マイクロソフトがリリースした「Surface Laptop SE」は、"児童・生徒向けデザイン"を謳うラップトップ PC だ。カスタマイズされた OS「Windows 11 SE」をはじめとして、教育シーンに特化したさまざまな独自機能を盛り込みながらも、税抜2 万円台からという価格を実現している。実際に端末を動かしながら、その全貌をチェックしていこう。

  • マイクロソフトの教育向けラップトップ PC「Surface Laptop SE」

    マイクロソフトの教育向けラップトップ PC「Surface Laptop SE」

誰一人取り残さない教育を実現するために

2000 年代より、教育現場での ICT 活用に向けた取り組みを続けてきたマイクロソフト。2019 年に文部科学省が GIGA スクール構想を発表して以来、各社が学校 ICT 向け端末を展開しているが、同社もついに「誰一人取り残さない教育の実現」に向け、本気の教育機関向けラップトップ PC を発表した。それが「Surface Laptop SE」だ。

その大きな特長は、参考価格 2 万円台、最上位機種に保証をフルに付けても 4 万 5000 円以下(税別)という、Surface シリーズ史上最も安い価格を実現していることにある。この値段ならば、教育機関やお子さんのいるご家庭に大きな経済的負担をかけることもないだろう。

しかし、価格を抑えたぶんスペックが控えめで、実際の授業進行がスムーズに行えないのではないかという不安の声もあがってきそうだ。これに対し「Surface Laptop SE」は、教育機関向けに最適化されたカスタマイズ OS「Windows 11 SE」と、Laptop SE 独自のハードウェアチューニングによって、その不安を解消できるという。

子どもに配慮しながらも触る喜びを感じられるデザイン

まずは、「Surface Laptop SE」の外観を確認しておこう。11.6 インチの TFT 液晶ディスプレイは解像度 1366×768 ドット。上部にカメラとマイクも確認できる。筐体は未塗装のプラスチック製で、カラーはグレイシア(白)一色だ。マットな質感にざらっとしたさわり心地がありつかみやすく、指紋も目立ちにくい。Surface シリーズらしいプレミア感がしっかりとある、完全新規デザインを採用している。

ロゴもただ彫り込んでいるだけではなく、透明なプラスチックが埋め込まれている。細部の"カッコよさ"は、大人がそうであるように、端末への愛着と学習意欲に繋がるものだろう。価格を抑えつつもデザインに妥協しない点は、素直に好印象だ。

  • 清潔感のあるグレイシア(白)に Surface ロゴが映える天板

    清潔感のあるグレイシア(白)に Surface ロゴが映える天板

  • 安定した発色と明るさの 1366×768 ドット液晶ディスプレイ

    安定した発色と明るさの 1366×768 ドット液晶ディスプレイ

底面も同様にグレイシア(白)。手前側には 2W のステレオスピーカーが確認できる。ゴム足は奥側がいくぶん高くなっており、自然な傾斜がつくように設計されているようだ。また、7 つのネジも確認できる。

  • ゴム足、ステレオスピーカー、ネジなどが確認できる底面

    ゴム足、ステレオスピーカー、ネジなどが確認できる底面

キーボードの配列は Enter キーが小さめで、Surface Go タイプ カバーの日本語キーボードとほぼ同じと考えて良いだろう。しっかりとしたクリック感がありつつも、打鍵音が静かなのが特徴で、授業の邪魔をしたり、チャットの音声を阻害したりする心配もなさそうだ。トラックパッドは大き目で、子どもでも細かな操作がしやすいだろう。

  • 打鍵音の静かさが印象的なキーボードと大き目のトラックパッド

    打鍵音の静かさが印象的なキーボードと大き目のトラックパッド

サイズは公称 283.7×193.05×17.85mm、質量は公称 1.112kg。ランドセルや学習カバンにも余裕を持って入れられ、持ち運びに負担がない重さを実現している。米国防総省が制定した「MIL-STD-810G」に準拠しており、子どもの扱いにも耐えられるだろう。角に丸みを持たせているのも、子どもたちの安全性に寄与しそうだ。

