生成AIの進化は、ここ数年で企業の業務環境を大きく変えつつあります。日本企業でも導入検討や試験利用が急速に広がり、すでに「業務に本格的に取り入れている」と回答する企業も少なくありません。インターネットイニシアティブ(IIJ)が2024年2月に実施したアンケートによれば、生成AIを活用している企業は、「試しで利用している」「導入を検討している」「情報収集予定」といった層を合わせると約7割にも達し、その関心の高さがうかがえます。
しかしその利用用途としては、報告書や議事録の要約、文章作成や添削、アイデア出し、プログラムコード生成などが中心です。データ解析基盤やFAQシステム構築といった高度な応用ができている企業は、まだまだ少数派であるといえるでしょう。
このような状況下で注目されるのが、Microsoftが提供する二つの生成AIサービス「Copilot for Microsoft 365」と「Azure OpenAI Service」です。では、これらをどう使い分けていけばよいのか――。今回はそのポイントについて解説します。
共通業務を効率化する「Copilot for Microsoft 365」
Copilot for Microsoft 365は、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなど、日常的に利用されるMicrosoft 365アプリケーションに生成AI機能を統合したサービスです。従来のチャット型AIと違い、単にテキスト回答を返すだけでなく、アプリケーション内で直接動作を実行できるのは大きな魅力といえるでしょう。
たとえばExcelで「テーブルから時系列の売上グラフを作って」と指示すれば、自分で関数を組むことなくグラフを生成できます。PowerPointでは、既存のドキュメントから自動的にプレゼン資料を作成し、適切な画像を選んでレイアウトまで整えてくれます。Wordでは要約や構成提案、SWOT分析など、従来は担当者が一から考える必要があった作業を効率化します。特別なスキルや手間をかけなくとも、これらを自然言語で指示できる点は、大きな魅力でしょう。
導入する際も実にカンタン。既存のMicrosoft 365ライセンスにアドオン契約するだけで利用することができ、初期構築の負担はほとんどありません。Copilot for Microsoft 365は、まさに「共通業務の効率化」に最適な選択肢といえるでしょう。
カスタム業務に強いAzure OpenAI Service
一方、Azure OpenAI Serviceは、OpenAI社のGPTモデルをMicrosoft Azure上で利用できる唯一のパブリックサービスです。Copilotが「既存アプリに組み込まれた便利機能」であるのに対し、Azure OpenAI Serviceは「自社システムに生成AIを組み込むための基盤」と位置づけられるでしょう。
Microsoft Azure上の閉じた環境で構築するため、セキュリティ面での不安なく自社のデータを安全に活用することができます。
さらにその応用範囲も広大。たとえば社内FAQや問い合わせ履歴をもとに自動回答する仕組みを構築すれば、問い合わせ対応工数を大幅に削減することが可能。また顧客からの問い合わせの要約やキーワード分析を通じてマーケティング戦略を強化したり、ユーザ履歴に基づくパーソナライズサービスを提供したりと、さまざまな使い方をすることができます。
ただし導入には、Azureサブスクリプション作成、アクセス申請、モデルデプロイなどの初期構築が必要となります。また標準でチャットUIや会話履歴DBが備わっていないため、インタフェース開発や履歴管理を自社で設計しなければならない点も注意です。
そこさえ乗り越えれば、「自社データと連携した高度な生成AI活用」に最適なAzure OpenAI Serviceは、企業の独自サービスに付加価値を与える基盤となります。
生成AI導入のポイントとは
導入時に初期構築が必要となるAzure OpenAI Serviceですが、その導入にあたってはデータ漏えい対策、ガバナンス強化、利用状況の分析とコスト最適化といった観点も欠かせません。ExpressRouteやVnetによる閉域接続、Entra IDによるアクセス制御、禁止ワード設定などが必要となるのです。
こうした専門知識が必要となるフェーズにおいて、頼もしいパートナーとなるのがIIJです。IIJはMicrosoft認定CSPとして、Copilot for Microsoft 365のライセンス提供に加え、Azure OpenAI Service導入支援も行っています。特にTeamsをインタフェースとして連携させるソリューションを提供し、検証をスピーディに進められる点は企業にとって大きなメリットです。
ログ分析を通じて利用状況を把握し、用途に応じてモデルを使い分ければ、コストを抑えて生成AIを活用することも可能。IIJはこうした相談にも乗ってくれる、強い味方です。
まずは段階的な導入も検討を
まとめると、Copilot for Microsoft 365は導入の容易さと即効性が魅力的な「すぐに使える業務効率化ツール」、Azure OpenAI Serviceは柔軟性と拡張性が強みの「自社システムに組み込む生成AI基盤」と整理することができます。
企業が生成AIを戦略的に活用するには、まずCopilotで日常業務の効率化を進め、次のステップとしてAzure OpenAI Serviceで自社データやサービスに深く統合する――こんなステップが現実的といえるでしょう。
いまや生成AIは単なる業務効率化の道具ではなく、顧客体験やサービス価値を高める「新しいビジネス基盤」として位置づけられつつあります。
スムーズに生成AIを導入し、そのうえで機能を拡張していくためには、Microsoftのこれら二つのサービスを適切に使い分けることが不可欠です。生成AIの波はすでにどのような企業にも押し寄せています。いち早く活用を始めることが、成長の鍵を握るのです。
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