クラウド黎明期から「cloudpack」を軸に市場を切り拓いてきたアイレット。創業から23年、同社は今、AI という新たな転換点と2026年4月に会社合併し、「KDDIアイレット」として始動するという大きな節目を迎えている。
この転換期に、創業期から共に歩んできた執行役員の後藤 和貴氏は、自ら AI 実装の最前線へと飛び込む道を選んだ。なぜ、今「卒業」なのか。代表取締役会長の齋藤 将平氏と共に、アイレットの過去と未来が交差する特別な対談をお届けする。
クラウド黎明期、誰も確信していなかった技術を信じて新たな市場を切り拓く
アイレットがクラウド事業に本格的に取り組み始めた頃、企業における IT の主流は当然ながらオンプレミスだった。IT インフラを自社で所有・専有し、管理することが前提の時代であり、クラウドは未知の技術として見られていた。
クラウドの可能性に注目する企業はあったが、それを事業として成立させ、企業システムの選択肢として現実のものにする企業はまだ少なかった。そうした中でアイレットは、クラウドを単なる新技術ではなく、IT の概念を変えるものとして捉え、いち早く事業として取り組んでいった。齋藤氏は当時の様子をこう振り返る。
「クラウドは本当に安全なのか?よく分からないし、怪しい技術なんじゃないか?という疑問を持たれることが多かったですね。企業の重要なシステムを外部に預けること自体が、まだ受け入れられていない時代でした」(齋藤氏)
それでもアイレットは、クラウドが IT の前提を変える技術になるという考えを貫いた。柔軟性の高いインフラ構造やスケールのしやすさは、従来のシステムでは実現できなかったからだ。時間はかかっても、いずれ社会の標準になるという確信があった。
後藤氏も、クラウドを単なるインフラの置き換えではなく「システムの作り方そのものを変える技術」と捉えていたという。
こうした認識のもと、アイレットはクラウドの実装や運用を事業として成立させる挑戦に踏み出した。
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齋藤 将平氏
アイレット株式会社 代表取締役会長
1998年より IT 会社にてプログラミング業務に従事。2003年アイレット株式会社設立。2017年 KDDI に参画。2020年アイレット会長就任。
cloudpack の誕生と日本のクラウド市場の拡大
その挑戦の象徴が、現在2500社を超える実績を持つクラウド導入・活用の総合支援サービス「cloudpack」である。AWS をはじめとするクラウドの導入から設計、構築、運用までをワンストップで提供するアイレットの主要サービスの一つだ。
当時の AWS は優れた技術でありながら、日本企業がそのまま使いこなすにはハードルもあった。そこでアイレットは、企業が安心してクラウドを活用できる形にサービスを整えた。
「どんなに素晴らしいサービスであっても、企業が実際に導入して活用できなければ意味がありません。料金体系や機能も含めて分かりやすく、使いやすい形で届けることが重要でした」(後藤氏)
サービス普及にはもう一つ重要な要素があった。日本のクラウド市場そのものを育てることだ。アイレットのメンバーは勉強会やイベント、コミュニティ活動に積極的に参加し、クラウドの価値を伝える活動を続けた。後藤氏も「エバンジェリスト」という役割を担い、日本全国を飛び回ってクラウドの認知向上に尽力した。
新しい技術の価値を分かりやすく伝えるためには、まず自分自身が技術を深く理解する必要がある。後藤氏は新しい機能・サービスが登場するたびに自ら触り、正しく理解し、活用シーンや提供価値を考えた上で、自分の言葉で説明することを続けてきた。
こうした地道な活動の積み重ねによって、クラウドの認知拡大とともにアイレットの存在感も高まっていき、プロジェクトを通じて技術力や知見を深めていった。
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後藤 和貴氏
アイレット株式会社 執行役員/エバンジェリスト
日本オラクル、米オラクル、デザイン制作会社などを経て2010年アイレットに入社。「cloudpack」立ち上げメンバーの1人。クラウドやアイレットの価値を発信するエバンジェリストの役割を担うほか、マーケティング、新規事業開発、パートナーアライアンスなどに従事。
クラウド市場の拡大とアイレットの成長
2010年代に入るとクラウド市場は急速に拡大する。アイレットの顧客も最初はスタートアップや IT 企業が中心だったが、徐々に大企業や IT 以外の業種にもクラウド導入が広がっていった。
「ナショナルクライアントの大規模プロジェクトをはじめ、多種多様な案件が一気に増えました。営業をせずともどんどん問い合わせが入ってくる状態。虎ノ門ヒルズにオフィスを移転し、メンバーを増やしながら顧客の課題解決に奔走する日々でした」と、齋藤氏は振り返る。
市場の拡大とともに、アイレットも急速に成長した。しかし、会社が大きくなっても変わらないものがあった。新しい技術に対する飽くなき探究心と、顧客の成功を成し遂げようとする姿勢だ。
