中期経営計画のもとDX戦略を推進している清水建設が、デバイス管理基盤を高度化させている。同社では、オフィスで働く職員すべてにスマートフォンを、建設現場などで働く職員すべてにiPadをそれぞれ配布し、デバイスを活用したデジタル変革に取り組んできた。そこで活用したのがOmnissa Workspace ONEだ。
現在は、Workspace ONEを使って、スマートフォンのキッティングから、デスクトップPCの管理、デバイスへの電子証明書やアプリケーションの配付までを行う。本記事では、清水建設がWorkspace ONEを全端末に導入するにあたり、各フェーズで直面した課題と、それに対してWorkspace ONEがどのように応えたのか、そして今後への期待を紹介する。
4万台のデバイス、100種類のアプリをWorkspace ONEで安全に利用
事業構造・技術・人財のイノベーションを通じて社会に新たな価値を提供する「スマートイノベーションカンパニー」の具現化を目指し、中期DX戦略〈2024-2026〉を推進する清水建設。DX戦略の重点施策として「組織横断DX推進体制の構築」「DX人財の育成」「環境変化に強いIT基盤の整備」を掲げ、インフラやセキュリティ面からは、システムユーザーが安心・安全に高い利便性で業務を遂行できる体制の整備を進める。
DX経営推進室 基盤システム部長の室井俊一氏は、基盤システムの重要性についてこう話す。
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清水建設株式会社 DX経営推進室 基盤システム部長 室井俊一氏
「2024年にデジタル戦略推進室をDX経営推進室に名称変更し、業務とデジタルの変革を両輪で推進する体制としました。特に基盤インフラについては、セキュリティ面で従来のようなネットワークの防御だけでなく、PCやデバイスなどエッジからクラウドまでを含めたゼロトラストでの防御が重要になっています。PCに加え、スマートフォン、タブレットなどさまざまな環境に対応しながら、業務の標準化とデジタル活用を進める必要があります」(室井氏)
清水建設では、派遣社員を含めオフィスで働くすべての職員向けに1人1台のPCとスマートフォン(iPhoneやAndroid)を配布し、フリーアドレスのもと柔軟で多様な働き方をサポートしている。また、施工現場で働く職員約1万人にもタブレット(iPad)を配布し、施工管理や検査、棚卸しなどを行うアプリケーションで職員の生産性向上を支援している。PC、スマートフォン、iPadを中心に全社で管理するデバイス数は4万台規模に達し、職員に提供しているアプリケーションの数は100種類にも及ぶ。
「こうした多様なデバイスを効率的かつセキュアに管理するため、デバイス管理ツールであるWorkspace ONEを2017年に導入し、継続的に利用してきました。PCやスマートフォンの管理にとどまらず、今後は、VR・ARといった新しいデバイスの現場活用も視野に入ってきています。Workspace ONEは清水建設のデジタル変革、業務変革の推進のためになくてはならないデバイス管理基盤になっています」(室井氏)
スマートフォンからデスクトップPCまでリモートワイプ可能な環境を構築
清水建設がWorkspace ONEを導入した理由は、グローバルスタンダードな製品であり、機能が豊富で運用負荷が低かったためだという。また、継続的に利用し続けてきた理由としては、全社的に利用する基盤としての利便性、セキュリティ、信頼性の高さがあった。基盤システム部 システム運営グループ グループ長 越智崇文氏はこう話す。
「フリーアドレスを採用したことで、社員はPCやスマートフォンを常に持ち歩くようになり、自宅や出張先に持ち出す機会が大きく増えました。また、現場の職員にもiPadを配布したことで、屋外にある可搬性の高いデバイスを安全に管理する必要性が高まっていました。そこで重要な機能として求められたのがリモートワイプです。当社では、業務データの保存にクラウドストレージを利用していますが、デバイスにもさまざまなデータを保存できるようにして社員の利便性を高めています。確実にリモートワイプができることで、社員は安心して業務をこなすことができるようになります」(越智氏)
以前利用していたMDM(モバイルデバイス管理)ツールでは、機能や対応デバイスに制約があり、リモートワイプの確実性にも懸念があった。また、コロナ禍以降のリモートワーク対応でPCの管理やリモートワイプも必要になったが、Workspace ONEは、そうした環境変化にも柔軟に対応できる製品だったことを評価した。システム運営グループ 主査 清宮康介氏はこう話す。
「Workspace ONEがあったことで、元々あった基盤で展開を進めることができ、新たなインフラ構築や設計も不要でスムーズに進めることができました。紛失時の連絡を受け、対応をするヘルプデスクの教育も最小限で済み、運用の移行も問題ありませんでした。2025年からは、デスクトップPCにも導入を進めてきました。というのも、社内のネットワークの認証方式が変更になる関係で、全デバイスに電子証明書を配布する必要があったからです。Workspace ONEは、証明書を配布するための基盤の統一にも役立っています。現在は、当社のPC、スマートフォン、iPadすべてをWorkspace ONEで管理する環境として活用しています」(清宮氏)
