生成AIの急速な普及や国際情勢の変化により、世界的な半導体不足が深刻化している。AI/ビッグデータ活用の広がりやハイブリッド環境への移行が進むなか、サーバー・ストレージの需要は増大。既存システムのリプレースや新規ビジネスの立ち上げにあたりサーバー調達に動いた企業は、製品価格の高騰や納期遅延といった課題に直面することになる。特に高性能メモリや大容量SSDは需給のバランスが崩れており、必要なスペックのPC/サーバーを確保するのは、いまや容易ではない状況だ。
本稿では、技術力を備えたITディストリビューターであるネットワールドの鈴木氏、ITインフラの総合プロバイダーとしてサーバー・ストレージ製品を市場に投入しているレノボ・エンタープライズ・ソリューションズの早川氏と、マイナビTECH+編集長が鼎談。サーバー調達の不確実性が高まる背景と、価格や納期の課題を解消して必要なハードウェア/ソフトウェアを必要なときに調達するためのアプローチについて話を交わした。
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左から、
株式会社マイナビ TECH+編集長 小林 行雄、
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社 Japan ISG CTO インフラストラクチャー・ソリューションズ・グループ 早川 哲郎 氏、
株式会社ネットワールド マーケティング本部 インフラマーケティング部 データセンター課 主任 鈴木 拓 氏
AIの普及に伴い、サーバー・ストレージ向けパーツが不足し、調達が困難に
TECH+編集長 小林(以下、小林):まずはネットワールド、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズが展開されているビジネスの概要と、最近のトピックについてお聞かせください。
ネットワールド 鈴木氏(以下、鈴木氏):ネットワールドはValue Added Distributorとしてパートナービジネスを展開しており、ハードウェア/ソフトウェアを問わず、さまざまなメーカーの商材をパートナー様に提供しています。全社員の約25%が技術者で、技術面のサポートに強いディストリビューターであることが特徴です。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 早川氏(以下、早川氏):弊社はレノボグループの一員として、おもにサーバー・ストレージ製品を販売している会社です。デバイスメーカーのイメージが強いレノボグループですが、近年ではITインフラの総合的なプロバイダーへの転換を図っています。その一環として近年はスポーツテックにも力を入れており、現在はF1のテクノロジーパートナーとしてデバイス・インフラを提供したり、FIFA World Cup 2026™の公式テクノロジースポンサーを務めさせていただいたりしています。
小林:FIFAワールドカップ2026の公式テクノロジースポンサーはレノボさん1社だけとお伺いしています。
早川氏:デバイスからインフラまで、エコシステム全体をエンドツーエンドで支えるテクノロジー、サービスやサポートまでをレノボグループが提供しています。会場や中継で我々の技術を体験できると思います。
小林:それは楽しみですね。それではさっそく、今回のテーマとなるIT調達を取りまく現状についてお聞きしていきます。現在、コンシューマ市場でもPC向けメモリやSSDの価格が高騰して手に入りづらい状況が続いていますが、法人向けの市場においてもサーバー・ストレージ向けのパーツ不足が問題化しています。ディストリビューターとサプライヤー、それぞれのお立場から“今何が起きているのか”、すなわち現状をどう認識されているのかお聞かせください。
鈴木氏:おそらく皆さん実感されていると思いますが、私たちの身の回りには当たり前のように「AI」が溢れています。これだけ普及してしまうと、求められるデータ量や処理速度も増大し、メモリやSSDをはじめ、AIを動かすパーツの需要は高まり続けています。こうした市場の拡大に対し、供給が追いついていないというのが現状だと認識しています。AI処理には高性能メモリや高速SSDが不可欠で、これらはPCやサーバーにも共通して使われています。そのため需要が急増し、供給が追いつかず“取り合い”が発生しているのです。
その結果、価格が引き上げられたり、パーツが枯渇して納期が遅延したりといった課題が顕在化しています。ディストリビューターの立場としても、パーツが枯渇し価格が高騰、納期が遅延してさらに価格が高騰という悪循環が起きているため、スペックや納期などさまざまな調整や予算の見直しをパートナー様、エンドユーザー様に強いるような形になっている状況です。
小林:状況は常に変化していると思いますが、鈴木様からみて受注から納入までの期間は、どれくらい延びていると感じておられますか。
鈴木氏:メーカーさんの状況にもよりますが、これまで1カ月で納入されていたものが、半年以上入ってこないケースも増えてきています。
小林:サプライヤーのお立場から見ても、必要パーツを入手しづらい状況は実感しておられますか。
早川氏:そうですね。昨年後半くらいから需給のバランスが崩れてきたと感じています。需要の増加は先ほど鈴木さんが話されたようにAIの普及などによるもので、そのしわ寄せがサーバー・ストレージなどにも及んでいるのが現状です。特に高性能メモリや大容量SSDに関しては供給がかなり厳しい状況で、納入までの時間は長くなり、調達コストも全体的に上がっています。
約1カ月という短納期でサーバーを調達できる「Lenovo Top Choice Express」
小林:こうした調達の“読みづらさ”を解消する取り組みとして、レノボさんが提供する「Lenovo Top Choice Express」への注目度が高まっています。この取り組みの概要と特徴についてご説明いただけませんでしょうか。
早川氏:2025年4月から開始したサーバーの短納期提供を実現するための取り組みです。具体的には、売れ筋の構成を絞り込み、必要なパーツを工場内に確保しておくことで、オーダーから1週間以内で組み立てて出荷するというプログラムとなります。CPUやメモリ、SSD、ネットワークなど、サーバー構成するパーツの選択肢は多岐にわたり、すべてを在庫として揃えていくのは現実的ではありません。とはいえ、例えばサーバー向けのCPUは80種類以上ありますが、その中で実際に選ばれるのは20~30のCPUがほとんどですので、そういった売れ筋のパーツに絞って、潤沢に在庫を持つようなオペレーションに変えたというわけです。
