AIの普及に伴い、クラウドだけでなくPC上でもAI処理ができる機能を搭載する方向性が示されている現在。AI活用を進めていきたい企業にとって、AIの性能を最大限に引き出すためのハードウェア選定が重要なテーマとなってくる。そこで今回注目するのが、Snapdragon搭載の「Copilot+ PC」だ。かつてアプリケーションの互換性で不安視される声もあったSnapdragonの現状、そしてSnapdragon搭載のCopilot+ PC が持つ可能性とは。今回は、日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)、クアルコムシーディーエムエーテクノロジーズ(以下、クアルコム)、そしてTECH+編集長が集い、Snapdragon搭載のCopilot+ PC の有用性とクアルコムの取り組みについて語っていただいた。その内容をお届けする。

AI活用の高度化が既定路線となる中で

  • (写真)実際に座談会をしているところ

    実際の座談会の様子

近年、AIの活用は幅広い分野に浸透し、ビジネスの現場では調べものや文章・画像生成など、日常業務の効率化にAIを活用するケースが増えている。AIは進化を続けており、Microsoft からはMicrosoft 365 や3rd PartyアプリケーションにローカルAI処理を組み込む方針が示された。クラウドに依存せずPC上でAIが動作する時代が近づいていると言えるだろう。AIはより高速かつ安全に業務の中核を担えるようになるのだ。

ただし、この進化を最大限に活かすにはハードウェア選定が不可欠だ。ローカルAI処理に対応していないPCは、今後のAI活用のボトルネックとなる可能性がある。便利な機能をフルに使いこなすためには、AI専用の処理ユニット「NPU(Neural Processing Unit)」を搭載し、一定以上の性能を備えたCopilot+ PC のような機種を選ぶ必要があるという。

クラウドAIの「3つの課題」を解決するCopilot+ PC

NPUを搭載し、ローカル環境でAIを動かせる「AI PC」は、クラウド依存の課題を解決する新しい選択肢だ。その中でも「Copilot+ PC」は、Microsoftが提唱した、40TOPS以上の性能を持つNPUを搭載したAI PCであり、ローカルAIとクラウドAIを組み合わせたハイブリッドなAI体験を提供する。

ローカルAIを利用できるメリットをクアルコムの山徳氏は次のように述べた。

「大きく3つのメリットがあります。第一に『処理が速い』こと。クラウドにデータを送る必要がないので、AIの反応が非常に速いんです。第二に『ネットがなくても使える』こと。出張先や移動中でもネット環境に左右されず、いつでもAIがサポートしてくれます。そして第三に『プライバシーが守られる』こと。データをクラウドに送らず、PCの中だけで処理するので、機密性の非常に高い情報を取り扱う業務でも、安心してAIを活用することができます。」(クアルコム 山徳氏)

これらのメリットはAIを業務の中核に据えて活用していく上で大きな安心材料になるだろう。

  • (写真)旧モデルに比べて一回りコンパクトな最新モデルのSnapdragon搭載のCopilot+ PC 

    旧モデルに比べて一回りコンパクトな最新モデルは持ち運びやすく外出にも最適

Copilot+ PCが持つポテンシャルを最大限に引き出せるPCとは

ここ半年で、オンプレミスのサーバーでAI処理を行うなど、ローカルでできることは格段に増えている。ビジネスPC市場に新風を巻き起こすCopilot+ PC は、現時点で最もポピュラーなローカルAIの形の一つといえるだろう。

その中でもCopilot+ PCのポテンシャルを最大限に引き出すPCとしては、Microsoft Surface に代表されるSnapdragon搭載のCopilot+ PC が挙げられる。JBSの梅田氏はその魅力をこう語る。

「Snapdragonの魅力は、なんといっても『電源効率とパフォーマンスの両立』です。実際、電池の持ちがすごい、と驚きの声をいただいています。日帰り出張でも充電器無しで支障なく業務ができた、なんていう話も耳にしました。」(JBS 梅田氏)

