ヴイエムウェアのEUC部門が独立、新会社として誕生したのがOmnissaだ。同社は、HorizonとWorkspace ONEを中心に、デジタルワークスペース分野でのトップ企業をめざしている。Omnissa Japan カントリーマネージャー 竹下 雄輔(たけした ゆうすけ)氏に、会社のビジョンや戦略、今後の展開などについて聞いた。

  • Omnissa Japan合同会社 カントリーマネージャー竹下 雄輔氏

どこからでも最高の仕事ができるデジタルプラットフォームを提供

ヴイエムウェアのエンドユーザーコンピューティング(EUC)事業部が独立、投資会社KKR傘下で誕生したのがOmnissa(オムニッサ)である。同社はヴイエムウェアからHorizonやWorkspace One などの製品群を引き継ぎ、「仮想デスクトップとアプリ」「統合エンドポイント管理(UEM)」「セキュリティとコンプライアンス」「デジタル従業員体験(DEX)」の4つのソリューションで、デジタルワークプレイスをよりスマートでシームレス、セキュアにすることを目指している。

Omnissaの製品群は、元々ヴイエムウェアが様々な製品を買収して、ポートフォリオに組み込んだものだ。そのなかで、ヴイエムウェアはサーバー仮想化製品とのインテグレーションや管理系製品との連携を強め、EUC部門を成長させてきた。しかし、製品開発の経緯から見た時に、独立した製品群であったため、Omnissaはそれを強みとして生かして、従来であれば提携が難しかったようなベンダーも含めてインテグレーションを進め、パートナーシップとサポートを積極的に広げていく方針だ。

Omnissaは、ビジョンとして「どこからでも最高の仕事ができるデジタルワークプラットフォームを提供する」を掲げている。そのために最先端のAI技術を製品に取り入れ、自律型ワークスペースによるセキュアなデジタル体験の推進に力を注ぎ、セキュリティ、IT運用、コストを最適化する。例えば従業員1万人の企業であれば、1万のエンドポイントが存在する。そのなかで従業員はノートPCだけでなく、タブレットやスマートフォンなど何台ものデバイスを使っている。Omnissaは様々な場所で、従業員数×何倍ものデバイスの管理をIT管理者が行うのではなく、設定から利用までの全工程をオートメーションでやっていくことを目指している。

フラッグシップイベント「Omnissa ONE」を世界で最初に日本で開催

Omnissaのグローバルの社員数は4000人、そのなかでOmnissa Japanは110人弱、経営陣も含めて、ほぼ全員がヴイエムウェア出身者だ。「私もヴイエムウェアに16年ほどいましたが、元々サービス部門の出身で、営業の経験はありませんでした。けれども、アジアパシフィックのリーダーを務めていた時のグローバルの上司から勧められたこともあり、今回思い切って日本法人のカントリーマネージャーに就任しました。本社が非常にオープンで、日本でやりたいことをいうと、関連部門に通達して、仕組みを変えることも含めて協力してくれるので、とてもやりやすいです」とOmnissa Japan カントリーマネージャー 竹下雄輔氏は語る。

Omnissa CEOのシャンカー・アイヤー氏はヴイエムウェアではEUC部門のトップで、製品担当副社長であるバラス・ランガラジャン氏は、竹下氏がアジアパシフィックのSE 組織を統括していた頃から同氏と共に業務を行ってきた。経営陣がEUC部門に精通していることに加えて、組織がシンプルになり、他部門との調整が要らなくなったことで、意思決定が非常に速い。そのうえ、米国、英国、フランス、ドイツ、日本の5カ国での成長を重視していることから、Omnissa Japanにとっては米国の本社との距離が一気に縮まり、ビジネスが非常にやりやすくなった。