小林:そこまで半導体不足による影響がなかった時期からサービスを開始したのですね。
早川氏:開始当時は今ほどパーツの枯渇や価格暴騰はなく、どちらかというと「性能は高いが納期が遅い」という弊社のサーバー製品に対する印象を払拭することが目的でした。Lenovo Top Choice Expressでは、受注から10営業日以内での工場出荷を目標にしており、半導体不足が問題化した現在も、弊社の購買チームが尽力することで、8~9割は1カ月程度でお届けできています。それ以外の案件もほぼ2カ月以内には納入している状況です。現在は半導体コストが右肩上がりで、例えば4月に発注が入り、納期が半年後ということになると、ハードウェアメーカーは半年後の価格を考慮して見積りを出す必要があります。価格変動を読み間違えて見積りを出し直す事態に陥ると、ディストリビューターさんやパートナー様にご迷惑をおかけしますし、エンドユーザー様も再稟議を通す必要が出てきます。短納期を実現するLenovo Top Choice Expressならば価格変動の影響を受けづらいので、ディストリビューターさんや販売店様、さらにエンドユーザーの企業様にとって優しいサービスだと思っています。
小林:製品価格の高騰や納期遅延に悩まされている現在の企業担当者にとっては、非常に魅力的なサービスだと思います。ネットワールドさんでは、Lenovo Top Choice Expressの強みをどう捉えておられますか。
鈴木氏:弊社では、レノボさんが提供している構成ツール・見積りツールを活用しています。そのツール内でもLenovo Top Choice Expressとして構成を作成し、見積りを取得できるようになっており、今までのIT調達と同じスピード感、同じ流れでパートナー様に構成・見積りのご案内ができるというのは非常に大きなメリットと感じています。
早川氏:もちろん、仮想化環境の刷新など大規模な案件に関しても、Lenovo Top Choice Expressの範囲内にできるだけ収めるような形で営業活動を行っています。
小林:小規模から大規模まで、IT調達におけるすべての案件をLenovo Top Choice Expressでカバーすることを考えると、ディストリビューターや販売店の知見、特に必要なスペックの“見極め力”が重要になってきます。その意味で、多くの技術者を抱えるネットワールドさんはベストパートナーといえるのでは?
鈴木氏:そうですね。これまではパートナー様、エンドユーザー様が指定した構成と納期に合わせることが多かったのですが、現在は価格や納期も考慮してLenovo Top Choice Expressの範囲内で、用途に合わせた構成をパートナー様に打診するケースも増えてきています。
“守り”と“攻め”、どちらのIT投資もネットワールドとレノボ製品の組み合わせがベストチョイス
小林:Lenovo Top Choice Expressで多様なニーズをカバーするという観点では、2025年12月にレノボさんがリリースしたHCI製品「ThinkAgile FX」が重要な役割を担うのではないでしょうか。あらためまして、本製品の概要と特長についてお聞かせください。
早川氏:ThinkAgileシリーズは、検証済みの仮想化ソフトウェアを組み込んだアプライアンス製品です。これまではハイパーバイザー別に3つの製品をリリースしていたのですが、今回、ハイパーバイザーの変更・移行に対応したThinkAgile FXという製品をリリースしています。昨今はソフトウェアの世界も、仕様が変わったり、ライセンス体系が変更されたりと、性能面・コスト面で不確実性が増しています。このため、状況の変化に応じてハイパーバイザーを変更したいというニーズも高まっていますが、ハードウェアと紐付けられていて移行に踏み切れないケースも少なくないのが現状です。ThinkAgile FXはマルチハイパーバイザー対応のHCI製品で、ハードウェアの変更なしでハイパーバイザーを切り替えられることが大きな特長といえます。
鈴木氏:仮想化基盤に限った話ではないのですが、近年ではライセンス体系の変更やサポート終了などにより、現在のワークロードに最適化されていないソリューションをやむを得ず使い続けているケースが増えてきているように感じています。ThinkAgile FXならば、既存のハイパーバイザーを使い続けたうえで、企業の成長や市場の変化に合わせて柔軟に切り替えることができます。状況に応じてベストな選択が取れるわけで、我々としても、仮想化基盤の提案における極めて有効な選択肢になると思っています。
小林:最後に、調達の不確実性に悩む企業のIT担当者や全国のSIer、販売店に向けて、それぞれのお立場からメッセージをお願いします。
早川氏:ハードウェア調達の不確実性は、少なくともあと1年程度は続くと考えています。とはいえ、いまやITは会社にとってなくてはならないもので、競争力を維持するためにもITインフラに投資しないという選択肢はあり得ません。先ほどThinkAgile FXについては、ハイパーバイザーやOSの移行という、どちらかというと“守り”のIT投資という文脈で話しましたが、例えば将来的にAIを動かすためのプラットフォームという位置付けで、“攻め”のIT投資と捉えることもできます。ネットワールドさんのようなテクノロジーに強いディストリビューターに相談すれば、最適な提案をいただけると思いますので、ぜひレノボのサーバーをネットワールドさんにご用命いただくような形で、IT市場に蔓延する“不確実性”に対応いただければと考えています。
鈴木氏:目の前にある価格高騰や納期遅延と向き合いながら、ITインフラの調達に臨まれている方は大勢いらっしゃると思います。Lenovo Top Choice ExpressとThinkAgile FXは、IT調達に携わる方の悩みにコミットできるソリューションと捉えており、弊社としても、レノボさんの製品を軸に、技術的な支援も含めた提案をさせていただきたいと考えております。ぜひ気軽にお声がけください。
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