  • 子どもの学習カバンにもすっぽりと入れられるサイズ感

    子どもの学習カバンにもすっぽりと入れられるサイズ感

  • Surface Laptop SEの実測値は1.070kgで、公称値よりさらに軽い

    Surface Laptop SEの実測値は1.070kgで、公称値よりさらに軽い

  • 附属するACアダプタと電源ケーブルは合わせて260g

    附属するACアダプタと電源ケーブルは合わせて260g

インターフェースは、左側面にナノセキュリティロックスロット、右側面に 3.5mm オーディオ端子(ヘッドホン/マイク兼用)、USB Type-A×1、USB Type-C×1、DC 端子と非常にシンプル。AC アダプタでの充電のほか、USB-C Power Delivery にも対応しており、60W の急速充電が可能。ワイヤレス機能としては、Wi-Fi 6 (802.11ac [2x2])、Bluetooth 5.0 LE が搭載されている。

  • 左側面のインターフェースはナノセキュリティロックスロットのみ

    左側面のインターフェースはナノセキュリティロックスロットのみ

  • 右側面には、3.5mm オーディオ端子(ヘッドホン/マイク兼用)、USB Type-A×1、USB Type-C×1、DC 端子

    右側面には、3.5mm オーディオ端子(ヘッドホン/マイク兼用)、USB Type-A×1、USB Type-C×1、DC 端子

「Surface Laptop SE」のスペックは、使われているパーツを見る限り決して高くはない。CPU はインテル Celeron N4020/N4120、メモリは DDR4 4GB/8GB、グラフィックスはインテル UHD グラフィックス 600、ストレージは eMMC 64GB/128GB となっている。

当然、「Celeron を搭載した端末なんて本当に教育で使えるの?」と感じる方は多いだろう。だが、下位スペックである Celeron N4020、メモリ 4GB、ストレージ 64GB でも、「教育版マインクラフト」がちゃんと動くのだという。

その秘密は学習用にカスタマイズされたOS「Windows 11 SE」と、そのWindows 11 SEの動作に最適化された「Surface Laptop SE」のハードウェアにある。OS、端末それぞれを専用にチューニングすることで、スペック以上のパフォーマンスを引き出しているようだ。

  • プリインストールされている、学習用にカスタマイズされた「教育版マインクラフト」

    プリインストールされている、学習用にカスタマイズされた「教育版マインクラフト」

授業で求められる機能・性能を満たせるか?

クラウドファーストの新しい OS「Windows 11 SE」を搭載した「Surface Laptop SE」。その実力について、実際に学校で用いられるシーンを想定しつつ、深堀りしていきたい。なお、試用機のスペックは CPU:Celeron N4120、メモリ:8GB、ストレージ:128GB だ。

Surface Laptop SE では「Word」や「PowerPoint」などの「Microsoft 365 Education」は初めからインストールされており*、「Zoom」や「Google Chrome」などのインストールもサポートされている。さらに、学習に関連するアプリも今後サポートが拡大される予定だ。

ただし、原則、教育系のアプリ以外はインストールができない仕様となっているため、一般的なベンチマークソフトを用いることができない。このような理由から、今回は実測と体感をもとにレビューをしていく。なお、Web アプリの実行に制限はないため、例えばGoogle Classroomやスタディサプリなど、Web ベースの学習アプリは問題なく利用できる。

*使用には別途ライセンス契約が必要です

1.起動速度・動作速度

OS やアプリの起動速度は、学校 ICT の現場から求められる要件としてもっとも多いかもしれない。デジタル端末を用いた授業を始める前には、子どもたちがアプリを起動するまで導かねばならず、それによって本来の授業時間が減っていくからだ。それを踏まえ、「Windows 11 SE」では起動速度の改善に取り組んでいる。

