2002年に大分県大分市で設立し、現在はFIG株式会社(以下、FIG)の中核を成すグループ企業として事業を展開するモバイルクリエイト株式会社(以下、モバイルクリエイト)。社名が示すとおり、さまざまな業種向けに移動体通信を活用したサービスを手がけており、ハードウェアからシステム基盤、アプリケーションまでをワンストップで提供している。なかでも「iMESH」というブランドで展開している業務用IP無線システムは、業界のパイオニアとして市場を牽引。同社は、IIJモバイルを業務用IP無線システム、及び動態管理システム、タクシー配車システムなど関連ソリューションに積極的に採用し、「IIJ Partner of the Year 2022」においてビジネスイノベーションアワードを受賞している。モバイルクリエイトの親会社となるFIG テクノロジー戦略本部 商品企画部 部長の後藤 敏男氏は、iMESHブランドで展開している事業について次のように語る。
「FIGグループは12の事業会社で構成されており、モバイルクリエイトはそのなかでも中核企業として、IP無線機をはじめ、運送事業者向けの動態管理システム「モバロケ」や、路線バスの管理を行う「バスロケ」、タクシーの配車依頼を管理する「新視令」、主にタクシーの車内で活用する「電子決済システム」など、さまざまな業種向けのシステムを開発・提供しています。たとえばタクシー業界では、法人タクシーのシェア12%となる約26,800台のIP無線機が利用されており、路線バスでは約15,000台、物流業界では約100,000台が、IP無線機を中心に各システムを活用している状況です」(後藤氏)
同社が業務用IP無線システムを開発した経緯は、モバイル通信技術の進化にあったと後藤氏。「以前から使われてきた電波を使った無線機では、総務省から目的に応じて割り当てられた周波数帯域を、各事業者が借りる形で通信が行われていたため、免許の取得やアンテナの敷設などが必要でした。その一方で携帯電話やスマートフォンが普及してきて、インターネットを介して簡単に情報をやり取りできるようになった。このインターネット回線を活用して業務用無線の仕組みを作れば、免許も不要でアンテナを敷設する必要もなくなります」と業務用IP無線システムのメリットを説明する。
通信品質の高さはもちろん、要望に対して親身にサポートしてくれる企業風土が採用の決め手
モバイルクリエイトが提供するIP無線システムには、モバイル通信サービスとしてIIJの法人向けモバイル通信サービスである「IIJモバイル」が採用されている。以前は他のMVNO事業者のサービスも利用していたが、現在では、新規に出荷する製品のほとんどにIIJのSIMが使われていると後藤氏。その理由として業務用の製品でもっとも重要となる「サービスが止まらないこと」を理解し、同じ目線で問題解決に取り組んでくれるIIJの企業風土、サポート体制が大きかったと振り返る。
後藤氏と同じく、iMESHの事業戦略に携わるFIG株式会社テクノロジー戦略本部 テクノロジー連携室 執行役員の今山 節治 氏は、IIJのモバイル通信サービスを選択した理由として「速くて安定した通信回線」に加えて「細かいところにまで手が届くサポート」を挙げ、他のMVNO事業者と比べたIIJの優位性についてこう語る。
「IIJといろいろな打ち合わせをしていくなかで、こちらの要望に臨機応変に対応してくれることに助けられました。私たちの本社は大分県にあり、IIJの九州支社が窓口となるのですが、本社の方とも常にダイレクトコミュニケーションができる環境が用意されており、商品を企画する側としては非常に安心できました」(今山氏)
物流業や道路旅客運送業をはじめ、近年では防災市場での活用も進む「iMESH」シリーズ
無線システムの利用ハードルを大幅に下げることに成功したiMESHシリーズは、タクシーや路線バス、物流事業者をはじめ、さまざまな業界で活用されている。IP無線機も、車載用の端末からハンディ端末、さらにはスマートフォンを業務用無線システムとして利用できるアプリ版iMESHまで、多様なラインナップを用意。単体での利用だけでなく、前述した各業界向けの管理システムと連動させることでより多くのメリットを生み出している。
