2022年6月時点で、新型コロナが流行してから2年以上経ち、感染予防の生活が当たり前になっています。
流行し始めたタイミングではさまざまな企業の業績が低下したため、「いま転職活動をしても採用する企業はないのではないか」と考えて、なかなか一歩を踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際のところコロナ禍において転職市場に負の影響だけが出ているかというと、そうではありません。
十分に情報収集をして転職活動をすれば、希望するキャリアを実現することは十分に可能です。そこで本記事では、コロナ禍での転職市場動向や、転職の成功率を高める方法を紹介していきます。
ぜひ参考にして、理想のキャリアを実現する第一歩にしてください。
コロナで転職市場はどのように変わった?
新型コロナが話題になりだした2019年12月から2022年6月時点までで総務省が発表している労働力調査を見ると、就業者数・就業率・完全失業者・完全失業率は次のように推移しています。
就業者 | 就業率 | 完全失業者 | 完全失業率 | |
2019年12月 | 6737万人 | 60.8% | 145万人 | 2.2% |
2020年1月 | 6687万人 | 60.3% | 159万人 | 2.4% |
2020年2月 | 6691万人 | 60.4% | 159万人 | 2.4% |
2020年3月 | 6700万人 | 60.4% | 176万人 | 2.5% |
2020年4月 | 6628万人 | 59.8% | 189万人 | 2.6% |
2020年5月 | 6656万人 | 60.1% | 198万人 | 2.9% |
2020年6月 | 6670万人 | 60.2% | 195万人 | 2.8% |
2020年7月 | 6655万人 | 60.0% | 197万人 | 2.9% |
2020年8月 | 6676万人 | 60.3% | 206万人 | 3.0% |
2020年9月 | 6689万人 | 60.3% | 210万人 | 3.0% |
2020年10月 | 6694万人 | 60.4% | 215万人 | 3.1% |
2020年11月 | 6707万人 | 60.6% | 195万人 | 2.9% |
2020年12月 | 6666万人 | 60.3% | 194万人 | 2.9% |
2021年1月 | 6637万人 | 60.0% | 197万人 | 2.9% |
2021年2月 | 6646万人 | 60.1% | 194万人 | 2.9% |
2021年3月 | 6649万人 | 60.2% | 188万人 | 2.6% |
2021年4月 | 6657万人 | 60.3% | 209万人 | 2.8% |
2021年5月 | 6667万人 | 60.3% | 211万人 | 3.0% |
2021年6月 | 6692万人 | 60.6% | 206万人 | 2.9% |
2021年7月 | 6711万人 | 60.8% | 191万人 | 2.8% |
2021年8月 | 6693万人 | 60.6% | 193万人 | 2.8% |
2021年9月 | 6679万人 | 60.5% | 192万人 | 2.8% |
2021年10月 | 6659万人 | 60.4% | 183万人 | 2.7% |
2021年11月 | 6650万人 | 60.3% | 182万人 | 2.8% |
2021年12月 | 6659万人 | 60.4% | 171万人 | 2.7% |
2022年1月 | 6646万人 | 60.1% | 185万人 | 2.8% |
2022年2月 | 6658万人 | 60.2% | 180万人 | 2.7% |
2022年3月 | 6684万人 | 60.5% | 180万人 | 2.6% |
2022年4月 | 6727万人 | 60.9% | 188万人 | 2.5% |
“参考:総務省統計局「労働力調査の概要,結果等」”
2020年5月頃から経済活動の縮小で高まっていた完全失業率は、2021年の半ばより改善の傾向がみられています。一時期は新卒採用をゼロにする企業もあった中、2022年4月には完全失業者数が前年同月比で10ヵ月連続減少となっています。
また2022年に入ってからは、新型コロナの感染者数は2月の中旬をピークに6月まで減少傾向です。
企業が採用活動を再開・強化する動きも見られ、2021年よりは転職活動をして採用される可能性は高まっています。
コロナ禍での転職はやはり厳しいの?