では、そこまでの電源効率を実現できる要因はどこにあるのか。クアルコムの山徳氏はさらにこう説明する。

「Snapdragonはもともと、スマートフォン向けのチップセットとして有名になった背景があります。スマートフォンは電源と繋がずに使うことが前提ですよね。ですから、省電力性にとても優れています。また、弊社はCPU・GPU・NPUなどの主要な半導体の開発設計を自社で行っており、それらのコンポーネントを最適化して、SoC(※)としてPCメーカー様にご提供しております。

たとえば弊社のNPUは、AIの実行処理をする際、CPUやGPUとは独立して処理を行いCPUやGPUに負荷がかからないため、消費電力を抑えることができます。このような工夫により、バッテリー駆動のみで一日中ご利用いただけるようなPCをご提供できるのです。」(クアルコム 山徳氏)

※SoC(System on a Chip):デバイスの動作に不可欠なCPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)、NPU(AI専用処理ユニット)といった複数の機能を、1つの半導体チップ上に統合したもの。

  • (図版)Snapdragon搭載の特徴

    Snapdragonの特徴

互換性の課題を克服し進化するSnapdragon

今後、現場でAI活用が進むにつれて、Copilot+ PC の導入はさらに拡大していくと見込まれる。一方で以前、「Snapdragonは互換性に懸念がある」と話題になっていたが、現在その状況はどうなっているのだろうか。

「この一年で状況は大きく変わりました。ほとんどのプリンターメーカー様は、自社のWebサイトでSnapdragonへの対応を正式に表明されております。また、主要なアプリケーションも90%以上はネイティブ対応しました。さらに、Windows 11 の2024年10月版からは、『Prism』というSnapdragon向けのエミュレーションが標準搭載されていますので、従来のアプリケーションも、ほぼすべてが正常に動作しております。」(クアルコム 山徳氏)

さらに、山徳氏はこう続ける。

「私たちの一番の反省は、どのアプリケーションが動作するのか、あるいは未対応なのか、公表していなかったことです。そこで、この夏から、Microsoftと共同で動作確認したSnapdragon版WindowsアプリのデータベースをWebサイトで公開しています。現在5,000を超えるアプリケーションが掲載されており、バージョンごとに確認できるようになっています。」(クアルコム 山徳氏)

これらのことから、Snapdragon版Windowsの互換性問題は、山徳氏の説明により、過去の懸念から脱却したことが示された。

  • (図版)Snapdragonに対応している多くのアプリケーションの図

さらに、PC調達においてはコスト面も重要な要素だ。オンデバイスでAI処理が可能なCopilot+ PCは、通常のPCより割高な印象があるが、その点についてどうだろうか。JBSの梅田氏はこう語る。

「実は、Snapdragonは他の最新モデルよりコストを抑えられているんです。コストメリットがありながら、先進的な機能が使える。おまけに電池の保ちも良い。このバランスの高さが、Snapdragonの大きな魅力です。」(JBS 梅田氏)

コストメリットに加え、先進的な機能が利用でき、さらに電池の持ちも優れている。このバランスによって、Copilot+ PC の導入ハードルは大きく下がるだろう。Snapdragon搭載のCopilot+ PCは今後、AI活用現場の標準機として定着していく可能性が高い。

人事戦略と働き方改革の観点からも、Snapdragon搭載のCopilot+ PCは有力な選択肢に

ここまでの内容から、AI活用を前提とした新しい業務スタイルを進めたい企業にとって、Snapdragon搭載のCopilot+ PC が大きな可能性を秘めていることは明らかとなった。今後、企業のAI活用が深化するにつれ、その存在感はさらに高まっていくだろう。

さらに「今後、AI PCが全社員に導入される未来も近いのだろうか」という問いに対し、マイナビ TECH+編集長の小林は次のように答える。

「もちろん、全社員への一斉導入を今すぐに、ということは難しいかもしれません。しかし、ここまでの話を聞いていて、『これは単なるPCの話ではなく、全社的なDXの起点になるのでは』と感じました。エースプレイヤーや部長職など、より高いパフォーマンスが求められる人材には大きな武器になりますし、逆に、時短勤務や業務に不慣れな方の業務支援にも貢献します。人事戦略や働き方改革の観点からも、Snapdragon搭載のCopilot+ PCは新たな選択肢として十分検討に値する存在だと感じます。」(マイナビ TECH+編集長 小林)

