旧ワークフローの属人化課題を解消へ、新たなソリューション検討に着手

1969年に創業した総合クレジットカード会社のユーシーカード。てんとう虫があしらわれたロゴマークに親しみを覚える人も多いことだろう。現在はみずほ銀行の100%子会社として、キャッシュレス社会の進展を支える決済インフラとして各種サービスの提供に取り組んでいる。とりわけ、これまでの長い経験を活かしてBtoB領域での積極的な事業展開を図っており、コーポレートカード、パーチェシングカードといった企業間決済に用いられる法人向けクレジットカードの分野に力を入れている。

同社では従来、社内のメールやワークフロー、社内ポータルを、既存のグループウェア基盤上で構築・運用していた。しかしこの環境は、扱うために専門的な知識や技術が求められるうえ、ワークフロー帳票のメンテナンスについても、特定のスキルや経験を持つ技術者でなければ対応できない状況で属人化しており、将来的な体制維持が懸念されていたと、IT・システム企画部 インフラ推進課マネージャーの松浦謙治氏は語る。

「端的に言えば、“限られた人しか扱えない”システムでした。当社ではワークフローの構築担当者が在籍していましたが、仮にその担当者が退職した場合、運用を継続できるのかという人材面の不安がありました。加えて、運用コストの高さも課題となっていました」(松浦氏)

こうした課題は、松浦氏が入社した2016年頃からITシステム部門内で繰り返し議論に上がっており、「そろそろ既存のグループウェア基盤を刷新すべきではないか」という声は年々強まっていたという。転機となったのが2019年だ。オンプレミスで稼働していたサーバーのOSサポート期限が迫り、更改の必要性が顕在化したのである。「システム更改のタイミングで、既存環境をどうするかを改めて検討しました。関連スキルを持つ技術者がいなくなる前に手を打つ必要があると考え、ようやく本格的に動き出しました」と松浦氏は振り返る。

また同時期には、それまで別会社として運営されていたシステム部門が本社へ統合されることが決まり、新体制の始動に合わせてワークフローのあり方自体を見直す機運も高まっていた。こうした組織再編も、既存環境からの脱却を本格的に検討する大きな契機となったと、IT・システム企画部長の小澤秀晃氏は明かす。

  • 小澤秀晃氏

    小澤秀晃氏

ネクストセットのアドオン導入で帳票類をすべて電子化

サーバー更改を機に、同社では上記の課題を解決するためクラウド活用を考え、Microsoft 365(以下、M365)の導入を決定。新たなワークフローとして、知識・技術に長けたエンジニアでなくとも容易に扱えるソリューションを模索する中、M365構築を請け負ったベンダーから提案を受け、ネクストセットのM365アドオンツール「ネクストセット・ドキュメント管理 for Microsoft 365」(以下、ドキュメント管理)を選定した。

「ネクストセットには多種多様なM365アドオンがあります。ドキュメント管理にはワークフロー機能があり、カスタマイズもできるということで導入に至りました。M365にアドオンして手軽に使えるワークフローツールとして、ドキュメント管理は当時ほぼ唯一の選択肢だったので、とくに他の候補もなくスムーズに決定しましたね」(松浦氏)。小澤氏は「ネクストセットは当社の規模感と予算感に合いましたし、今振り返っても良い選択でした」と付け加えた。

このドキュメント管理を起点として、ネクストセットの他のアドオンも試した松浦氏は、「ネクストセット・シングルサインオン for Microsoft 365」(以下、シングルサインオン)や「ネクストセット・Myポータル for Microsoft 365」(以下、Myポータル)、さらには「ネクストセット・組織アドレス帳 for Microsoft 365」「ネクストセット・組織カレンダー for Microsoft 365」なども同時に導入した。

導入決定は2019年6月のこと。3カ月後の9月から約10カ月をかけて準備と構築作業を念入りに進め、2020年6月に本格運用開始となった。この導入フェーズでは、次のような点に苦労したようだ。

「当社は帳票類が約100種類と多く、それも標準ツールでは作成が難しかったため、ひな型作成にあたってはHTMLやJavaScriptのAPI、特殊クラスを組み合わせて独自に開発・実装した部分が多くありました。そのため、膨大な帳票類の設計や細かなセキュリティ、アクセス権設定等で想定以上の時間を要し、最終的に10カ月かかってしまったのです」(松浦氏)

この帳票をめぐる作業は、従来環境の構築に携わった技術者が社内に在籍していたこともあり、外部ベンダーには依頼せず、すべて内製で対応した。また移行にあたっては、不要と判断される帳票の整理・削減も並行して実施したため、想定以上に時間を要する結果となった。

それでも「内製で取り組んだことで、コストは大幅に抑えることができました」と小澤氏は話す。加えて、導入した新たなワークフロー基盤のベンダーにも相談しながら、自社の業務プロセスに合わせたチューニング方法について支援を受け、最終的には納得のいくワークフローを構築することができたという。

