ローコード/ノーコードのクラウド型データ連携サービス「mitoco X」がVer. 2.0にメジャーバージョンアップし、2025年6月30日から提供が開始された。Ver. 2.0は、2023年9月にリリースした「mitoco X Powered by DataSpider Cloud」の後継製品として開発された新製品だ。

アーキテクチャが刷新されたほか、現場のニーズに応えるさまざまな新機能が搭載されている。リリース直後から大きな反響があり、バージョンアップや新規導入の声など想定を超える要望が寄せられているという。魅力は何か、担当者に話を聞いた。

  • (写真)(左)テラスカイ 製品事業ユニット サービスエンジニアリング本部 mitoco X開発部 部長 荒木一成氏、(右)同 製品事業ユニット サービスエンジニアリング本部 本部長 村田勉氏

    (左)テラスカイ 製品事業ユニット サービスエンジニアリング本部 mitoco X開発部 部長 荒木一成氏
    (右)同 製品事業ユニット サービスエンジニアリング本部 本部長 村田勉氏

デジタル化の進展で、データ連携やシステム連携に対するニーズが急拡大

デジタル化の進展で、データ連携やシステム連携に対するニーズが急速に高まっている。マーケターは、マーケティング戦略や販売計画の立案のために、ECサイトや販売管理システムなど、さまざまなSaaS(Software as a Service)からデータを収集・分析している。また、経理担当者はExcelのデータをCSVでインポートして集計し、基幹システムのデータと連携させている。

さらに、アプリケーション開発者が生成AIをはじめとする、さまざまなサービスをAPIで連携させて開発効率を高めたり、インフラ運用者がオンプレの基幹システムとクラウドの新規サービスを連携させてモダナイズを進めたりするケースも多い。

このように今やあらゆる業務にデータが必要な状況であり、そうしたデータから価値を引き出すためには、いかに適切にデータを連携できるかが大きなカギになっている。そんなデジタル時代のデータ連携のあり方について、テラスカイの村田勉氏はこう話す。

「テラスカイは、2006年の創業から現在まで19年にわたってデータ連携とシステム連携でお客さまを支援してきました。現場の課題は簡単に解決できるものではなく、常に新しい課題に向き合っている状況です。そのように時代や状況によって変化する課題やニーズに丁寧に応えていくことが重要です」(村田氏)

  • (写真)テラスカイ 製品事業ユニット サービスエンジニアリング本部 本部長 村田勉氏

    テラスカイ 製品事業ユニット サービスエンジニアリング本部 本部長 村田勉氏

村田氏によると、例えば手作業で行っている業務プロセスをETL(Extract, Transform, Load)ツールやEAI(Enterprise Application Integration)ツールを使って自動化できたとしても、その次にはクラウドとの連携が求められ、iPaaS(Integration Platform as a Service)の機能が必要になる。

また、自動化の手法もバッチ処理が相応しい場合もあれば、イベント駆動型の仕組みや高度なリアルタイム性が重視される場合もある。さらに、業務部門が自分たちでデータ連携を実施できるように、ローコードやノーコードが求められることもあるという。

テラスカイは、2008年にクラウド型システム連携サービス「SkyOnDemand」の提供を開始し、2017年にはアプレッソ(現・セゾンテクノロジー)と共同でiPaaS製品「DataSpider Cloud」の提供を開始した。

さらに、2023年にはDataSpider Cloudを自社サービス化し、「mitoco X Powered by DataSpider Cloud(mitoco X Ver.1.0)」を提供してきた。村田氏によると「それでもなお、新しい課題やニーズに直面している状況」だという。

「ユーザー利便性」「ビジネス継続性」「クラウド利用コスト」が新たな課題に

現在、多くの企業が直面している課題やニーズについて、テラスカイの荒木一成氏は大きく3つのポイントがあると指摘する。

まずは、ローコード/ノーコードツールの採用が進み、そのことが逆に利便性を下げるシーンが増えてきたということだ。ノンプログラミングでデータ連携を実施できることは、業務部門の担当者を中心にシステムを維持できるという点で大きなメリットである一方、業務プロセスやシステム環境が変わったときにエンジニアがちょっとしたコード修正で対応するのは難しくなるデメリットもある。

