HSPに向いている仕事は何？適職や仕事をする際の心得を紹介

感受性が高い特性を持つHSP。仕事をするうえでストレスを感じる場面が多く、長く続けることに困難を感じている人も少なくありません。

HSPはあくまでも病気ではなく特性ですが、自分に合わない仕事を無理をして続けていると、体調に影響が出てしまう可能性があります。

この記事では、HSPに向いている仕事の特徴と、向いていない仕事の特徴を紹介します。さらにHSPが無理なく仕事を続けるために踏まえておきたい心得や、仕事探しのコツも取り上げているので、仕事で悩んでいるHSPの方は参考にしてください。

HSPとは？周りや環境から影響を受けやすい気質

そもそもHSPとは「Highly Sensitive Person」の略で、感受性が高いという特性を持つ人のことを指します。この特性は自身の強みにつながる一方で、生きづらさの原因にもなってしまいます。まずは自分がHSPかどうか確認できるセルフチェックの項目をご紹介するので、確認してみてください。

あなたはHSP？まずはセルフチェックしてみよう

自身がHSPかどうか判断に迷っている方もいるでしょう。ここでは18個のセルフチェック項目をご紹介します。

• 芸術作品に触れると、興奮したり胸がいっぱいになったりすることが多い
• 新たな可能性・選択肢に気が付くのが得意だ
• よく新しいアイディアを思いつく
• 他の人と比べ、痛みを感じやすい
• 些細なことに打ちのめされてしまうことがある
• 他の人が気にならないような音も、騒音に感じる
• 驚きやすい
• 他の人が嘘をついているとすぐに気が付く
• 罪悪感を抱きやすい
• 仕事や勉強をしている時に他の人から監視されることがストレスだ
• 一人で過ごす時間がないことは大きな苦痛だ
• 緊迫した空気の場面にいることがとても苦手だ
• 他者の痛みが自分の痛みのように感じることがある
• マルチタスクが苦手だ
• 涙もろい
• 休憩が頻繁に必要だ
• 新しい体験をするときは、事前準備を怠らない
• サプライズをされることが好きではない

参考：イルセ・サン著／枇谷玲子訳「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」

多く当てはまれば当てはまるほど、HSPの傾向が強いと言えるでしょう。当てはまる項目が少なくても、その程度が強ければHSPの傾向にある可能性があります。

HSPが向いている仕事6つの特徴

HSPの「感受性が高い」という特性は、仕事をするうえで大きな強みとなります。ここでは、HSPに向いている仕事の特徴を6つ解説します。

人の心や体をケアする仕事

HSPのなかでも特に多くみられる特性として、他者の変化や心情に敏感という特徴が挙げられます。

医療機関やエステサロンのスタッフなど、人の心や身体と向き合いケアする仕事は、この強みを生かせる仕事と言えるでしょう。

またHSPは患者や顧客などと深いつながりを築き、相手の求めるサポートを提供することにも長けています。さらに細やかな気配りが高く評価されやすい点も、これらの仕事がHSPに向いている理由の一つです。

正確さが必要な仕事

HSPはそうでない人に比べ、細部に注意を払うことができ、丁寧さや正確さを求められる業務を期待通りに遂行できる傾向にあります。また高い観察力を持ち合わせるHSPも多く、このような特性はわずかな異常や変化も発見することができるという強みです。

そのため、

• 検品
• ライン作業
• 数字やデータなどを扱う仕事

など、正確さが必要な仕事はHSPに向いていると言えるでしょう。

動物や自然に関わる仕事

HSPは、動物や植物など人以外と関わる仕事も向いていると言われています。これはHSPによく見られる「変化に気付けるという特性」が、自分で声をあげられない動植物と関わる仕事とマッチしているためと考えられます。

たとえば、

• ペット関連業界
• 動物園・植物園といった施設のスタッフ
• 農業・林業

などがHSPに向いているといえます。

クリエイティブな仕事

HSPは、芸術や創作といった面で優れた才能を持っている人が少なくありません。

そのため、

• 作家
• デザイナー
• コピーライター

といったクリエイティブな仕事が向いていると言えます。これらの仕事は高い専門性を必要とされるためハードルが高く思えるかもしれません。その場合は副業として少しずつ始めるのがおすすめです。

