近年、企業の業種や規模に関わらず、ランサムウェアの被害が相次いでいる。サイバー攻撃の脅威は、もはや対岸の火事ではない。 ひとたび攻撃者の侵入を許してしまうと、事業の中断や信用の低下など、企業活動に大きな影響を及ぼす可能性も高い。

警察庁のデータによれば、ランサムウェア被害を受けた企業の約9割がバックアップを取得していたにもかかわらず、その多くが被害前の水準まで復元できなかったという実態が明らかになっている。「うちはバックアップを取っているから大丈夫」――そう過信している企業こそ危ないと、ワールドビジネスセンター(WBC) 事業本部 ソリューション技術部 ICTソリューション課 西口智氏は警鐘を鳴らす。

2026年に創立60周年を迎えるWBCは、病院や大学などの現場に長年常駐し、ITシステムの運用管理を支えてきた現場感を武器に、昨今の脅威に挑んでいる。同社が展開する「WBCクラウド セキュリティサービス」は、AIによる「防御」と、確実な復旧を保証する「保険」をセットで提供。その裏側には、コストを抑えつつ堅牢性を実現するための、緻密なサービス設計とWestern Digital製ストレージの存在があった。

従来の「システムバックアップ」ではランサムウェアに対抗できない

「これまでのバックアップは、あくまでハードウェア故障や誤操作、不具合などに備えるシステム障害対策でした。しかし昨今では、悪意を持ってバックアップそのものを破壊しに来るサイバー攻撃対策へのシフトが求められています」(西口氏)

  • ワールドビジネスセンター(WBC) 事業本部 ソリューション技術部 ICTソリューション課 西口智氏

    ワールドビジネスセンター(WBC) 事業本部 ソリューション技術部 ICTソリューション課 西口智氏

近年のランサムウェアは、まずバックアップデータを狙って暗号化し、復旧の手段を絶ってから本番環境を攻撃する。同じネットワーク内や常時接続されたストレージにバックアップがあると、丸ごと人質に取られてしまう。

西口氏は「100%防げると保証できるシステムはこの世に存在しない」と断言する。だからこそ、侵入されることを前提とした「保険」が必要だと言及する。

しかし、中小企業をはじめリソース不足に悩む組織にとって、高額なセキュリティ製品や複雑なBCP対策はハードルが高い。そこでWBCが現場の切実な声に応えるために開発したのが、「WBCクラウド セキュリティサービス」だ。

現場の切実な声から生まれた、WBC流・防御と保険の2段構え

WBCが提案するのは、「防御」と「保険」を組み合わせた現実的なアプローチだ。

まず防御の要となるのが、ディープラーニングを活用した次世代AIアンチウイルス「Deep Instinct」だ。従来のアンチウイルスや、侵入後の対応を主とするEDRとは異なり、未知のランサムウェアやマルウェアであっても実行前に検知・隔離する予防型のアプローチを採用している点が最大の特徴である。

Deep Instinctの選定理由について、西口氏は次のように語る。

「従来型のアンチウイルスやEDRでは、未知の脅威やゼロデイ攻撃を防ぎきれないケースが増えています。Deep Instinctは、深層学習によってマルウェアの特徴をAIが自己学習するため、実行前や攻撃前に極めて高い精度で検知・隔離が可能です。この『予防』のアプローチこそが、現場の運用負荷を下げる最適解だと判断しました」(西口氏)

万が一防御を突破された際の「保険」としての役割を果たすのが、WBCクラウドの「遠隔バックアップサービス」だ。侵入されることを前提に、ネットワークから隔離された安全な場所にデータを退避させておくことこそが、事業を守る最後の砦となる。

同サービスでは、クラウド環境を用意しなくても、重要なデータを簡単かつ安全に遠隔地の環境へプライベートバックアップすることが可能であり、コストと運用の課題を解決するための工夫が随所に凝らされている。

たとえば推奨の「Standardプラン」では、高機能なバックアップソフトが無償付帯するNASを採用。これにより、サーバーごとのライセンス費用を不要にし、導入コストの劇的な削減を実現した。また、IT専任者がいない企業でも運用できるよう、専用の簡易マニュアルも整備されている。

セキュリティ面でも妥協はない。NASのバックアップデータはイミュータブル(書き換え不可)な状態で保存されるため、万が一管理者権限が奪われてもデータの削除や暗号化を防ぐことが可能だ。さらに、その安全なバックアップデータは物理的に切り離された国内データセンターに遠隔保管し、海外IPアドレスからのアクセスを遮断するなど、純国産サービスならではの堅牢な設計となっている。