「実際に、mitoco Xのお客さまからも『データベースのカラム名を変えたいだけなのに、GUIでクリックして連携処理を修正するのは手間』といった声が届いていました。現在は、クラウドの普及でデータ入力やマスター管理などの作業が重複するケースが増えています。それらを簡単に修正できないことで、企業全体の情報共有が阻害されやすくなっています」(荒木氏)

  • (写真)テラスカイ 製品事業ユニット サービスエンジニアリング本部 mitoco X開発部 部長 荒木一成氏

    テラスカイ 製品事業ユニット サービスエンジニアリング本部 mitoco X開発部 部長 荒木一成氏

次にビジネス継続性の要求が高まり、データ連携ツールの耐障害性が強く求められるようになったことだ。メールやWeb会議などのコミュニケーションサービスに障害が発生すれば業務に支障が出る。ましてや、さまざまなシステムと連携して動作するデータ連携ツールに障害が発生すれば、企業システム全体が停まることにもなりかねない。

「多くのシステムがクラウド化するなかで、クラウド事業者側の問題で障害が発生し、企業のビジネス継続性に影響を与えるリスクは従来以上に増加しています。われわれのようなサービス提供者側が、障害を起こしにくいアプリケーション構成やシステム基盤を整備することが求められています」(荒木氏)

そして最後は、クラウドの利用コストへの対応だ。クラウドサービスは従量課金のメリットを活かして「使った分だけ支払う」ことで利用コストを最適化できる。これまで、データ連携ツールは「一度、連携の仕組みを作ったらしばらく使い続ける」ことが多かったため、従量課金よりも固定料金によるメリットが大きかった。
荒木氏は「データ連携ツールの利用が広がり、従量課金でメリットが出るケースも増えています。例えば週末の夜間バッチだけで利用するなどの場合です」と話す。

エンジニアによるコード修正や「ステージ」を使った用途ごとの環境切り替えが可能

こうした3つのポイントを踏まえた新サービスとして、テラスカイが2025年6月に提供を開始したのがmitoco X Ver. 1.0の後継製品「mitoco X Ver. 2.0」だ。名称を見るとmitoco Xのメジャーバージョンアップ版に思えるが、実際はテラスカイが独自開発した、新たなアーキテクチャを備えた新製品となっている。mitoco X Ver. 2.0を開発した背景について、村田氏はこう話す。

「データ連携ツールやシステム連携ツールは、部署内での帳票出力といった用途から、基幹システム連携やモダナイゼーション、AWS(Amazon Web Services)やSalesforceなどのクラウドサービスと連携したDX推進まで、利用するユーザー層や業務領域が広がっています。それに伴い、お客さまから寄せられるニーズも多様化しています」(村田氏)

さらに、近年では生成AIの活用が進んでいることから、データ連携をAIエージェントを使って実施するためのMCP(Model Context Protocol)サーバ機能へのニーズもある。目の前の課題を解決することはもちろん、将来的な製品ロードマップを示し、ユーザーを手厚く支援するための販売方法の整備も含めて、新しい発想で取り組む必要があるとも村田氏は語る。

そのため、mitoco X Ver. 2.0はテラスカイの19年にわたるデータ連携製品の開発・販売・運用ノウハウのすべてを結集したサービスとして位置付けている。

その特徴は「ノーコード、ローコード、ハイコードでデータ連携」「クラウドネイティブなアーキテクチャの採用」「従量課金のコンサンプションモデル」の3つだ。

ノーコード、ローコード、ハイコードでデータ連携ができる点について荒木氏は以下のように説明する。

「開発にはノーコード/ローコード開発とハイコード開発の切り替えが可能です。非エンジニアは、スタジオというGUIツールを使って、従来通りドラッグ&ドロップでデータ連携を設計できます。一方、エンジニアは同じプラットフォーム上で動作するデータ加工処理をJavaScriptで編集・開発が可能です。また、データ連携処理全体をYAMLベースのドメイン固有言語で定義する仕組みを新たに構築しました。将来的なAIエージェントとの連携も視野に入れています」(荒木氏)

