AI革命によってデータが爆発する時代、企業はどのようにデータの海から価値ある資源を見出すべきか。
NetAppが2025年1月28日に109シネマズプレミアム新宿にて開催した年次イベント「NetApp INSIGHT Xtra Tokyo」では、NetApp本社の CEOのGeorge Kurian氏とプロダクトマーケティングVPのJeff Baxter氏が来日し、キーノートセッションに登壇。データ インフラ ソリューションから最先端AI対応技術まで、同社のデータ インテリジェンス戦略と革新的な製品ポートフォリオについての講演が行われた。
30年の実績を持つストレージ技術の巨人が見据える未来像とはどのようなものだろうか──。
データは“第3世代”へ:ユニファイドデータの時代
Kurian氏はまず、データが“第3世代”に入ったと言及。第1世代はデータのデジタル化、第2世代はビジネスプロセスに基づく履歴データの記録だったのに対し、第3世代は「ユニファイドデータの時代」だと位置づけた。
「ビジネス取引、顧客とのやり取り、Eメール、映像データ、コールセンターの記録、ビデオカンファレンスのデータなど、あらゆる情報を活用して全体像を把握する時代に入りました。この環境では、データをすべて統一化させて、より優れたインサイトを手にすることを目的としています」(Kurian氏)
NetAppが発明した「ユニファイド データ マネジメント」のコンセプトは、1つのインフラプラットフォームでどんなデータも、どんなアプリケーションでも、どこからでも管理できることを可能にするものだ。
またKurian氏は、データが増加することで変化していることと、変わらないことがある、と言う。
「変化していることは、データの扱う技術にインテリジェンスが求められていることです。逆に、変わらないことは、データの管理・保護・ガバナンスには十分な配慮が必要であることです」(Kurian氏)
こうした変化に合わせてNetAppが世界に先駆けて提唱する「ユニファイド データ マネジメント」のコンセプトは、1つのインフラプラットフォームでどんなデータも、どんなアプリケーションでも、どこからでも管理できることを可能にするものだ。
Kurian氏によると、最新ストレージAFF Aシリーズのプラットフォームは「世界最高のユニファイドストレージ データ マネジメント システム」の中核に位置づけられ、これをパブリッククラウドとシームレスに連携させる戦略を展開している。また、ブロックストレージに最適化されたNetApp ASAシリーズもラインナップに加えたことで、業界最大級の幅広いポートフォリオを提供し、高パフォーマンスとコストの最適化を両立させている。
Kurian氏は、「AIによって社会が変化していますが、それに伴って変革的なデータイノベーションが巻き起こり、その対応が求められているのが、まさに今の時代なのです。データをインテリジェントに活用できるよう、インフラの最適化が不可欠です」と締めくくる。
製品ラインナップの強化:エンタープライズストレージ
Baxter氏は、NetAppの包括的なストレージポートフォリオについて詳しく説明した。
1.AFF Aシリーズ
AFF Aシリーズは、ここ1年間で刷新されたフラッシュストレージベースのユニファイド ストレージのフラグシップモデル。特にミッドレンジの新モデルA50は「これまでのミッドレンジ ストレージの概念を変える」(Baxter氏)パフォーマンスを提供。前世代(A400)比153%高速化を実現している。
2.AFF Cシリーズ
AFF Cシリーズは、キャパシティ フラッシュ システムとして、これまでフラッシュ ストレージに適さないと思われていたアプリケーションでもフラッシュの高速性を活用できる製品だ。60TBのドライブを提供し、単一システムで複数ペタバイトの実効容量、単一クラスタで最大700PBまで拡張可能。15.5ラック分のハードドライブ容量を2ラックユニットのフォームファクタに集約できる。
3.FAS70/90シリーズ
FAS70/90シリーズは、バックアップやサイバーボルトなど二次的なストレージ用途に最適化されたハイブリッド フラッシュ システムである。
これらすべてのシステムは、「NetApp ONTAP(以下、ONTAP)」という同一のオペレーティングシステムで動作することで、同じAPIと操作性を維持しながらさまざまなワークロードに対応できる。
クラウドネイティブ対応とセキュリティ
