レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(以下、レノボ)は、AIを活用した社会課題の解決に向けたソリューションの共創および実証を目的とするアイデアソン「Lenovo AI Innovation Challenge 2026」を9月17日、30日に開催した。

社会課題を解決するアイデアを募集した本アイデアソンでは、社会課題への貢献度、新規性、技術的実現性などの観点から審査が行われ、フォーティエンスコンサルティング(※)の有志で結成された「赤ポチ同好会」が優勝した。赤ポチ同好会は、「ドーナツが売り切れて買えない」という身近で具体的な課題を題材に、リアルタイム需要予測AIを提案した。

そこで、赤ポチ同好会の3人と当日、審査員を務めたレノボの早川氏に、優勝したアイデアのポイントや優勝賞品として贈られたインテル® Core™ Ultraプロセッサーを搭載したエッジサーバー「Lenovo ThinkEdge SE100」の特徴や活用方法について聞いた。

(※)2025年10月1日より株式会社クニエからフォーティエンスコンサルティング株式会社に社名変更
  • 【人物写真】レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 早川 哲郎 氏、フォーティエンスコンサルティング 横山 亮 氏、下平 和広 氏、庄野 恒太 氏の集合写真

プロフィール(左から)

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ソリューションアーキテクト本部 本部長 インフラストラクチャー・ソリューションズ・グループ 早川 哲郎 氏

社内ではSEマネージャーおよび顧客に新しいテクノロジーを届けるエバンジェリスト的な役割を担う。「Lenovo AI Innovation Challenge 2026」では、審査員を務めた。


フォーティエンスコンサルティング シニアマネージャー 横山 亮 氏

社内で最新のテクノロジーを活用した経営戦略の立案や業務改革のコンサルティングを行う。優勝チーム「赤ポチ同好会」のリーダー。


フォーティエンスコンサルティング コンサルタント 下平 和広 氏

社内ではマネージャーの横山氏のもとでコンサルティング業務を担当。生成AIを含めた最新テクノロジーのビジネス適用やデータ分析に強みを持つ。「赤ポチ同好会」のメンバー。


フォーティエンスコンサルティング コンサルタント 庄野 恒太 氏

横山氏と同担当。中でも大規模システム開発のプロジェクトマネジメントに強みを持つ。「赤ポチ同好会」のメンバー。


「赤ポチ同好会」は、なぜアイデアソンに参加したのか

― 今回のアイデアソンを開催された目的を教えてください。

早川氏:弊社は4年ほど前からエッジサーバーという新しいカテゴリのサーバーを提供しています。一般的に、サーバーというとタワー型やラック型、ブレード型を指し、コンピュータルームに置くものというイメージですが、エッジサーバーは、一般のオフィスや店舗、倉庫、工場などに置くことを想定したものです。こういった場所では、これまでFAコンピューターといわれるものが使われていましたが、こういったこれまでサーバーが導入されていなかった領域での使われ方は、あまり定義されていない状態です。そこで、エッジサーバーをどうやって活用するのかについて、ユーザーやインテグレーターの方に考えてもらいたいというのが開催した理由です。

  • 【人物写真】レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 早川 哲郎 氏

    レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ソリューションアーキテクト本部 本部長 インフラストラクチャー・ソリューションズ・グループ 早川 哲郎 氏

― フォーティエンスコンサルティングの会社概要を教えてください。

横山氏:弊社はビジネスコンサルティングファームとして、グローバルで事業を展開する製造業や小売業をはじめ、金融、公益サービス、政府・自治体まで幅広い業界のお客様に対し、経営戦略の立案や業務改革を支援しています。社内には専門領域ごとのチームが存在しており、深い業務理解と最新のテクノロジーを掛け合わせ、コンサルティングサービスを提供しています。単なる戦略の提案だけではなく、実際にお客様の現場に入り込み、お客様とともに改革を進め成果創出まで伴走する支援を強みとしています。

  • 【人物写真】フォーティエンスコンサルティング 横山 亮 氏

    フォーティエンスコンサルティング シニアマネージャー 横山 亮 氏

― 「Lenovo AI Innovation Challenge 2026」に挑戦した経緯を教えてください。

横山氏:若手コンサルタントは、通常、プロジェクトの中で成果を出しながら成長していくものですが、時代や技術の変化が加速する中、それだけでは成長のスピードが遅いと感じています。だからこそ、メンバーにはプロジェクト以外の場でも、自ら考え抜き、手を動かし、提案する経験を積み、主体的に成長してほしい――それが今回の参加をお願いした理由です。今回の「Lenovo AI Innovation Challenge 2026」の話を聞いて、部下のモチベーションや、テクノロジーに対する理解力、提案力アップにもつながると思い、興味がありそうな下平と庄野をメンバーに誘いました。

― メンバーに誘われた際、二人はどう思いましたか?

