Notes/DominoとSharePointのポータル併存解消に向けて検討スタート
JSR株式会社は、半導体材料、ディスプレイ材料、エッジコンピューティング関連材料などを扱うデジタルソリューション事業を柱とする化学メーカーだ。同事業ではグローバルでトップクラスのシェアを誇っていることに加え、この他にABS樹脂の製造を行う合成樹脂事業、バイオ医薬品の創薬を支援するライフサイエンス事業なども手掛けている。
同社は長らくグループウェアと社内ポータルにNotes/Dominoを活用していたが、その後、社内ポータルにオンプレミスのMicrosoft SharePoint(以下、SharePoint)で構築したツールも加わることになり、併存する状態にあった。JSRグループのシステム全般をサポートするJNシステムパートナーズのシステム部で、ポータルやワークフロー、認証などを担当する業務第四チーム グループリーダーの藤代雅俊氏が、当時の状況をこう解説する。
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JNシステムパートナーズ株式会社 システム部 業務第四チーム グループリーダー 藤代雅俊氏
「Notes/Dominoに関しては、最新の業務ニーズへの対応に限界を感じる状態になっていました。SharePointで構築したポータルも保守サポート終了が見えてきたことから、SharePoint Onlineへの移行を検討する必要がありました。ポータルをSharePointに移行した経験から、Notes/Dominoで開発したアプリのSharePointへの移行は難易度が高く移行コストも高額となることが予想され、課題となっていました」(藤代氏)
この課題を解消するために、2019年5月頃から具体的に移行の検討をスタートさせた。ソリューションとしては、SharePointプラットフォームに構築していくことや、国産のポータルサービスに移行することなど、いくつかの選択肢があったという。
悩むことなくアドオン「組織ドキュメント管理」採用を決定
ソリューション選定にあたっては、JSRにおけるMicrosoft 365の有効活用が重要な判断要素であった。
「社内でMicrosoft 365の活用が続いていくであろうことを前提にすると、実用面でもコスト面でも、ほかのポータルサービスに丸ごと移行する可能性は低くなりました。Microsoft 365を活かすべく、SharePointにアドオンする形で利用できるサービスが最適だろうという結論に達しました」(藤代氏)
そこで選定されたのが、ネクストセットが提供するMicrosoft 365のアドオンツール「ネクストセット・組織ドキュメント管理 for Microsoft 365」(以下、組織ドキュメント管理)だ。
組織ドキュメント管理は、Microsoft 365と同環境でシームレスに動作するドキュメント管理機能ツールであり、SharePointサイト上で運用できる特性を持つ。Notes/Dominoからの移行ツールを提供していたことも大きなメリットとなり、約2カ月間の比較検討のうえ、2019年7月に組織ドキュメント管理の導入を決定した。「候補に上がってから決定まではスムーズで、とくに時間はかかりませんでした。こちらの要件に照らし合わせれば、ほかにフィットするソリューションはなく、結果的に組織ドキュメント管理一択だったという印象ですね」と藤代氏は振り返る。ちなみに、ほかの国産ポータルサービスと比較すると、想定されるコストは組織ドキュメント管理の5倍から10倍だったという。
旧ポータルからの切り替え・運用もスムーズに
選定が決まった後、旧ポータルからの切り替えに着手し、最終的にすべての切り替えが終了したのが2020年5月。それから本格運用が始まり、アドオンツールの機能を活かして社内ポータルの掲示板機能を使ったり、Notes/Dominoで作成されたWebアプリの運用を行ったりと、基本的にはスムーズに運用できていた。
とはいえ、ポータルのトップページの表示レスポンスが悪かったり、Notes/Dominoの独自機能を多用したマスターがうまく機能しなかったりと、時折課題はあったものの、ネクストセットからの柔軟で丁寧なサポートを受けて、藤代氏は一つ一つ対応していった。
「まずレスポンスについてですが、トップページへのアクセスに時間がかかると利用者の心象を損なうため、対応が必要でした。トップページにもネクストセットに登録された情報を表示させる必要があるのですが、ネクストセットのWebパーツを利用せず、ネクストセットのデータを形成しSharePointのリストにすることでレスポンスに対する問題に対応しました。Notes/Dominoで作りこんだ機能については、ネクストセットデータをオンプレ側で成形し、再度ネクストセットにアップロードすることで機能を再現させました」(藤代氏)
一方、JSRの情報システム担当で、ユーザーへの周知・啓発などを担っているシステム戦略部の高橋大氏は、「全社員が毎日使う情報共有基盤として、有益に活用しています」と組織ドキュメント管理を評価したうえで、その周知や啓発にあたって苦労はほとんどなかったと明かす。
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JSR株式会社 システム戦略部 高橋大氏
「オンプレのSharePointの時代とほぼ変わらない使い勝手で、『使いにくい』といった意見も含めて、ユーザーからの不満は特に出ていません。ポータルが置き換わったといっても、ユーザーとしては従来と同じようなことが当たり前のようにできているわけです。そうした場合、あえて評価する声はなかなか聞こえてこないものなので、何も意見が出ないということこそ、成功している証しだと思っています」(高橋氏)
開発の容易さやコスト面など多くのアドバンテージを実感
今回のポータル移行に際し、SharePointのアドオンツールとして組織ドキュメント管理を導入したことで得られたメリットについて、高橋氏はこう説明する。
「社内掲示板機能の移管において、仮に組織ドキュメント管理を採用しなかった場合を想定すると、調査・実行のリソースをもっと取られていました。加えて、以前の仕組みを踏襲しながら新たな仕組みに切り替えるケースでは、何らかの不満が起きやすいものですが、先ほど言ったようにユーザーからそうした声が上がっていないのも、導入して良かった点だと感じています」(高橋氏)
システム面を担った藤代氏も、次のように成果を教えてくれた。
「UIがSharePointと比べてわかりやすいことに加え、社内掲示板などで必要な機能が当たり前に揃っていて、要件定義で必要となる確認項目もSharePointよりはるかに少ないため、開発にコストや運用負担をかけずに済むのがうれしいですね。また、SharePointでは難しかったNotes/Dominoのアプリ移行も実現できましたし、SharePointと一体でサービスを提供できたこと、ポータル機能をクラウドサービスに統一できたこともよかったです」(藤代氏)
今後については、ユーザーに特段の不満なく使われている現状があることから、ネクストセットの新たなアドオンツールを追加導入して改良などを行う予定はないと高橋氏。藤代氏も、基本的にはJSRのニーズに応じて提案や構築を行うため、現時点では白紙のようだが、「JSRグループにとって有益と思うものがあれば進んでチェックし、こちらから提案していくことも考えています。いまはやはりAIに関心があるので、注目したいところです」と展望を語った。
最後に、ポータル移行で似たような課題を抱えている企業に向けて、藤代氏がアドバイスをくれた。
「Microsoft 365を活用したいけれどもフォーム開発に苦戦している企業や、Notes/Dominoの資産をこれからも活かしていきたいと考えている企業にとって、組織ドキュメント管理は開発のしやすさという点で適していると思います。そのほか、グループウェアに興味はあるもののメールやスケジュールなどの機能がMicrosoft 365と重複しており、二重投資にならないか懸念を感じている企業にとっても、組織ドキュメント管理はぴったりなサービスなので、検討に値するはずです」(藤代氏)
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左から、JSR株式会社 システム戦略部 高橋大氏、JNシステムパートナーズ株式会社 システム部 業務第四チーム グループリーダー 藤代雅俊氏
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