経済を全体的にみると、先行きが不透明な状況は当分続くことが予想されます。
そのため、転職市場全体としては、採用の枠が転職希望者よりも少ない「買い手市場」になり、難易度が上がっていると言えます。
もちろん採用活動自体は行われていますが、全くの未経験の人よりも、入社して早期に成果を出せる即戦力が求められる傾向にあります。リモートワークによる人材育成のしにくさも、即戦力が求められる要因の1つです。
ただし、一部の業界ではコロナ禍で、逆に世間からのニーズが高まり、採用が活発になっているケースもあります。コロナ禍でニーズが高まった業界は以下が挙げられます。
- 医療・看護業界:新型コロナにより人手不足が加速
- 健康に関する業界:新型コロナによる健康の不安でニーズの高まり
- IT業界:テレワークの推奨で、関連システムの開発や機器・サービスの販売が伸びている
- 物流業界:通販やフリマの増加により、トラックの稼働率が上がり人手不足
- コンテンツ配信・ゲーム業界:巣ごもり需要で業績を拡大中
- 食品関係のメーカー・小売業:生活に必要なもので、外出自粛により最寄りで購入し自宅で食事する機会が増えたため
これらの業界であれば人手不測の企業も多いため、比較的採用される可能性は高いと言えるでしょう。
コロナによってキャリアの幅が広がった人もいる
新型コロナは転職において、悪い影響ばかりではありません。リモートワークの導入で働き方改革が進み、仕事をする場所や時間に縛られるケースが減ったことで、キャリアの幅を広げやすくなりました。
リモートワークのおかげで、地方在住の人でもスキルがあれば都市部の企業への転職が狙えるようになっています。また時間に余裕ができたことで、忙しさを理由に諦めていたスキルアップ・資格取得のための勉強や、副業への挑戦を始めたという人も増えています。
コロナ禍で転職を考えたきっかけは?主な理由を紹介
コロナ禍に入り完全失業者が増加していた2020年以降でも、転職活動を始め内定をもらった人は多くいます。
なぜ企業が求人を絞っている時期に転職活動を始めたのでしょうか。きっかけになった理由には、次のものがあります。
- 勤務先の将来が心配
- 給料が低い
- 経営が厳しくなった/解雇になった
- 現在の仕事にやりがいや達成感を感じない
- キャリアアップするため
- 勤務先のコロナの対応に不満
コロナ禍で勤めていた企業の業績が悪化し、給料が削減されたために転職を検討した人や、解雇によって転職を余儀なくされたケースがあります。
また、テレワークの導入や仕事の減少で時間に余裕が生まれ、将来を見つめ直し転職を決めた人も多いようです。よりやりがいや達成感を感じる仕事をしたいため、またはキャリアアップに挑戦するために転職を検討する人が増えています。
コロナ禍での転職を実現させるためのコツ
コロナ禍で転職は買い手市場となっています。条件のよい企業となると競争はさらに激しくなり、転職は簡単ではありません。何から始めたらスムーズに転職ができるのでしょうか。ここでは成功に近づけるための2つのコツをご紹介します。
- 転職先の市場を調査する
- 転職先で活かせるスキルを意識する
それぞれを詳しくみていきましょう。
転職先の市場を調査する
転職先の業界によって新型コロナの影響の規模は異なります。そのため、応募をする前に志望する業界の市場調査をおこなってください。
成長している業界であれば、コロナ禍でも採用を活発にしていると考えられるので、採用されるチャンスも大きくなります。
業界や職種に関する情報は、次の4つの方法で集められます。
- 書籍・雑誌:「四季報」や「業界地図」、各業界の専門誌などでまとまった情報が手に入る
- 転職サイト・転職エージェント:基本無料で利用できて、各企業の深い研究も可能
- 新聞・ニュース:国内外のメディアを調査すると最新の情報をチェックできる
- 企業説明会:業界や企業の生の声を聞ける
転職サイトや転職エージェントを利用したい人は、こちらの記事も参考にしてください。


転職先で活かせるスキルを意識する
コロナ禍で転職が難しくなっても、高いスキルがある人はどこでも重宝される傾向にあります。多くの業界で活かせるスキルの例を挙げてみました。
- OAスキル:MicrosoftのWordやExcel、PowerPointなどを使い業務をこなせる
- コミュニケーションスキル:社内や社外との円滑に業務を進められる
- 経理関係のスキル:事務だけでなく金融や税理関係の職にもつける
- 語学スキル:転職先に外資系企業を志望するなら必須
- IT・プログラミングスキル:IT系の業界でどこも即戦力を求めている
- 接客スキル:顧客と接する職であればどこでも重要となる
- マネジメントスキル:管理職の経験はあらゆる業界で通用する
まずは、現在自身がどのような能力を持っているのか、希望する業界・職種で活用できるスキルはあるのかを整理してください。
