スーパーコンピューターといえば、国家プロジェクトやごく一部の企業だけが使える超高性能で超高価なリソース……。そんなイメージを一新するクラウドサービス業界初のサブスクリプションサービスをカゴヤ・ジャパン(以下、カゴヤ)は、日本電気(以下、NEC)と共同で提供している。
同サービスはスパコンを自社で所有・設置するのではなく、クラウドで利用するため、大がかりな設備は不要。初期投資をミニマムに抑えながら、スパコンを手軽に自由に使えるようになるとき、ビジネスの可能性はどこまで広がるのだろうか?
今回は「SX-Aurora TSUBASA クラウド」のキーマンに、国内におけるスパコンの現状とこれからについて伺った内容をお届けする。
スパコンは「所有」せず、「使用」する時代に
NECは2018年に、それまで長年かけて培ってきた世界トップレベルのスパコン技術を凝縮したSXシリーズの最新モデル「SX-Aurora TSUBASA」を発売しました。 世界唯一のベクトル型プロセッサを、サーバースロットに挿入できるサイズにまで一気にダウンサイジングしたのです。 |
この「SX-Aurora TSUBASA」を活用してカゴヤは、スパコンをクラウド環境で利用できるサービスを開始した。
スパコンをクラウド経由でご利用いただくサービスが「SX-Aurora TSUBASA クラウド」です。 サーバーの設置場所を弊社のデータセンターとし、サービス提供形態としては、ホスティングとハウジングの2パターンをご用意しました。 スパコンは大がかりな設備投資を行い自社で所有して使うものから、目的や予算に応じて手軽に使えるものになったのです。 |
クラウドとはいえ、カゴヤはスパコンを顧客ごとに専用サーバーで運用し提供する。料金は月額固定制で、カゴヤのファイアウォールやルーターなどのオプションサービスも合わせて活用できる。まさにスパコンの概念を変えるクラウドスパコンといえるだろう。
スパコンに起こったパラダイムシフト
従来からカゴヤでは、データセンターでNEC製のサーバーを運用してきた。また、機械学習エンジンのパートナープログラムにも参加している。
そんな縁もありNECが「SX-Aurora TSUBASA」普及のために立ち上げた「NEC 共創コミュニティ for SX-Aurora TSUBASA」にもいち早く加入した。このコミュニティにはカゴヤの他にも、システム系の企業が多く参加している。
そんな中でデータセンター事業者としては、弊社が唯一参加しました。もちろんその目的は、クラウドで使えるスパコンサービスを提供するためです。
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「SX-Aurora TSUBASA」は、ベクトルエンジンによる超高速処理を可能としたスパコンである。その高速ぶりは、Python/Sparkで開発したAIや業務アプリの場合、最大100倍以上の高速化を意味する。
「SX-Aurora TSUBASA」は、従来のスパコンと同様に、莫大なデータを扱う統計的機械学習や気候シミュレーション、需要予測などの処理をこなせます。 これをクラウドで使えるようになれば、スパコンを使わなければ処理できないと諦められていたアイデアも実現できるのではないでしょうか。 |
たとえば従来のハードでは計算処理に時間がかかるため、開発を諦めていたアプリケーションなども、「SX-Aurora TSUBASA」クラウドを使えば実用化が視野に入ってくる。 つまり、計算処理を制約条件として考える必要がなくなるのです。 そうなれば、一体どんなアイデアが飛び出してくるのか?大げさかもしれませんが、世界が変わる予感がしています。 |
データ処理が100倍速くなれば、何ができる?
スパコンをクラウドサービスで使えるようになれば、スパコン=大規模な研究用といったイメージはもはや過去のものだ。これからは中堅・中小企業がスパコンを普通に使いこなす時代となる。
たとえば、セキュリティ用途ではサイバー犯罪の検出に使えるでしょう。ほかにも店舗在庫を最適化するための需要予測、レコメンドのためのリアルタイムな行動予習など、用途はいくらでも思いつきます。
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さらにはアプリケーションのサプライヤーが、自社のサービスをカゴヤさんのサーバーに構築して、エンドユーザーに提供する展開も考えられますよね。 つまりエンドユーザーも知らない間にスパコンを使っている、そんな状況もあり得る。いわば「目に見えないスパコンの使い方」が普及していくのではないでしょうか。 |
計算処理が従来の100倍高速化されると、何ができるようになるのだろうか?カゴヤが以前から提供してきたGPGPUサービスとの組み合わせにより、機械学習と深層学習の組み合わせ活用にも大きな期待がかかる。
既に具体的な導入例もいくつかあり、半導体検査装置への組み込み搭載や、従来のハードでは計算負荷が高いため対応できなかった数値解析などに活用いただいています。 これらの企業での用途に加えて、圧縮性流体力学の研究に取り組む大学の研究室が、膨大な数値計算をこなすために、研究室で手軽に使えるスパコンとして導入しているケースもあります。 |
カゴヤのデータセンター内では柔軟なシステム連携が可能であり、「SX-Aurora TSUBASA」クラウドとGPUサーバーを搭載した機械学習インフラの構築も実現できる。
DX時代、ビッグデータの高速処理が価値を生み出す
アプリケーションを動かすエンジンとして、普通にスパコンを使う。こうしたスパコンの活用法が当たり前となれば、SIerの発想も大きく変わるはずだ。
実際、我々の「NEC 共創コミュニティ for SX-Aurora TSUBASA」には、アプリケーションソフトを開発しているソフトウェアベンダーさんも多数参加しています。 そうした企業が、カゴヤさんのホスティングサービスを使ってオリジナルのSaaSを開発して提供する。そんな使い方も増えてくるのではないでしょうか。 |
一方ではDXの進行に伴い、膨大なデータがエッジから上がってくるようになるだろう。そうして集められたビッグデータの高速処理にも、クラウドのスパコンは活用できる。そこからどんな新たな価値を生み出せるのか。その少し先には「SX-Aurora TSUBASA クラウド」の量子アニーリングとしての活用も視野に入ってくるはずだ。
誰もが自由にスパコンを使えるようになったとき、一体どのような社会が実現するのか?未来社会を支える新時代の情報インフラをカゴヤは提供し、全力でサポートしていくと、鶴岡氏は締めくくってくれた。
2021年7月現在、カゴヤでは「SX-Aurora TSUBASA クラウド」の無償トライアルを受け付けている。スパコンを手軽に試したい方は、ぜひ注目いただきたい。
カゴヤのHPC
「SX-Aurora TSUBASA クラウド」
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