Synology Japanは11月14日、東京ポートシティ竹芝 ポートホールにて年次カンファレンス「Synology Solution Day 2025」を開催した。設立25周年という節目を迎えたSynologyが、エンタープライズ市場に向けて最新のソリューションを披露する同イベントには、多くのビジネスユーザーやシステムインテグレーターが集結した。

Synologyが提示する、企業のデータ活用と保護の新たな地平とは。本稿では、「ストレージ」「AI・生産性」「データ保護」「映像監視」をテーマに繰り広げられた各セッションの内容を、トークセッションの模様も交えながらレポートする。

オープニング:25年の感謝とエンタープライズ市場への揺るぎないコミットメント 

イベントは、Synology Japan 取締役社長 間宮基晴氏によるオープニングスピーチで幕を開けた。

  • オープニングスピーチに登壇した、Synology Japan 取締役社長 間宮 基晴氏

    Synology Japan 取締役社長 間宮基晴氏

同氏はまず、設立25周年を迎えられたことへの感謝を表明。「25年という歴史はエンタープライズストレージ業界のなかでも長い部類に入る。これまで培った経験を基に、10年、20年先に向けた革新を支えるエンタープライズ製品を日本のマーケットに提供していく」と力強く宣言した。

また、同社が2年連続で2桁成長を達成しているという好調な業績にも触れ、トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパをはじめとする数々の導入事例を紹介。ビジネスの成功が顧客やパートナー企業に支えられていることを強調した。

さらに同氏は、2025年のトピックとして、バックアップ専用アプライアンス「DPシリーズ(Synology ActiveProtect)」のリリースや、Gartner Peer Insightsで5点満点中4.8という高評価を獲得したことを挙げ、エンタープライズ市場での存在感が高まっていることをアピール。「皆さまのITシステム、ビジネスに対して生産性、収益性、効率性が高まるアイデアが見つけられる。そんなイベントになれば幸い」だと述べ、各セッションへの期待感を高めた。

セッション1:次世代エンタープライズストレージ - 高性能と高拡張性を両立する新シリーズ登場 

最初のセッションでは、Synology Japan セールスアカウントマネージャーの斉藤怜平氏が登壇。進化し続ける市場と顧客ニーズに応える新たなエンタープライズストレージソリューションを発表した。

  • セッション1「Synologyで実現する次世代エンタープライズストレージ」に登壇した、Synology Japanセールスアカウントマネージャー斉藤 怜平氏

    Synology Japan セールスアカウントマネージャー 斉藤怜平氏

同氏は、エンタープライズストレージにおける最重要課題はセキュリティと効率性であると指摘。Synologyはこれまで、OSであるSynology DiskStation Manager(DSM)を基盤に、多要素認証によるセキュリティ確保や、データ圧縮・重複排除、アクセス頻度に応じたデータの自動階層化を行う「Synology Tiering」、拠点間のデータ同期を効率化する「Hybrid Share」といったソリューションでこれらの課題に応えてきたと振り返った。

しかし、エンタープライズの領域では、これを超える性能や拡張性が求められるケースもある。その要求に応えるべく、Synologyが次のステップとして投入するのが、新しい2つのシリーズ「PASシリーズ」と「GSシリーズ」だ。

ミッションクリティカル領域に踏み込む「PASシリーズ」

「PASシリーズ」は、データベースや仮想環境など、極めて高いパフォーマンスと可用性が求められるワークロードをターゲットとした、アクティブ - アクティブ構成のデュアルコントローラーストレージだ。

特に、フラッグシップモデルとなる「PAS7700」は、Synology初のエンドツーエンドNVMe(Non-Volatile Memory Express)アーキテクチャを採用。最大200万IOPSの4Kランダムリード、30GB/sのシーケンシャルリード、1ミリ秒未満のレイテンシーという業界トップクラスの性能を誇る。セッションでは、1分以内に1000台の仮想デスクトップを一斉起動するVDI環境のデモが披露され、ピーク時に120万IOPSを超える負荷がかかっても難なく処理する様子が示された。

また、管理用とデータアクセス用のネットワークを物理的に分離したり、自己暗号化ドライブ(SED)をサポートしたりするなど、エンタープライズグレードのセキュリティと可用性を確保。新しい専用OS「PAM(Parallel Active Manager)」を搭載し、ミッションクリティカルな領域に万全の体制で臨む 。

