紙運用とツールの乱立が業務効率とガバナンスの足かせに

共進ペイパー&パッケージは紙の卸売業を祖業とし、現在はさまざまな業界の大手企業や有名ブランドから街の飲食店・小売店まで、幅広い顧客に向けて印刷紙器、POP、紙袋などの紙パッケージや段ボールケースを製造・提供している。近年は小ロットからオンラインで注文できる紙製品にも柔軟に対応しているほか、脱プラスチックの流れを受けて高まる需要を背景に、M&Aも積極的に展開しながらグループを拡大している。

  • 集合写真

そんな同社では、日常業務に関わるさまざまな申請や稟議のプロセスを紙ベースで運用していた。ITを担当する管理部 管理チームのチームリーダーである岡本泉氏は、当時の状況を次のように振り返る。

「意思決定に際しては、本社での最終承認を紙の書類で受ける必要がありました。本社を含め国内に7拠点、海外にも1拠点を展開していますが、各拠点から書類を本社へ集約して承認を得るまでにはどうしても時間がかかります。また、紙書類の保管も大きな課題でした。各拠点で書類をスキャンしてデータで送付しても、本社で改めて印刷して紙で処理していたため、業務効率の面でも問題がありました」(岡本氏)

事業環境が目まぐるしく変化する中、意思決定の迅速化に向けたペーパーレス化へのニーズが高まっていた。加えて、過去の書類を容易に参照できる検索性の確保という観点からも、業務のデジタル化が求められていたという。

さらに、通達の共有や帳票テンプレートの保管、グループ全体の行事予定を掲載するカレンダーなどに活用していたグループウェアのサービス終了も控えていた。そのため、こうした機能を代替する新たなツールの導入が急務となっていた。

加えて、同社には業務基盤の刷新を求める別の課題もあった。当時はメールソフトが統一されておらず、部署ごとどころか個人単位で異なるソフトを利用していたほか、Microsoft Officeも利用者によってバージョンが異なっていたという。

「Officeのバージョン違いによって、Excelファイルを開いた際にレイアウトが崩れたり、正しく表示されなかったりすることがよくありました。また、メールについても利用ソフトが統一されていなかったため、セキュリティやガバナンスの面で課題を抱えていました」(岡本氏)

こうした“課題満載”とも言える状況を受け、同社は業務基盤の刷新に向けて新たなソリューションの検討を開始した。

1年をかけた入念な準備の上でスモールスタート

新たなソリューションの選定にあたり、当時副社長で現・代表取締役社長の鍛治川和広氏から、「目先の用途だけでなく、将来を見据えたグランドデザインを描いたうえで検討してほしい」と要望されたという岡本氏。旧グループウェアの代替にとどまらず、業務基盤全体の刷新を視野に入れて検討を進めた。

その結果、2021年4月にMicrosoft 365(以下、M365)およびネクストセットのM365アドオンツールの導入を決定。書類フローのデジタル化やメール環境の統一、Microsoft Officeのバージョン差異の解消など、個別最適ではなく全体最適を目指した取り組みだった。

「複数の製品を比較検討する中で、ネクストセットはM365とのシングルサインオンに対応しているほか、M365の各種ツールだけでなく、営業部門で利用していたCRM・SFAツールとも連携可能でした。また、モバイル環境や在宅勤務時など、社外からも容易に利用できる点を評価し、採用を決めました」(岡本氏)

  • 岡本氏

    岡本泉氏

導入決定後は約1年をかけて、「ネクストセット・組織ワークフロー for Microsoft 365」(以下、ネクストセット・ワークフロー)と「ネクストセット・組織ドキュメント管理 for Microsoft 365」(以下、組織ドキュメント管理)の活用方法を検討。帳票類のワークフロー設計や構築を進めていった。

「導入時はまず4種類の帳票からスタートすることにし、書類ごとの閲覧権限設定をはじめ、運用開始に向けた準備を丁寧に進めました。また、新しい業務フローについて従業員に理解してもらうため、周知や啓発にも十分な時間をかけました」(岡本氏)

そして2022年5月、ネクストセット・ワークフローと組織ドキュメント管理を活用した書類回付・承認フローの運用を開始した。

「稟議書や報告書は、申請者以外が決裁後に閲覧したり、人事異動や担当変更に伴って参照したりするケースがあります。そのため、検索性も考慮して組織ドキュメント管理で運用するよう設計しました。一方、組織ワークフローは、後から参照する必要がなく、一度の処理で完結する申請書類を中心に利用しています」(岡本氏)

