あらゆるものごとが "データ起点" なものへ姿を変えるなか、顧客に関わるあらゆる情報を蓄積し、これを活用しながら事業を運営することが、ビジネスを加速するうえで欠かせなくなってきている。ただ、2022年4月に迫る改正個人情報保護法の施行や絶えず行われる各国の個人情報保護規制強化を理由に、顧客情報を蓄積し活用することの難易度はどんどん増している。持続可能な形で顧客情報を活用していくために、企業は何に臨むべきか。1つの解になるのが、「"次世代の" 顧客情報統合管理」だ。

顧客情報統合管理で持つべき "持続可能" という視点

BtoC、BtoBに関わらず、顧客接点やそこでの価値提供を最適化する手段として顧客情報統合管理に注目が集まっている。顧客情報統合管理と聞くと、バラバラに管理されていることが多い顧客情報の統合をイメージするかもしれない。たしかに、LTV(顧客生産価値)を向上させていくうえでは今述べた文脈で異なるサービス/異なるチャネルを跨いで顧客体験に一貫性をもたせていくことが重要だ。ただ、もしもあなたが事業推進の立場にあるならば、それとは別に "持続可能" という視点も、顧客情報統合管理に際して持ってほしい。

4月に迫る改正個人情報保護法では、本人から了承が得られていない "不適切な利用" について「禁止義務」が明文化されることとなる。これが意味するのは、予め利用目的を明示して同意を得た内容以外に顧客情報を企業側は利用することが出来ないということだ。グローバルでビジネスを展開する企業の場合はもっと複雑で、欧州や中国など、各国の個人情報保護規制に則って同意やデータローカライゼーション規制にも対応しなくてはならない。いま求められているのは、下図にあるような「IDとアクセス」「利用規約と同意」「顧客プロファイル」、このすべてを統合する「"次世代の" 顧客ID統合」に臨むことだといえよう。
※データローカライゼーション規制とは個人の人権保護や、自国産業の保護、国家の安全維持を目的として重要なデータを自国や領域(ローカル)外に持ち出すことへの規制を指す

本稿で紹介するSAP® Customer Data Cloud(CDC)は、今述べた「"次世代の" 顧客情報統合」をワンプラットフォームで提供するソリューションだ。以下のリンクでは同ソリューションについて説明した資料や、改正個人情報保護法を踏まえた顧客情報管理について解説する動画をみることができる。ぜひご覧をいただきたいが、本稿では、以降で簡単に、CDCの概要と優位性について説明する。BtoC、BtoBそれぞれの事例も紹介しているので、ぜひ最後まで目を通してほしい。

個人情報保護を徹底しながら、顧客データを最大限に活用
[サービス資料] SAP® Customer Data Cloud
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改正個人情報保護法から読み解く
[解説動画] 顧客情報の活用に向けたチャレンジとチャンス
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SAP® Customer Data Cloud(CDC)の概要と優位性

CDCは「顧客ID管理」と「データ利用同意管理」を併せ持った、「"次世代の" 顧客情報統合管理」ソリューションだ。企業はこれを利用することで、下図にあるようにGDPRなどのグローバルな個人情報保護要件に対応しながら、顧客とのエンゲージメントを深めていくことができる。

詳細については資料や動画を参照されたいが、ここでは「顧客情報管理」と「データ利用同意管理」のそれぞれについて、従来の顧客情報管理にはどんな問題があってCDCでそれがどうクリアできるのか、Before/After形式で説明したい。

顧客情報の統合管理

         
Before   After
顧客登録画面にて、入力項目が多く煩雑な為、登録段階で離脱する 見込み客が電話番号やメールアドレス、ソーシャルログインなどを基に、簡易登録出来る仕組みを提供
ECや店舗アプリなどで異なる顧客基盤を利用している為に連携性がない ECもアプリも同一の顧客基盤を構築することで、オムニチャネルな連携が可能
顧客からデータ利用同意を取得できず、シームレスなカスタマージャーニーを構築できない 顧客登録の際に利用規約を明示し、顧客にデータ活用の同意を得た履歴を管理可能
社内に顧客情報が分散管理されていると、インシデントが発生した時にどこに原因があるか分からない 顧客情報が一元管理されており監査ログが残っているので、インシデント発生時の原因究明が容易になる