  • PASシリーズのフラグシップモデルとして発表されたPAS7700

    PASシリーズのフラグシップモデルとして発表されたPAS7700

非構造化データ時代に対応する「GSシリーズ」

一方の「GSシリーズ」は、企業のデータのうち80%以上を占めるとされる非構造化データ管理の課題を解決するスケールアウト型ストレージだ。

新登場の「GS3400」は、ノードを追加するごとに容量だけでなくパフォーマンスと信頼性も向上するスケールアウトの利点を活かし、1クラスターあたり最大48ノード、最大11.5PBまで拡張可能。ファイル共有(SMB/NFS)とオブジェクトストレージ(S3 API)の両方を単一システムでサポートし、データのサイロ化を解消する。データ保護にはイレイジャーコーディングを採用し、高い信頼性を確保。さらに、管理のシンプルさを第一に設計されているため、管理は専用OS「GridStation Manager」の一元化されたインターフェースで簡単に行える。

斉藤氏は「PASおよびGSシリーズが追加されることで、パフォーマンス重視から容量重視まで、幅広いニーズに合わせたより完璧なストレージラインアップを提供できる」と述べ、ハードウェアとソフトウェアが統合されたSynologyならではのエコシステムのさらなる強化をアピールし、セッションを締めくくった。

トークセッション【ストレージ】:Synologyと東芝が語る、データ爆発時代におけるHDDの価値

続いて、東芝デバイス&ストレージ ストレージプロダクツ事業部 営業責任者 ストレージプロダクツ営業推進統括部 ゼネラルマネージャー 外山淳史氏をゲストに迎え、間宮氏とのトークセッションが行われた。

  • トークセッション(テーマ:ストレージ)ゲストの、東芝デバイス&ストレージ ストレージプロダクツ事業部 営業責任者 ストレージプロダクツ営業推進統括部 ゼネラルマネージャー 外山 淳史氏

    東芝デバイス&ストレージ株式会社 ストレージプロダクツ事業部 営業責任者 ストレージプロダクツ営業推進統括部 ゼネラルマネージャー 外山淳史氏

SynologyはNAS向けHDDの多くを東芝から調達しており、両社は2025年に戦略的パートナーシップも結んでいる。

外山氏は、世界で生成されるデータ量が2029年には527ZBに達するというIDCの予測を提示。「生成されるデータのうち、ストレージに保存されているのは5%未満。データの活用の機会を最大化することは、ストレージ業界にとって社会の発展に貢献できる重要な方向性」と語った。

そして、データ爆発時代においてHDDが果たす役割の重要性を強調。「HDDはSSDに比べて約1/6のコストで大容量化を実現できる。特に大容量が求められるデータセンター領域では8割以上がHDD」と述べ、今後もHDDがストレージ市場の中核を担い続けるとの見方を示した。東芝としては、2029年以降に50TB以上の製品化を目指すなど、大容量化に向けた技術開発を継続していくという。

両社のパートナーシップについて外山氏は、「Synology社と同等のテスト評価環境を社内に構築し、フィールドの使用環境に関するデータも共有・解析している。これにより安定的かつ信頼性の高い製品供給が可能になる」とその内容を明かした。間宮氏も「ここまで密に情報を連携しているストレージベンダーとHDDベンダーは他にない」と応じ、両社の強固な協力体制がユーザーに高い価値を提供していることをアピールした。

セッション2:SynologyとAI - プライベートクラウドで実現する安全で効率的なワークフロー

Synology Japan 営業部 セールスアカウントマネージャー 杉岡真衣氏は、企業のDXを支援する生産性向上ソリューションについて講演した。

  • セッション 2「SynologyとAI 効率的で安全なワークフローの実現」に登壇したセールスアカウントマネージャー杉岡 真衣氏

    Synology Japan 営業部 セールスアカウントマネージャー 杉岡真衣氏

同氏は、多くの企業がデータ主権や統合、クラウドにおけるデータ保護のコスト、セキュリティに課題を感じている現状を指摘。これに対し、「Synology Office Suite」は、100%のデータ所有権を維持できるオンプレミス型生産性ソリューションとして、ファイル管理・共有基盤「Synology Drive」や各種オフィスアプリを提供してきた。

