9月17日、30日の2日間にわたり開催された、レノボ主催のアイデアソン「Lenovo AI Innovation Challenge」。職場で抱える現場課題を生成AIで解決することをテーマに、9社10チームが参加。各社の個性を生かしたユニークなアイデアが多数生まれ、有意義なイベントとなりました。

前編ではオープニングセッションと、30日に開催されたプレゼンテーションの内容の一部についてレポートしました。本稿では、プレゼンテーションの後半と、表彰式の模様についてレポートします。

  • アイデアソンでの審査風景・結果発表の様子

多様な業種におけるユニークなアイデアが続々発表

「Lenovo AI Innovation Challenge」では、AI研究者で株式会社GenesisAI代表取締役社長/CEO、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)客員教授を務める今井翔太氏のほか、レノボ、インテル、NECパーソナルコンピュータ、TBSテレビ、東芝、SCREENホールディングス、マイナビから有識者が出席。アイデア力、社会課題解決への貢献度と実用可能性、新規性・競合優位性、技術実現性、Lenovo製品との相性の5つの観点から審査を行いました。

後半の各社におけるプレゼンテーションの内容は次のとおりです。

6.Celebal Technologies 株式会社

Celebal Technologiesは、インドのジャイプールに本社を置く、グローバルITソリューション企業で、2023年1月に日本法人が設立されています。同社は、ビデオデータのAI分析をテーマにプレゼンテーションを行いました。

具体的には、組織全体に分散されたインサイトの統合、運用上のリスクの低減、複雑なビデオデータからの実用的なインサイトの抽出、環境に応じたエッジAIの活用などが課題になっているといいます。これらの課題解決のために、同社はエンタープライズ向けのテクニカルアーキテクチャを提案。IPカメラからデータを収集し、クラウドで開発したAIモデルをエッジにデプロイする仕組みを説明しました。その実例として、ソーラーパネルの損傷を検出するシステムを紹介。クラウドでは約10秒かかる分析が、エッジでは1秒程度で実行可能とのことです。質疑応答では、具体的なユースケースなどについての質問が出ていました。

  • 人物画像_Celebal Technologies 株式会社のプレゼンター

7.環境カウンセラー千葉県協議会

環境カウンセラー千葉県協議会が提案するのは、AIを活用した地域コミュニケーション・見守りシステムです。2024年、日本の高齢者世帯数は総世帯数の約30%となる1721万世帯に上っており、うち単独高齢者数は903万人に及ぶといいます。こうした社会では、高齢者世帯へのサポートが欠かせません。しかし、現状の見守りシステムで即時対応するにはどうしても本人による通知が主体で、特に単身世帯では異常検知・判断が遅れがちになってしまいます。

そこで同組織は、ノートPCとAIを組み合わせた「普段使いの非常用システム」を提案。ユーザーの日常的なPC利用パターンをAIが分析して異常を検知する仕組みや、分電盤の電力量測定によるアプローチなども紹介しました。質疑応答では、高齢者にPCを使ってもらうための仕掛けについての質問などが出ました。

  • 人物画像_環境カウンセラー千葉県協議会のプレゼンター

8.株式会社松風

歯科材料および歯科用機器の製造・販売で国内トップシェアを誇る株式会社松風。同社で社内基幹システムの運用管理や内製システムの開発・保守を担当する情報システム部門メンバーが提案するのは、「AIによる設計・手順書の標準化」です。というのも、設計書や手順書における書き方や表現が人によって異なり、情報量のばらつきが大きいことで、技術継承や業務引き継ぎがうまくいかない状況が生じているからです。

同社が提案するAIソリューションでは、人間が作成した設計書をAIに学習させ、誰が作成しても一貫性のある標準化された資料作成を実現するといいます。事業の関係上、機密性の高いデータを取り扱っている同社にとって、セキュアなエッジAI環境は高く評価できる点とのことです。質疑応答では、フォーマットを統一することと、フォーマットを使わずAIで処理することの違いについての質問などが出ていました。

  • 人物画像_株式会社松風のプレゼンター

9.株式会社ソニックムーブ(チーム:オンリーロンリーグローリー)

株式会社ソニックムーブが提案するのは、高齢者向けのAIカスタマーサポートシステム「めがもちゃん」です。発表者は自身の祖父がPCでビデオ通話をしようとした際に苦労した経験から、高齢者にとってFAQを読むのが困難だったり、チャットボットで文字入力するのに苦痛を感じたりするという課題を指摘しました。