下平氏:私は喜んで参加しました。私自身は、こういうアイデアソンに以前も参加したことがあったので、やりやすかったと思っています。普段の業務と異なり、プロトタイプを実際に作っていくという違いはありましたが、大筋のところは似ているので、良い機会をいただいたと思っています。

  • 【人物写真】フォーティエンスコンサルティング 下平 和広 氏

    フォーティエンスコンサルティング コンサルタント 下平 和広 氏

庄野氏:私も学生時代にアイデアソンやハッカソンに出場した経験がありましたので、今回のアイデアソンには喜んで参加しました。自分自身は、サーバーを組み立てたこともなく、エッジコンピューティングに関する知見もなかったので、知らない世界に飛び込んでみたいという興味もありました。今回参加したことは、経験としてかなり大きいと思います。

  • 【人物写真】フォーティエンスコンサルティング 庄野 恒太 氏

    フォーティエンスコンサルティング コンサルタント 庄野 恒太 氏

「赤ポチ同好会」が取り組んだ社会課題とその解決策とは

― 今回応募したアイデアは、いつぐらいから考え、どうやってまとめていきましたか?

横山氏:チーム組成をしたのは8月の中旬です。準優勝のチームも私が集めたメンバーです。製造業、小売業から社会課題を考え、それをどう解決するのがよいのかなど、それぞれの業界を分析するところから始めました。各メンバーは、自身のプロジェクトを抱えているので、業務が終わった18時や19時くらいに集まってディスカッションしました。

― 提出したアイデアは、ドーナツ屋さんの食品ロスをどう防ぐのかということがテーマでしたが、このアイデアは、どのように生まれたのですか?

庄野氏:アイデアを出す際に、日常抱えている不満をとりあえず挙げていこうと話になりました。私の住んでいる近所に有名なドーナツのチェーン店があり、よく行くのですが、ショーケースからドーナツを取って会計を終えるまでにいつもすごく時間がかかっていました。そこで、行列が少ない閉店間際に行くと、その時間には欲しいドーナツがなくなっているということがよくあります。これはどうにかならないのかという感想を持ったところから、このアイデアが始まりました。

― 具体的なアイデアは、どういったものですか?

下平氏:簡単にいうと、店舗個別の需要予測になります。大きな飲食チェーン店では、本部から各店舗に対して、「商品をこれくらい作ってください」というオーダーが来ます。それでは、その店舗の特性があまり考慮されていないというのが実情です。そこで、エッジサーバーを使い、各店舗の状況を分析し、補正することによって、その店舗独自の需要予測をしていこうと考えました。具体的には、天気や行列の状況、店舗の近くでイベントがあるのかといった状況を加味した上で、ドーナツの需要を予測します。これによって、社会課題になっているフードロス問題を解消でき、庄野のように、食べたい商品の在庫がないという状況も解消できる形になっています。

  • アイデアソン当日の様子

    アイデアソン当日の様子

― 需要予測に使うデータとしては、どういったものがありますか?

下平氏:店舗前の人流、属性(性別・年代)、天候、店舗の在庫情報をリアルタイムで分析し、需要予測を補正する需要予測システム「EdgeKKD」を提案しました。

横山氏:大規模クラウドで行っている、店舗ごとの販売実績データを集めて処理するものがアイデアのベースになっています。ただ、これだと過去の実績から店舗ごとに平均値を算出することになります。そのため、急に雨が降ってきたり、工事が行われたり、大きなイベントが開催されたりなど、店舗付近で起こるさまざまな出来事に対しては補正が効きません。そこで、天気や人通りの映像を使いながら、その場で補正するための情報をエッジで処理し、大規模クラウドでの平均的な予測を補正していくというアイデアが今回の提案です。

私たちの担当は、企業におけるAI活用を強みにしており、これまで、数多くの導入支援実績があります。これらのほとんどは大規模クラウドを利用するものですが、天気など、店舗ごとの環境変化に応じて在庫を補正するといったことは、大規模クラウドが一番苦手とするところです。もちろん、これらの環境変化の情報をすべてデータ化し、構造化してクラウドにアップすれば処理は可能です。しかし、構造データを整えたり、データを上げるためのインフラを用意したりすると大きなコストがかかるため、多くの会社がそこまでは手を出し切れていません。それを今回、エッジサーバーを活用して、その場で処理して補正することを可能にしたところが、今回の大きなポイントです。

エッジサーバーを使うメリットとは

― アイデアでとくに意識したポイントはありますか?

庄野氏:エッジサーバーでの強みを活かすという部分は、かなり細かく検証しました。いろいろなアイデアが出ましたが、「それはエッジではなく、クラウドでもよいのではないか」「店舗のPCで計算してもよいのではないか」など、エッジサーバーを使う意味・効果という視点は、かなり踏み込んで考えたと思っています。

レノボさんのエッジサーバーはかなり堅牢性も高く、環境が悪いところでも使える点やリアルタイム性、クラウドを利用する場合に比べてデータの使用量が少なくて済む点など、エッジサーバーを使うメリットが多くありました。

横山氏:そのほか、エッジサーバーを使うメリットとして、プライバシーの観点もあります。画像や映像には人が映っていますので、それをクラウドにあげてしまうと、いろいろなところにデータが蓄積され、もしそのデータが流出してしまうと、大きな問題になります。また、そもそも人の顔写真は、個人情報です。データを店舗にあるエッジサーバー上で処理してすぐに廃棄できるのは、セキュリティ上のメリットもあります。

― 人通りに関しては、どのようにデータを算出しているのですか?