アドオンの追加導入で利用シーンを段階的に拡大

この2つのアドオンに続き、共進ペイパー&パッケージでは「ネクストセット・組織カレンダー for Microsoft 365」(以下、組織カレンダー)、「ネクストセット・組織アドレス帳 for Microsoft 365」(以下、組織アドレス帳)、「ネクストセット・業務データベース for Microsoft 365」(以下、業務データベース)、「ネクストセット・掲示板/回覧板 for Microsoft 365」(以下、掲示板/回覧板)などを段階的に導入し、活用範囲を広げていった。

「組織カレンダーは日々の予定管理に加え、会議室などの施設予約や設備管理にも活用しています。組織アドレス帳では、従業員の所属部署や役職、メールアドレス、社用携帯電話番号などを一元管理して表示しています。また、業務データベースは提出書類の受け付けや閲覧に利用しているほか、掲示板/回覧板は社内通達や書類の公開に加え、帳票テンプレートの保管場所としても活用しています」(岡本氏)

これらのアドオンのうち、業務データベースや掲示板/回覧板が担う機能は旧グループウェアにも備わっていた。一方で、書類の回付・承認ワークフローやカレンダーへの予定登録、会議室などの予約・管理は、ネクストセットの導入によって新たに実現した機能だという。

同社の従業員数は約300人。このうち、生産現場の現業職などを除く約3分の2の社員にネクストセットのアカウントを付与している。運用開始にあたっては前述の通り時間をかけて周知と理解浸透を進めたこともあり、導入は比較的スムーズだったと岡本氏は振り返る。

「導入当初は使い方に関する問い合わせもありましたが、大きな混乱はありませんでした。運用担当の立場としても特に困ることはなく、その後の帳票追加や設定変更なども問題なく行えています」(岡本氏)

ユーザー利便性と運用管理性の双方が目に見えてアップ

ネクストセットのアドオンツール導入による効果として、岡本氏がまず挙げるのは、従来は紙で回覧・保管していた書類関連業務の大幅な効率化だ。

「以前は紙書類に関わる作業のために人手を割く必要がありましたが、組織ドキュメント管理と組織ワークフローの導入によってそうした業務がなくなり、生産性が向上しました。PCがインターネットに接続されていれば場所を問わず承認できるため、意思決定や情報伝達のスピードも大きく改善しています。また、以前は郵送を伴う書類の回送に早くても1〜2日かかっていましたが、現在は承認者がPCを利用できる環境であれば1〜2時間程度で完了します。書類についても、紙での出力を前提に作成する必要がなくなり、利便性は目に見えて向上しました」(岡本氏)

ネクストセットの運用開始後に入社し、現在は同社のITやセキュリティ関連業務を担当しているのが、管理部 管理チームの小野友之氏だ。小野氏は運用管理者の視点から、そのメリットを次のように語る。

「ワークフローは文言などを簡単に修正・変更できるため、運用負荷はほとんどありません。また、AD(Active Directory)サーバーと連携しているため、ADサーバー側でユーザー登録を行えばネクストセットにも反映されます。運用管理者としては二重登録の手間がなく、管理工数を削減できる点を高く評価しています」(小野氏)

  • 小野友之氏

    小野友之氏

利用者である社員からも、申請・承認のスピード向上や書類検索の容易さ、自宅をはじめとする社外環境から利用できる利便性などが好評だという。

一方で、小野氏は運用上の工夫として、メールで受け付けていた依頼を可能な限りフォーム化し、ワークフローへ移行していることを挙げる。また、申請時に必要な入力項目をあらかじめ用意することで、確認や差し戻しのやり取りを減らすよう努めているという。ただし、「運用面で特に困っていることはありません」と語る。

小野氏が入社したのは2025年12月。運用担当としての経験はまだ半年余りだが、前任者からの引き継ぎもスムーズに進んだという。

「初めて見る画面だったので多少戸惑いはありましたが、画面構成が分かりやすく、すぐに操作に慣れることができました。引き継ぎでも特に苦労はありませんでした」(小野氏) 大きな課題やトラブルが発生していないこともあり、これまでネクストセットのサポートを利用する機会はほとんどなかったそうだ。

現時点で新たなM365アドオンツールの導入予定はないものの、「活用できそうなものがあれば今後も導入を検討したい」と岡本氏は語る。また、ネクストセットの導入を検討する企業に向けては次のようにアドバイスする。

「当社は最初からすべての機能を利用するのではなく、まずは必要な機能から導入し、段階的に活用範囲を広げていきました。その結果、利用者も管理部門も無理なく運用に慣れることができました。これから導入する企業も、スモールスタートで着実に活用範囲を広げていく方法がおすすめです」(岡本氏)

共進ペイパー&パッケージの今回の取り組みは、他社にとっても参考になるにちがいない。

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