あらゆる分野でDXの取り組みが加速し、業務におけるITの重要性が高まるなか、企業のITシステムは高度化・複雑化を続けている。その一方で少子高齢化に伴う労働人口減少の影響はIT人材領域にまで押し寄せており、ITインフラ/システムの構築・運用を担う情報システム部門(以下、情シス部門)も人手不足に悩まされている。特に中小企業では、既存システムを維持するためのリソースを確保するのも困難な状況で、DXをはじめとした“攻めのIT”に着手できていないケースも少なくない。
三菱総研DCSでは「IT運用クルーズ・ナビ」というサービスブランドを立ち上げ、IT運用における課題の解決を支援する5つのサービスを展開している。本稿では、IT運用のプロフェッショナルで、本サービスブランドの立ち上げにも携わっている同社 マネージドサービス本部の緑川 英行 氏、西根 建 氏に話を伺い、IT運用において顕在化している課題と、解決に向けたアプローチを確認していく。
限られたリソースで、経営層の要求に対応しなければならない情シス部門の苦悩
1970年に三菱銀行(現在は三菱UFJ銀行)の受託計算部門から独立する形で設立され、2004年からは三菱総合研究所グループの一員として実績を積み重ねてきた三菱総研DCS。その出自から金融業界のITシステム構築・運用に強みを持つ同社だが、近年では製造や流通、さらには公共といった領域にも事業を拡大し、さまざまな分野に高品質なITソリューション・サービスを提供している。
ITシステムに関わる幅広い事業を展開している同社で、主にIT運用業務を支援する事業を担っているのがマネージドサービス本部だ。その本部長を務める緑川氏は、企業の情シス部門が抱える課題について、次のように語る。
「昨今、情シス部門の業務領域が拡大しています。従来のIT運用業務はもちろん、DX推進やセキュリティ・ガバナンスの強化、システムの更改・モダナイゼーションと、やるべきことは多岐にわたります。その一方で、情シス部門をコスト部門と捉える経営層も多く、限られた人員・予算で多様なミッションに対応しているケースは珍しくありません」(緑川氏)
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三菱総研DCS株式会社 マネージドサービス本部 本部長 緑川 英行 氏
緑川氏は、IT人材不足や担当者の高齢化、業務の属人化、クラウドシフトによるシステムの複雑化などが、情シス部門が“攻めのIT”に注力できない要因になっていると警鐘を鳴らす。
「日々のIT運用業務にリソースを取られてしまい、データ利活用やAIによる業務効率化、セキュリティ対策の強化など企業のITを牽引してほしいという経営層からの要求に対応しきれないといった情シス部門の声は増えてきています。こうした現場が抱える課題の解決を、我々が持つ経験とノウハウを活かして支援していければと考え、立ち上げたのが『IT運用クルーズ・ナビ』です」(緑川氏)
IT運用の負荷を軽減するサービスを集約した「IT運用クルーズ・ナビ」
IT運用クルーズ・ナビは、“少人数で高品質なIT運用を目指すことで、企業の持続的な事業拡大を支援する”というコンセプトのもとに、IT運用にかかる負荷を軽減するサービス群で構成されたサービスブランドだ。人手も予算も足りない状態で企業のITを支え続ける情シス部門の業務負荷を軽減することで、経営層が目指すDXの推進やAIなどITを活用した事業拡大が推進できるよう、伴走サポートする。
「当社では、お客様の要望に応じたシステムを構築するシステムインテグレーターとしての事業も展開しており、マネージドサービス本部はシステム構築後の運用を支援しています。そのなかで30年以上にわたり培ってきたIT運用のノウハウをサービス化したものが、IT運用クルーズ・ナビのブランドで提供する5つのサービスとなります」(緑川氏)
2025年7月現在、IT運用クルーズ・ナビのブランドで提供されるサービスは、以下の5つとなる。
「“経営層からDX推進を指示されているものの、現状の業務で手いっぱいで、どこから着手すればよいのかわからない”“メンバーの高齢化や属人的な運用が深刻化しており、スムーズな引継ぎと属人化が生じないような仕組みを構築したい”と考えているお客様は、まずはマネージドコンサルティングサービスからご利用いただくのが好適」と緑川氏。「システムの高度化・複雑化により、問い合わせ対応やインシデント管理、承認フローなどの既存の業務プロセスに無駄が生じているケースも少なくありません」と語り、コンサルティングで効率的な業務プロセスに見直すために、まずは可視化から取り組むことが大切と話を続ける。

「DCSがお客様にとって羅針盤のような存在となり、ともに船を進め、ITという広大な海を安心して航海できるようサポートする」という願いを込めて新たに制作されたブランドロゴ
「可視化により、無駄なプロセスはもちろん、属人化している業務も洗い出すことができます。そのうえで業務プロセスを見直し、ルールやマニュアル作成までをサポートし、新しい担当者がスムーズに業務に携われるような環境を整備します。一般的なコンサルティングサービスは、事業戦略や経営戦略に基づいて行われるケースが多いのですが、“少人数で高品質なIT運用”というコンセプトで開発した私たちのサービスでは、徹底した“現場目線”での改善を目指しています。実際にIT運用クルーズ・ナビのサービスをご利用いただいたお客様では特に現場サイドに高い評価をいただいています」(緑川氏)