Copilot+ PCが単なる業務端末ではなく、企業のDX推進や人事戦略にまで影響を与える可能性があるという見方もでき、Snapdragon搭載のCopilot+ PCは、生産性向上と働き方改革を同時に実現するための有力な選択肢となり得ることも分かる。

さらにクアルコムの山徳氏もこう語る。

「クアルコムとしては、ウルトラプレミアムPCにご採用いただくSnapdragon X Eliteから、エントリーモデルのX Plusまで、さまざまな選択肢をご提案できることが強みです。さらに先日開催されたSnapdragon Summit 2025では、次世代のSoCも発表されました。さらなる進化をぜひ楽しみにしてください。」(クアルコム 山徳氏)

  • (図版)Snapdragon✖CPU 製品群

今回の座談会を通じて、Snapdragon製品に対する印象は大きく変わった。かつて互換性で不安視されていたこともあったが、その懸念はすでに過去のものだ。クアルコムの取り組みにより、性能、省電力、コストメリットを兼ね備えたSnapdragon搭載のCopilot+ PC は、AI活用を本格化させたい企業にとって、今や有力な選択肢であり、この流れがさらに広がっていくことを期待したい。

  • (写真)集合写真

関連リンク

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<関連製品>

  • (写真)Snapdragon搭載のCopilot+ PC 
Surface Pro 12 インチ(画像)は、軽量約686gのコンパクトボディに最新 Snapdragon® X Plus を搭載し、最大45TOPSのNPUによる圧倒的なAI処理能力を備えた Copilot+ PC です。持ち運びやすい洗練されたデザインと165度まで展開可能なキックスタンドで、どこでも快適な作業環境を実現。最大約16時間駆動の長時間バッテリーと USB-C® 急速充電に対応し、移動の多い一日も安心です。12インチ PixelSense™ タッチディスプレイは反射防止やアダプティブカラーに対応し、屋内外で鮮明な視認性を提供。さらに Wi-Fi 7 や Bluetooth® Core 5.4による高速接続、Surface スリムペンや Copilot キーでの直感的な操作、Windows Studio エフェクト対応カメラなど、創造性と生産性を新次元へ導きます。Microsoft Pluton 搭載のSecured-Core PC やWindows Hello などによる強固なセキュリティで、ビジネスにも安心して活用できる一台です。

<登壇者紹介>

(写真)日本ビジネスシステムズ株式会社 新井美里氏

新井美里氏(日本ビジネスシステムズ株式会社)
AIトランスフォーメーション事業本部 AIセールス部 主任
Microsoft 365 Copilot やCopilot Studio のサービス企画・営業推進を担当。社内外での勉強会やイベント登壇も多数。今回の座談会では司会進行を務める。

(写真)日本ビジネスシステムズ株式会社 梅田倫之氏

梅田倫之氏(日本ビジネスシステムズ株式会社)
パートナーアライアンス本部 モダンワーク&セキュリティ部 デバイスソリューション課
Microsoft SurfaceをはじめとするPC端末の販売を担当。現場の声をもとに、Copilot+ PC の導入効果や実用性を紹介し、企業のPC選定における新たな視点を提示する。

(写真)クアルコムシーディーエムエーテクノロジーズ 山徳愛爾氏

山徳愛爾氏(クアルコムシーディーエムエーテクノロジーズ)
セールス ダイレクター
クアルコムで営業を担当。Snapdragon搭載のCopilot+ PCの技術的な強みや互換性、今後の展望について解説。

(写真)株式会社マイナビ 小林行雄

小林行雄(株式会社マイナビ)
TECH+編集長
ITメディアの視点から、情報システム部門を持つ企業のAI活用やDX推進におけるCopilot+ PC の可能性を語る。

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