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パソコンのOSであるWindows 10を安全・快適に使うために欠かせない「Windowsアップデート」。Windows 10のアップデートは過去のWindowsとは大きく異なり、WaaSという概念が採用されていることが特徴だ。この変更により、利便性も向上した反面、注意すべき点もいくつかある。本記事ではWindows 10のアップデートについて、その特徴やこれまでとの違いとメリット、留意すべき点などについて解説する。

Windowsアップデートとは?

Windowsアップデート(Windows Update)はパソコンのOSであるWindowsをインターネット経由で自動的に更新する仕組みのことである。前回のアップデートから新たに見つかった脆弱性(プログラムの弱点)の修正や、機能追加のための更新プログラムをパソコンにインストールすることを目的とする。基本的に、パソコンの起動時や終了時に自動で行われるが、手動で対応することも可能だ。業務終了後、パソコンをシャットダウンする際にアップデートするユーザーも少なくないだろう。

似たような言葉として「アップグレード」があるが、こちらはWindowsのバージョンやエディション(HomeやProなど)そのものを新しいバージョンへ変更することで、アップデートとは根本的に異なることに注意したい。例えば、Windows 7からWindows 10に変更する行為は「アップグレード」となる。


Windows 10のアップデートは何が変わった?

Windows 10より前のバージョンまでは、新しい機能追加を「サービスパック」という形で提供していた。例えば、Windows 7までは「SP1」、「SP2」という名称で提供されていた。また、これらはユーザーが手動でインストールすることが必要とされた。業務利用の場合、情報システム部門の担当者がこれらサービスパックのメンテナンスに加え、新しいバージョンが出た場合のアップグレードに対応する必要があったため、管理する端末が多くなればなるほど業務負荷も高くなる傾向にあった。

Windows 10ではWaaS(Windows as a Service)という新しい概念が採用された。WaaSは、WindowsというOSをサービスとみなして提供するという考え方だ。この概念が採用されたWindows 10では、従来のサービスパックに相当する機能追加が年2回、更新プログラムとして配信される。新しいOSにアップグレードしたり、買い換えたりするといった従来までの流れが一新されたのである。これは画期的な変化として、市場に受け止められた。


Windows 10のアップデートの種類

Windows 10のアップデートの種類には以下の3つが存在する。

・Feature Update

Feature Updateは年2回行われる。基本的に春(4月~5月)と秋(10月~11月)に実施される。Windowsの新しい機能を追加するためのアップデートとなる。比較的大きなアップデートになることが多く、過去にはアップデートの影響でユーザーのパソコンに不具合が発生したこともあった。

・Quality Update

Quality Updateは毎月実施される品質向上のためのアップデートである。基本的に毎月第2火曜日(日本では翌水曜日)に実施され、必要に応じて随時行われる。

・Security Update

Security Updateはセキュリティに関する更新プログラムを配信するためのアップデート。随時発見される新たな脆弱性を解決するため、基本的には毎月1回、その他緊急度に応じて随時実施される。


これまでに行われたFeature Update

Windows 10では2021年1月時点で10回Feature Update が行われてきた。

・Ver.1511 November Update 2015年11月12日(サポート終了)

「Cortana日本語版」や「Microsoft Edge」の機能追加、セキュリティの強化などを実装。

・Ver.1607 Anniversary Update 2016年08月02日(サポート終了)

「Windows Hello」や「Cortana」の強化、「Xbox One」の強化などを実装。

・Ver.1703 Creators Update 2017年04月11日(サポート終了)

「ペイント 3D」や「Beam」によるゲーム配信機能など、クリエイティブな要素がより強化された。

・Ver.1709 Fall Creators Update 2017年10月17日(サポート終了)

画面デザインに「Fluent Design System」を採用、独自のMR技術である「Windows Mixed Reality」などが実装された。

・Ver.1803 April 2018 Update 2018年04月30日(サポート終了)

「タイムライン」機能や「近くの共有(Nearby Share)」機能などが追加された。

・Ver.1809 October 2018 Update 2018年10月02日(サポート終了)

スマートフォン(以下、スマホ)との連携が可能な「スマホ同期管理アプリ」やMicrosoft Edgeの機能強化などが実施された。同アップデートではアップデート時に一部のフォルダやファイルが消去されるという不具合が発生。一時的に配布がストップされるなどのトラブルが生じた。

・Ver.1903 May 2019 Update 2019年05月21日(サポート終了)

「Windowsサンドボックス」の追加、ファイル検索機能の強化、Linux向け機能の強化などが行われた。

・Ver.1909 November 2019 Update 2019年11月12日(サポート:2021年05月11日まで)

スタート画面のナビゲーションや「通知」機能の改善などが実施された。

・Ver.2004 May 2020 Update 2020年05月27日(サポート:2021年12月14日まで)

