共感力とは? 高い人の特徴とビジネスでも役立つ共感力の高め方

共感力は、ビジネスでもプライベートでも重要なスキル。今回は、共感力が高い人の特徴や共感力が高いことのメリット、ちょうどいい共感力の身に付け方を、心理カウンセラーの桑野量さんが解説します。

相手の気持ちに寄り添える「共感力」は、他者との関わり合いの中で生きていくために大切な要素です。

誰でも自分の気持ちを分かって欲しいという思いがありますからね。共感力が高いことは、それだけで人から愛される魅力にもなります。また、共感力はビジネスでも武器になるはず。

一方、共感力が高すぎることで、周りの気持ちや反応に振り回されて疲弊してしまうこともあるでしょう。

私たちが他者との関わりの中で心地良く生きていくためには、この共感力をどのように扱っていけばいいのでしょうか?

心理学の側面から共感力を上手に扱っていく生き方を見ていきましょう!

共感力とは? 共感力の意味

辞書で「共感」を引くと以下のように説明されています。

きょう‐かん【共感】
[名](スル)他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。「共感を覚える」「共感を呼ぶ」「彼の主張に共感する」

(小学館『デジタル大辞泉』)

つまり共感力とは、相手の気持ちや意見を察して寄り添うことが出来る力です。

相手の気持ちや意見が分かることは、コミュニケーションにおいてとても重要な要素。

相手がうまく言葉に表現できない気持ちを分かってあげることで安心感を与えられたり、相手の立場になって考えることで本当に必要なものを提案することが出来たり、円滑な人間関係を構築するためにとても役に立ちます。

言い換えると「エンパシー」

共感力と同じように注目を集めている言葉に、エンパシーがあります。共感力は、この言葉に言いかえることもできるでしょう。

注目されている理由は、同義語であるシンパシーとのニュアンスの違いです(シンパシーというカタカナ語に触れたことがある人はきっと多いですよね)。

と言うのも、シンパシーは同情に近いニュアンス。例えば、転んでいる人を見た時に「かわいそうだな」と思う気持ちです。一方のエンパシーは相手を理解する力です。転んでいる人を見た時に自分も「痛い」と感じてあげられる気持ち、と説明すればイメージがわくでしょうか。

共感力は、後者のエンパシーのニュアンスに近いものだと私は考えます。

共感力が高い人の特徴とは?

共感力の高さは、ポジティブにもネガティブにも働く複数の側面があります。

そんな共感力が高い人には、どのような特徴があるのでしょうか? さっそく見ていきましょう。

(1)テレビや映画を観て泣くことが多い

テレビや映画の感動シーンで、登場人物の気持ちに感情移入して涙を流すことが多いかもしれません。

敏感な人の場合は、さっきまで怒ったり笑ったりしていたのに、テレビから流れてくる感動シーンに意識を向けると急に涙してしまうこともあります。

それがフィクションだと分かっていても感情移入してしまうのは、共感力の高さゆえです。

(2)震災や事故などのニュースを見ることが出来ない

震災や事故などでつらい経験をしている人たちの気持ちに共感しすぎてしまうケースです。ニュースを見ていると自分の気持ちまで影響され、しんどくなってしまいます。

さまざまな情報が流れてくるとたくさん心が反応して疲れてしまうのです。当事者の気持ちに自分を重ね過ぎてしまう結果でしょう。

(3)人に好かれやすい

相手の気持ちを理解できるので、人に好かれることが多いです。自分ではそれが当たり前の感覚だと思っているので、なぜか周りの人に慕われているように思うかもしれません。

気持ちを深く理解できるので、周囲から愚痴や悩みを聞かされることも多いでしょう。

(4)相手のうそを見抜くことができる

他人の気持ちに共感できるので、相手が表面的にコミュニケーションしている内容と実際に抱いている感情や気持ちがズレていることに気付きやすいと言えます。

そのズレを違和感として察知し、相手がうそをついていることに対して敏感に反応できる部分もあります。

(5)人の感情に振り回される

相手の気持ちに共感しすぎて、イライラや不安などネガティブな感情の影響を受けてしまうことがあります。

自分の中に理由があるわけでもないのに、落ち込むことがあったり、ひどく疲れてしまったりするでしょう。

▶次のページでは、共感力診断を公開! 自分の共感力をチェックしてみましょう。

高いor低い? あなたの共感力診断

共感力の高さは人と比べることが出来ないので、自分の共感力が高いのかor低いのか、判断するのは難しいかもしれません。

あなたの共感力を確かめるためにいくつか項目を用意したので、当てはまるものにチェックを入れてみてください。

(1) 話の聞き役になることが多い
(2) 相手への関心が高い
(3) 他人の細かい表情も気になってしまう
(4) 人の意見に合わせてしまう
(5) 自分の気持ちが分からなくなることが多い
(6) 周りの人が何を考えているか気になってしまう
(7) 感情的になってしまうことがある
(8) 理由もないのに気分の浮き沈みが激しい
(9) 繊細で1つ1つの言葉を気にしてしまう
(10)誰とでも卒なく会話を続けることが出来る