これらのクリエイティブな仕事は、静かな環境で作業に没頭できることも多く、周囲の環境に過敏に反応してしまうHSPの人に適しています。

関連記事「クリエイティブ職に特化したおすすめ転職エージェント17選｜転職成功のコツも【専門家に取材あり】」

他者との交流が少ない仕事

HSPは「感受性が敏感」という特性から、他者と関わることが苦手な人が多い傾向にあります。他者と関わることにストレスを感じるのであれば、他者との交流が少ない仕事を選ぶのも一つの手段です。

人と関わる機会がまったくない仕事は少ないですが、「不特定多数の人と関わらない」という条件に合致する仕事なら多くあります。そのような仕事を選択することでストレス要因が減り、さらには自らの能力を最大限に発揮できるでしょう。

柔軟な働き方が許される環境がある仕事

HSPが長く仕事を続けるうえでは、柔軟な働き方が可能な仕事を選ぶことも大切です。

たとえば、リモートワークやフレックスタイム制を導入する企業、休暇を取りやすい職場やフリーランスという働き方がこれにあたります。

一方、自分が疲れを感じたタイミングで休みづらい環境で働き続けると、体調不良やうつ病などにつながりかねません。

人と関わらない仕事をまとめたこちらの記事もおすすめです。

関連記事「【人と関わらない仕事11選】正社員・高収入な在宅ワークの具体例やメリデメを解説」

HSPが向いていない仕事4つの特徴

一方で、HSPには向いていない仕事もあります。ここでは、HSPが向いていない仕事の特徴を4つ紹介します。

ただし以下の特徴に当てはまる仕事でも、適切なサポートやストレス管理によって、大きな負担を抱えずにできる可能性はあります。

興味のある仕事が向いていない仕事の特徴に当てはまっていたとしても、挑戦を諦める必要はありません。あくまでも参考程度に確認しておくと良いでしょう。

ノルマや売上目標が厳しい仕事

ノルマや売上目標が厳しい仕事は、業務を自分のペースで進めることができません。

そのためHSPではない人にとっては適度なプレッシャーでも、HSPにとっては体調不良につながる大きなプレッシャーとなってしまうでしょう。また、ノルマや売り上げ目標を達成するためには同僚が競争相手になる場合もあります。

競い合うような環境は、HSPにとって大きなストレスとなりやすいため、向いている仕事とは言えないでしょう。

ノルマや売上目標が厳しい仕事というと、営業職が挙げられます。ただし営業職にも様々な業務形態があり、既存顧客を相手にする「ルート営業」など、ノルマがあまり厳しくない形態もあります。

そのため営業職だからといってすぐに候補から外すのではなく、実際の業務内容に着目することも大切です。

他者との関わりが多い仕事

他者との関わりは、HSPがストレスを感じる原因のなかでも特に大きな原因の一つです。とくに不特定多数の人と関わったり、長時間顧客対応したりする必要がある仕事は、ストレスを引き起こす可能性が高いと考えられます。

• 窓口対応
• 販売業
• カスタマーサポート
• コールセンター
• 営業職

といった仕事は他者との関わりが多く、HSPには向いていないと言えます。

ただし、こちらも実際に仕事を探す際は業種だけでなく、実際の業務で他者との関わりがどの程度あるのか、また対面なのかどうかなどの点に着目することが大切です。

スピードを求められる仕事

HSPは正確さや丁寧さが求められる仕事が得意な一方、スピードを求められる仕事では能力を発揮しづらい傾向にあります。これはHSPはそうでない人に比べ、情報を処理する際に情報をより吟味するため、処理に時間を要することが理由です。