実際に計測したところ、シャットダウン状態から「Windows 11 SE」のサインイン画面が表示されるまでの時間は約 21 秒、スリープ状態からは約 4 秒と非常に早い。また、PowerPoint の起動時間は約 2 秒で、ストレスなく利用できそうだ。

さすがに 3D ゲームの動作は厳しいだろうと思っていたが、「教育版マインクラフト」の動作も非常に快適だ。起動時間は約 12 秒で、実際に作成したワールドを動き回ってもカクついたりすることなく、スムーズな動きを確認できた。

調査項目 時間
OS の起動(シャットダウン状態から) 21 秒
OS の起動(スリープ状態から) 4 秒
PowerPoint の起動 2 秒
3D ゲームの起動 12 秒
  • 「教育版マインクラフト」も安定して動かせるのは、子どもたちにとってなにより嬉しいポイントだろう

    「教育版マインクラフト」も安定して動かせるのは、子どもたちにとってなにより嬉しいポイントだろう

スペックに対して非常に快適な動作ができるのは、「Surface Laptop SE」の大きな特徴といえる。

2.バッテリー駆動時間

Surface Laptop SEの公称バッテリー駆動時間は最大 16 時間。これは海外での計測に基づく数値であり、輝度はおよそ150nit、Wi-Fi接続済み、その他の設定はすべて規定の状態で、Webサイトへのアクセス、Microsoft Word、PowerPoint、Excel、Outlook Webなどを使用したテストで計測されている。JEITA基準で測定すれば、プラス数時間はもつのだという。だが、実際のバッテリー駆動時間は公称値よりも短くなるのが通例だ。

そこで今回は、より負荷の高い利用環境を想定した設定でバッテリー駆動時間を計測することにした。具体的には、自動スリープおよびバッテリーの節約機能をオフにし、輝度を 80 %、音量 50 %に設定、Wi-Fi 6でネットワークに接続。YouTube でフルHD動画を繰り返し再生し続けた。

結果としては、9 時間 6 分でバッテリー残量警告が表示、9 時間 21 分でPCがシャットダウンした。もちろん、このような使い方をすれば、一般的に他のPCも公称バッテリー駆動時間より大幅に短縮されるだろう。上記のような環境下でも10時間弱使い続けられるのは、かなり良好な結果とみて良い。実際のところ、学校ではOfficeアプリの利用も多く、ここまで長時間にわたって負荷がかかり続ける使い方をすることはない。学校にいる時間を、授業 6 時間+課外授業 2 時間、計 8 時間と想定すると、バッテリーは十分に持つといえる。

3.ハイブリッド授業への対応

新型コロナウイルス感染症の流行以降、リモート授業は選択肢として半ば確立した。災害時や非常時はもちろんのこと、今後はなんらかの事情を持った子どもや、遠方に住む子どもがリモートで授業に参加するケースも増えていくだろう。

このような、教室とリモートを両方利用するハイブリッド授業を想定し、「Surface Laptop SE」にも 100 万画素のフロントカメラとシングルデジタルマイクが内蔵されている。カメラは最大 720p/30fps で動作するため、自分の姿やラップトップの一部分なども十分鮮明に映すことができた。またステレオスピーカーも搭載されているため、Teams を使ったオンライン授業や録画した授業動画の再生時もイヤホンなしで人の声をしっかり聞き取れそうだ。

  • フロントカメラとシングルデジタルマイクで遠隔授業にも即対応できる

    フロントカメラとシングルデジタルマイクで遠隔授業にも即対応できる

  • しっかりステレオに対応したスピーカー

    しっかりステレオに対応したスピーカー

また、「Surface Laptop SE」なら、インターネットにつながらないオフライン環境でもWordやPowerPointなどのOfficeアプリを利用可能。家庭の方針や通信環境の問題で、インターネットに接続できないご家庭も安心だ。オフライン環境で保存したデータは、インターネットにつながった時点でシームレスにクラウド保存されるため、子どもたちはオンライン/オフラインをことさら意識することなく学習できるだろう。

学校の IT 管理者のニーズを満たせるか?

