あらゆる業界がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくなかで、流通・小売業界では多様化が進む販売チャネルや顧客接点への対応として、オムニチャネル化やOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)の促進が喫緊の課題となっている。
IT&戦略コンサルティングを主要事業とするフューチャーアーキテクト株式会社では、さまざまな業界や分野に特化したエキスパートと技術のエキスパートを抱え、これまで多くの企業のビジネス変革をけん引してきた。本稿では、同社で流通・小売業界に向けたビジネス改革の支援を手がける高杉 直樹 氏、 宗田 瑛二朗 氏、 窪岡 広基 氏にお話を伺い、オムニチャネル・OMO戦略の最適解を紐解いていく。
コロナ前から自社チャネルに依存したビジネスに限界を感じていたアパレル業界
テクノロジーをベースにITコンサルティング&サービス事業とビジネスイノベーション事業の2軸で事業を展開するフューチャーグループ。前者のビジネスを担うグループ企業であるフューチャーアーキテクトでは、経営・業務・ITの三位一体の複合的なコンサルティングを強みとし、情報システム構築を中心に事業を推進している。
同社では、EC(Electronic Commerce:電子商取引)に携わるすべての企業に向けて、オムニチャネル・OMO戦略を支援するプラットフォームサービス「OmnibusCore(オムニバスコア)」を展開している。本サービスの立ち上げから携わり、責任者である高杉氏はサービス提供の背景についてこう語る。
「サービスを立ち上げたのは2015年です。当時から『EC』『オムニチャネル』といったキーワードはさまざまな業界で注目されていました。その流れはコロナ禍によって一気に加速したように思えますが、アパレル業界ではコロナ以前より市場がシュリンクしているという危機感から、自社チャネルに依存しない販売戦略や、OMOに対する意識が高い傾向がありました」(高杉氏)
サービスイン当初はアパレル業界のEC化率が10%前後であったのに対し、現在では20%超にまで拡大し、Amazonや楽天市場、ZOZOTOWNといったサードパーティECの活用は当たり前のものになっている。こうしたオムニチャネル戦略やOMO促進の取り組みは、コロナ禍をきっかけに流通・小売業界全体で急加速し、待ったなしの状況となっている。
膨れ上がるサードパーティECの運用負荷とOMO施策が求められる背景
複数の外部ECサイトに出店するにあたって、まず問題となるのが運用負荷の増大だ。アイテムのカテゴライズやカラー・サイズの概念、区分けの方法などはECサイトによって異なり、各ECサイトの管理画面を使って各種マスターを登録しなければならない。また注文や売上のフォーマットも違ってくるため、各ECサイトの注文や売上のデータを抽出し、自社の基幹システムや会計システム等に合わせてデータを変換する必要がある。
出店数が多くなればなるほど運用負荷が増大するので、それが足かせとなってサードパーティECの活用をためらうケースもあるという。運用負荷をいかに抑えながらチャネルを拡大していくかがカギとなる。
また、メーカーが利益率を向上させるためには、プロパー消化率(定価で販売した商品の割合)を改善させる必要がある。そのためには、商品を売れる場所に売れる分だけ配置するという在庫の最適配置が不可欠だ。
「たとえば店舗で在庫が余ってしまうと倉庫への返品が発生して無駄な物流コストがかかりますし、別のチャネルで販売するにしても輸送時間が発生し、商品が最も売れやすいタイミングを逃してしまう可能性もあるからです。昨今、この在庫の最適配置はサステナビリティの観点でも重要視されています。とは言え、在庫配置をパーフェクトに実現することは不可能です」(高杉氏)
そこで在庫情報の一元管理を実現するOMOは非常に重要な考え方となる。在庫がある場所と購入する場所、商品を受取る場所など、あらゆる”場所”に依存しない販売プロセス(在庫OMO)を確立することで、在庫の消化が促進され、廃棄ロスの削減や利益率の向上、延いては顧客体験価値の向上にもつながる。
OMO施策を成功に導くためには基盤となるシステムの整備が不可欠だと高杉氏は言う。
「OMOの推進が急務になる中で、全体的な整合を取った仕組みづくりが後回しになり、手の付けやすい既存のECシステムや基幹システム、店舗システムにそれぞれ対応していった結果、新たにOMO施策を拡大しようにも何かしらの制約が生じてしまうようなことが多く見られます。このような対応は企業としてOMOを推進していくうえで最適解とはいえません」(高杉氏)
商品・在庫情報を一元管理し、OMOの促進を加速させる
そうしたなかで、EC運用負荷を削減し、業界全体のEC化率を底上げすることをビジョンとして開発されたのがOmnibusCoreだ。リアル店舗や自社EC、主要なサードパーティのECサイトをはじめ、百貨店のECサイトや越境ECサイトなど25のサイトに接続が可能で、27メーカー・600ブランドの取り扱い実績がある(2022年10月現在)。すべての販売チャネル・アイテム情報が集約され、さらに物流システムと連携することで、あらゆる販売プロセスを実現するデータ連携ハブとして機能する。チャネルごとの商品調達力や品揃えの向上を実現することで、販売機会損失を防ぎ、プロパー消化率の向上が見込め、利益率を確保できるようになる。
同サービスの現場責任者として、運用やコンサルティングを手掛ける宗田氏は、サービスの特長を説明する。