実際、2024年9月に開催されたフラッグシップイベント「Omnissa ONE」は世界で最初に日本で開催され、その後、米国、ヨーロッパと続いた。「デジタルワークの未来はここから始まる」と題したイベントは、CEOのシャンカー・アイヤー氏の基調講演からスタートした。シャンカー・アイヤー氏は「Omnissaは設立されたばかりですが、EUC分野で二十年以上の実績を持ち、年間15億ドルの年間経常収益を上げ、グローバルでの顧客数は26,000社以上にのぼります」と説明した。そして、今後の成長戦略として、ビジネス環境の改善、テクノロジーイノベーション、エコシステムの拡大の3つを挙げた。なかでも、テクノロジーイノベーションでは、テクノロジーへの投資を継続、デジタルワークスペース分野でのトップ企業を目指している。併せて、ヴイエムウェア時代からの重要な市場である日本への投資を強化し、成長を加速していくと強調した。基調講演の後、製品担当副社長のバラス・ランガラジャン氏がOmnissaプラットフォーム戦略として、柱となるソリューションを紹介した。

パートナーにナレッジを提供、パートナー主導でビジネスを展開

Omnissaはオープンで協力的な企業文化、イノベーションを推奨し、新しいアイデアやアプローチを積極的に取り入れる環境の実現を目指している。そのなかで最も重視しているのがエコシステムの拡大だ。ヴイエムウェア時代は当然のことながら、製品もヴイエムウェア一色だったが、独立したことで、以前であれば考えられなかったようなベンダーも含めて、パートナーとして提携していく。実際、プラットフォームに縛られずに、より自由にやりたいというユーザー企業もあり、インテグレーションのパターンを増やしていく方針だ。「これからは、お客様にさまざまな選択肢を提示することができると自信を持って言うことができます。お客様がやりたいと考えていることを実現する最適解をパートナーと一緒に探していきます。それが独立系のEUC専業ソリューション会社になったことの大きな強みです」(竹下氏)。

日本では大手ベンダーが顧客企業からプライムで契約を受託し、そのもとにさまざまなベンダーが入って、システムを構築するスタイルが圧倒的だ。そのため、かつてのヴイエムウェアはプライムのパートナー企業にOEM契約で製品を提供することが多かった。これに対して、Omnissaは自分たちでサービスを展開すること以上に、パートナーにナレッジやノウハウを提供し、パートナーが主導する形でビジネスを成長させていく計画だ。これによって、Omnissaだけではアプローチすることがむずかしい市場にまで入り込んで、パートナーと一緒になって顧客を開拓していく。今後プラットフォームベンダーとの協業も含めてパートナーを拡大し、強固な関係を築いていく方針で、直近ではサイバーセキュリティ専業ベンダーであるクラウドストライクとの協業も発表した。

新たなソリューションで、パートナーと顧客との強固な信頼関係を築く

Omnissa Japanは規模も小さいことから、自らをスタートアップ企業と位置づけ、社員が自由闊達に意見を言い合うことができるフラットな組織体制にしている。社員と直接対話するだけでなく、全ての社員が参加するワークショップやミーティングなども頻繁に開いて、社員の考えを直接聞く機会を増やしている。「どんなことでも、まずは口に出して話し合ってみないと、それが実現可能かどうか、会社にとってよいことなのかどうか、分かりません。そこで、私は社員全員にどんなことでも受け付けますと言い続けていて、小さなことでも聞き逃さず、会社の成長につなげたいと考えています」(竹下氏)。

Omnissaの主力製品であるHorizonとWorkspace ONEはグローバルの仮想デスクトップと統合エンドポイント管理ソリューション分野において、リーダー的な位置を占めている。この実績を土台に、Omnissaは成長を図るためにデジタルワークプラットフォームに投資を集中、顧客がデジタル従業員体験で成功するためのデジタルワークスペースの提供を通じて、新たな時代を切り開いていく。「Omnissaとして新たなスタートを切ったことで、社員一人ひとりがそれぞれの持ち場で、新たなチャレンジをしようと決意しています。すべてのお客様とパートナーの皆さんに新たなソリューションをお届けすることで、強固な信頼関係を築いていきたいと考えています」と竹下氏は強調する。

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