教育シーンでの ICT 活用においては、しばしばこれを管理する負荷が課題として挙がる。「Surface Laptop SE」はあくまで生徒側の利用端末なので検証は行えないが、どのような管理が行えるのか簡単にご紹介しておこう。

1.管理のしやすさ

学校の IT 管理者としては、Microsoft エンドポイント マネージャーおよび Microsoft Intune によってデバイス管理(MDM)が行えることが大きなメリットになるだろう。

Web サイトやアプリなどへのアクセスのみならず、カメラや Bluetooth といった各種ハードウェアまで学校側が遠隔で制御・更新できるため、セキュリティに対する懸念を減らすことが可能。また、Windows Autopilot によってマスターイメージを用意することなく構成や設定、各種アプリの配布ができるため、キッティングの手間を大きく軽減できる。

  • Intune の管理コンソール画面

    Intune の管理コンソール画面

端末の設定から管理までを一元化できるため、故障・紛失・盗難などのトラブル時の対応も迅速に行えるだろう。

2.修理のしやすさ

修理のしやすさは、実は「Surface Laptop SE」の大きな特徴のひとつだ。子どもたちが日々デジタルデバイスを利用するにあたって、故障への対応は大きな課題になる。大人が扱うのとは異なり、好奇心のままにさまざまな使い方がされることを考慮して、「Surface Laptop SE」の背面にはヘックスローブのネジが7つむき出しになっており、専門のツールを持っていれば、簡単に内部にアクセスできるよう設計されている。

  • ヘックスローブのネジを取り外せば、簡単に内部にアクセスできる

    ヘックスローブのネジを取り外せば、簡単に内部にアクセスできる

交換用のスペアパーツも販売しているので、現場およびオンサイトで修理できる*。分解動画も公開されており、だれもが内部の様子を知ることが可能だ。

*マイクロソフトはもしデバイスを自分で修理する場合、プロの補助を受けながら作業を行なうことを推奨しています。

3.製品の保証期間

法人運用で欠かせない製品保証についても触れておこう。標準保証は、1 年間の製品の欠陥と通常利用時の故障に対応したものだが、そのほかに 2 パターンの保証サービスに加入できる。

一つは、延長ハードウェアサービス。これは標準保証の内容を 3 年ないし 4 年に引き延ばすもので、同時に保証期間中はセットアップサポートを受けられる。もう一つは、Microsoft Complete for Business。延長ハードウェアサービスに加え、保証期間中の水漏れ、落下、電力などの事故による故障も保証に含まれるようになり、最大 2 回までの交換が可能となる。

  • Surface 補償内容

    Surface 補償内容

平等な教育環境の実現を目指したラップトップPC

ここまで「Surface Laptop SE」をレビューしてきた中で感じたことは、とにかくマイクロソフトの努力がにじんでいるラップトップ PC だということだ。設計にかけられた時間と予算は、Cerelon を搭載した他の安価な端末とは比較にならないだろう。

もちろん、2 万円台からという価格を設定している以上、スペック的には大差ない。しかし、ハードウェアのカスタマイズ、OS のカスタマイズ、マイクロソフトの各種サービスと組み合わせることで、価格を超えた価値を実現している。

Windows は実社会においてもっとも身近にある OS であり、社会人のスキルとしてWindows を使った学びを提供したいと考えている学校は多い。だがこれまでは、端末の価格と性能のバランスから、導入を断念したケースも少なくないはずだ。そんな学校でも、Windows 端末を採用しやすくなることは疑いようがない。

「Surface Laptop SE」は「子どもたちに平等な教育環境を与える」という観点に向けた、マイクロソフトなりのひとつの回答ではないだろうか。

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