クラウド経由でOSの再インストールが可能になり、Bluetoothの「クイックペアリング」に対応した。いくつかのトラブルが発生し、端末によっては配信が一時停止された。

・Ver.20H2 October 2020 Update 2020年10月20日 (サポート:2022年05月10日まで)

Chromium版の「Microsoft Edge」が標準搭載され、スタートメニューが改良された。

上記の通り、各アップデートではそれぞれUI改善や機能追加などが行われている。また、各バージョンにはサポート期限があり、通常は18ヶ月間となっている。ただし、Feature Updateでは「October 2018 Update」のように、アップデート時にトラブルが発生したケースもある。そのため現在は自動的にFeature Updateが行われることはなく、基本的にユーザーが手動で行うことになっている。

また、このようなアップデートに伴うトラブルを未然に防ぐため、マイクロソフト社ではユーザーのマシンのスペックからアップデート対象となるかどうかを判別。スペックが要件に満たない場合は、アップデートプログラムの配信を行わないなどの対策をとっており、配信されるタイミングもユーザーによって変えている。


アップデートを行うメリット

Windowsのアップデートに対しては、ネガティブな印象を持つ人も少なくない。中には退勤間際でアップデートが開始され、なかなか終わらず帰れない、といった経験をした人もいるだろう。しかし、アップデートを怠った場合、マルウェア感染などのセキュリティリスクが高まり、サポートが切れてしまうと更新プログラムも配信されなくなってしまう。Windowsアップデートには大きく分けると下記のようなメリットがある。

1)最新版に保つことでセキュリティが向上する

アップデートを行うことで、Windows 10が最新版に保たれ、セキュリティが向上する。マルウェアは常に新しいものが登場しており、OSの新たな脆弱性も高い頻度で発見されている。更新プログラムを確実に適用することで、マルウェア感染などのセキュリティリスクを最小限に抑えることができる。

2)新しい機能を使うことができる

Feature Updateでは新しい機能が実装される。例えば、October 2020 UpdateではChromium版になった新しいEdgeが標準で使えるようになったほか、スタート画面が新しくなったり、タブレット端末の操作性が改善されたりしている。こうした新しい機能は、仕事やプライベートでのパソコンライフを一層快適にしてくれる。


アップデートをする際の注意点

Windowsアップデートは、快適かつ安全にパソコンを使うために必須といえるが、スムーズにアップデートを行うためには注意点もある。

1)十分な空き容量があるかを確認しておく

パソコンのHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)に新しいプログラムをインストールするための十分な空き容量がない場合、Windowsアップデートが途中で中断する場合がある。なかなかアップデートが終わらない、といったトラブルは空き容量に起因する場合が少なくない。アップデートの前にはパソコンの空き容量が十分にあるかどうか、チェックしておくようにしよう。

2)アップデート時のトラブルに備えておく

先述の通り、Windows 10のFeature Updateにはトラブルが発生するケースも少なくない。2020年5月の「May 2020 Update」では「OneDrive」へアクセスできなくなるなどの不具合も発生した。場合によっては業務に多大な影響を与えかねない。業務で利用するパソコンをアップデートする場合は、トラブルが生じた際に備え、利用するデータをファイルサーバーに格納する、あるいは代替機を用意しておくなどの対策をとっておくようにしてほしい。

なお、アップデート時に不具合が発見された場合でも、基本的には随時更新プログラムが配信され、トラブルは解消されていくことにも触れておきたい。


Windows 10のアップデートは必ず実施しよう

一定の時間を要することから敬遠されがちなWindowsのアップデート。しかしながら、時間がかかる、あるいは面倒くさいといった理由でアップデートを止めることは大きなリスクになり得ることを頭に入れておかねばならない。OSやアプリケーションを常に最新版に保つことは、セキュリティ対策ではいろはの「い」であり、基本中の基本だと言える。

また、今後はWindows 10のアップデートに関するトラブルも減っていくことが見込まれている。現在、マイクロソフト社では機械学習のプロセスを活用し、更新プログラムを配信すべきデバイスを判別している。この機械学習プロセスをさらにブラッシュアップしていくことで、サービス終了が近いデバイスには自動的に新バージョンへの更新プログラムが配信されるようになるという。

セキュリティ対策の基本は、脆弱性の存在を解消するために最新の状態を維持することだ。安全かつ快適にパソコンを使うためにも、アップデートの状況を常にチェック・把握するようにしておき、もし更新漏れがあればきちんと対応するようにしておきたい。

※本記事はキヤノンマーケティングジャパンのオウンドメディア「サイバーセキュリティ情報局」から提供を受けております。著作権は同社に帰属します。

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