さらにスピーディーな意思決定や行動が求められる環境は、HSPにとって大きなプレッシャーとなり、ストレスや体調不良につながりかねません。

そのため、

• 飲食店
• 救急医療の現場
• 金融機関のトレード

などのスピードが求められる業種はHSPには向いていないと言えます。

臨機応変な対応を求められる仕事

臨機応変な対応を求められる仕事も、HSPには向いていない傾向にあります。HSPは予測不能な突発的状況への対応が得意でないことが多く、このような環境下では本来の力を発揮しづらいでしょう。

また臨機応変な対応が必要な仕事は、マルチタスクが求められることも少なくありません。マルチタスクは思考が分散してしまいやすく、苦手意識をもつ人が多いでしょう。

臨機応変な対応が必要な仕事として、

• 保安関連
• 教員
• ITサポートエンジニア
• イベントプランナー

などが挙げられます。

HSPに向いている・向いていない職業一覧

ここまで、HSPに向いている仕事と向いていない仕事の特徴を解説してきました。続いて、これらの特徴に当てはまる具体的な職業をご紹介します。

HSPに向いている職業

HSPに向いている職業は次の通りです。

• セラピスト
• カウンセラー
• 理学療法士
• 作業療法士
• 柔道整復師
• 鍼灸師
• 心理士
• 介護福祉士
• 看護師
• エステティシャン
• 工場のライン作業
• 検査、検品、機械整備
• バスやタクシーの運転手
• 事務
• 経理
• データ入力
• 研究員、研究助手
• システムエンジニア
• インフラエンジニア
• プログラマー
• 会計士
• 税理士
• 行政職員
• 農業
• 林業
• 造園士、ガーデンデザイナー
• 花屋、フラワーデザイナー
• ペットトリマー
• ペットトレーナー
• ペットシッター
• 動物園・水族館・植物園のスタッフ
• イラストレーター、画家
• ハンドメイド作家
• 小説家、絵本作家
• コピーライター
• ゲームクリエイター
• 各種デザイナー
• 芸術家
• 建築家
• 職人
• 家事代行
• 倉庫作業
• 新聞配達
• 清掃員
• 図書館司書
• 学芸員
• 警備員
• ドライバー
• 重機オペレーター
• 工場作業員
• WEBライター
• 在宅秘書
• カスタマーサポート
• 在宅事務
• ライター、校正、校閲
• 動画編集

HSPに向いていない職業

続いて、HSPに向いていない職業は次の通りです。

• 不動産
• 保険関連
• 金融機関
• 営業職
• コールセンター
• カスタマーサポート
• 窓口・受付対応
• 販売業
• 飲食店（厨房・ホール）
• 教員
• 救急医療関連業務
• マスメディア

なおここでは一般的な職種を列挙しますが、同じ職種であっても業務内容や勤務スタイルはさまざまです。また、HSPは病気や障害ではなく特性であり程度や強み・弱みは人によって異なります。

そのため仕事を探す場合は、ここで紹介する一覧は参考程度にし、実際の業務内容や勤務環境などに着目することをおすすめします。

HSPの人が向いている仕事を探すコツ

ここまで、HSPに向いている職業、向いていない職業を一覧でご紹介しました。しかし、HSPと一口に言っても向いている仕事は人によって異なります。

そこで、自分にとって向いている仕事を探すためのコツを3つ解説します。

• 自己の強みや弱みを理解し自分に合った働き方や環境を知る
• 希望条件を洗い出してから仕事を探す
• 第三者に相談する

それぞれのコツを見ていきましょう。

自己の強みや弱みを理解し自分に合った働き方や環境を知る

先述のとおり、HSPは個人の特性の一つにすぎず、強みや弱みは人それぞれです。

そのためまずは自己分析をして、自分の強みや弱みを理解しましょう。とくにHSPは他者からの評価に敏感という特性などに起因し、自己肯定感が高くない人も多いようです。

そのため自分の強みを知らないケースも多く、仕事探しの際に幅を狭めてしまいます。ぜひ自己分析には時間をかけて取り組みましょう。

希望条件を洗い出してから仕事を探す

仕事を探す段階になったら、希望条件を整理してみましょう。

• 自宅からの通勤時間
• 勤務形態
• 職場環境

などがポイントとなります。

とくに職場環境に関しては、どのような環境ならストレスを感じずに仕事ができるか、しっかりと吟味することが長く続けられる仕事を見つける鍵となります。

不特定多数の人が出入りする環境や、騒音が多い環境は、多くのHSPにとって向いていない環境と言えます。また、上司や同僚など一緒に働くことになる人々が、HSPに理解を示してくれるかどうかも大切です。