クラウドストレージでは、オンプレミスと同じ技術をAWS、Azure、Google Cloudなどのパブリッククラウドでネイティブに展開。クラウド顧客の5件に3件がNetAppの新規ユーザーであり、クラウド上のNetAppストレージ容量は114%増加、なかでもブロックストレージは140%の成長を見せているという。
ハイブリッド/マルチクラウド全体のストレージサービスとデータサービスを管理する統合コントロールプレーン「NetApp BlueXP(以下、BlueXP)」のワークロードファクトリー機能は、ベストプラクティスに基づいたワークロード展開をクリック1つで可能にし、クラウド移行の意思決定もデータに基づいて支援する。
また、Google CloudのVertexAI、AWSのBedrock、AzureのOneLakeなど主要なAIプラットフォームとの直接統合も実現している。オンプレミスのデータをクラウド上でレプリケートし、クラウドベースのAIサービスで活用することも可能だ。
セキュリティ面では、ランサムウェア攻撃に対応する「Autonomous Ransomware Protection (ARP)」を提供。リアルタイムで攻撃を検知し、スナップショットで99%のデータを保護することで、攻撃を受けてもわずかな部分のみの復旧で済む仕組みを実現。ARPはONTAP上で追加コストなく利用でき、英国の調査機関SE Labsによる検証では「精度100%、再現率99%」という高い性能を示した。
さらに、Baxter氏はBlueXPのランサムウェア保護機能の拡張についても触れた。「クラシフィケーションテクノロジーによるデータの機密性分類」「ユーザーの異常行動検出」「SplunkやMicrosoft SentinelなどとのSIEM統合」など、セキュリティ機能が強化されている。
AI対応の次世代アーキテクチャ
最も注目すべきNetAppのイノベーションが、AI時代に向けたNetApp ONTAPの「ディスアグリゲーテッド ストレージ アーキテクチャ(Disaggregated Storage Architecture)」だ。GPUベースのAIワークロードでは、すべてのストレージコントローラーがすべてのストレージクラスタにアクセスできる必要がある。NetAppはNVIDIAと協力し、AFF A90ストレージとNVIDIAのDGX SuperPOD AIインフラを組み合わせた環境で、ONTAPの認証プロセスを進めている。
このアーキテクチャは、ONTAPの30年の実績ある基盤上に構築されることで、AI活用の容易さと信頼性を両立。Baxter氏は、「今年中に皆様のデータセンターで提供できる」としている。
さらに、今後提供されるBlueXPのデータエクスプローラー機能では、メタデータカタログを活用し、自然言語による検索、個人情報の自動マスキング、ベクトルデータベースの構築などが可能となる。「LLMを作るわけではなく、AIをデータに寄せることがNetAppのAIミッションです」とBaxter氏は強調した。
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自然言語で「糖尿病」に関するドキュメントを検索すると、オンプレミス、クラウドを問わず関連ファイルが一覧表示される。ファイル名やタイトルに「糖尿病」という単語が含まれていなくても、内容を理解して検索できる高度な検索性能と、機密情報の自動マスキング機能を備えている
NetAppの革新的AI戦略
AI戦略を成功に導くために、Kurian氏は4つの要素「一元化されたデータ戦略」「組織全体でのデータアクセス」「最先端ツールの活用」「ドメイン知識と専門家の活用」を挙げた。特に「データをAIのためにスーパーコンピューターに載せるのではなく、AIのパワーをデータストレージに寄せる」という逆転の発想を提案。これにより、企業独自のデータ資産を最大限に活かしながら、AIの恩恵を享受できるという。
NetApp自身も社内で100のAIプロジェクトを立ち上げ、そのうち43に投資し、多くを本番適用しているとKurian氏は述べ、アジャイルな小規模チームでの迅速な実験と学習の重要性を強調した。
ストレージ技術の老舗から、「インテリジェント データ インフラストラクチャ」のリーダーへ。NetAppが描く未来は、高性能・高セキュリティの統合データ基盤の上に、AIによる新たな価値創造の可能性を広げるものだ。
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