ビジネスサイドから見ると、プロダクト開発の過程はブラックボックスになりがちなもの。「なぜこれが止まっているのか分からない」「仕様が正しく伝わらない」……。コミュニケーションの齟齬は、プロジェクトの遅延をもたらしてしまいます。開発のリアルな状況を知り、サービス開発を加速させるためには、どうすればいいのでしょうか?

本稿では、生成AIライティングツール「ツクレルSEO」を企画開発したマイナビのチームが、「Findy Team+」を体験。Findy Team+事業部の副事業部長を務めるあーやさんによるレクチャーのもと、ビジネスサイドが上手く開発に関わり、顧客への価値提供を最大化するヒントを探ります。

  • (写真)株式会社マイナビ コンテンツメディア事業本部 中嶋将光、曽我則幸、ファインディ株式会社 中村綾香氏

    (左から)株式会社マイナビ コンテンツメディア事業本部 事業戦略・推進統括本部 ツクレル推進チーム チーム長 中嶋将光、株式会社マイナビ 執行役員 コンテンツメディア事業本部 副事業本部長 曽我則幸、ファインディ株式会社 Findy Team+事業部 副事業部長 中村綾香氏(あーやさん)

半年のはずが1年に……開発を遅らせる「コミュニケーションの壁」

あーやさん:本日はよろしくお願いします! 早速ですが、お二人は「ツクレルSEO」の開発でどんなことに苦労されたのか、聞かせてください。

曽我:当初は半年でリリースできると思っていたのですが、結局、1年かかってしまいました。優先度をうまく決められなかったり、SEOのテクニカルな知識を共有できなかったりと、コミュニケーションに苦労しましたね。

中嶋:ビジネスサイドとエンジニアのすり合わせに、いまも悩んでいます。こちらとしてはもっと議論したいのに、表面的な『こうやりたい』だけが伝わって仕様になってしまったり……。

あーやさん:お悩み、よく分かります。多くの開発チームも同様の課題を抱えています。今日は、そうした悩みをデータで解決し、素早い開発を実現する、「Findy Team+」を一緒に見ていきましょう!

曽我&中嶋:よろしくお願いします!

開発状況を「全自動で」見える化!?

あーやさん:Findy Team+は、「エンジニア版のSFAツール」みたいなものです。SFAで営業アクションを確認し、ボトルネックを見つけるように、開発の状況を数字で可視化します。

まずはこの画面を見てみてください。これは「DevOps分析」といって、開発全体の健康状態が分かります。DORA(DevOps Research and Assessment)が提唱するFour Keysという、開発組織のパフォーマンスを測る4つの指標を使っています。

  • ・デプロイ頻度:どれだけ頻繁に新しい機能や改善を届けられているか
  • ・変更のリードタイム:新しい変更がユーザーに届くまでにかかる時間
  • ・変更障害率:変更を加えたときに、修正が必要になった割合
  • ・平均修復時間:問題が起きたとき、復旧までにかかる時間
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    エンジニア組織の生産性の可視化とは? ~『DevOps指標』を活用しよう~(https://jp.findy-team.io/blog/developer-productivity/devops/

    • (キャプチャ)DevOps分析の操作画面

      DevOps分析の操作画面

    曽我:この数字は、何が元になっているんですか?

    あーやさん:GitHubなどのツールと連携しています。全自動でデータを取得しているんですよ。

    曽我:なるほど。可視化のために、デイリーで何かを入力する必要はないんだ。

    あーやさん:ないんですよ。ふだん通りに開発を進めるだけで大丈夫です。

    中嶋:グラフで、急にリードタイムが延びている月がありますが、その原因は調べられるんですか?

    あーやさん:もちろんです。画面下に、期間中のタスクリストが表示されます。どれどれ…「順位モニタリングで複数KWの登録が正常に出来ない」「解決済みのボタンを追加」といったタスクのリードタイムが長くなっていたようですね。

    中嶋:あ、ずっと保留にしていて、最近動き始めた件だ。

    あーやさん:そういった「これは仕方ないよね」というものは当然あります。もし、「これはいつも時間かかるなあ」といったものが見つかれば、改善のチャンスです。

    曽我:ツクレルSEOの開発は外部パートナーにお願いしたんですが、開発の実態って、こちらからはなかなか見えないものです。「なんでこれが止まってるんだ?」と、疑心暗鬼になってしまうこともありました。当時これがあれば、ファクトベースでもっと良いコミュニケーションができたと思います。

    あーやさん:可視化ができていないと、早い、遅いって、感覚での議論になっちゃいますよね。定例の場でこの画面を一緒に見るだけで、お互いの状況がクリアになります。委託元がボールを持ちすぎていたのかもしれないし、一項目のつくりが大きすぎたのかもしれない。それが分かれば、「じゃあ次はこうしよう」という建設的な会話が生まれます。

    • (写真)ファインディ株式会社 Findy Team+事業部 副事業部長 中村綾香氏

      ファインディ株式会社 Findy Team+事業部 副事業部長 中村綾香氏

    データをもとにしたポジティブな改善サイクル

    あーやさん:次はもっと細かく、プルリクエストの単位で分析できる「サイクルタイム分析」を見てみましょう。コードを書き終えたあとレビューしてもらうための時間、レビューにかかる時間といった、個々の作業部分を見ることができます。

    • (キャプチャ)サイクルタイム分析の操作画面

      サイクルタイム分析の操作画面

    曽我:わっ!めっちゃ良い機能ですね!私は元エンジニアなので、自分の中でおおよその工数を見積もって考えがちなのですが、それとエンジニアサイドの工数に差があると「なぜですか」と揉めることもあります。これを見ればファクトベースで「本当はこんなに重い作業だったんだ」と知ることができ、納得感が得られますね。

    あーやさん:実は、これを見ると「チームのクセ」が一目瞭然だったりします。マイナビさんは、「オープンからレビューまでの平均時間」が長くなっているので、このあたりに伸びしろがありそうです。

    中嶋:いまは開発を内製化していて、レビューを外部パートナーにお願いしているのですが、そこの待ちが多いのかな。

    あーやさん:じゃあ、そのコミュニケーションも改善していけますね。たとえば、「午前中に依頼がきたら午後にはレビューする」みたいなルールにしたり、「レビューをしやすいプルリクエストにする」ことを意識したりすると良いですよ。

    曽我&中嶋:なるほど~!

