生成AIの登場から数年が経ち、その活用を模索するPoCの段階から本格導入のフェーズへと移行しつつある。AIはもはや一部の先進企業だけのものではなく、競争力の源泉として、あらゆる企業にとって不可欠な存在となった。

一方で、PoCの先へ進めないという停滞感に直面している企業も少なくない。その行く手を阻むのは、「高騰するインフラコスト」「AIを使いこなす人材の不足」、そして特定ベンダーの高性能GPUに依存する「供給不安」という"三重苦"だ。特に、GPUへの過度な依存は、多くの企業にとってAI活用の大きな障壁となっている。

AIを特別な技術から誰もが使える基盤へと変革すべく、インテルとSB C&Sが協業を本格化させている。"AI=GPU"だけではないという認識の変革に挑むインテルと、その技術を日本市場の隅々に実装するSB C&S。両者の協業は、日本企業がAI時代を勝ち抜くための新たな羅針盤となるか。SB C&Sプラットフォーム推進統括部 マーケティング1部 部長代行 高橋 智春 氏、インテル インダストリー事業本部シニア・ソリューション・アーキテクト 髙藤 良史 氏の証言から、その戦略を紐解く。

AI導入を阻む、物理的・経済的なハードル

近年、AI市場では、国の助成金を得た一部の大企業や、AIに明るい企業のみが先行する構図が続いていた。しかし、SB C&SでサーバーやAI関連プロダクトのマーケティングを統括する高橋氏によると、徐々に変化が起きているという。

「最近では中堅・中小企業でもAI投資の動きが活発化しています。特に多いのが、セキュリティへの懸念から、クラウドではなくオンプレミスでAIを動かしたいというニーズです。加えて、クラウドは使ったぶんだけ課金されるため、導入当初の想定に比べ思った以上に費用がかかるという声も多く、コストを管理できるオンプレミスを選ぶ企業も増えています。オンプレミスAIの導入は、これまで億単位の投資が必要な大規模なものが中心でしたが、最近はより小規模での導入も少しずつ進んできています」(高橋氏)

  • SB C&S株式会社 プラットフォーム推進統括部 マーケティング1部 部長代行 高橋 智春 氏

    SB C&S株式会社 プラットフォーム推進統括部 マーケティング1部 部長代行 高橋 智春 氏

ただし、オンプレミスAI導入には高いハードルが待ち構える。インテルでXeon® プロセッサーの活用提案を担う高藤氏は、技術選定におけるコストの課題を指摘する。

「AIを自社で導入しようにも、特定ベンダーのプラットフォームに依存せざるを得ず、コストが高すぎることが大きな壁になっています。2カ月前の常識が古くなってしまうような世界で、無制限にコストがかかる状況は避けねばなりません」(高藤氏)

これに加えて高橋氏は「AIインフラはラック単位で巨大化・高電力化し、水冷設備が必須になるなど、既存のデータセンターでは対応できないケースも出てきています」と、物理的な制約の深刻さも指摘する。

高価なハードウェアコストと物理的な設置環境。まず、この2つのハードルが、多くの企業のAI導入を阻んでいる。

経済的ハードルを下げる、GPUだけではない選択肢

こうした課題に対し、まずインテルが提示するのは、"AI=GPU"だけではない、適材適所の技術ポートフォリオだ。その中核をなすのが、CPU内蔵のAIアクセラレーション機能「インテル® アドバンスト・マトリクス・エクステンション (インテル® AMX)」である。

「『AIの処理には高性能なGPUが必須』というイメージが強いですが、実はCPUで十分に処理できるAIワークロードは数多く存在します。インテルの第4世代 Xeon® プロセッサー以降にはインテル® AMXが標準搭載されており、CPU内部でディープラーニングの推論や学習に不可欠な行列演算を直接高速化することが可能です。AIワークロードの軽量化や、ハイブリッド環境での分散処理にとって非常に有効です」(高藤氏)

  • 資料・インテルAMXについて

つまり、インテル® AMXにより、これまでGPUが必要とされていたような処理もCPU単体で実行できるようになる。高藤氏によると、社内のチャットボットやニュースの翻訳といった用途で使われる、80億パラメーター規模の大規模言語モデル(LLM)であれば、インテル® AMXを搭載したインテル® Xeon® プロセッサーのCPUだけで十分に対応できるという。画像認識におけるフィルタリング処理なども得意で、高藤氏は「数年前の技術では難しかったレベルの処理が可能です。すべてのAIに高級なGPUを用意するのではなく、適材適所でCPUを活用することで、コストを抑えながらAIの恩恵を受けられるのです」と語る。

「インテル® AMXは、AIインフラに新たな選択肢を与えてくれる画期的な技術です。特に中堅企業やエッジ環境では、高価なGPUを導入するよりもインテル® AMX対応のインテル® Xeon® プロセッサーが適しているケースも多いでしょう。コスト、消費電力、供給の安定性といった観点からも、まさにAIを民主化する技術だと感じています」(高藤氏)