「OmnibusCoreは、自社システムに登録した情報が外部ECサイトに自動で適用されるため、運用担当者の負担を大幅に軽減したうえでの出店拡大が可能になります。また、すべてのチャネルで在庫を共有し、各ECサイトの販売数を最適化できます。これにより、ECサイトごとの需要を予測したうえで在庫を配分し、状況を確認しながら逐一補充するといった複雑な運用から脱却できます」(宗田氏)
オムニチャネル・OMOを実現するソリューションを導入する際には、現行の業務とシステムを整理したうえで新たな仕組みを設計していく必要があり、単にパッケージ製品を導入するだけでは期待していた効果が得られない可能性が高い。OmnibusCoreは、ITコンサルティングを主要事業とするフューチャーアーキテクトの経験とノウハウが惜しみなく投入されたソリューションに仕上がっており、企業それぞれのニーズや状況に合わせたカスタマイズが可能だ。
「当社はITコンサルティングが本業であり、単にサービスを提供するのではなく、既存の業務・システムにどう組み込み、どのような成果が得られるのかといったところまで、導入企業に寄り添いながら進めていけるのが強みです」と、高杉氏は力を込める。
大手アパレル企業愛用の「OmnibusCore」。導入後さらなるオムニチャネル戦略を実現
OmnibusCoreはすでにアパレル業界を中心に数々の大手企業がサービスを利用し、EC化率の向上をはじめ多様なメリットを享受している。たとえば、2015年のサービスインからOmnibusCoreを利用しているTSIホールディングスでは、同サービスを介して多数のブランドを複数チャネルに展開しており、現在は18のECサイトを一元管理。OmnibusCoreに蓄積された受注データ・在庫データを活用することで、売れ筋や欠品状況を可視化し、能動的に在庫補充や消化促進ができるようになった。適切な在庫補充により、各サイトと各ブランドの特色を考慮した販売戦略を実現しているという。
また、大手衣料品メーカーでは、相談から約3カ月というスピードでOmunibusCoreを導入した。外部ECサイトへの自動出店とともに予約販売機能など機能追加のカスタマイズも行い、その提案力と技術力が高く評価された。導入後は、全社のOMO戦略の推進を担い、「在庫のOMO」を実現。店舗在庫を最適化することで、限りあるスペースでも大きめ、小さめといったニッチなサイズ需要にまで対応した幅広い品揃えが可能となり、機会ロスの削減に寄与したという。
データドリブンな販売戦略を実現し、幅広い業種のビジネス拡大を支援していく
流通・小売業界における豊富な知見と技術力を強みとするフューチャーアーキテクトは、今後もさまざまな機能をOmnibusCoreに搭載していく予定だという。高杉氏と同じく、2015年のサービス立ち上げ時から携わり、現在はOmnibusCoreサービスの拡張や方向性の検討などを担う窪岡氏は次のように展望を説明する。
「急速に変化する社会環境を背景に消費者のニーズや価値観も多様化しています。またSNSなど様々な媒体から得られる情報によって興味・関心も変化するため、ECの商品説明と画像といった情報だけではなかなか購買に至らないという課題もあります。こうした課題を解決すべく、私たちは膨大な情報を集約して適切なタイミングで消費者に訴求できる仕組みをOmnibusCoreにも搭載していきたいと考えています。製品情報の一元管理を実現できれば、店舗の販売員と消費者といったオフラインの接点でも活用できるはずです」(窪岡氏)
このような「接客のOMO」が実現できれば、顧客満足度向上にも繋がるだろう。さらに窪岡氏は、AIなど技術力を生かした機能も現在検討中だという。
「先述した通り、EC運用では商品に情報を付与していく作業が大きな負荷になっています。シーズンごとに何万点にも及ぶ商品に対し、手動で多角的な情報を紐づけていくのは現実的ではありません。たとえば、AIを利用して1枚の商品画像からカラーやアイテムを自動補完し、登録するといったことや、自然言語処理技術を活用することでコメントの自動作成もできると考えています。こうした技術力を活かした機能拡充を行い、運用者の負担軽減をしていくことで限られた人的リソースを販売戦力につぎ込めるようにしていきたいと考えています」(窪岡氏)
今後も市場のニーズに合わせたOmnibusCoreの機能拡充を図り、アパレル企業だけでなく、流通・小売業界のデファクトスタンダードを目指していきたいと高杉氏は話す。
「OmnibusCore立ち上げのきっかけはアパレル企業の課題解決でしたが、アパレルに特化したソリューションではありません。繰り返しになりますが、導入後も成果を得られるところまで、とことんお付き合いするのが我々のスタンスです。その意味でも、オムニチャネルやOMOを推進したいすべての企業のお役に立てると嬉しいですね」(高杉氏)
アパレル業界が先んじて取り組んできたOMOの促進は、流通・小売業界全体に拡大し、当たり前の取り組みになりつつある。商品販売プロセスのデータ連携をフックに、EC化率の向上や売上拡大、在庫適正化、顧客満足度の向上など多様なメリットを享受したいのならば、ぜひ一度フューチャーアーキテクトに相談してみてはいかがだろうか。
OmnibusCore
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フューチャーアーキテクト株式会社
- 代表者:代表取締役社長 神宮 由紀 、代表取締役副社長 齋藤 洋平
- 設立:2016年4月1日
- 事業内容:ITを武器とした課題解決型のコンサルティングサービスを提供
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