整理した結果、能力が不足している場合は、現職でスキルを身に付けた後に転職活動をするのもおすすめです。通信講座を利用する、職場内で新しいポジションに挑戦するなど、自分に合う方法を考えてみましょう。
コロナ禍では常識になったオンライン面接の心得
新型コロナ以前の面接は対面が基本でしたが、感染症対策の一環で2022年6月現在ではオンライン面接が一般的です。
ここでは、オンライン面接で好印象を残すため、次の3つを解説していきます。
- 安定したネット環境を用意してのぞむ
- 画面越しでどう映るか身だしなみを確認
- Webカメラ・マイクは事前に動作チェック
安定した通信環境を用意してのぞむ
パソコンでもスマートフォンでも、オンライン面接をするには安定した通信環境が必須です。通信が不安定だと、音声の途切れや画面のフリーズ、タイムラグが起きる可能性があります。場合によっては、通信が途切れて面接が中止になってしまうかもしれません。
安定した通信環境でオンライン面接に挑むためには、自宅でWi-FiかLANケーブルで接続するのが基本です。自宅であれば静かで、固定回線を利用しやすく、Wi-Fi接続も接続人数による速度の遅延を避けられます。
また普段は安定している通信環境でも、突然つながらないケースはあります。利用する予定だったツールやアプリ以外で、面接官との連絡手段も確保しておきましょう。電話番号やメールアドレスを聞いておくと、もしものときでも対応をすぐに聞けます。
画面越しでどう映るか身だしなみを確認
面接がオンラインになっても、身だしなみは重要な要素です。対面の面接と同様に、スーツを着て清潔感のある恰好で挑みましょう。髪のセットやひげの処理もきちんとすることで、「見えにくいところも手を抜かない人」とという印象を与えられます。
また、部屋の照明だけでは思っているより暗く見えることがあります。明るさが不十分であったり、顔に影ができたりして暗いイメージになってしまうかもしれません。スタンドライトなどを用意し、明るく見せるようにしましょう。
できれば、家族や知人に頼み、カメラ映りをテストすることをおすすめします。
Webカメラ・マイクは事前に動作チェック
オンライン面接前日までに、Webカメラやマイクの動作チェックも必要です。当日にトラブルが起きると焦ってしまい、問題なく開始できても平静な気持ちで話せないでしょう。
カメラは画角に映る部屋を確認し、背景に余計なものが入らないようにして、可能なら壁しか映り込まない場所、難しいなら整理整頓をし見栄えよくしてください。
パソコン内蔵のマイクでオンライン面接に挑む場合、周囲の雑音を拾う可能性があります。面接官の声の聞き逃しも避けるため、マイク内蔵のイヤホンやヘッドセットの用意をおすすめします。
オンライン面接当日は、余計な音を拾わないよう、スマートフォンの通知やアラームなど音がなるものは切り、同居人がいる人は面接の時間帯だけ配慮してもらいましょう。
【Q&A】コロナ禍の転職でよくある疑問を徹底解決
最後に、コロナ禍で転職を迷っている人が抱きやすい疑問を、Q&Aで解説していきます。
- コロナ禍のいま転職をすべき?
- コロナ禍でも求人が多く転職しやすい業界は?
- コロナを理由に転職活動を休んでもいい?
- 未経験業種への転職は難しい?
コロナ禍のいま転職をすべき?
2022年6月時点では、採用活動を強化する企業も増えています。企業も個人も、コロナを理由に活動をストップするのではなく、うまく共存していく生活に切り替わりつつあるため、自身の人生で転職が必要なタイミングだと考えるならば、転職活動をしてみるとよいでしょう。
実際に転職活動をするときは、事前に市場調査をすることが大切です。自身では市場調査の方法が分からないという人は、転職の専門家へ相談をしてみてください。転職サイトや転職エージェントで相談をすると、各業界の最新情報を踏まえた実情を聞けます。
コロナを理由に転職活動を休んでもいい?
転職活動を休む理由がコロナだけの場合は、おすすめしません。拡大していた2020年でも、自粛要請などで仕事ができないケース以外では、さまざまな感染症対策をしながら各種業務はおこなわれていました。そのような人たちがいるなかで、新型コロナを理由に転職活動にブランクを作ると企業はよい印象をもたないでしょう。
もし転職活動を休むのならば、企業側が納得しやすい理由が必要です。転職先で活躍するためスキルアップをしていた、介護が発生していたなど、前向きな理由や避けられない理由での転職活動のブランクは、不利になりにくいです。
実際に休むときは、できるだけ期間を短くしてください。長すぎると仕事へのモチベーションが下がってしまう原因になったり、古い知識が今の業界で通用しなくなるリスクがあります。
未経験の業界・業種への転職は難しい?
