※米国で人気のスマートストアに関する記事です。

オンラインショップの台頭などを背景に、いまや流通業者は店舗をいかに再構築していくかが大きく問われている。そのアプローチはさまざまだが、やはりデータ主導で顧客のニーズを捉えていく施策は必須だろう。ここではデル・テクノロジーズのコンパクトなサーバーが流通業において果たす役割を解説していく。

デジタルを当たり前に使いこなす顧客とデータ主導を求められる流通業

オンラインショップの台頭が著しい中、アメリカでの調査によると、意外にもZ世代(1996年以降に生まれた若者世代)の買い物客で、実店舗のほうが優れた購入経験を提供してくれると考える人の割合は、76%に上るという。また、別の調査によると2020年におけるミレニアル世代(1981年~1995年に生まれた世代)の購買力が1.4兆ドルと予想されており、やはり店舗づくりにはデジタルネイティブ世代の存在を無視できないことが見て取れる。

こうした動きは不可逆的なもので、今後はより一層、実店舗とオンラインとのシームレスな連携が求められることになるだろう。たとえばオンラインで注文した商品を実店舗で受け取りたいといったニーズを無視してはいないだろうか? こちらもある調査によると、オンラインで購入する顧客の68%がそのような要望を持っており、またそうした顧客の85%は実店舗を訪れた際についで買いを行うという。

このような顧客のニーズをどのようにして的確にとらえ、カスタマーエクスペリエンス(CX)をいかに向上させるかを考えたとき、やはり顧客の動向の可視化は必須となる。

そのために流通業者が活用できるデータといえば、店舗や物流センター内のセンサー、スマートフォンまたはWi-Fi追跡システム、位置情報に基づいて広告を配信するモバイルアプリ、店舗内の様子を映したビデオカメラ、無線自動識別(RFID)用チップ、POSデバイスなど、多岐にわたる。

これらのIoTデータから取得したインサイトを元に、流通業者はサプライチェーンの物流を最適化したり、CXの向上や効率アップを図ったりできるようになるわけだが、いざそうしたデータドリブンな取り組みを開始しようとしたとき、課題となるのはその膨大なデータを処理するためのプラットフォーム構築だろう。実際、全世界で2025年までに導入されるIoT接続デバイスの数は754.4億に上るという予想があり、それに伴いデータ量も劇的に増えていくに違いない。

こうした状況を受けて、流通業者はエッジデバイスおよびIoTとデータセンターの間で行き交うデータのレイテンシや帯域幅のコストを最小化するため、アプリケーションやその基盤となるサーバーをクラウドやコアデータセンター側からエッジ側(店舗側)へと移していくことになる。しかし従来のデータセンター向けのサーバーは、スペースに余裕のない店舗向けに設計されておらず、そのまま移行するのは難しい。ほかにも運用時のリソース不足、新旧テクノロジーの互換性欠如、サイバー攻撃やランサムウェアなどのセキュリティ不安といったさまざまな課題を抱えている。

これらを解決するには、エッジでのデータ収集と分析を最適化するソリューションが必要だ。デル・テクノロジーズはそうしたエッジ向けに最適化されたプラットフォームを提供しており、ハードウェアやアプリケーションの導入、インフラの構築、データの管理を一貫して取り扱うことが可能だ。

エッジテクノロジーによって店舗のあらゆる最適化を目指す

基本的に流通業者で扱われるさまざまなデータは、主にオンライン、店舗内、サプライチェーンという3箇所で生成される。そのうちオンラインのデータは、クラウド上やデータセンターで扱うことになるため、当然ながらエッジデバイスとのやり取りが発生しない。実はエッジテクノロジーによって最適化できる可能性が高いのは、店舗およびサプライチェーンにおいてなのだ。具体的にデータをどのように活用して最適化が進められるか、以下8つの視点でまとめてみる。

●統合されたカスタマーエクスペリエンス(CX)の実現

たとえばオンラインで購入したものを実店舗で受け取り、または返品できるようにするには、実店舗とオンラインのCXを統合する必要がある。そのためには取引の場所に関係なくデータソースやアプリケーションを同期することになり、アプリで管理されるピックアップロッカー、社員用のスキャナー、一元化されたインベントリデータベースなどエッジデバイス側に通信機能が搭載され、リアルタイムにデータが更新されるシステムが求められる。

●センサーを使った店舗内プロセスの改善

店舗内にある在庫を追跡するシェルフセンサー、在庫や接客を追跡するパッシブ型RFIDタグ、買い物客の列がどのくらいの速さで進んでいるのかを捉えるセンサーやビデオカメラ……これらから生成されたデータを活用することで、流通業者はパターンを分析し、情報に基づいて、接客のプロセスを改善できる(ピーク時にレジのスタッフを増員するなど)。

さらにこうした分析を進めて機械学習モデルを確立すれば、過去の消費パターンに基づいて、たとえば物流センターから店舗に在庫を移すタイミングを知らせるといったレコメンデーションを行うことも可能になる。