現場のニーズに合わせて開発された「スマート運用プラットフォーム」で運用管理の効率化と自動化を実現
IT運用クルーズ・ナビのなかで、もう1つ注目したいサービスはスマート運用プラットフォームだ。SaaS型のサービスとして提供されるため、既存のシステム環境への導入も容易。最短2カ月程度で利用を開始することが可能と、マネージドサービス本部 マネージドソリューション開発部長の西根氏は語る。
「クラウドとオンプレミスにシステムが混在している状況において、従来の手作業で行ってきた運用管理には限界が生じています。そこで開発したのが、各システムからのアラートメッセージを集約し、状況の可視化と把握、対応の自動化を支援するスマート運用プラットフォームです。当社の強みとなる技術力を最大限に活かして、運用の自動化や省力化をテクノロジー面からサポート。お客様の情シス部門で情報を共有できるため、属人化の解消にも有効で、“少ない人数で、複雑化したITシステムを管理したい”“複数拠点のシステムを一元管理したい”といったニーズに応えられます」(西根氏)
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三菱総研DCS株式会社 マネージドサービス本部 マネージドソリューション開発部長 西根 建 氏
緑川氏は「現在はシステム状況の共有・可視化から対応の自動化を中心としたプラットフォームですが、すでにAI技術を活用した障害予知の機能も開発を進めています。最終的にはガバナンス強化を実現する統合プラットフォームにしていきたいと考えており、継続的な機能拡充を図っています」と同サービスの方向性を説明する。
複数のサービスを組み合わせて運用負荷を軽減し、DX推進に成功
自社のITシステムの状況に合わせ、最適なサービスを組み合わせて利用することで、IT運用の負荷を大幅に軽減し、“少人数で高品質なIT運用”の実現を目指すIT運用クルーズ・ナビは、三菱総研DCSが積み上げてきたIT運用の実績・ノウハウが惜しみなく投入されている。
「高度な運用が求められる金融業界のIT運用を担ってきたスペシャリストが現場に寄り添い、標準化した機能や体系化したサービスを提供できることは、他社のサービスにはない強みと捉えています。単なるコンサルティングや業務アウトソースではなく、伴走型でお客様それぞれの事業成長を運用面から支えていきます」と西根氏は語る。
IT運用クルーズ・ナビが提供するサービスには、サービスブランドの立ち上げ以前から提供してきたものもあり、すでに導入効果を得られている企業もある。たとえば、全社的なDX推進の一環としてIT基盤の強化に着手した企業が、マネージドコンサルティングサービスとIT運用アウトソーシングサービスを組み合わせて導入。既存業務の棚卸と手順書の作成で業務の可視化・標準化を行い、同時に業務のアウトソーシングを進めた結果、情シス部門が“攻めのIT”に注力できるようになり、DX推進が加速したといった成功事例も出てきている。
また、別の企業では、コンサルティングで運用業務の無駄を洗い出し、業務プロセスの見直しとナレッジの共有を行ったうえでアウトソースを実施。その結果、サービス導入前は24時間/365日維持が必要であった体制を解除することができ、IT運用のコストを約54%削減することに成功したという。緑川氏は「現場の担当者へヒアリングなどを行い、業務の実態を理解したうえで、業務プロセスやフローを可視化することで、効率化ポイントを把握し改善することができました。お客様からも、実態に即した改善をしてもらえたと評価をいただいています」と手応えを口にする。
企業が描くDXを支えるため、IT運用クルーズ・ナビは進化を続ける
三菱総研DCSでは、今後も企業のニーズに合わせてIT運用クルーズ・ナビのサービス拡充を図り、AIなど先進テクノロジーも積極的に取り込み技術力を活かして、企業のDXをIT運用面から支援していく予定だ。情シス部門の現場に寄り添うIT運用パートナーとして今後もサービスの拡充に取り組んでいきたいと西根氏は語り、IT運用の効率化をフックに“攻めのIT”を実践したい企業に向けてメッセージを送る。
「お客様のIT運用を支援していくなかで、情シス部門が果たすべき役割が広がっていることを実感しています。従来からのIT運用だけでなく、企業価値を高めるDX戦略の舵取り役も求められており、“守りのIT”であるIT運用の効率化は急務といえます。当社では『日常とビジネスに新しいカタチを。』というパーパスのもと、IT運用クルーズ・ナビを通じて、お客様のビジネスの成長を支援するサービスを提供していきたいと考えています。IT運用の効率化を図りたい、そういったお悩みをお持ちでしたら、ぜひご相談いただければと思います」(西根氏)
日々の運用業務に追われ、DX戦略に遅れが生じる状況を打破し、さらなる成長を遂げたいと考えている企業を運用ノウハウ+技術力で支えるIT運用クルーズ・ナビ。“攻めのIT”を目指す企業にとって、導入を検討する価値は大いにあるはずだ。
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※「IT運用クルーズ・ナビ」は商標登録出願中です。
※記載の会社名、製品名、サービス名は各社の商標もしくは登録商標です。
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