政府の旗振りで働き方改革が進み出していた矢先、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響も受け、企業における働き方は劇的に変わり始めている。文房具やオフィス家具など多種多様な製品を提供するコクヨが2016年に開設したワークスタイル研究所で、国内外の先進的な働き方に関するリサーチと情報発信に取り組む田中康寛氏に、働き方のトレンドとこれからのオフィスのあり方について聞いた。

ワークスタイル変革の観点で注目の「ABW」

日本では2016年頃から働き方改革の取り組みが動き始めていた。背景にあるのは、少子高齢化による労働人口減少や、長時間労働に代表される非効率な働き方による低い生産性の課題であり、それらを解消するために柔軟で多様な働き方の追求がスタートした。そしていうまでもなく、この動きを一気に加速させたのがコロナ禍である。

ワークスタイル研究所田中氏の分析によれば、企業における働き方の変革という視点には「フレキシビリティ」「ライフステージのカスタマイゼーション」「ウェルビーイング」「イノベーション」の4つの方向性があるという。

  • コクヨ株式会社 ワークスタイル研究所 リサーチャー 田中康寛氏

    コクヨ株式会社 ワークスタイル研究所 リサーチャー 田中康寛氏

「1つ目は働く場所・時間の柔軟性に関わることで、仕事内容や家庭環境に合わせて日々の場所や時間の使い方を選択できる環境を整えようという視点です。2つ目は、それより長い時間軸、つまりライフステージを自ら柔軟に設計できる仕組みをつくる動きです。例えば学び直しや兼業・副業などが挙げられます。3つ目は、従業員や社会、地球をより健康で豊かにするために、企業のあり方や働き方をどう再設計するか追求する視点です。そして4つ目は、企業の将来を見据えてイノベーションをいかに起こしていくかという視点ですね」

田中氏によると、コロナ禍を経て4つすべての重要性が再認識されたが、とりわけ大きな方向転換を迫られたのがフレキシビリティとイノベーションの視点だという。このうちフレキシビリティにおいては、リモートワークなど場所の柔軟性の切り口に加え、一部企業で導入が始まった週休3日制に象徴される働く時間といった観点でも柔軟性が増している。

そういった流れをくんで、近年企業で注目が集まっているワークスタイルが「ABW」(Activity Based Working)だ。これは従来のように決められた時間にオフィスへ出社して働くのではなく、オフィスでも、自宅でも、あるいはサテライトオフィスやコワーキングスペース、カフェ、旅先などでも、仕事内容や気分、私生活などに合わせて、働く場所と時間を自律的に選べる働き方である。

「企業がABWに関心を持つ理由のひとつに、労働人口不足に対する危機感が挙げられます。働く人をいかに確保していくかという視点から、介護や育児に従事する人や、シニア世代、学生、あるいは障害を持つ人など働きたくても働きづらかった人々も快適に働ける柔軟な働き方が人材の求心力を高めるという考えに至ったのだと思われます」(田中氏)

これまでも柔軟な働き方としてフリーアドレスが注目されていたが、これはオフィス内の多様な空間を選択できる一方で基本的にオフィス出社が前提であるケースが多かった。対してABWは、オフィス自体も働く場所の選択肢のひとつであり、街中のあらゆる場所が選択肢になる。さらにいえば、近年発展著しい仮想世界も、選択肢のひとつといえるだろう。

ABWの働き方だからこそオフィスの重要性も増す

ABW自体は日々の働く場所と時間を最適化できるという文脈のもので、田中氏が挙げた4つの視点の中ではフレキシビリティの追求に該当する施策だ。働き方の自由度が高まることで、業務効率と生産性の向上はもちろんのこと、通勤時間の削減やプライベートな時間の確保が可能となってワークライフバランス実現にも寄与する。また、働きたい場所で働くことでアイデアが生まれやすくなったり、自己決定の機会が増えることで自信や自分らしさの実感が高まったり、思考や精神面での好影響も期待される。企業にとっても働く環境としての魅力が高まり、従業員満足度やエンゲージメントがアップして人材獲得・人材流出抑制につながる効果もあるだろう。

ただし、リモートワークなどフレキシビリティの強化はメンバーを物理的に分散させるため、4つ目の視点であるイノベーションに対しては課題もあると田中氏は言う。

「イノベーションは、別領域の知と知が結びついて生まれてくるもの。しかしながら、リモートワーク偏重になると他部署や別の専門性を持つ社員と遭遇する機会が減り、知の結びつきが起こりにくくなる傾向にあります。その課題を解消する観点でオフィスの役割が見直されつつあるのです。オフィスは多様な人々が集まり、回遊しながら密なコミュニケーションや偶然の出会いが生まれる可能性を秘めています。ABWを実践するうえで、オフィスには新たな知の結びつきを誘発する役割が求められていくでしょう」

実際コロナ禍前から、イノベーションを重視する米国のGAFAなどは、オフィスを充実させ、社員が自発的に集まり、知が融合しやすい環境整備を進めているという。また、これら企業だけでなく、オンラインのやり取りだけでは密なコミュニケーションが不足するため、やはりオフィスも必要だという声は多くの調査で見られる。

