ハイブリッドワークの定着、人材の流動化、人的資本経営へのシフト——企業を取り巻く環境が大きく変わるなか、従業員エンゲージメントの向上が経営課題として急浮上している。優秀な若手の離職や、会社への帰属意識を持たない「静かな退職」に頭を抱えている企業も少なくない。
こうした課題に対し、「社内のデジタル体験」という切り口からアプローチしているのが、LumApps(ルムアップス)だ。本稿では、同社でパートナーマネージャー/セールスディレクターを務める真鍋美有紀氏と、JAPACマーケティングディレクターの小林優子氏に、最新のサーベイ結果から見えてきた日本企業の情報伝達の課題と、エンゲージメント向上につながる社内ポータルのあり方について話を聞いた。
-

左から、
LumApps株式会社 パートナーマネージャー/セールスディレクター 真鍋 美有紀 氏、
LumApps株式会社 JAPACマーケティングディレクター 小林 優子 氏
人的資本経営の時代に「静かな退職」がもたらす経営リスク
近年、企業において従業員エンゲージメントの向上が喫緊の課題となっている。その背景にあるのは、人的資本経営へのシフトと、コロナ禍を経て定着した新しい働き方だ。
「これまでは『コスト』として見られていた人材が、価値を最大化し持続的経営につなげる『資本』として捉えられるようになりました。また、働き方の多様化が進み人材の流動性が高まったことで、自社に対する愛着心や自発的貢献意欲を持ってもらわなければ、人がどんどん離れていってしまう状況になっています」(真鍋氏)
日本企業特有の課題として、真鍋氏は「静かな退職」を挙げ、「日本は年功序列の文化があり、会社になんとなく留まろうと思えば留まることができます。ただ、ディスエンゲージした状態で留まっていても生産性は上がらず、新しいアイデアも出てきません」と指摘する。いかに高い生産性と貢献意欲を持って働ける環境を構築するかが、企業の持続的成長の鍵になる。
日本企業がエンゲージメントと本格的に向き合い始めたのは、実はここ5年ほどのことだ。従来の「従業員満足度」に代わり、自発的貢献意欲まで測定するエンゲージメントの概念が、経済産業省が公表する「人材版伊藤レポート2.0」などを通じて浸透してきた。
一方、海外企業ではインターナルコミュニケーションを経営戦略の根幹と捉え、専任チームを置くことが一般的だと小林氏は説明する。
「多様な人材が働き、離職率がもともと高い海外では、いかに従業員を会社のファンにするかが経営に直結するテーマとして早くから認識されていました」(小林氏)
日本企業でもいま、同様の変化が起きているという。新入社員の3年以内離職率は30%を超えると言われ、中途採用が常態化するなかで、「毎年、文化を醸成してファンにしていく作業」(小林氏)が不可欠になってきているのだ。
現場の社員に届かない? サーベイが浮き彫りにした「19%の衝撃」
こうした背景のもと、LumAppsは「従業員エンゲージメントと社内デジタル環境に関する実態調査」を実施した。この調査は、全国の企業勤務者を対象に、計897名から有効回答を得たもので、職種別・職位別・ポータル満足度別の3軸で分析を行った。
「きっかけは、従業員の方々が社内でいかにして情報を手に入れているのかという問いでした」と小林氏は振り返る。エンゲージメント調査は多数存在するが、それらは主に人事部門が従業員の状態を把握するためのものだ。LumAppsが注目したのは、その一歩手前にある、日々の業務に必要な情報へ従業員がどのようにアクセスしているのかという点だった。
サーベイで明らかになったのは、驚くべき情報格差の実態だった。
「一番驚いたのは、店舗や工場などで働く現場従業員、いわゆるフロントラインワーカーの方々で、『社内情報を入手できている・探せている』と答えた方がわずか19%しかいなかったという点です。彼らは企業の最前線でお客さまと接する“会社の顔”であるにもかかわらず、経営方針や大切なアップデートが届いていないのです」(小林氏)
サーベイによると、社内ポータルは電子メール、オンライン会議に次いで3番目に利用されるツールであり、約6割が毎日アクセスしている。それほど身近な情報基盤でありながら、最前線の従業員には情報が届いていないという断絶が明らかになった。
「探しても見つからない」が生むディスエンゲージメント
もう1つ注目すべきは、社内ポータルへの満足度とエンゲージメントの相関だ。社内ポータルに対して不満と感じている従業員は、「会社への推奨意向」「貢献意欲」「定着意向」など、主要なエンゲージメント指標が軒並み2~5倍低下する傾向を示した。これは、デジタル環境の不満が、会社への愛着や自発的な貢献意欲を失う「ディスエンゲージメント」に直結していることを物語っている。
真鍋氏は意外だった点として、不満層の行動パターンを挙げる。
「不満層の方も、実はポータルを使っていないわけではなく、検索して一生懸命情報を探しているのです。しかし、情報が多すぎて探しても見つからないため、絶望して報われない努力となり、それがエンゲージメントを削る原因になっています」(真鍋氏)
不満だから使わないのではなく、使っても報われないから不満になる——この因果の方向性は、デジタル環境の改善がエンゲージメント向上に直結することを示唆している。
経営層には“現場の痛み”が見えていない