  • インテル株式会社 インダストリー事業本部シニア・ソリューション・アーキテクト 髙藤 良史 氏

    インテル株式会社 インダストリー事業本部シニア・ソリューション・アーキテクト 髙藤 良史 氏

物理インフラと人材——SB C&Sが越える実践の壁

インテルの技術によって最適なハードウェアを選定できても、AI導入の挑戦は終わらない。前述の物理的な設置場所の問題、そして、すべてが揃ったとしても、最後に立ちはだかる人材という、シンプルだが最大の壁が待ち構えているからだ。

この実践における複合的な課題を一手に引き受け、解決へと導くのが、ITディストリビューターとして全国4万7000拠点への販売網を持つSB C&Sだ。

まず、SB C&Sはグローバルなデジタルインフラストラクチャ企業®︎であるエクイニクスとの協業によって、深刻化する物理インフラの課題に対応している。最新のAIサーバーが必要とする電力や冷却要件を満たす施設をコロケーションサービスとして提供することで、企業がハードウェアの性能を最大限に引き出せる環境そのものを構築している。

  • 資料・エクイニクスAI対応データセンターに関して

そして、この強力なインフラの上でAIを使いこなす人材を育てるための挑戦も加速させている。高橋氏は「AIサーバーをどう動かすか、それを設計・実装できる実践的なスキルを持つ技術者が圧倒的に不足しています」と課題の根深さを指摘したうえで、「AIの普及を支えるのは"モノ"と"ヒト"の両輪です。私たちは、お客さまに最適なハードウェアを提供すると同時に、AIを使える人材を育てることこそが、AI社会の土台を作ると信じています」と語る。

その信念を裏付けるのが、SB C&S自身の実践だ。 「SB C&Sは成長戦略の一つに「AIへのフォーカス」を掲げ、業務効率化および生産性向上を目的にAIを活用した業務改革に積極的に取り組んでいます。例えばソフトバンクグループの一員として、社員全員がAIエージェントを作る取り組みを実践しています。また、ソフトバンクが提供するAI定着化プログラム『Axross Recipe』を導入しております。これはエンジニアからビジネスパーソンまで、誰もがAIのプログラムやナレッジ、活用Tipsを投稿・共有できる実践的なプラットフォームで、AI人材の育成と、生成AIの業務定着を支援するものです。AI教育および定着化を促進したい企業様へ当社からもこの『Axross Recipe』の販売・提供も行っております。」(高橋氏)

  • 資料・ソフトバンクのAI教育サービスについて

さらにSB C&Sは、AIサーバー導入の技術者向け実践の場として「C&S AI INNOVATION FACTORY」を開設。ここでは、インテルの最新CPUを搭載したサーバーなどに実際に触れ、技術を学び、自社の課題で検証を行うことができる。

技術×市場×教育の三位一体で拓く、AI民主化の未来

インテルのオープンかつ高性能な技術と、SB C&Sの市場への深い理解、そして人材育成。この2社が手を組むことで、日本市場のAIエコシステム構築が加速する。

「私たちディストリビューターの使命は、インテル® AMXやインテル® Gaudi® 3 AI アクセラレーターといった革新技術の良さを正しく理解し、お客さまの課題に合わせた適材適所の提案を行うことです。特定の情報や視点に偏ることなく、お客さまの選択肢を広く保てるよう、最適なソリューションを届けたい。そのために、インテルと共に技術検証や技術者育成をさらに深めていきたいと考えています」(高橋氏)

  • おふたりの写真

高藤氏も「現在のAI市場はそのポテンシャルに対してまだ小さく、今後さらに拡大が見込まれるなかでは、多様な選択肢があって当然です」と応じ、SB C&Sの圧倒的な販売網と、ソフトバンクグループ全体でAIを推進する実行力に強い信頼を寄せる。

両社が共有するのは、「AIを、すべての企業へ。そして、すべての人へ」というビジョンだ。AIがもたらす恩恵を、一部の巨大企業だけでなく、日本の産業を支えるすべての中堅・中小企業へ、そして社会全体へ届ける。その実現に向けた挑戦が、今まさに本格化している。

AI活用へ向けた最初の一歩は「とにかく触れてみること」

こうしたなか、これからAI活用を始めたい、あるいは再挑戦したいと考えている経営者や担当者は、まず何をすべきか。両氏は口を揃えて「とにかく、触れてみること」と語る。

「AIは、まず『やってみないとわからない』ものです。私たち自身も、社内でAIエージェントを作ってみるなど、日々試行錯誤しています。購入のハードルが高いと感じるなら、まずはC&S AI INNOVATION FACTORYのような場を活用して、何ができるのかを試すところから始めてみてください」(高橋氏)

「AIは『触るところから始まる』と思います。たとえば、インテルが提供している『インテル® AI for Enterprise Inference』という仕組みなどを活用すれば、驚くほど簡単にAIを体験できます。AIに聞けば、実装方法も教えてくれます。その小さな一歩が、『こんなこともできるのか』という大きな発見につながるはずです」(高藤氏)

AIを動かす力は、テクノロジーと人の共創から生まれる。インテルとSB C&Sは、AIの導入からインフラ、そして教育までをトータルで支え、企業の挑戦を未来へとつないでいく。

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