コロナ禍の前より即戦力が重視される現状では、新卒・第二新卒でない限り、未経験の業界・業種への転職の難易度はやや上がる傾向にあります。人員が限られ育成する余裕があまりない企業にとっては、経験者のほうが重宝されやすい傾向にあるからです。
しかし未経験業界・業種への転職は、無理ではありません。現在は未経験可の求人に絞って検索できる転職サイトも多く、未経験の人に特化した転職エージェントもあります。
また「業界だけ変えて業種は変えない」「業種だけ変えて業界は変えない」など、業界・業種の片方を固定すれば、未経験でも転職成功率は高くなります。
業界・業種の両方とも未経験という場合も、これまでのキャリアで活かせる経験・スキルがないか考えてアピールできると内定の可能性が高まるでしょう。
おすすめの転職エージェント2選
こちらではエージェントを利用するなら登録しておきたいおすすめの転職エージェントを2つ紹介します。
- リクルートエージェント
- dodaエージェントサービス
リクルートエージェント
※画像出典元:リクルートエージェント公式HP
リクルートエージェントは、求人数が国内No.1の大規模な総合型転職エージェントです。公開求人の多さもさることながら、非公開求人数も豊富なので新たな出会いにも期待できます。
業界ごとに経験豊富なアドバイザーが在籍していることも魅力です。各業界、職種に精通しているため、経歴やスキルの価値を正しく評価してもらえます。
また、転職者に対するサポート体制の充実度は大手ならではなので、50代の転職にも効果的でしょう。
- 国内最大級の求人数のなかから仕事探しをしたい人
- 業界に詳しい人からアドバイスをもらいたい人
- 大手ならではの充実したサポートを受けたい人
リクルートエージェントについて、より詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。
dodaエージェントサービス
※画像出典元:dodaエージェントサービス公式HP
doda(デューダ)は、転職求人サイト・スカウトサービスなど、さまざまな転職支援サービスを提供する総合転職サイトです。各サービスは連携しており、併用することによってより効率的・効果的な転職活動ができます。
dodaエージェントサービスでは、223,697件の求人情報を持っています(2023年11月時点)。業界・職種・エリアごとに詳しいキャリアアドバイザーが在籍しているため、自身の希望に合わせたアドバイスを受けられるでしょう。
また、年収査定や合格診断など、「転職するかどうか迷っている」人に役立つツールもあります。ぜひ活用してみてください。
- 223,697件の豊富な情報から自身に適した求人を探してほしい人
- 転職サイトやスカウトサービスを併用して効率的に転職したい人
- 年収査定や合格診断といったツールを利用したい人
他にも、おすすめの転職エージェントについては次の記事で詳しく紹介しています。気になる人はご覧ください。

まとめ
新型コロナにより転職市場は多大な影響を受けました。経済の縮小で求人は減り、完全失業率の上昇は2022年6月時点で感染拡大前より高く、転職は買い手市場で即戦力になる人が求められています。
しかし業界や業種によって、新型コロナの影響にバラツキがあることも事実です。これから転職活動を始める人は、最新の情報で希望業界や業種の動向を分析し、必要になるスキルを磨きましょう。できることが増えると、業界が変わっても活躍しやすい傾向にあります。
転職活動をするときは、コロナ禍で一般化したオンライン面接の心得を把握しておくと有利でしょう。通信環境の確保や見栄えの確認など、どれも事前に確認できるものばかりです。本記事の内容を参考に、書類選考に通過したチャンスを逃さないようにしましょう。
◆記事で紹介した商品・サービスを購入・申込すると、売上の一部がマイナビニュース・マイナビウーマンに還元されることがあります。◆特定商品・サービスの広告を行う場合には、商品・サービス情報に「PR」表記を記載します。◆紹介している情報は、必ずしも個々の商品・サービスの安全性・有効性を示しているわけではありません。商品・サービスを選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品・サービススペックは、メーカーやサービス事業者のホームページの情報を参考にしています。◆記事内容は記事作成時のもので、その後、商品・サービスのリニューアルによって仕様やサービス内容が変更されていたり、販売・提供が中止されている場合があります。