働き方改革関連法案や新型コロナウイルスの影響で在宅勤務の普及が進み、個人のライフスタイルに合わせた働き方が可能となってきた。ただし、在宅勤務はメリットも多い一方、かえって不便な側面もある。企業が競争力や従業員エンゲージメントを高めるには、働く時間や場所をより柔軟にする「フレキシブルワーク」を目指していかなければならない。

5月26日に開催されたTECH+セミナー「オフィスのあり方を再考するDay 2022 May. オフィスが向かう未来を再定義する」では、NTTコミュニケーションズ(NTT Com) プラットフォームサービス本部アプリケーションサービス部スマートワークスタイル推進室 主査 山本清人氏が、最新のフレキシブルワークの事例について紹介した。

リモートワークの普及で従業員満足度が向上

まずは、NTT Comにおける働き方の現状について見ていきたい。NTT Comは、コロナ禍以前から全社員がリモートワーク可能だったが、利用率は2割程度にとどまっていた。新型コロナウイルス感染症対応をきっかけに普及が進み、現在リモートでの勤務率は80%を超えている。

リモートワークの浸透によって、従業員の働き方や意識に大きな変化が見られるようになった。通勤が不要になったぶん、午前9時前には業務を開始する従業員が増加。また、通勤時間の平均は片道約60分ほどだったため、1日あたり2時間の時間が生まれた。結果として、プライベートに使う時間が増え、従業員満足度が高まったという。

オフィスのあり方も見直した。オフィスへ出社する従業員が減ったため、出社率30%を前提とした座席となるよう再設計。オフィスの集約・解約を進めた。また、席数を確保するために、自社通信ビルの一部をサテライトオフィスとして利用したり、社外のコワーキングスペースを活用できる制度を導入したりなどして、働く場所を分散させる取り組みも行っている。

会社には申告しない「シャドーリモートワーク」が拡大

他の会社の状況はどうだろうか。2021年9月にNTT Comが実施した260社の経営者・総務部・人事部へのアンケートでは、約8割がリモートワークを導入しているものの、大半が在宅勤務のみで、サテライトオフィスやコワーキングスペースを利用している例はまだ少ないことが明らかになった。

また、コロナ禍対応で緊急導入したためにリモートワークの環境整備が追いついていないケースも見られた。特に、自宅を就業場所としている場合、働く環境の個人差が大きくなってしまう。子育て中だったり、同居人もリモートワークをしていたりするケースでは、自宅で集中して業務を行うことが難しい。結果として、会社には申告しない「シャドーリモートワーク」が拡大してしまっているという。NTT Comが2021年9月に実施した会社員500人へのアンケート調査の結果では、カフェや喫茶店で仕事をしているという回答が多く寄せられた。

「働く場所や時間が大きく変化していく流れはもはや不可逆的。しかし、働く従業員の環境の格差によって、従業員エンゲージメントや企業競争力にマイナスの影響が出ている可能性がある」(山本氏)

働く条件や目的に合わせてワークスペースを選べるように

実際にアンケート結果を見ると、自宅以外に社外ワークスペースを利用している企業の67%は、生産性向上を目的にしていたという。

外回りの業務が多い営業パーソンにとっても、外出先の社外ワークスペースで作業ができるようになれば、自宅やオフィスに戻ることなく、より効率的な営業活動が行える。また、自宅環境が悪い従業員に対して近所に働く場所を整備すれば、エンゲージメント向上に貢献することができる。業務内容に応じて個室などの場所を使い分けることで、セキュリティを確保することも可能だ。

こうした働く場所を柔軟に選べる「フレキシブルワーク」は、使い分けが重要であるとする山本氏。その考え方について、次のように語る。

「同僚や他部署との交流という面では、対面で集まったほうが意思疎通しやすい。顧客との商談もオフィスが向いている。一方、在宅勤務は、交通費やオフィス経費が掛からないという企業側のメリットも大きく、個人が集中作業を行うのに適している。カフェ・コワーキングスペースは、通勤する必要がないだけでなく、環境が整っていることが多いため、オフィス環境をアウトソースしているという視点で捉えられる」(山本氏)

つまり、働く条件や目的に合わせて柔軟にワークスペースを選べるようにすることが、これからのオフィスのあり方を考えるうえでは重要なポイントとなる。

「droppin」で理想のフレキシブルワークを実現

では、どのようにすれば、働く場所を柔軟に選べる仕組みを実現できるだろうか。

NTT Comでは、ワークスペース検索・即時予約サービス「droppin」を提供している。droppinは、全国約450箇所以上から最適なワークスペースを検索し、予約、入退室、精算までをモバイルアプリからワンストップで行うことができるサービス。オープンスペースや個室BOX、会議もできる個室スペースなども含め、さまざまなワークスペースを選ぶことができる。利用可能なワークスペースは、今後1年間で1000箇所以上に拡大予定だという。

個人利用も可能だが、法人向けの管理機能が充実していることもdroppinの特徴だ。勤怠管理機能のほか、自社のセキュリティポリシに適したスペースを従業員に提供できるフィルタリング機能、1人あたりの利用予算上限を決められる予算管理機能などもある。

droppinについて山本氏は「事情があって自宅で仕事するのが困難な場合など、そのときにだけ社外のワークスペースが必要な従業員もいる。そのためにサテライトオフィスを全国に用意することは現実的ではない。そうした課題解決に向け、社外ワークスペースの確保を肩代わりできるサービス」と説明する。

特に出張や営業など外回りが多く、移動の合間時間を有効活用したい人に対して、オフィス代わりになる場所を提供したい場合が主な活用例になる。スポットコンサルを手掛けるビザスクは、droppinを活用し、営業担当者などがアポイントの合間に気軽に社外スペースを利用し、業務効率をあげる環境を実現しているという。

droppinは、初期費用・基本料金とも無料。従量課金制で、ワークスペースごとに利用料金は異なるが、1時間あたり500〜1000円、個室は1000円〜程度が目安となる。福利厚生目的で導入したいというニーズも増えているため、利用料金の一部を会社負担にできるプランも提供中だ。

さらにオプションプランとして、ワークプレイスや働き方に関するコンサルティングサービスも提供している。アンケートや調査代行も可能だ。山本氏は「リモートワークを導入しても社内制度やシステムの整備が追いついていないという相談もある。当社のリモートワークを前提としたルール・システムを活かし、パッケージとして提供している」と紹介する。

社内個室ブースの導入支援サービスも、オプションプランとして用意されている。オフィスへ出社した際、同じ部屋で複数のオンライン会議が行われており、周囲の音が気になってしまうという問題を解決するために、ニーズが高まっているという。droppinを利用して個室ブースの空席情報を確認できるような仕組みもつくれる。

企業にとっても従業員にとっても、より良い働き方を探求していけるdroppin。ぜひ活用して、フレキシブルワークを実現し、企業の競争力と従業員エンゲージメントの向上につなげてほしい。

[PR]提供:NTTコミュニケーションズ