「新しい技術を吸収したり、知見を広げたりするのは当たり前のこと。それをどのようにしてお客様にとっての価値につなげられるかまで考えることが重要です。いわば、徹底した顧客主義。それが根付いていることがアイレットの強みであり、結果的に会社が成長するドライバーになったのだと思います」(後藤氏)
KDDI との融合で広がったフィールド
アイレットの歴史の中で大きな転機となったのが、2017年 KDDI グループへの参画だ。 クラウドは IT インフラの基盤であり、通信と組み合わせることでより大きな価値を生み出すことができる。KDDI グループに加わったことで、より大規模なプロジェクトや社会インフラに近い領域にも関わる機会が増えた。
「アイレットの技術力とベンチャー精神に、KDDI という盤石な経営基盤が加わったことで、売上も従業員数も大幅に成長していきました」と語る齋藤氏。
もちろん、KDDI 参画後もアイレットの本質は変わらない。「規模は大きくなっても、技術にチャレンジし、お客様の課題解決を第一に考える文化は変わりませんでした。むしろフィールドが広がったことで、挑戦できるチャンスが増えました」(後藤氏)
圧倒的な顧客視点とスピードを武器に、クラウドで磨いた強みで AI 時代に挑む
AI の導入というと、モデルやツールの話に目が向きがちだ。しかし実際には、データや既存システムとの接続、さらに運用まで含めた全体設計が欠かせない。だからこそ齋藤氏は、クラウドの導入・運用を長年積み重ねてきたアイレットの経験が、AI 時代にもそのまま強みになると見る。
「AI 時代においては、実際の業務経験がこれまで以上に重要になります。例えば後藤は、開発、営業、マネジメント、マーケティング、人材育成といった幅広い領域を横断して実務に深く携わってきた。だからこそ、現場に即した本当に役立つ AI 活用を考えることができる。そこは大きな武器ですよね」(齋藤氏)
そうした強みの土台にあるのが、創業期から変わらない顧客視点だ。会社のために何をするかではなく、まずは顧客のために何ができるかを考える。その姿勢が、アイレットの成長を支えてきた。齋藤氏も「お客様のためになることが、結果的に会社のためになる。そこは創業からずっとぶれていない」と語る。
さらに、変化を前にしたときのスピード感と、多様な人材を受け入れてきた土壌も、アイレットの強みだ。新しい技術に対して、まず動いてみる。その積み重ねが、いまのアイレットを形づくっている。
そして今、AI という大きな変化を前にして、後藤氏自身も、アイレットで培ったクラウド × AI 実装の知見を活用し、事業会社の経営レベルで AI を組織に実装する役割へと活動の場を移す。クラウド黎明期から現場で積み上げてきた知見が、いま経営の最前線で求められている時代になった、ということかもしれない。齋藤氏は、50代であえて新しい環境に飛び込もうとする後藤氏の決断に、最初は率直に驚いたという。アイレットの中でも、まだできることがあるのではないか。そんな思いもあった。それでも、AI を活用してビジネスの変革にチャレンジしたいという後藤氏の話を聞くうちに、その決断はむしろ自然なものに思えてきたと振り返る。
「後藤はビジネスのあらゆる領域に携わり、いまのアイレットをつくってくれました。そういう経験豊富なベテランが AI を使って、もう一度ビジネスの最前線で価値を出せる時代になっている。後藤にはぜひ、そのモデルケースになってほしいですね」(齋藤氏)
後藤氏もまた、これからのアイレットが見せる変化と成長に期待を込め、アドバイスとエールを送る。
「正直に言うと、変化のスピードは想像以上です。AI の進化も働き方の変化も、この数カ月で一気に進んでいる感覚があります。“少し触っている”だけでは足りなくて、本当に使っている人は仕事のやり方そのものが変わっているはずです。変化に対応しないままでいると、気づかないうちに自分の価値が下がっていく。その危機感はもっと持った方がいいと思っています。
しかし、逆に言えば、これだけ大きな変化が起きている今だからこそ、アイレットにとってはこれまで以上に高い目標を目指せるチャンスでもあるはず。これからどんな変化を見せてくれるのか、本当に楽しみです。外から見守る立場にはなりますが、アイレットにはこれからもトップを目指して挑戦を続けてほしいですし、その成長ぶりを見せつけてほしい。ずっと応援しています」(後藤氏)
その思いを受け、齋藤氏はアイレットのこれからをこう語る。
「アイレットはこれまでも、新しい技術の波に向き合いながら成長してきました。いまは AI という新しい変化が起きていますが、これも前向きに受け止めて、お客様の価値につなげていきたいと思っています。後藤には新しい場所で思い切り挑戦してほしいですし、私たちも負けないように、さらに上を目指していきたいですね」(齋藤氏)
クラウド黎明期から新しい技術に挑み、それを顧客価値へと変えてきたアイレット。そこで培ってきたノウハウと実績、そして顧客視点とスピードを軸にした文化は、AI 時代においても変わらない強みとなる。
クラウドの実績を次の武器へと変えながら、2026年4月1日にアイレットはKDDIアイレットとして新たな挑戦へ踏み出していく。
※この記事はアイレット株式会社による記事の転載です。
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