さらに、本イベントで日本初公開となる、新しいオンプレミス・コミュニケーションプラットフォーム「Synology ChatPlus」と「Synology Meet」が発表された。ChatPlusは1万人以上の同時ユーザーに対応可能なビジネスチャット、Meetは最大7000人が参加できるビデオ会議システムで、機密性の高いコミュニケーションをすべてプライベートクラウド内で完結できる。

そして、セッションの核となったのがAI機能の本格導入だ。2025年8月にメールやオフィス文書の作成・要約を支援するAIアシスタント機能をリリースしたのに続き、今後はGPU搭載NASモデルを投入し、セマンティック検索やOCR、画像認識といった、より高度なAI機能を提供していくと発表された。

これらのAI機能を統合管理するのが「Synology AI Console」だ。IT管理者はこのコンソールを通じて、サードパーティの大規模言語モデル(LLM)や自社構築のAIサーバと連携させ、ユーザーのアクセス権限や利用状況を一元管理できる。大きな特長は、機密情報が外部のAIモデルに学習データとして利用されるのを防ぐデータ匿名化機能だ。個人名や独自に定義した従業員IDなどを自動でマスキングし、安全性を確保したうえでAIの恩恵を享受できる。

杉岡氏は「企業がAIツールを迅速かつ安全に導入し、そしてAI変革を達成できるよう支援する」と述べ、SynologyがプライベートクラウドAIの分野で企業の生産性向上を強力に後押ししていく姿勢を示した。

セッション3:ActiveProtectで解き明かすサイバー攻撃とレジリエンス

再び登壇した斉藤怜平氏は、現代のビジネスにおける最大の脅威であるサイバー攻撃への対策をテーマにセッションを展開した。

同氏は「現代のサイバー攻撃はビジネスそのものを麻痺させ、二度と復旧できないようにすることを目的としており、従来のバックアップだけでは不十分」と警鐘を鳴らし、サイバーレジリエンスの重要性を説いた。そのために必要な要素として「耐久性」「可視性」「監査性」の3つを挙げたうえで、これらをオールインワンで満たすソリューションがバックアップ専用アプライアンス「ActiveProtect」であると紹介した。

耐久性

ActiveProtectは、ソフトウェアとハードウェアが統合されている強みを活かし、柔軟なWORMによるイミュータブル保護や、ネットワークから物理的または論理的にバックアップデータを隔離するエアギャップといった堅牢なデータ保護機能を提供。攻撃者がバックアップデータに到達すること自体を困難にする。

可視性

複数のActiveProtectや、既存のNASで稼働する「Active Backup for Business」を、単一のインターフェースで最大で2500台まで一元管理できるクラスターアーキテクチャを採用。バックアップ環境全体の状況を容易に把握できる。

監査性

全ての操作ログを詳細に記録し、コンプライアンス要件に対応。また、古いデータを安価なストレージへ自動的に移動させるデータ階層化機能も備え、コストを抑えつつ監査要件を満たす長期保管を実現する。

斉藤氏は、ソフトウェアとハードウェアが一体となった"オールSynology"であることのメリットも強調。モデル選定や構築がシンプルで、障害発生時の原因切り分けも容易な点を挙げ、「コストや複雑さを理由にサイバー攻撃対策を妥協する必要はない」と訴えかけた。

セッション4:監視のその先へ - データが守る未来の安全

Synology Japan 営業部 サベイランスセールスエンジニア 齋藤満氏は、AIの活用によって大きく進化する監視ソリューションの現在と未来を解説した。

  • セッション4 「監視のその先へ データが守る未来の安全」に登壇した、サベイランスセールスエンジニア齋藤 満氏

    Synology Japan 営業部 サベイランスセールスエンジニア 齋藤満氏

同氏は、人手による監視が中心だった従来型システムの課題を挙げ、Synologyが目指すのは「スマートな監視システム」であると定義。その核となるのが、「高い拡張性」「能動的なアラート」「高い信頼性」の3つだ。