    あーやさん:さらに「レビュー分析」機能では、誰がどれくらいレビューしているのか、その時間にどれくらいかかっているのか、見ることができます。ほら、このグラフだと、この方にレビューが集中しているのが分かるでしょう。

    • (キャプチャ)レビュー分析の操作画面

      レビュー分析の操作画面

    中嶋:うわ、ここまで見られちゃうのは、なんだか怖いですね(笑)。

    あーやさん:ふふふ。でもこれは個人の責任を追及するためじゃありません。メンバーごとのレビュー数や偏り、傾向を明らかにして、チームでの改善につなげるのが重要です。レビューが滞る人は、決してサボっているわけではなく、役割を兼任していて、ミーティングが多かったり他の業務に追われているケースがほとんどです。Google Workspaceと連携すれば、ミーティング件数も見えてきます。データで分かれば、「他の人に業務を移管しよう」「ミーティングは午前に寄せて午後をフル開発にしよう」といった改善ができるようになります。

    生成AI時代の新たなKPI

    あーやさん:最近は生成AIの活用もテーマになってきていますが、Findy Team+は、誰がどれくらい生成AIを使っているのか、コードの承認率なども分かるようになっています。

    • (キャプチャ)GitHub Copilotレポートの操作画面

      GitHub Copilotレポートの操作画面

    曽我:コード承認率というのは、「生成AIのコードを使っている割合」ということですか?

    あーやさん:はい。提案されたコードを受け入れている割合を指します。

    中嶋:承認率が高ければいい、というわけではないですよね。

    あーやさん:そうですね。例外処理など、システムとして美しくないことはAIは苦手ですから、すべての業務でAIを使えるかというとまだまだそうではないと思います。ただ、ひとつの指標として見れば、「誰がAIを使いこなしているか」などが分かりますので、社内勉強会の発表者選定など、ナレッジの共有にも活かせます。

    曽我:マイナビは2022年、内製開発による新サービス立ち上げの迅速化などを目指して、「デジタルテクノロジー戦略本部」を立ち上げました。ツクレルSEOも彼らとともに運営しているのですが、こうした部門のバリューを示すにもFindy Team+は役立ちそうですね。

    • (写真)株式会社マイナビ 曽我則幸

      株式会社マイナビ 執行役員 コンテンツメディア事業本部 副事業本部長 曽我則幸

    あーやさん:ビジネスサイドは売上などでの数字で語りやすいですが、エンジニアは何をやっているのかが他の方からは見えづらかったりしますよね。Findy Team+で数字的な貢献度を示すことによって、全社MVPに選ばれた方もいらっしゃいます。「自社には誇れるエンジニアがいる」という事実は、すごく心強いと思います。

    またエンジニア組織にスポットライトを当てるという点では、Findy Team+をお使いの企業の中でとくに開発生産性を高めた企業や、ユーザーコミュニティにおいてとくに活躍された個人の方を表彰する、「Findy Team+ Award」も行っています。

    曽我:素晴らしい取り組みですね。マイナビにもエンジニア組織があり、優れたエンジニアが多くいるのですが、まだまだそのイメージが薄いように感じます。高い開発生産性を発揮できているという表彰を受けることは、企業のプロモーションやエンジニア採用にもプラスの影響を与えそうですね。

    ファクトを「よりどころ」に。ビジネスと開発の壁を溶かすコミュニケーション

    あーやさん:一通りご覧になって、どうでしたか? 率直な感想を聞かせてください。

    中嶋:やっぱりコミュニケーションってすごく大事だなって、改めて感じました。エンジニアとビジネスがワンチームにならないと良いものは作れませんが、こういう可視化ツールは「建設的な良い会話」を生んでくれると思います。

    • (写真)株式会社マイナビ 中嶋将光

      株式会社マイナビ コンテンツメディア事業本部 事業戦略・推進統括本部 ツクレル推進チーム チーム長 中嶋将光

    曽我:先に言われちゃったな。空中戦にならずに、同じ「よりどころ」で話ができるのは、本当に良いですね。しかも、そのためのデータ入力が一切不要というハードルの低さが素晴らしい。

    あーやさん:Findy Team+では、時系列で指標の推移を見られるだけでなく、自分たちのチームが相対的にどれくらいの立ち位置なのか?を見られる指標も備えています。改善の余地がまだあれば、指標を上げていくことを目標にしてワンチームとして改善に向かっていくことができます。

    中嶋:ビジネスサイドもこうしたデータはちゃんと見るべきですね。一番大事なのは、いかに早くお客様に価値を届けるか、ですから。

    曽我:「ほんとはこの指示こうして欲しかったのに……」「この情報がいつも足りないな……」などと、お互い気を使って言えない状況・時間が一番ムダですから、それが解消されるきっかけになるツールだと思います。

    中嶋:あーやさんのように、カスタマーサポートの方々が想像以上に豊富な知見をお持ちで、伴走してくださるのもありがたいですね。率直に使いたいと思いました!……ただ、エンジニアにもSFAを見てもらって、僕らの苦労も理解して欲しいかな(笑)。

    • (写真)取材中の風景

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