定義ファイルやメタデータ、処理内容などを環境ごとに分けて利用できるようにする「ステージ」という機能も加わった。ステージを利用することで、従来のデータ連携にとどまらないさまざまなデータ活用が可能になる。

ステージの活用事例としては、開発環境(ステージング環境)と本番環境(プロダクション環境)を分けてプロジェクトを進めるというものがある。一般的なローコード/ノーコードツールでは、こうした切り分けが柔軟にできないことが多く、環境準備やリリースプロセスがユーザーに委ねられることにより、開発期間の短縮というツール導入によるメリットを最大限に生かしにくいという課題があった。

ステージを利用することで、連携処理の変更前後それぞれの実行環境を維持し、必要に応じて切り替えるブルーグリーンデプロイメントのような運用も可能だ。

  • (写真)新たに導入したアーキテクチャ「ステージ」

    新たに導入したアーキテクチャ「ステージ」

さらに、ステージの統合管理ができることで、あるステージではMDM(マスタデータ管理)連携のような重厚な運用を行いつつ、もう一方のステージではRPA(Robotics Process Automation)のようなライトな開発を同時に行うといった使い方も可能だ。さらに、ステージは、将来的にAIエージェントと連携する際も活きてくる。

「AIによる開発支援機能はまだ実装されていませんが、例えば、目的によって開発用のステージも分けていただければ、バイブコーディングのようなスタイルでもデータ連携処理の開発を行うこともできるようになると考えています」(荒木氏)

パートナーエコシステムで顧客をサポート、将来的には「mitoco AI」との連携も視野

クラウドネイティブなアーキテクチャの採用は、サービスとしての可用性を高めた。具体的には、サービス提供基盤にコンテナオーケストレーションやマイクロサービスを採用し、オートスケールに加え、障害発生時における処理の切り替えを自動化した。 また、上述したステージのような、開発したフロー・トリガーなどの成果物を異なる環境へデプロイして取り扱えるようにしたのも、アーキテクチャ刷新の効果の1つだ。

「ロールアウト・ロールバックの自動化、サービスディスカバリーと負荷分散、自動スケーリング、自動修復機能などにより、システム開発・管理が大幅に効率化しています。障害発生時やメンテナンスにおいても停止時間を限りなくゼロにすることができます」(荒木氏)

そして、従量課金のコンサンプションモデルを新たに提供したことに関して、従来の体系では固定価格で提供するサブスクリプションプランだけだった。コンサンプションプランにより、実際に利用した時間やデータ通信量に応じて課金されることから、小規模のデータ連携や月ごとの連携量に変動があるケースにおいてコストを抑えた運用が可能になった。月5万円から利用できるようなったことも大きい。

そのうえで、荒木氏は「テラスカイは、Salesforceに格納されたデータを検索・集計できるAI『mitoco AI』も提供しています。mitoco AIとの連携を含め、生成AI、AIエージェントへの対応を図っていきます」と将来的な構想を述べた。

また、村田氏はパートナー戦略にも触れながら「お客さまに近いところでデータ連携の課題に向き合ってきたという自負があります。データ連携を知り尽くした人間が作っているサービスだからこそ、使ってしっくりくる製品に仕上がっています。今後は、パートナーへの支援策を強化しながら、ユーザー、パートナーとのエコシステムのなかで、より使いやすく安全でビジネスに貢献できるデータ連携サービスを提供していきます」と今後の展望を語っていた。

これからは、API連携やAI連携でデータ連携サービスの重要性は高まるばかりだ。mitoco Xの挑戦から目が離せない。

  • (写真)お二人のインタビューの様子

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