下平氏:人通りに関しては、カメラ映像を分析し、男/女、年代、人数をカウントしています。年齢に関しては。用意していただいた、OpenVINO(※)のCVライブラリを利用して、1歳刻みで判定しています。

(※)OpenVINO…インテルが提供するディープラーニング推論高速化ツール。画像関係や自然言語処理、音声処理などのAIモデルの推論を最適化できる。

― レノボさんが、赤ポチ同好会のアイデアで評価されたポイントは何でしょうか?

早川氏:まず、エッジサーバーを利用することをきちんと意識されているところです。セキュリティやデータ転送量をミニマイズにできるなど、そういった観点はエッジサーバー活用の大きなメリットだと思いました。もう一つは、ドーナツ屋さんのサプライチェーンというよりも、店内で物を作ってその日のうちに販売するところは、適用できる業種が少ない中で、ピンポイントでアイデアを見つけてきたというのが私の印象です。

― 今回優勝した点に関して、社内ではどういった反応がありましたか?

横山氏:社内報にも掲載され、いろいろな人から、「おめでとう」といわれました。弊社の中でもAIを活用したプロジェクトの認知度が高まったと思っています。また、社外のブランディングにもだいぶ貢献できたと思っています。

「Lenovo ThinkEdge SE100」と特徴と活用方法

― 今回、アイデアソンではレノボ製のエッジサーバーが全チームに貸し出されました。また優勝賞品としても「Lenovo ThinkEdge SE100」が贈られましたね。

早川氏:はい。ThinkEdge SE100はノートPCを一回り大きくしたような、非常にコンパクトなサイズのエッジサーバーです。そのため、どこにでも置けるというが一つの特徴です。壁に張ったり、天井に吊るしたり、そういう使い方もできるようになっています。

またセキュリティ面では、サーバーの蓋を開けるとセンサーが感知し、サーバーが立ち上がらなくなる耐タンパー性、GPUを搭載し、重いAI処理をさせることができるフレキシブルな構成をとれる点が特徴です。

  • 【製品画像】Lenovo ThinkEdge SE100

    Lenovo ThinkEdge SE100

― フォーティエンスコンサルティングでは、優勝の副賞であるLenovo ThinkEdge SE100を、今後どのように活用していきますか?

横山氏:今回、弊社からは2チームがアイデアソンに参加しましたが、これで終わらせるのではなく、お客様へ提案できるようアイデアをブラッシュアップしていくことが必要だと思っています。それをお客様にデモする際に、ThinkEdge SE100を使わせていただくことを考えています。

― レノボとしては、Lenovo ThinkEdge SE100の活用方法をどのように考えていますか?

早川氏:エッジはどこでも使えるサーバーで、最近だと幕張メッセのような人がたくさん集まるイベントで、トイレの混雑状況をAIによって可視化する用途でも使われています。そういった、日常の「困りごと」をテクノロジーで解決していく役割が、エッジサーバーにあると思っていますので、そういったユースケースを作っていきたいと思います。

赤ポチ同好会が考える今後のAI活用とは

― 普段の業務で、AIの活用について最近感じるところはありますか?

横山氏:2023年にOpenAIがChatGPTを出して以来、業務に活用したいという声をたくさんいただいています。現状、生成AIは議事録や文書の作成、翻訳など、いわゆるオフィスワークにおける活用が多い印象です。AIエージェントが生まれて、それをうまく活用して業務変革を行っていくことは、まさにこれからといったところです。今後は、AIエージェントによる業務変革を支援していこうと思っています。

下平氏:私がAIに期待している点は、AIを用いてお客さまの課題解決を行うことです。それは単純に、我々がやっている業務をAIに置き換えるという話ではなく、その前段階から変えて、業務フローごと変革していくことも含めて考えていきたいと思っています。それぞれのお客さまがさまざまな課題を抱える中で、「エッジサーバーを1つ導入すればOK」という未来があってもいいと思っています。

庄野氏:生成AIをどう使うのかという視点で考えるのではなく、その前提として、業務をどう変えていきたいかを考えなければ、生成AIを導入しても効果がないということになります。やはり、原点として業務課題をどのように解決していくのかをベースに考えていくのが大事だと考えています。

― ありがとうございました。

  • 【人物写真】レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 早川 哲郎 氏、フォーティエンスコンサルティング 横山 亮 氏、下平 和広 氏、庄野 恒太 氏の集合写真
  • 【ロゴ画像】レノボ、インテル
  • 【ロゴ画像】Xeon6

Lenovo AI Innovation Challenge 2026 アフターレポート前編

Lenovo AI Innovation Challenge 2026 アフターレポート後編

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