々なGWだったんだね、お疲れさま……。って、すなおちゃん何してるの? 大きいキャリーバッグなんか準備して。
すなお:これから彼ママ宅に奇襲するんです。私がいつもどんな気持ちなのか、思い知らせてやりますよ。
ぴぴ子:ちょ、ちょっと落ち着いてすなおちゃん。
すなお:もうモスクワ行きのチケットも買ってあるんです。止めないで!
ぴぴ子:すなおちゃーん!!
*
その後、ロシアに向かう機内の中で落ち着きを取り戻したすなおちゃん。奇襲はせず、きちんと彼ママに連絡を入れてからお家を訪問。ロシアまで来たすなおちゃんのガッツに感動した彼ママは、彼女を「家族」として温かく迎えてくれたそうな。めでたしめでたし。
(文:パンジー薫、イラスト:まめ)
※登場人物の設定は一部フィクションです
※この記事は2019年05月26日に公開されたものです