●ビデオ監視によるパターン検出およびスタッフの作業効率の最適化

映像データは複数の場所の来店数や、店舗内での顧客と商品との関係を分析するツールとして活用可能。また、スタッフの動きやパターンを調査することで、店舗内での効率を最適化できる。

●購入時におけるデータ活用

各種データは購入時のあらゆるイベントにおいて発生する。購入金額、購入場所、何を購入したのか、クレジットカードやクーポンを使用したのか、リワード・プログラムに参加したのか……こうしたPOSデータを利用することで、顧客の将来的な購買活動を的確に予測・対応できるようになる。

●リモートでの監視

倉庫内のセンサーやRFIDタグによって、納品日時を監視したり、機器が最大効率で稼働しているかを確認したりできる。使用可能な納品場所などを最適化する機会も生み出せる。

●ロボットなどの自動化の効率を向上

RFIDなどのコンポーネントを使い、ロボットなど自動で動作するデバイスの場所を追跡し、倉庫内でのデバイスの位置を確認したり、それに基づいたタスクを割り当てたりできる。

●輸送の最適化

GPSデータを使うことで商品を配送するトラックのルートを追跡・最適化し、実店舗への配送時間を正確に予測可能。

●食品の在庫を管理

冷凍庫や冷蔵庫内のセンサーを使用して温度を適切に管理することで、フードロスを防止できる。流通業界では、こうした作業における人の介入(たとえば温度異常のアラートを受けたマネージャーが手作業で対応するなど)をできるだけ減らし、機械学習モデルによって異常に自動的に対処する動きが進んでいる。

求められるエッジソリューションの姿とは?
コンパクトなサーバーを中核に据える

デル・テクノロジーズは、こうした店舗およびサプライチェーンにおける最適化を強力に推進するエッジソリューションを提供。その中核を担うのが「Dell EMC PowerEdge XE2420」および「Dell EMC PowerEdge T140」というサーバーだ。同サーバーはコンパクト性、性能、ストレージ容量、保守の容易さ、耐久性といった重要な要素を兼ね備えている。

  • PowerEdge XE2420サーバー前面(防塵フィルター付きベゼル装着時)

まず店舗におけるコンパクト性の重要性を見てみよう。サーバーを店舗内に設置するにあたり、やはり限られたスペースを損なわないためにもサーバーにはコンパクトさが求められる。「Dell EMC PowerEdge XE2420」は2Uで奥行が56.3cmという小型フォームファクタを採用。さらに消費電力および冷却費用を抑えることで、運用コストも削減してくれる。

その一方で、高度な分析や機械学習のトレーニングを実現するのに十分なパフォーマンスや、生成された膨大なデータに対応できるだけの大容量ストレージといったスペックもしっかり確保している。「Dell EMC PowerEdge XE2420」は最大4基のアクセラレータ(GPU)を搭載可能で、機械学習における演算を支援。ストレージも最大92TBまで構成できる。

  • PowerEdge XE2420サーバー前面(筐体内部)

サーバーの設置場所はどうしても店舗裏のクローゼットなど狭く密閉された環境になりがちだ。保守の負担を考えると機器内部に簡単にアクセスできるよう、I/Oや電源に本体前面からアクセスできることもポイントとなる。さらに、サーバーは必ずしも適切に管理された場所に配置されるとは限らず、温度が一定でなかったり粉塵が多かったりと過酷な状況にも耐えうる堅固なソリューションが求められる。「Dell EMC PowerEdge XE2420」は5~40℃と動作温度耐性の範囲が広いほか、オプションのフィルター付きベゼルによって機器を保護することができる。こうした特徴は、修理や保守のコスト削減に寄与するはずだ。

PowerEdge T140サーバー

また、店舗におけるPOSアプリやファイル・プリントサーバーなど、コンピューティングパワーをそれほど必要としない用途には、手軽で使いやすく実用的な、高さ36.3cmの据え置き型のタワーサーバー「Dell EMC PowerEdge T140」がお勧めだ。

流通店舗のサーバーは、より堅牢で安定したものを長期間利用するケースが多いが、「Dell EMC PowerEdge T140」は通常の保守サポートメニューで、最大7年の保守期間をオプションとして選択することができる。さらにはエントリーレベルのサーバーにもかかわらず、リモートでサーバーの設定や操作ができるiDRAC(integrated Dell Remote Access Controller)という機能も搭載しており、各店舗のサーバーを本社から集中管理することも可能だ。

流通業における顧客データ分析のニーズを真摯にふまえ、デル・テクノロジーズが提案するエッジソリューション。その中核に据えた「Dell EMC PowerEdge XE2420」と「Dell EMC PowerEdge T140」は、まさに実店舗の事情に寄り添ったサーバーといえるだろう。CXの向上を実現するにあたり、ぜひ同サーバーの細やかな使い勝手に注目していただきたい。

PowerEdgeエッジサーバーの製品コンセプトご紹介

PowerEdge XE2420 エッジサーバーのご紹介

[PR]提供:デル・テクノロジーズ