「全国3000人のワーカーを対象に、オフィスに来る目的をコクヨ独自で調査した結果、特にリモートワークを取り入れるワーカーは、“心の交流”を求めて出社していることがわかりました。例えば、上司や同僚に悩みを相談する、チームビルディングをする、あるいは同僚と他愛のない話をするなど、情報を頭で解釈するのではなく仲間の心を感じとるような交流です。つまりオフィスには、集中作業や情報共有のしやすさといった効率性を上げる効用に加えて、心の充実や仲間との一体感といった情緒的な側面でも大きな意義があるのではないかと考えています」

とはいえ、ABWの本来の意味を考えれば、強制的に出社させるのは逆効果を生む。近年、米国の企業では出社義務を設けたところ大量の離職者が発生した例もある。

「だからこそ、自由に働く場所を選べる状況下でも、前向きにオフィスを選択したくなるような魅力を用意していくことが大切ですし、その求心力のひとつが“心の交流”だと考えています」と田中氏は指摘する。

「リアルとオンラインの融合」を促すこれからのオフィス像

では、“心の交流”を生むためにどのような環境や仕掛けを整備すればいいのだろうか。例えば、クラウドファンディングのプラットフォーマーである米国のKickstarterでは、週1回健康的な食を囲むランチ会を通して、従業員の交流を促している。また、豪州の金融機関NABでは、プロジェクトチームが中長期的に占有できるスペースを用意し、チームのハブをオフィスに用意している。

「“自分”ではなく“自分たち”を主語にできる集まり方がポイントです。“自分”が快適に働けることを考えれば、オフィスに代替される場所はたくさんあるでしょう。オフィスに行くと“自分たち”の結束力が深まり、ひとりでは得られなかった新しいアイデアや大きな成果を“自分たち”で生みだせる……といった感覚をオフィスで体現できるのであれば、前向きにオフィスへ来たくなる社員も増えるのではないでしょうか」(田中氏)

しかしながら、メンバーそれぞれの事情によって全員がオフィスに集まれない場合もある。家庭の事情で自宅にいる仲間や海外で働く仲間、組織外の顧客やパートナーなど、遠隔地にいる人とオフィスにいる人が円滑に疎外感なく交流できる設備をオフィスに導入することも重要だと田中氏は指摘する。例えば、Web会議でコミュニケーションの壁を感じさせず、快適にやり取りできるような仕掛けだ。

日本国内で4000を超える企業・組織が導入しているCVTE社の法人向けブランド「MAXHUB」のインタラクティブ・フラットパネルは、タッチ操作対応のディスプレイにカメラ、マイク、スピーカーを搭載し、電子ホワイトボード、プレゼンテーション機能、Web会議ツールなども備えたオールインワン製品である。

  • 「MAXHUB」はユーザーエクスペリエンスを重視したデザインが特徴

    「MAXHUB」はユーザーエクスペリエンスを重視したデザインが特徴

「リモートワークで分散して働くことに慣れたいまこそ、各地のメンバーが同じ空間に集まっている感覚を得られることが大切です。MAXHUBのようなソリューションは、離れた場所にいるメンバー同士の心の距離を近づける点でABWの課題を補完する設備だと思います」と田中氏。たしかに、ライブ感をもたらす映像と音声はオンライン参加者にも場の雰囲気を感じさせやすい。加えて、プラグアンドプレイにより接続するだけで簡単に使い始められる点、電子ホワイトボード機能がアイデア出しに有効である点も大きなメリットだ。

MAXHUBはオールインワンの統合ソリューションである点が強みだが、より最適なソリューション選択をサポートするMAX-Workingソリューションによって、利用環境に応じて柔軟にカスタマイズできるようにインタラクティブ・フラットパネル、ユニファイドコミニュケーション製品、LEDディスプレイといった製品が豊富に展開されている点も特徴だ。

例えばマイクスピーカー一体型Webカメラ「Sound bar SE(UC S05)」は、PCにつなぐだけですぐに使える製品で、高画質カメラとクリアな音質のマイクスピーカーがライブ感の高いWeb会議を実現する。省スペース型で壁やテーブル上など環境に合わせて設置できる点も便利だ。「オールアングルマイクスピーカー E-supply(BM21)」は360度全方位から集音でき、その場の雰囲気をよりリアルに伝えることが可能となる。また「UC M40」は360度のパノラマ映像を撮影できるスピーカー搭載Webカメラで、オンラインの相手に会議室のメンバー全員の姿を歪みなく伝えられる。

「“自分たち”のニーズに合わせて空間をカスタマイズできることは、“行きたくなる”オフィス環境を整備するという観点からも効果的です」と田中氏。そこに行けばワクワクする体験が待っているという期待感を抱かせるオフィスにアップデートするうえで、MAXHUBのようなソリューションが役立つのではないだろうか。

  • 「Sound bar SE(UC S05)」(左)、「オールアングルマイクスピーカー E-supply(BM21)」(中央)、「UC M40」(右)

関連情報

・「MAXHUB」ブランド公式HP
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・マイクスピーカー一体型Webカメラ「Sound bar SE(UC S05)」
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・マイクスピーカー「オールアングルマイクスピーカー E-supply(BM21)」
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・360度全方位WEBカメラ「UC M40」
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MAXHUBインタラクティブ・フラットパネル

・コクヨ取扱モデル
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