一方で、この課題に経営層は気づきにくい構造がある。サーベイによると、一般職・管理職の約8割がポータルを利用しているのに対し、経営層の利用率は25%に留まった。
小林氏は「経営層は別の形で情報が取れるため、ポータルをあまり使いません。自分の体験として使い勝手の悪さを感じていないため、現場がどれほど困っていてもROI(投資対効果)を感じにくく、改善に向けた投資が後回しにされがちです」と分析する。
社内ポータルを「単なる掲示板」から「全社員をつなぐコミュニケーション基盤」へ
現在、日本企業の社内ポータルの多くは、いまだに単なる掲示板やファイル置き場の域を出ていない。これからの社内ポータルはどうあるべきなのか。
社内ポータルを通じてエンゲージメントを高めるキードライバーとして真鍋氏は、「コミュニケーションの質」と「戦略の浸透」を挙げる。
「上司や経営層からの戦略が浸透することでエンゲージメントは上がります。社内ポータルはただの情報の置き場ではなく、経営の“血管”のような役割を果たすべきです」(真鍋氏)
そのためには、従業員が自ら情報を探しにいくのを待つのではなく、企業側からプッシュしていく姿勢が必要だという。
「重要なのはパーソナライズです。情報があるというだけでなく、必要な人が必要なときに情報を見つけられること。東京オフィスでの避難訓練の案内が群馬工場で働く人たちに届いても意味がないですよね。群馬工場で働く人には群馬工場の情報を、東京オフィスの営業担当には東京オフィスの情報を出し分ける。社外のマーケティングでは当たり前に行われていることを、社内に対しても行い、社員をファンとして醸成していくことが求められます」(小林氏)
また、PCを持たないフロントラインワーカーをカバーするためのモバイル対応も、全従業員に公平なデジタル体験を提供するための必須条件となる。
さらに見落とされがちなのが、雇用形態による情報格差である。企業には契約社員や派遣社員など、会社支給のメールアドレスを持たない従業員も一定数いる。正社員向けのメールやグループウェアだけでは、こうした従業員に情報が届かない。「現場従業員など社内メールアドレスを持たない方々に対して、いかに安全な形で社内情報を公開し、届けるのか。そこまで設計しないと、本当の意味での“全員に届ける”は実現しません」と真鍋氏は指摘する。
エンゲージメント倍増でV字回復も。「全部入り」のLumAppsがもたらす組織変革
こうした課題をオールインワンで解決するのが、フランス発の次世代型AI社内コミュニケーションプラットフォーム「LumApps(ルムアップス)」だ。「すべての従業員をあらゆる場所から、ひとつに。」というビジョンのもと、仕事の起点となるデジタルワークプレイスとしての機能を提供している。
LumAppsの最大の特徴は、社内コミュニケーションや業務に必要な機能を“1つの製品で”完結できる点にある。高いデザイン性、従業員ごとの豊富なパーソナライズ、モバイル最適化——。これらを単体で提供するツールは存在するが、すべてを一気通貫で実現できるプラットフォームは極めて少ない。
「LumAppsは、パーソナライズされた情報配信機能に加え、洗練されたデザインによるインターナルブランディングが可能です。さらに、Google WorkspaceやMicrosoft 365、Box、ServiceNowなど、企業がすでに導入しているツールとシームレスに連携できます。バラバラだった情報を1つに集約し、モバイルアプリを通じてフロントラインワーカーにも確実に情報を届けることができます。メールアドレスを持たない従業員にも、柔軟な権限設定で安全にアクセスを提供できる設計です」(小林氏)
導入企業におけるエンゲージメント改善が経営結果に直結する、という具体的な成果も報告されている。ある製造業の企業では、新CEOが従業員エンゲージメントの改善を経営の最重要テーマに据え、約3年で40%台だったエンゲージメントスコアを80%台まで引き上げたという。当時赤字だった業績はV字回復を遂げている。
「この企業には現場従業員が多く、エンゲージメントが最も低かったのが現場でした。もちろんオンラインだけではなくオフラインの施策も重要ですが、本部から現場へ情報をしっかりと届け、『ちゃんと見ているよ』というメッセージを発信し続けたことが成果につながっています」と小林氏は語る。
デジタル体験を変えることは、経営を変えること
今回の調査結果は、社内ポータルが従業員エンゲージメントという経営の中核指標に大きく影響する存在になりつつあることを示している。
「15年以上変わらない社内ポータルが、知らず知らずのうちに従業員の意欲を下げ、結果として経営の足を引っ張ってしまうことがあります」(小林氏)
小林氏のこの指摘に、ハッとさせられる経営層は少なくないはずだ。
「デジタル体験を変えることで、エンゲージメントが高まり、結果として業績にも良い影響が生まれます。その事実に、多くの経営層に気づいてほしいです」(真鍋氏)
取材の最後にそう語った真鍋氏の言葉には、これまで数多くの組織変革に伴走してきたからこその、強い確信が滲んでいた。
企業の最前線で汗を流す一人ひとりに、「あなたは会社の大切な一員だ」というメッセージを届けること。日本のオフィスに広がる「静かな退職」を食い止め、再び組織に熱を帯びさせるためのヒントは、実は従業員が日々手にするスマートフォンを通じた“つながり”のなかにあるのかもしれない。
[PR]提供:LumApps