第三者に相談する

仕事を探すにあたって、異なる視点を持つ第三者に相談することは大きな助けとなります。自分が気付いていない強みを教えてくれたり、考えを整理したりといった効果があります。

また自分が経験のしたことがない仕事については、どうしても固定概念を抱きがちですが、他者に相談すると意外な事実を発見できるかもしれません。

相談相手は、友人や家族でも構いません。また、転職に関して専門的なアドバイスがほしければ転職エージェントのアドバイザーもおすすめです。アドバイザーは面談を通して、あなたの強みや適した仕事を教えてくれます。

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HSPが仕事をする際の心得

HSPが無理なく仕事を続けるために、意識すると良い心得がいくつかあります。これらを踏まえることで、仕事を快適に続けられるでしょう。

他人と比べない

HSPは他人との比較を多くする傾向にあります。ときに他人と比較することは大切ですが、HSPにとっては落ち込んだり、自信がなくなったりすることにつながりがちです。

そのため他人と比べる癖をなくすのは、HSPが仕事を長く続けるうえで大切なポイントです。まずは、他人と自分は異なる人間であり、性格や得意・不得意は異なって当たり前であるという認識を持ちましょう。

「はじめから完璧に仕上げなきゃ」と思わない

HSPには、完璧主義の人が多いとされています。これは、他人や自分の感情に敏感なことや、自己肯定感が高くないことが原因です。この完璧主義は仕事をするうえで大きな強みになりますが、行き過ぎてしまうと自分が苦しむこととなってしまいます。

業種にもよりますが、仕事上では最初から完璧が求められていないこともあります。まずは70％程度の完成度を目指し、そこからブラッシュアップしていくと良いでしょう。

常に客観的な見方をもって仕事をする

意識して自分を客観的に見つめることも、仕事を長く続けるうえでは大切です。

たとえば仕事上でトラブルが発生したとき、非常に重大なように感じたとしても、客観的に見れば軽微なトラブルであるケースもあるでしょう。

なにか悩んでしまうシーンに直面した時、一歩引いて客観的に見てみる癖をつけることをおすすめします。

プライベートを充実させる

HSPは、ストレスがたまりやすい傾向にあります。

ここまで紹介した仕事上でストレスを貯めない工夫に加えて、ストレスを発散する習慣を作るのもおすすめです。

プライベートが充実していないと、オンオフの境界線が曖昧になり、ストレス発散が難しい状況になってしまいます。プライベートの時間は仕事のことを考えず、趣味やリフレッシュなどで充実させるようにしてみましょう。

無理に続けない

ここまで仕事を長く続けるための心得を紹介しました。

しかし、どうしても自分に合わない仕事というのはあるものです。HSPがより充実した毎日を過ごすために、つらい仕事は無理に続ける必要はありません。

一人で抱え込まずに、友人やご家族、また転職エージェントなどに相談することで、環境を変えるのもおすすめです。

関連記事「30代で「仕事辞めたい、疲れた」と感じたら。後悔しないための判断基準を専門家が解説【実際に会社を辞めた人の声も紹介】」

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まとめ

HSPが自分に向いていない仕事をしていると、体調不良を引き起こすほどのストレスを感じてしまうこともあります。一方でHSPの特性は仕事をするうえで強みにもなります。

そのため自分の特性をよく分析し、向いている仕事を見つけ出すことが大切です。また記事で紹介した通り、無理なく仕事を続けるためには抑えておきたい考え方もあります。

いまの仕事に不満を感じているHSPは、転職も視野に入れるのも一つの方法です。ぜひこの記事を参考にして、自分らしく働ける仕事を見つけてみてください。

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