旅のプロフェッショナル集団として、ハワイ旅行の企画、手配、お客さまサービスを手がけるジャルパック(JALPAK)ハワイ。同社では、1994年に稼働させた社内基幹システムを環境や時代の変化に合わせて改善し、顧客の視点に立った質の高いサービスを提供し続けている。システムの基盤として採用しているのはIBM i(旧AS/400) だ。レガシーなシステムで使われることが多い中、ローコードの自動生成プラットフォーム「GeneXus」を活用することで、少人数の内製化を可能とし、最新の機能や多様性に応えるサステナブルなシステムを実現した。

「旅のプロとしてお客さまから一番に選ばれる会社」を目指して基幹システムを再構築

JALPAK International Hawaii, Inc.  Information System  Department 部長 冨岡 隆之氏

JALPAK International Hawaii, Inc. Information System Department
部長 冨岡 隆之氏

株式会社ジャルパック (JALPAK)のハワイ現地法人として、ハワイ旅行の現地観光素材(ホテル、送迎車など)の仕入や手配、お客さまサービスなどを提供しているツアーオペレーターのジャルパック・インターナショナル・ハワイ(JALPAK International Hawaii, Inc.、以下JALPAKハワイ)。1970年に設立された同社は、企業理念として「安心と品質の『いい旅、あたらしい旅。』をお客さまに喜んでいただき、平和で豊かな社会づくりに貢献します」を掲げ、旅のプロフェッショナル集団として、時代とともに変化し多様化するニーズを先取りし、旅の魅力を提供し続けている。

JALPAKハワイが顧客ニーズに柔軟にスピーディーに対応していくために取り組んだのが基幹システムのアップグレードだ。この基幹システムは、現地観光素材の仕入・在庫管理、手配、請求・精算などを行う「Success」と呼ばれるシステムで、IBM i(旧AS/400) を基盤に構築され、数十年にわたって同社の事業を支えてきた。JALPAKハワイのIT部門を統括する冨岡隆之氏はこう話す。 「当社では、お客さま視点を大切にして、旅のプロとしてお客さまから一番に選ばれる会社を目指しています。その目標を実現するためには、ビジネス環境の変化に素早く適応していくことが重要です。そこでシステムの内製開発を基本とし、コードやデータベースを自動生成するツールを活用して、業務プロセスを素早く改善する体制を築いてきました。ただ、2019年頃からコロナ禍の影響で旅行業界を取り巻く環境が大きく変化したため、それに対応できるよう基幹システムの再構築が必要でした」(冨岡氏)

Successは1994年から稼働しているシステムで、IBM i向けのRPG/COBOLの自動生成ツールを活用していた。ただ、長年の利用でシステムが肥大化したことやデータの整合性や品質などに課題があったことから、2008年にIBM iとWindowsを組み合わせたクライアント/サーバ(C/S)型システム「Success II」へと移行した。Success IIはその後10年超にわたって安定稼働を続けてきたものの、コロナ禍を中心とした環境の変化で新たな課題に直面することになったという。 「新たな課題に対応するためにC/SシステムをWeb化するとともに、IBM iの性能をフル活用できるような構成に再構築しました」(冨岡氏) このSuccess II再構築プロジェクトで大きなカギとなったのがGeneXusだった。

2008年にIBM i基幹システムをWindowsクライアント/サーバシステムに移行

アプリケーションアシスト株式会社 システム1部 第4グループ  グループリーダー 木内 雅人氏 

アプリケーションアシスト株式会社
システム1部 第4グループ グループリーダー 木内 雅人氏

JALPAKハワイでは、2008年のC/Sシステムへの移行のタイミングにあわせてGeneXusを導入している。GeneXusを選択した理由について、冨岡氏はこう説明する。 「GeneXusは、内製化と自動化を推進するためのプラットフォームです。SuccessをC/Sシステムに移行する際にも、これまでに使用していたIBM iを継続利用しつつ、少人数・短期間で業務プロセスの変更やデータ管理の課題、新たな環境でのアプリケーション開発などに取り組んでいくことが求められました。それらの課題に対応するうえで最適なツールがGeneXusだったのです」(冨岡氏)

SuccessからSuccess IIへの移行プロジェクトでは、IBM iのRPGアプリケーションをWindows Server上で稼働するWindowsアプリケーションに移行させ、ユーザーはこれまでのCUI画面ではなく、Windowsアプリケーションの画面を操作するスタイルに変更した。Success IIへの移行プロジェクトを支援したアプリケーションアシスト株式会社の木内雅人氏は、GeneXusの優位性をこう話す。 「GeneXusは、IBM iへの対応はもちろん、IBM iが利用するデータベースのDB2や、C/Sシステムの構築で必要になるWindowsアプリケーション、GUIの画面作成など、多種多様な開発に対応していることがポイントでした。C/Sアプリケーションの開発言語として新たにC#を選択しましたが、プログラムコードやSQLに直接触れることなく、業務プロセスやワークフロー、画面を設計することができ、大幅な開発工数の削減につながりました。具体的には、画面数は1037から648へ、帳票は364から26へ、テーブルは309から190へと、最大約10分の1 にまで工数を削減できました」(木内氏)