西口氏は、その開発思想を次のように語る。

「私たちがお届けしたいのは、ツールではなく安心です。現場を知り尽くしている私たちだからこそ、お客さまの手が届く価格帯で、かつ本当に必要な機能をパッケージとして提供できるのです」(西口氏)

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「高信頼」と「低コスト」のジレンマをどう解くか? 辿り着いたWestern Digitalという最適解

WBCの遠隔バックアップサービスが競合他社と一線を画すのは、その堅牢性とコストパフォーマンスの両立にある。その裏付けとなるのが、データの保管場所と、それを支えるストレージ基盤だ。

保管場所には、STNetが運営する「高松データセンター(Powerico)」を採用した。西口氏は「JDCC Tier4準拠という国内最高水準のファシリティに加え、今後30年以内の震度6強以上の地震発生確率が極めて低い香川県に位置しています。災害リスクの分散というBCP観点でも、これ以上の場所はありません」と説明する。

そして、その堅牢なデータセンター内で稼働するストレージ基盤として選定されたのが、Western DigitalのJBODプラットフォーム「Ultrastar Data60」と、同社のエンタープライズクラスHDD「Ultrastar DCシリーズ」である。

サービス設計当初、西口氏は「高信頼」「大容量」「低コスト」という相反する課題に直面していた。

「バックアップというコールドデータの長期保管が目的となるため、オールフラッシュのような超高速な性能はオーバースペックで、コストが合いません。かといって、安価な汎用サーバーでは信頼性に不安が残る。お客さまに安価にサービスを提供しつつ、絶対にデータをロストしない信頼性を担保する。これらの要件を両立できる選択肢が、エンタープライズグレードのHDDを搭載したUltrastar Data60だったのです」(西口氏)

「導入以来障害ゼロ」を支えるUltrastar Data60の真価

導入から2年以上が経過した現在、WBCの遠隔バックアップサービス基盤ではハードウェア障害ゼロという驚異的な安定稼働を続けている。

通常、高密度にHDDを搭載したストレージは、熱や振動による故障リスクと隣り合わせだ。その安定稼働を支えているのが、Western Digital独自の特許技術である。

まず、多数のHDDが同時に稼働する際に発生する振動に対しては、振動分離テクノロジー「IsoVibe」が機能する。HDDの振動を物理的に吸収・遮断することで、ディスク同士の相互干渉によるパフォーマンス低下や故障のリスクを最小限に抑える技術だ。

加えて、熱への対策として熱分布冷却テクノロジー「ArcticFlow」も搭載されている。これは、筐体内部に冷却風を効率的に送り込むための通り道を設けることで、手前から奥まですべてのHDDの温度を均一に保ち、熱だまりによるドライブの劣化を防ぐ仕組みになっている。

「以前、他社製サーバーを利用していた際は、数年でHDD故障が発生することもありました。しかしUltrastar Data60を採用してからは、何も問題は起こらず安定稼働を実現できています。運用管理者にとって何も起きないことほど有難いことはありません。このハードウェアへの信頼があるからこそ、私たちはお客さまに『安全です』と胸を張れるのです」(西口氏)

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また、安定稼働の裏側には、メーカーとの強固なパートナーシップがある。西口氏によると、特有のOS環境で構築する際、技術的な課題に直面することもあったというが、Western Digitalのエンジニアチームが検証段階から参画し、WBCと共に解決策を実装した。製品の調達にとどまらず、技術支援を含めた協力体制が敷かれていることが、WBCのサービスの継続性を担保しているのだ。

お客さまの隣で、共に成長するパートナーとして

ハードウェアの信頼性とコストパフォーマンスの良さは、そのままWBCのサービス競争力に直結している。浮いた運用コストやリソースを価格やサービス品質に還元できるからだ。

今後の展望として、WBCの直近の計画ではMicrosoft 365やGoogle Workspaceといったクラウド上のデータバックアップへの対応や、SDS(Software Defined Storage)技術を用いた基盤の拡張も視野に入れている。その際も、Western Digitalの製品は重要なコアコンポーネントであり続けるだろう。

「私たちは単なるシステム提供者ではなく、お客さまの隣で共に歩むパートナーでありたいと考えています。これからも現場の声に耳を傾け、信頼できる技術パートナーと共に企業の事業継続を支える確かな安心をお届けしていきます」(西口氏)

  • ワールドビジネスセンター(WBC) 事業本部 ソリューション技術部 ICTソリューション課 西口智氏

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