たとえば路線バスの場合、車載用デバイスであるIM-870とバスロケを導入することで、GPSの位置情報を使ってセンター側で運行情報を可視化。迅速かつ適切な運行管理が行えるようになる。またタクシー向けの配車システムである新視令では、IP無線・料金メーター・ナビを連動させて配車業務を大幅に効率化することが可能だ。タクシー業界向けには電子決済をタクシーで使えるようにするシステムも提供されている。さらに動態管理システムであるモバロケは、LINEとの連携にも対応しており、送迎車両やスクールバスの位置情報を利用者のスマートフォンで確認できるなど、さまざまなシーンで効果的に利用することができる。
後藤氏は「近年ではIP無線デバイスを提供するメーカーも増えてきましたが、パイオニアとしての経験と実績を活かして幅広いタイプのデバイスをラインナップしているのは弊社の強みです」と語り、さらに業界向けに特化したシステムを自社開発していることが、他社と比較した優位性と力を込める。
こうした実績が評価され、iMESHの導入シーンは広がり続けており、昨今では災害対策の強化を目的として地方自治体で採用されるケースが増えているという。たとえば熊本県人吉市及びその周辺6市町村から構成される人吉下球磨消防組合消防本部では、災害発生時の対策本部と災害現場の平時通信が途絶する事態を想定して、通信エリアが広く1体n(1対多数)のコミュニケーションが可能なiMESHを導入。消防署・消防団・自治体間のスムーズな情報共有を可能にする防災情報ネットワークの構築に成功したほか、動態管理システムとの連携による正確な位置情報の管理や、IP無線機のカメラを用いた画像送信による状況確認など、さまざまなメリットを得ているという。
IIJとモバイルクリエイトの協業により、移動体通信事業に新たな価値を創出する
このように、物流業界から、防災市場や自治体・企業のBCP対策まで活用シーンが拡大しているモバイルクリエイトのiMESH。そのなかで、高速かつ安定した通信環境を提供するIIJのモバイル通信サービスは非常に重要な役割を担っている。モバイルクリエイト(FIG)とIIJのパートナーシップは強化を続けており、現在はIIJが提供するマルチプロファイルSIMの使い勝手を大幅に向上させる切り替えアプリを共同開発中。近日中のリリースを予定していると今山氏は語る。
「複数のSIMをデバイスに挿して回線を切り替えるデュアルSIMは、キャリアの大規模障害が起きた際にも業務を継続できるというメリットがありますが、キャリアごとに利用料金がかかり、デバイス側にも複数のSIMスロットが必要になるなど導入ハードルが高い側面もありました。IIJのマルチプロファイルSIMは1枚のSIM、1つの基本料金で利用できるため、安価で導入しやすいのが特徴です。現在、障害発生時に回線を自動または手動で切り替えるためのアプリを弊社とIIJで共同開発しており、近日中に提供を開始する予定です」(今山氏)
またiMESHの今後の展開として、新しいGPS端末「IM-830」を2023年6月5日(月)に販売開始したと後藤氏。「動態管理に特化した製品で、“無線は不要だが動態管理は行いたい”といったニーズに応えるコンパクトで安価なデバイスとなります。こちらもIIJに企画段階から入っていただき、日本国内ではまだ採用が進んでいないLTE-Mを採用することで低価格化、省電力化を実現しています」と語り、無線以外の市場にも、移動体通信を使ったサービスを展開していきたいと展望を口にする。
業務用IP無線システムのパイオニアとしての経験と実績を活かし、IIJのモバイル通信サービスに新たな価値を付加するサービスを展開するモバイルクリエイト(FIG)。同社とIIJのパートナーシップにより生み出されるソリューションからは、移動体通信事業の未来像が見えてくるはずだ。
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