上のチェック項目に当てはまる個数が

・0〜3個の人は共感力が「低め」
・4〜7個の人は共感力が「普通」
・8〜10個の方は共感力が「高い」

と言っていいでしょう。

0~3個の「共感力が低い人」

0〜3個の人は、周りから鈍感と言われたり、「人の話をちゃんと聞いてないでしょう!」と指摘されたりすることがあるかもしれません。

自分ではそのつもりがないのに、独りよがりな印象を与えてしまうことも。

もし誤解が生まれてしまっているようなら、意識的に相手の気持ちに寄り添うようにしましょう。

4~7個の「共感力が普通の人」

4〜7個の人は、一般的な範囲の共感力と言っていいでしょう。

「普通」は悪いことではなく、上手に相手の感情と境界線を引けているということです。状況に応じて自分の共感力をうまく使い分けているのでしょう。

8~10個の「共感力が高い人」

8〜10個の人は、自分では気付いていない場面でも相手の気持ちに共感してしまっている可能性があります。

相手の気持ちに共感できるのは素晴らしいことですが、常にその力を100%使っていたら疲れてしまいます。ある程度自分でコントロールする習慣を身に付けるといいでしょう。

▶次のページでは、共感力が高いことのメリットを紹介します。

共感力が高いことのメリット

ちょうどいい共感力は、あなたにさまざまなメリットをもたらします。具体的にどんなポイントがあるのでしょうか。

(1)組織のハブになれる

気持ちを察することができる共感力のある人。「この人はこう考えていて、あの人はこんな意見を持っている」と、組織に属する人の特性と相関図を把握するのが得意です。

空気を読めるタイプで、人と人をつなぐハブ役になります。つまり、貴重なバランサー。組織における重要人物となるでしょう。

(2)営業の仕事に向いている

共感力が高い人は、営業の仕事に向いている人が多いです。

モノやサービスを売る営業の仕事は、一見口のうまさが物を言うように思えますが、“傾聴力”が重要です。相手が何に困って、何を求めているかを傾聴し、察することで、適格な提案ができるのです。

共感力の高い人は、相手の話を少し聞くだけで、その裏にある意図や本心を見抜くもの。そんな察しの良さに対し、クライアントは痒いところに手が届く心地良さを覚えるはずです。

(3)モテる

共感できる人は、モテます。なぜなら、自分の話を聞いてくれて、気持ちに寄り添ってくれる存在は何よりも心地良いから。

また、性別の垣根を越え、相手の気持ちを察する力を持っていることもポイントです。

共感力のある人は、気づくと誰かから思いを寄せられているかもしれません。

▶次のページでは、共感力を高める方法について解説します。

共感力を鍛える・高める方法

共感力が全くないのも嫌かもしれませんが、共感力がありすぎて周りの感情に影響され、振り回されるのも嫌ですよね。

社会で生きていくために「ちょうどいい共感力」を身に着けるコツを紹介していきます。

共感力が低いと思う人は上げていくことを、共感力が高すぎると思う人はコントロールすることを目指してくださいね。

(1)本や映画などにたくさん触れる

まずは共感力の低さに悩んでいる人におすすめの方法です。

感情を感じることも、筋肉と一緒でトレーニングによって慣れていきます。

感動の名作などにたくさん触れていくことで、次第に心は感じ取る力を身に付けていきます。初めのうちは心が動かされることはないかもしれませんが、日課にしてみましょう。

(2)しっかりと休む

こちらも、どちらかと言うと共感力の低さに悩んでいる人向けの対処法です。

心も体も疲れている状態では、感情や気持ちを読み取る力も鈍ってしまいます。余裕がないと、相手の気持ちを理解するのは難しいですからね。

共感力を上げていくためには、しっかりと心と体に休息を与え、余裕を持てるようにしましょう!

心地良い共感力を身に付けよう

共感力は、「相手がどのように感じているか?」を意識してコミュニケーションするだけでも少しずつ身に付いていくもの。自分には共感力がないと思って、相手の気持ちを察することを諦めてしまったら、身に付くチャンスを逃してしまいます。

また、高すぎる共感力は、自分と相手の境界線を引くことでコントロール出来るようになっていきます。

相手の気持ちを理解するために共感力はありますが、それをうまく扱えるようになって自分にとっても心地良い人間関係を築いていきましょう!

(桑野量)

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参考記事はこちら▼

共感力が高く、他人の感情の影響を受けやすい人をエンパスと言います。診断でチェックしてみましょう。

「恥ずかしくて見ていられない」という気持ちは共感性羞恥かも? 診断でチェックしてみましょう。

※画像はイメージです

※この記事は2021年03月31日に公開されたものです

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