2008年から本稼働を開始したSuccess IIは、その後10年超に渡って安定稼働を続けた。また、ビジネス環境が変化した場合も、GeneXusを使って少人数でアプリケーションの追加開発や改善を行なうことができるため、柔軟に顧客ニーズに応えることが可能になった。さらに注目できるのは、GeneXusを採用したことで、2020年に実施したSuccess II再構築プロジェクトが想像以上に容易に実施できたことだ。

2020年にC/SシステムをWeb化した際もビジネスロジックをそのままに画面開発に集中

2020年に実施したSuccess II再構築プロジェクトでは、C/SシステムをWebシステムにアップグレードすることに取り組んだ。再構築が必要になった背景と課題について、冨岡氏はこう話す。

「本稼働後、数年ごとにプログラムの改修に取り組んできました。2012年には152件、2014年には168件の改修を行い、また、サブシステムとしてホテル統計システムの開発も行いました。こうした機能の拡大や強化を業務に影響を与えることなく円滑に実施できたのもGeneXusを活用した内製開発が定着していたからです。また、GeneXus自体がWebアプリケーション型システムにバージョンアップしていくなかで、それに追従していく必要もありました。そこで、システムをWeb化して、より環境変化に対応できるシステムへ再構築することを目指したのです」(冨岡氏)

通常、C/SシステムのWeb化は、アプリケーションの改修やデータベースの変更、業務プロセスやワークフローの改善などを含め、数年間にわたる一大プロジェクトになることがほとんどだ。だが、GeneXusを採用していたことでプログラマー含め計6名、開発開始から本稼働まで約8ヵ月という短期間で再構築を完遂させたという。システム構成について、木内氏はこう説明する。 「パフォーマンス課題を解消するために、APサーバをWindowsからIBM iに組み込まれたWebSphere Application Server(WAS)へ変更し、それにともなって開発言語をC#からJavaへ変更しました。ビジネスロジックやデータベースはそのまま活用し、純粋なロジックは極力手を入れずに、画面を変えるだけでC/SからWeb化を実現しました」(木内氏)

GeneXusを採用したことで、本来Web化で必要になる機能の棚卸しや再設計、追加開発、影響分析、テストなど多くの作業を省力化できた。冨岡氏は、こう評価する。 「ビジネスロジックをそのままに画面開発に集中することができました。C#からJavaへの変更はジェネレータ設定で開発言語を変えるだけでよく、ローコードで開発できるためJavaでの経験が少ないエンジニアが開発に携わることができました。また、GeneXusは1つのデータベースに対し、既存のC/Sシステムと開発中のWebシステムの両方からアクセスしながら開発できます。複数の環境を並行して立ち上げる必要がなく、データベースやテストも自動生成できます。GeneXusのおかげで、非常にスムーズにWeb化を実現できたのです」(冨岡氏)

既存リソースの活用と最新のIT基盤に対応した「サステナブルシステム」の開発を推進

Success IIのWeb化によってパフォーマンスの課題は解消され、スムーズに業務を行えるようになった。「Web化したことでインタフェース用の定期バッチプログラム群の処理がIBM iに統合され、従来と比べて処理が10倍ほど高速化しました。IBM i組み込みのWASを用いるため構成もシンプルになり、PCサーバの運用管理も不要になりました。在宅勤務時のレスポンスの遅さも解消され、コロナ禍による環境の変化に合わせた柔軟な働き方を生み出すことができました」(冨岡氏)

SuccessのC/S化からWeb化までの一連の取り組みでは、1994年から稼働してきたIBM iを基盤としたシステム構成の延長線上にある。C/S化に伴ってWindows Serverを組み合わせたり、Web化にともなってIBM iの組み込みWASを活用する構成に再構築したりと、土台となる構成を時代のニーズにあわせて柔軟に変更してきた。冨岡氏はこのようなJALPAKハワイの基幹システムのあり方を「サステナブルシステム」と呼ぶ。

「私はもともと社内基幹システムを担当するRPG/COBOLエンジニアとして入社しましたが、運用方針は当初から変わっていません。それは、少人数で内製開発を行い、顧客ニーズに迅速に柔軟に対応できるようにすることです。実際、コロナ禍を経て旅行業界を取り巻く環境は大きく変わりましたが、基幹となるビジネスロジックはそのままに、変化に柔軟に対応できる持続可能なシステムを構築・運用することができました」(冨岡氏)

サステナブルシステム の実現にあたって大きな役割を果たしているのがGeneXusだ。IBM iのバッチ処理機能の改修から、フロントエンドとバックエンドのシームレスな連携、開発言語の変更、各種自動化まで、さまざまな効果を生んできた。木内氏は「Web化にともなって最新のGeneXus を採用したことで、既存のリソースを活用しつつ最新のIT基盤に対応した持続可能なシステム開発が短時間、低コストで実現できました」と高く評価する。

そのうえで冨岡氏は今後をこう見据える。「JALPAKは、2022年度のJCSI(日本版顧客満足度指数)において旅行業種で顧客満足度をはじめ全6指標で第1位を獲得しました。旅の楽しさを開発していくことがJALPAKの存在理由であり、私たちの使命です」(冨岡氏)

JALPAKハワイのサステナブルな取り組みを今後もGeneXusが支えていく。

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