プライバシー/データ利用同意の管理

         
Before   After
欧州のGDPRなどの厳密な個人情報保護法令に対応できる同意履歴の取得が出来ていない 所管する官庁から監査要求が発生した時、GDPRレベルの顧客の同意取得履歴をすぐに提出することが可能
データローカライゼーション規制を含めた国際的なセキュリティの基準を満たしたシステム環境を構築する必要がある 欧州、北米、日本、中国などでISO27001 認定を受けたSOC2タイプ2 の監査に合格しているデータセンターを利用
顧客情報取得時の同意取得以降、再同意を得る仕組みがない為、顧客情報の利用目的が変わった場合に対応できない 顧客情報の利用目的が変わった場合に、自動的に再同意を求める仕組みが提供されおり、同意がない状態で顧客情報を利用してしまうということを回避できる

[BtoC事例]「"次世代の" 顧客情報統合管理」を実現したヤマハ発動機の例

このCDCを導入して「"次世代の" 顧客情報統合管理」を果たした企業に、ヤマハ発動機がある。

グローバルで事業を展開するヤマハ発動機では、本社と顧客の間に海外拠点や販売店が介在するため、直接の顧客の姿が見えにくいという課題を抱えていた。一方で、SNSやスマホアプリの発展により直接的な接点が増加したことでより上質な顧客体験を提供するためには社内に分散して存在している顧客情報を集約し、顧客との関係性を強化する必要があった。しかし、グローバルでこれを実現するのはたやすいことではない。利用規約やプライバシポリシーへの対応、データローカライゼーション規制など、国ごとに異なる個人情報保護法に対応することが大きな課題としてのしかかったという。

ヤマハ発動機がCDCを導入した理由は、世界各国の個人情報保護法をクリアしながら顧客情報の統合が実現できるという期待にあった。実際にヤマハ発動機株式会社 デジタル戦略部の藤本氏はCDCの導入を振り返り、こちらの記事でこうコメントしている。

"どこの法規にあわせるのか、どうやって仕様を決めるのか、同意の履歴管理はどうするかなど、さまざまな問題が出てきます。こうした情報管理の仕組みを、自社でつくるのか……。その方法を模索するなかで出会ったのがSAPの『SAP Customer Data Cloud』でした"
SAP SAPPHIRE NOW Japan 2021年7月

[BtoB 事例] 販売店向けの情報ポータルを構築した製造業の例

また、製造業界のある大手BtoBメーカーでは、顧客ではなく、代理店向けにCDCを活用。製品情報の提供から見積り発行、発注、着荷までのトレーサビリティ管理、アフターサポートのすべてがワンプラットフォームで行うことのできる顧客ポータルサイトを構築しており、そのアクセス管理にCDCを活用している。

個人情報の取り扱いに関わる法規制が強まるなかでは、見積り発行や発注といった代理店(以下、ユーザー)の各アクションに応じた合意を取得し、適切にこれを取り扱う必要がある。同社がCDCを選んだ理由は、担当者が意識することなく、ユーザーのアクションに適応した合意を取得し管理できることだった。さらに、ユーザーの所在地によってその国々の法規制に応じて合意を取得することも可能。ヤマハ発動機と同じく、こちらも「"次世代の" 顧客情報統合」を実現した例といえよう。

*  *  *

CDCの概要と優位性について説明してきた。既述したBtoC/BtoB事例にみられるように、CDCを導入する企業の多くに共通するのは、「同意管理やデータローカライゼーション規制などの難易度が高度化する法規制をクリアした顧客情報基盤を構築したい」、そんな強い思いだ。

これは海外進出している企業に限った話ではない。今回の改正個人情報保護法はグローバルな個人情報規制強化の影響を受けたものであり、今後も個人情報保護法は継続的に強化されるのが見込まれている。グローバル企業は当然だが、国内のみを市場とした企業でも事業推進の立場にあるならば、遅かれ早かれ誰もがこうしたテーマと対峙することになる。いざ対峙したとき、適切な判断が迅速に下せるよう、ぜひ以下のリンクにある情報に目を通してみてほしい。

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