並行して、シングルサインオンやMyポータルなども使い始めたが、松浦氏は「Myポータルで表示速度や配置を試行錯誤したことはあったものの大きな苦労ではありませんでしたし、他のツールは本当にセットするだけで問題なく動きました。帳票の管理以外ではとくに苦労はなかったですね」と答えた。

申請・承認やログイン、社内通知で欠かせないアイテムに

導入から6年弱が経過した今、同社ではドキュメント管理のワークフローとシングルサインオン、Myポータルの3つのアドオンを主に使用しているとのことだ。

まず、それまで従来環境で構築されていたものも、紙で残っていたものも、現在はすべてドキュメント管理のワークフローに一本化。各種申請・承認業務が電子化されている。「社内ではもう紙による申請はほぼゼロで、ドキュメント管理は当社の稟議・決裁の仕組みを支える上で欠かせない存在になっています」と松浦氏は評価する。ユーザー部門からも業務効率化につながったと評価されているという。

続いてシングルサインオンは、当初はM365との連携でしか使っていなかったが、今は人事システムやメール・Webのセキュリティ、ファイルサーバーなど他の社内サービスやアプリケーションとの連携にも活用している。「あらゆるところでシングルサインオンを使っているので、こちらも当社にはなくてはならないツールですね。実際、利用者のログイン負荷軽減につながっています」と小澤氏は語る。

またMyポータルについては、中心となって運用を手掛ける薄井那央稀氏がこう説明する。 「流れる文字機能を活用し、社内向けのお知らせやシステム障害、メンテナンス情報などをプッシュ型で発信しており、非常に重宝しています。毎月、人事や総務などの部門から社員向けメッセージ配信の依頼が寄せられるほか、社内アンケートの告知にも活用しており、迅速な情報周知と対応、さらには社内コミュニケーションの活性化にも寄与しています」(薄井氏)

  • 薄井那央稀氏

    薄井那央稀氏

最近では食堂のメニューをMyポータルで流し、社員に喜ばれているとのこと。「業務状況によってメールの確認にタイムラグが生じる場合でも、Myポータルで文字が流れていると目に留まるので、その点でも良かったと思います」と薄井氏。このほか、社外向けアンケートにもネクストセットの機能を便利に使っているとして「特定期間だけアンケートを実施したいといったとき、都度外部に発注して構築するコストと時間をかけず、社内で手軽に内製できる点はありがたいですね。紙のコスト削減やガバナンス強化にもつながっています」と松浦氏は話す。

運用側には他にもメリットが出ている。

「ワークフローは各部門からの依頼に加え、法改正への対応などで帳票の見直しが発生するため、現在でも月に1回程度は修正や新規作成の依頼に対応しています。これをMicrosoft Formsだけで対応しようとすると相応の工数がかかりますが、ドキュメント管理機能は手軽に活用できますし、ひな型を整備して紙帳票の電子化を進めたことで、現場の運用負荷も軽減できました」(松浦氏)

またシングルサインオンについては薄井氏が「リアルタイムの情報連携を手軽に行うことができ、運用の面でとても助かっています」と評価した。

小澤氏は、社員からの問い合わせが減ったこともメリットとして挙げる。

「ネクストセットのアドオンはGUIベースで直感的に操作でき、全社に受け入れられやすい使い勝手だと感じています。社内向けにマニュアルや手順書、FAQを整備・公開したところ、多くの社員が自己解決できるようになり、ヘルプデスクへの問い合わせは大幅に減少しました。この点からも、業務効率の向上に寄与していると評価しています」(小澤氏)

運用面ではワークフローデータの管理方法に気を付けていると松浦氏。「データ量が増えると検索速度に影響が出るため、年度ごとにアプリケーションIDを分けて管理しており、この作業は年度初めの必須作業として対応しています」と語る。

  • 松浦謙治氏

    松浦謙治氏

ネクストセットの厚いサポートを活用し、スムーズな導入に成功

最後に、ネクストセットのM365アドオンツールを今後導入予定、あるいは導入を検討する企業へのアドバイスを一人ひとりに伺った。

「導入当初は戸惑うことも多いものですが、サポート体制が手厚く、細かな点まで丁寧にフォローしてもらえます。そうした支援を積極的に活用していただければと思います」(薄井氏)

「多様な機能が用意されているうえ、お試し期間も設けられています。まずは一通り実際に使ってみることで、自社の業務に適したアドオンを見極めやすくなりますし、活用次第で業務効率化につながる機能が見つかるでしょう」(松浦氏)

「ワークフローを切り替える際には、従来の書式をそのまま再現するのではなく、可能な限り整理・簡素化していくことが重要だと思います。そうした見直しについても手厚いサポートが受けられるので、相談しながら完成度を高めていくことをおすすめします」(小澤氏)

  • 集合写真

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