高い拡張性

新製品としてPoEスイッチを発表。カメラから録画サーバ、スイッチまでをSynology製品で統一し、管理を簡素化。また、複数拠点のカメラを最大3万台まで一元管理できるCMS(Centralized Management System)により、ビジネスの成長に合わせてシステムを容易に拡張することが可能だ。

能動的なアラート

SynologyカメラやDVA(Deep Learning Analytics)シリーズが持つAI解析機能が進化。従来の人物・車両検知に加え、煙検知やプライバシーに配慮した動的モザイク機能が追加された。さらに、新製品「DVA7400」には、自然言語で映像を検索できるセマンティック検索が搭載され、「赤いテスラ」や「銃を持つ人物」といった曖昧な条件でも目的のシーンを瞬時に探し出せる様子がデモで示された。

信頼性

サーバの二重化や通信の暗号化など、システムの安定稼働とセキュリティを支える機能も充実している。

さらに、新たなラインアップとして、サーバ不要で手軽に導入できるクラウドベースの監視ソリューション「C2 Surveillance」を発表。これにより、ユーザーはオンプレミスかクラウドかを自由に選択できるようになる。将来的には両者を統合管理するハイブリッドな監視プラットフォームを目指すという。齋藤氏は「人の目による監視からAIを活用したスマートな監視へ。お客さまの安全をより簡単に効率的に守ることができると考えている」と締めくくった。

トークセッション【監視ソリューション】:SIerが見たSynologyの強みと未来への期待 

最後のセッションでは、セキュリティカメラシステムの構築・販売を手掛けるガリレオ 代表取締役社長 佐藤弘和氏が登壇。長年Synology製品を取り扱ってきたシステムインテグレーターの視点から、間宮氏と語り合った。

  • トークセッション(テーマ:監視ソリューション) ゲストの、ガリレオ 代表取締役社長 佐藤 弘和氏

    株式会社ガリレオ 代表取締役社長 佐藤弘和氏

佐藤氏は、Synologyの監視ソリューションを評価する点として、まずサードパーティ製カメラとも連携できる柔軟性と、豊富なNASラインアップによるコストパフォーマンスの高さを挙げた。「お客さまの求めるセキュリティシステムを提案できる」と、その価値を語る。

セッションで発表された新製品群にも期待を寄せ、「PoEスイッチはトラブル時の切り分けに役立つ。セマンティック検索はお客さまが直感的に使えるので喜ばれるはず」と現場目線でコメントした。

ガリレオが手掛けた導入事例として、3拠点のカメラ70台以上をCMSとVPNルーター「RT6600ax」で統合した案件を紹介。サーバを置けない拠点には、エッジ録画が可能なカメラ「BC500」を活用したという。「長期保存の案件にもSynologyはタフで、故障率も低く安定性がある」と、その信頼性に太鼓判を押した。

今後の期待として佐藤氏は、生成AIによるユーザーアシスト機能やマーケティング用のAI分析アプリの充実を挙げた。「導入先のお客さまの売上が上がるようなデータ活用があれば、さらに価値が高まる」と、監視データをビジネスに活かす未来像を語り、セッションは締めくくられた。

総合ソリューションプロバイダーとして新たなステージへ

Synology Solution Day 2025は、NAS専業メーカーとして発展してきた同社が、企業のデータにまつわるあらゆる課題を解決する総合ソリューションプロバイダーへと大きく飛躍を遂げたことを明確に示すイベントとなった。

セッション間の休憩時間には、ホワイエに設けられたデモ展示エリアが多くの来場者で賑わいを見せていた。発表されたばかりの新製品の実機や、パートナー企業による連携ソリューションなどが展示され、来場者は熱心に説明員の解説に耳を傾けていた。

  • ホワイエにて実施されたデモ展示エリアの様子

    デモ展示エリアの様子

高性能・高拡張性を両立する次世代ストレージ、プライベートクラウド環境で安全に活用できるAI、サイバーレジリエンスを実現するデータ保護、そしてスマート化を極める監視ソリューション。これら4つの柱を支えるハードウェアとソフトウェアが、Synologyならではのエコシステムのなかで有機的に連携し、新たな価値を生み出していく——。データがビジネスの生命線となる現代において、Synologyが描く未来像は、多くの企業にとってDXを加速させるための力強い道しるべとなるだろう。

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