その課題解決として提案された「めがもちゃん」は、会話形式で問題解決を行うAIシステム。24時間対応で、レイテンシーゼロの音声対話が可能、メーカー公式サイトなどの一次情報を優先して抽出し、回答するといった特徴があります。デモでは、実際にユーザーがPCの故障について質問し、AIが対話形式で解決を提案する様子が実演されました。発表によると、高齢者全体でインターネットの使い方ががわからない人は777万人に上るとのこと。このシステムにより、この777万人のデジタルデバイドを解消し、社会課題の解決に貢献できるとのことです。質疑応答では、どのようにPCを高齢者に使ってもらうのか、その方法についての質問などが出ていました。

  • 人物画像_株式会社ソニックムーブのプレゼンター

10. フォーティエンスコンサルティング株式会社(チーム:YOGA-nize)

※2025年10月1日より株式会社クニエからフォーティエンスコンサルティング株式会社に社名変更 フォーティエンスコンサルティングのYOGA-nizeが提案するのは、製造企業などの熟練工の技術と「魂」を継承するためのAIシステム「魂魄」です。日本の労働者人口減少に伴い、熟練工の技術継承先として外国人労働者の重要性が増しています。しかし、口下手な人が多い熟練工と、日本語が不自由な外国人労働者の間には、言語や文化など様々な壁があり、なかなか技術継承が進みません。

そこで、両者の仲介役を担うのが「魂魄」です。このシステムは、レノボのAI技術を活用し、コンパクトなThinkEdge一つで導入できるため、大規模なシステム投資を行いにくい中小企業にも適しているとのこと。また、ローカルで処理するため、情報漏洩リスクもゼロとのことです。デモでは、熟練工の動きを動画で記録し、AIが会話を外国人労働者向けのやさしい日本語に変換したり、外国人労働者の動きを採点したりする様子が実演されました。質疑応答では、動きを採点する計算方法などについての質問が出ていました。

  • 人物画像_フォーティエンスコンサルティング株式会社のプレゼンター

優勝はフォーティエンスコンサルティング(チーム:赤ポチ同好会)の需要予測AI

すべてのプレゼンテーションが終了し、審査員による厳正な審査を経て、結果発表と表彰が行われました。

まず、第3位はオプテージです。マイナビの谷本氏からは、アパレル業界の課題に対する解決方法として、顧客体験につながるリアルタイム性が高く評価されたとの講評がありました。また、精緻なROIを算出した点もAIのコストに対する安心感につながったとのことです。

また、東芝の堺氏は、課題発見から解決までのプロセスと、ビジネスの観点での実装方法が評価されたとコメントしました。

続いて、準優勝に選ばれたのはフォーティエンスコンサルティングのチーム:YOGA-nize。今井氏は、同社の具体的な技術提案と質疑応答における回答を高く評価。職人技の再現という社会課題に対するソリューションを提示した点を称賛しました。

インテルの幸村氏は、具体的なチャレンジの定義から解決策までの提案、そしてOpenVINOを活用した点を高く評価しました。

そして優勝に輝いたのは、フォーティエンスコンサルティングのチーム:赤ポチ同好会でした。今井氏は、「ドーナツが売り切れて買えない」というわかりやすい課題に対し、ローカルエッジAIで解決するという提案が、現場の具体的な課題解決という点で高評価だったとコメントしました。

また、レノボの早川氏は、店内調理でリアルタイムに在庫が変動するドーナツ屋という業態に絞った提案内容と、そこにエッジサーバーをマッチさせた提案内容を高く評価したと述べました。

  • 人物画像_優勝したフォーティエンスコンサルティングの赤ポチ同好会のプレゼンター

    優勝した、フォーティエンスコンサルティングの赤ポチ同好会

レノボは今後も現場の課題解決につながるAI活用を推進する

最後に、レノボエンタープライズソリューション合同会社 代表取締役社長 張磊氏が登壇。「レノボという会社は技術を推進していますが、“技術のための技術”にしたいとは思いません。皆さんの会社でも、上司から『うちもAIをやろう』と言われることもあるかもしれませんが、それでは結局、現場の課題解決につながらないことも多いです。今日、表彰された3社だけでなく、すべてのチームが本当にすばらしい結果を出してくれました。またこのような取り組みを続けていきたいと思います」とコメントしました。

  • 人物画像_レノボエンタープライズソリューション合同会社 代表取締役社長 張磊氏

    レノボエンタープライズソリューション合同会社 代表取締役社長 張磊 氏

レノボのThinkEdgeサーバーや、インテルのOpenVINOといった技術を活用し、現場の課題解決をテーマにさまざまなアイデアが生まれた「Lenovo AI Innovation Challenge」。

企業における生成AIのユースケースが注目される今、まさに求められているイベントだったのではないでしょうか。レノボでは同様の取り組みを今後も続けていきたいとのこと。現場課題にフォーカスした同社の次の動きに注目です。

  • アイデアソン参加者の集合写真

前編の記事はこちら

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