定例ミーティングで利用状況を共有しながら、スムーズに課題を解決
Workspace ONEを導入して8年経過するが、このように利便性向上やセキュリティ強化、業務効率化、信頼性向上などさまざまな面で複合的な効果が現れている。Workspace ONEの運用を担当している基盤システム部 システム運営グループ 西岡直輝氏は、こう話す。
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清水建設株式会社 DX経営推進室 基盤システム部 システム運営グループ 西岡直輝氏
「当社では、毎月300台、多いときは1,000台以上、スマートフォンやiPadのキッティングを行っています。以前のMDMでは2時間以上かかっていたキッティング作業が、Workspace ONE導入後は90分程度に大幅に短縮されました。また多くの場合、アプリケーションやプロファイルのダウンロード&インストールの待機時間が中心となっているため、時間以上にキッティング工数の削減につながっています。さらに現在、スマートフォンの標準機種をiPhoneに統一する施策を展開中です。Apple Business Manager(ABM)とWorkspace ONEを連携させることで、すべてのデバイスを確実に管理下に置いて100%の統制を実現できます。この強固な管理体制は、運用面で極めて高い安心感があるだけでなく、アプリケーションやポリシーの配布により、従業員への各種DX施策を迅速展開できるというメリットがあります」(西岡氏)
利用するうえで大きく役立っているのが、Omnissaが提供するサポート体制だという。
「Workspace ONE関連の作業でつまずくことはまずありません。というのも、さまざまな相談にスムーズに乗っていただけるからです。定例ミーティングでも、実際の画面を見ながら情報を共有し、迅速に問題解決を図ります。当社の状況を理解してくれているので、例えば、バージョンアップや機能追加時の展開方法の相談でも、実施前と事後にどのような確認・設定を行わなければならないかなど、調整がスムーズで的確なアドバイスをいただくことができます。インストールコマンドの確認や基盤側の設定、証明書の発行基盤との連携設定など細かなところまでサポートいただけます」(清宮氏)
バージョンアップしたWorkspace ONEに移行し、DXを加速させていく
Omnissaのサボートでは、利用状況にあわせてライセンス変更の相談にも乗ってくれることを高く評価している。清水建設では、現在のStandardライセンスから、よりエンタープライズ向けの機能を充実させ、価格も最適化されたEssentialsライセンスへの変更を予定しているという。
「特定のポリシーが適用されていない端末へのケアを自動化するなど、今までよりも高度で効率的な運用を実現したいためです。ライセンス変更によって、Intelligenceの機能強化とFreestyle Orchestratorという機能が利用できるようになります。これらにより、ポリシー適用の自動化や統制面での強化が可能になります。こうした相談にも積極的に乗ってくれることがWorkspace ONEを利用する魅力の1つです」(越智氏)
また、新しい機能としては、最新の情報だけでなく、ある時点での端末の状態がどうであったかを確認できる「Point-in-time dashboards」に期待している。月末や月初の時点で端末の状態を把握し、ソフトウェアやWindowsパッチのインストール状況の進捗を簡単に確認できるようになるという。
さらに、AIによる運用のアシスト機能にも期待を寄せる。
「デバイスの状態はWorkspace ONEに集約されています。その情報を活用すれば平常状態=ベースラインとして学習し、ベースラインから外れた挙動について、検知、通知できるようになるはずです。MDMとしてデバイスのロケーションやインストールされたアプリの挙動、利用時間帯などをみて、異常を検知するようなソリューションが提供されると、セキュリティ面でより安心して運用できます」(清宮氏)
実際、Workspace ONEはモダンアーキテクチャのもとでのバージョンアップを実施中で、基本性能が大きく向上する。室井氏はこう展望する。
「次のバージョンアップのタイミングで、新しいWorkspace ONEへ乗り換えを行う予定です。情報の検索速度やアプリ配信速度の著しい向上などぜひ体感したい。スマートデバイスを対象とした各種施策のスムーズの展開の大きな支えになると期待しています」(室井氏)
Workspace ONEによる高度なデバイス管理基盤を活用することで、清水建設のDXはさらに加速していく。
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